試験
完成しました!おたたしみください!
次回更新は7月25日 0時です!
「これをここに差し込んで固定すれば…よし完成だ!」
「その機械的な手はなんだい?」
「サブアーム…いや、リロードアームと言うべきだな。排莢した後に両手をクロスさせると、義手に仕込んだこのアームがスピードローダーを使って給弾するっていう仕組みだ」
「動力は魔力かい?」
「いやブルーローズを使って動かす。流石にこれ以上魔力消費する物は身に付けられないからな…」
マギアに、カンテラのデザインの変更を指示した後、新たなリロード手段を考えていたソウルとゼフティだったが、ソウルがふと作業中のマギアの手を見た時、頭の中で閃きが起こり、思うがままに閃きを形にしていった。
「問題なく動くけど…ちょっと遅いな…」
「ならアームもう1本追加したらいいんじゃね?」
「…それもそうだな。1本にこだわる必要は無いか」
ゼフティの助言に納得し、ソウルは義手を外した後、ブルーローズを使って義手に取り付けたリロードアームを外して行った。
「ここをギュインギュインして…トンカンっと…バランスと強度を調整しながら…ワッショイショイっと!」
「謎の掛け声はどうかと思うけど、やってる事は何度見てもすげぇな…」
ソウルがブルーローズを巧みに使い、硬いインゴットから粘土細工をしているか様に、次々と部品が作られて行くのを見て、ゼフティは感心する言葉上げた。
「出来た!早速試してみよう」
新たに作り出した2本のリロードアームを取り付け、義手を装備した後、銃を持って両腕をクロスさせてみると、義手に格納されていたリロードアームが動き出し、何の異常も見せる事無くDice of Fateのシリンダーに弾が入った。
「ハッハー!…キモイ」
「キモイ!?」
ゼフティが言った言葉に、ソウルは驚愕した。
「なんか右腕から小さい手が出て来て滑らかに動くのがキモイ…」
「この滑らかさが重要なんだけど…」
「先ほどのリロードを録画しましたが見ますか?」
カンテラのデザイン変更を終えたマギアが、ソウルの前にウィンドウを表示すると、ソウルはウィンドウの中心にある右向きの三角形を押して、録画された動画を再生した。
「…確かにキモイな」
動画で滑らかに動くリロードアームを見て、ゼフティがキモイと言った理由が良く分かった。
「まぁでも他に考えがないからこれで行く。なんか問題があったらその都度改造すればいいしな」
ソウルは、リロードアームを義手の中に格納し、銃をホルスターの中に入れた後、テーブルの上に置いていたブラックジャガーを手に取ると、眉間に皺を寄せながら何かを考え始めた。
「おいおい?今度はどうしたんだ?」
「いや、こういった長物を取り出す時アイテム欄からわざわざ取り出すのって手間だなと思ってさ」
「では指を使ったショートカット機能はどうでしょうか?」
「指?」
「はい。義手の指先にルーン文字を刻印し、数を数える様に指を折り曲げて使うショートカット機能です」
「お?それいいな!俺っちも欲しい」
「ではご愛用している手袋はありますでしょうか?」
「あるある!これを使ってくれ」
ゼフティが、腰にある革製のポーチから、手袋を取り出してマギアに渡した。
「では右手袋に刻印しますね。マスターは義手の掌を私に向けてください」
「あいよ」
マギアは、ゼフティの右手袋とソウルの義手に、ルーン文字を機械的動作で1文字づつ刻印して行った。
「出来ました」
「じゃあ早速試してみるか」
「俺っちのはどう使えばいいんだい?」
「ゼフティさんは最初に枠を押すとアイテムを入れるウィンドウが表示されるので、そのウィンドウの中にアイテムを入れてください」
「ほほぅー!なるほど!じゃあ試しにこれを…」
ソウルは、アイテム欄に表示されたアイテムアイコンを指で押した後、そのままスライドさせてショートカットの枠の中に入れて行き、ゼフティは、目の前に表示された大きめのウィンドウに、くしゃくしゃに丸められた紙を入れた後、手袋を装備して親指だけを立ててみると、先程入れた丸められた紙が出て来た事に感動して目を輝かせた。
「ソウルっち!これはすごい!絶対売れるぜ!」
「そうか?」
「ああ!ショートカットを使うのに魔力とか必要ないし作るのにも大したコスト掛からないからかなり行けると思うぞ!」
「本当か?似た様な物沢山ありそうだけど…」
「いや、大丈夫だ!任せてくれ!」
「じゃあ頼んだ」
「頼まれた!ハッハー!ヒャッホー!」
テンション爆上がりしたゼフティは、上機嫌にスキップしながら製作室を出て行った。
「何もするなって言われていたはずだが…いいのか?」
「これは「ご信用ありがとうございました。ゼフティ先生の次なる商売にご期待ください。」と予想されます」
「うん、なんか駄目そう」
ソウル達は、その後武器や道具類を整備する為の道具を作っていたが、製作室の外から女性の怒った声が聞こえてくると、巻き込まれたくないと思い、誰にも見つからない様に動きながら、銃士ギルドを後にした。
-アークライト・錬金術ギルド-
「こんにちわ」
「あ!ソウルさん!いらっしゃいです!」
錬金術ギルドに入ると、受付にいるアイシャが元気よく挨拶して来た。
「イ゛ェアァァァァァァ!!!」
「な!?」
ソウルが受付に近づこうとした時、突然スクフォイが両目を手で押さえながら、苦痛の声を上げ地面を転がって来た。
「スクフォイさん駄目じゃないですか!調合中に目を話すなんて!…あ、ソウルさんこんにちは」
地面を転がるスクフォイの後を追う様に来たソラが、ソウルの姿を視界に入れると、丁寧なお辞儀をして挨拶して来た。
「こんにちはソラさん。それで~スクフォイさんはどうしたのですか?」
「今度軍に降ろす目薬を調合していたのですが、スクフォイさん調合中に目を離してしまい、薬品が目に入ったのです」
「そうですか…(ん?)」
ソラの言葉に納得したソウルだったが、何か違和感を感じ首を傾げた。
「どうしました?」
「え?あ、いや多分気のせいだと思うのでお気になさらす…」
「そうですか?」
ソラは、ソウルの言葉に疑問符を浮かべながらも頷いた。
「…まったく煩いったらありゃしないさね!?」
奥の部屋から、若干キレ気味のアンジェラが出てくると、呻き声を出しながら床を転がって来たスクフォイを片足で踏みつけて止めた後、ソラを睨んだ。
「何だい?またあんたらさね?」
「い!いえ!違うんです!あ!違くは無いんですけど違うんです!」
「あ゛ぁ?」
「えっと…その…し…失礼します!」
「まつさね!」
逃げ出したソラに、アンジェラは何処からともなく、右手からロープを飛ばして捕縛した。
「まだ目薬出来てないのにどこに行こうとしてるんだい!?仕事放棄は許されないさね!」
「ひぃー!すみませぇぇん!」
「まったく…おやソウル?来ていたのかい?」
「…こんにちは」
一連の出来事を見て、ソウルが驚愕しながら挨拶を言うと、アンジェラはため息を吐いた後、近くの椅子に腰かけた。
「まったく毎度毎度うるさいったらありゃしないさね…で?今日はどうしたんだい?」
「何か新しい技術を学べないかと思いまして…」
「新しい技術?…そうさね」
アンジェラは、何かを観察する様にじっとソウルを見た。
「偏った調合してるみたいだけどそれは銃士だから仕方ないとして…ふむ…」
「(見ただけで分かるのか!?それとも何かのスキルか?)」
アンジェラの言葉を聞いて、ソウルは内心で驚いていると、アンジェラは何かを思い出した様にポンと手を打った。
「あ、ならアレならいいかもしれないさね!アイシャ?倉庫の棚から5の66番の本をソウルに渡すさね」
「え?本気!?お祖母ちゃん!?」
「ああ、今のソウルなら問題ないさね」
「…わ…わかった」
アイシャはアンジェラに頷き、奥の部屋に入って行った後、A1サイズの分厚い本を胸に抱えながら戻って来た。
「ソウルさんどうぞ」
「ありがとうございます、アイシャさん。それで~…この本は?」
「狂気薬や暴虐の薬、精神干渉薬なんかの製法が書かれた本だよ」
「え?…それは麻薬の類では?」
「そうさね」
「…という事は持っているだけでヤバい本…という事ですか?」
「そうさね。禁書さね」
何の悪気も無いようにアンジェラが同意すると、ソウルは渡された本を受付のテーブルの上に慎重に置いた後、慌てて距離を取った。
「な…何と言う危険物を渡してくるんですか!?」
「大丈夫さね、その本はちゃんと届け出を出しているからすぐにどうにかなる事は無いさね」
「どうにかなる事が問題だと俺は言いたい…」
「問題ないさね。それよりもこの本を渡す前に試験を受けて貰うよ」
「いえ、いらな…ア、ハイ」
ソウルは、要らないと言おうとしたが、アンジェラが睨んで強制的に頷かせた。
「試験って言っても簡単な物さね。その本に書かれている暴虐の薬を作るだけ。材料もこっちで用意するよ」
「分かりました。試験を受けます」
「アイシャ用意してやんな」
「はーい」
アンジェラに頷いたアイシャは、材料を取りに奥の部屋に入って行き、ソウルとマギアは釜が置いてある場所に移動した。
ゲームに良くあるショートカット機能を使えるようにしました。
使い方は外国の指折り数え方の様に親指が1です。ですが6からは親指と小指を立てて6そこに薬指をたてれば7になります。9は親指以外を立てた形になります。
ソウルが感じた違和感の正体は次回で!…多分
スクフォイはアンジェラの一撃で気を失いました。
大魔王(錬金術ギルドの)からは逃げられない!
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