男の末路。
エピローグです!これにてカドゥケウス編 終了 です!
次回にご期待ください!
あ、軽い食虫模写があるので、嫌いな方は飛ばしても問題ありません!…なので「○○が食べれなくなった!」や「トラウマになった!」等の苦情は一切聞きませんので悪しからず!
「はぁ…はぁ…はぁ…畜生…がぁ…」
男は悪態を付きながら暗い道を走っていた。
「出た場所に…追手が…いるなんて…はぁ…知る訳ねぇだろ…クソが!…はぁ…あの女…ワザと…あの場所に!…はぁ…次あったら…穴の奥まで分からせてやる…」
そう悪態を付きながら走り続けていると、行く先の道に人工的な灯りが見え、男は助かったと思いながら、その灯りの方へ向かって行った。
「うお!お前さんどうした?」
「大丈夫か?」
男が灯りの方向に進んでいくと、手作りの槍を持った2人の男性に声を掛けられた。
「ああ…一応大丈夫だ…ここに来る途中に野盗に襲われてな…数人は倒したんだが残りの奴に荷物を全部盗まれちまった…」
「それは大変だったなぁ…」
「荷物を取られちまったのかい?身分とか分かる奴も?」
「あ…ああ…」
男の言葉を聞いた男性達は、互いに顔を見合わせると、男は流石に出鱈目がすぎたか?と内心で焦ったが、その思いは杞憂に終わり、男性達は笑顔を向けてきた。
「それは大変だったろう。村の中央に宿と酒場が一緒になった店があるから、そこで事情を話して休むといい」
「おーい!開けてくれー」
「あ、ああ…助かる…」
木製の門が内側に開いて行き、男は2人に感謝を言ってから村の中に入って少し進んだ後、深く深呼吸をして心を落ち着かせた。
「防犯意識のない馬鹿で助かったぜ…いや、田舎だからか?…まぁ今はそんな事はどうでもいいか…今日は疲れた…酒飲んで寝よう」
男はそう呟いた後、村の中央にある言われた店に向かって行った。
「すまない…門番の一人にここに来ると宿と酒場を利用できると聞いて来たんだが…」
「おや?という事はここまでに来る途中大変な目にあったという訳だね?」
「あ、ああ…」
「良いぜ!ゆっくり疲れを落として行きな!部屋は2階の一番奥を使ってくれ。あ、これ部屋の鍵ね」
男が、宿と酒場が併合された店の中に入り、店主と思われる人物に話しかけると、店主は気前よく部屋の鍵を渡した。男は、何か妙に事が運ぶなと思ったが、疲れていたのかそれ以上深く考える事は出来なかった。
「お前さん腹減ってるかい?」
「ああ、そうだな…」
「じゃあ、すぐ用意するから待っていてくれ。あ、もちろん全部無料だ。気にせず飲み食いしてくれ」
「ありがたい、遠慮なくそうさせてもらう」
「おう!期待して待ってな!」
店主は、笑顔で言いながら厨房へ向かい、男は宿の隣に併設された酒場へと入った後、一人も座っていないカウンター席に座った。
「はいよ!まずはこれ食って落ち着いてくれ。肉は今焼いてるからな!」
「あ…ああ、感謝する」
厨房に居た店主が、山盛りに盛られたサラダと大ジョッキに入れられたエールを、男の前に置き、再び厨房に戻って行った。
「んぐ…ング…ぷはー!(体を休めたらまず街に行って武器を買わないとな…)」
男は、出されたエールを一気飲みした後、明日の事を考えながら山盛りのサラダにフォークを突き刺し、サラダを食べ始めた。
「(あーその前に金をどうにかしないといけないな…適当な家に入って金目の物塗んだ後…あれ?)」
しっかり握っていた筈のフォークが、いつの間にか床に落ちてしまい、拾い上げようとしたが、体が徐々に痙攣し始めると、男はそのまま床に倒れた。
「わぁ…こんなに早く効くとは…恐ろしいですね」
「そうさねぇ…これは余り作らない様に言っておいた方がいいさねぇ…」
「まぁこれで仕事がやり易くなりましたからいいでしょう。貴方もそう思いませんか?デリー・バートン?」
「な゛ん゛で!?…!?」
「ああ、薬のせいで喋れなくなりましたか…」
「効果は5時間効くって話だけど…ほんとかねぇ?」
「おや?睨んでいますね?その睨みは質問ですか?何故私たちがここにいるのか?と言う睨みで?」
突然、何処からともなくシープ・レザー、クレイン、レオンの三人が現れ、床に倒れたデリー・バートンを見下ろして来た。デリー・バートンは、何故ここにいる?と問い質したかったが、正しくしゃべる事が出来ない事に驚いた。…が、それよりもなぜ三人がここにいる理由が知りたかった為、睨みつける様に訴えかけると、シープ・レザーが聞きたい事を代弁したので、その言葉に頷いて答えた。
「それは簡単です。貴方は売られたのですよ。彼にね?彼が誰だか分かりますか?そうそうその彼です」
シープ・レザーが彼と言うと、デリー・バートンの頭にソウルの顔が浮かび上がり、憎しみを言うような唸り声を上げた。
「先ほど彼から貴方の居場所が記された魔法の地図を私達が購入しました。なので私達がここにいるのです」
「まぁそう言うネタバラシは、特別な部屋の中でやりましょう」
「あ、そうですね」
「クレイン様…これを」
クレインの部下が、デリーバートンの腰にあったポシェットを強引に外してクレインに渡し、ポシェットを受け取ったクレインは中身を確認すると、顔をひどく歪ませた。
「あんた…こんな物も盗んで行ったんだねぇ…もしこれらが使われてたら死刑すら生温いよ…」
クレインは、そう言った後に立ち眩みを起こし、部下に支えられながら辛うじて立った。
「おや?ご老体も限界の様ですしそろそろ帰りましょうか…約束はちゃんと守っていただけるんですよね?」
「もちろんです」
「ああ…それとあたしを年寄り扱いするんじゃないよ!していいのは出来の良い孫だけさねぇ!」
「それは彼…おっとこれは失礼しました」
クレインはキッとシープ・レザーを睨むと、失言でしたと言いながら頭を下げて誤った。
「おい、こいつの手足を折ってきつく縛っておけよ?こいつの事は人語を喋る人食いの魔獣だと思って厳重にな?」
「「「「「うっーす!」」」」」
レオンの後ろにいた部下が、返事をして取り掛かろうとした時、デリーバートンの目に信じられない光景が映った。
「スライム達帰りますよ!」
シープレザーがそう声に出すと、突然宿屋と酒場の壁がモゾモゾと動き出し、透明な半液体状となってシープレザーの足下に集まり出した。カウンターに置かれた大ジョッキや山盛りのサラダも、透明な半液体状になって動き出し、更にはサラダだった物からは小さな生き物が無数に飛び跳ねたり、這いずる様に動きだしたので、それらがすぐに虫だと分かり、デリー・バートンは余りの気持ち悪さで吐いた。
「うわ!きったねぇ!こいつゲロ吐きやがった!」
「ふむ…どうやらスライムの擬態は完璧だったようですね…いや、これに満足せず更に磨きをかけた方が良いでしょうか?…いや、これ以上…」
デリー・バートンの姿を見て、シープ・レザーがブツブツと呟き始めると、レオンとクレインの二人は、顔を青くして引いた。
「これだけ心を折っておけば簡単にしゃべるかねぇ?」
「いえ、どうでしょうか?仮にも幹部だった人なのでこの位では喋らないでしょう…ええ、きっとそうですよ…そうに違いない」
「怖いねぇ…」
そう呟いた後クレインは、部下と一緒に小型の飛行船に乗り、スライムを全て回収したシープ・レザーと手足を折られてきつく縛られたデリー・バートンを部下に担がせたレオンも、クレインが乗った小型の飛行船に乗り、学術都市ベリタスに向かって出発して行った。
空が若干白み始める中、その場に残っていたのは、殆ど倒壊している建物が点在する廃村だけだった。
大ジョッキに入っていたエールもスライムです。
山盛りのサラダはスライムが擬態していました。
Q虫は何処から?
Aシープレザーのスライムがそこらに居た虫を適当に捕まえた後、それらを包む様な形でサラダに擬態していました。フォークとか突き刺されたらプルプルしちゃうので。
Q、それなら適当な雑草でよかったんじゃ?
A、やらかした敵に一切の慈悲はありません。
デリー・バートンが宿屋に入った時、思考や五感をすごく鈍くする魔法が掛けられました。なのでこんな簡単に罠に引っ掛かったのです。
影の中で生きる人達は怖いですね~




