天使とは?
完成しました!お楽しみください!
次回更新は6月20日 0時更新です!
「お?もどって来たね~どうだった?」
「…いい性能の家具を手に入れた」
「へ?家具~?」
元の部屋に戻って来たソウル達に、ホワイトローズが声を掛けてきて、ソウルがウィンドウを開いてカドゥケウスの性能を見せると、ホワイトローズは納得して頷いた。
「なるほど~いい性能の家具だね~」
「家具獲得おめっとさん!」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
「おめ~」
「おめでとう…家具…ふっ」
ユメミルクを皮切りに、プレイヤー達から「おめでとう」とソウル達は賞賛されたが、最後の方で聞こえてきた失笑をソウルは聞き逃さなかった。
「…今…笑ったな?」
「いや?笑ってないよ~?……ブフぅ!」
ソウルの問いかけに、ホワイトローズは真面目な顔をして答えたが、最後は耐えきれずに噴き出し。言い訳を言い出した。
「だって仕方ないじゃないか!ソウルがそんな恰好してまで得たのが家具なんだもの!こんなオチ見せられて笑わずにはいられないって~!」
「そうだな…こんな大変な思いしてまで得たのが家具だなんて笑いたくもなるが…笑っていいのは俺達Rebellionsだけだ!」
ソウルの背後に、鬼神の姿をしたオーラが現れると、ホワイトローズは「あ、やってしまった…」と言う様な顔をしながら口を開いた。
「あ~…これはあれだね。ギルティされるね…ならこの際、全部言いたい事言っておこう~!えっと~FJWだっけ?その名前ダサすぎじゃね~?フジワラって~」
「あ!お前!言っちまったな!皆からそんな雰囲気出てたけど口に出す人はいなかったのに!言っちまったな!?言っちまったな!?」
「なんで三回も同じ事いったの?とても重要だから~?」
「ライン越えだからだ馬鹿野郎!…はぁ~…もう聞く必要な無いと思うが一応皆に尋ねる。ギルティorノットギルティ?」
「ギルティ!」
「流石にギルティですよ…隊長…」
「ガハハ!ギルティだな!」
「ホワイトローズ…あんた…無いわぁ…ギルティ」
「グス…ギルティ…」
「…FJWと名付けた人も泣いちゃったじゃねぇか!」
「いや、それはソウルがさっき言った事が原因だと思うな~?」
「…刑を執行する!」
「あ!流した!…っく!逃げられない!ここはライフで受ける!!」
ソウルは、左足を前に出して屈んだ後に高く飛び上がり、ばっちこいと身構えたホワイトローズの脳天に蹴りを入れて地面に沈めた。
「…執行完了!」
ソウルが決めポーズを取ると、その後ろにユメミルク達やアップル達等のプレイヤーも便乗して決めポーズを取り、更には最後方で爆発エフェクトまで起こった。
「おー楽しそうだねー!」
「やや」
ウェルミットが、少し茶化すように言うと、ソウルもニヤリと笑いながら答えた。
「それで~そろそろ天使の事を話してもいいかい?」
「あ、お願いします」
ソウルは、決めポーズの状態からスッとその場に座ると、プレイヤー達も前から順に座って行き、ウェルミットがこれから話す言葉に耳を傾けた。
「天使とは何か?結論から言うと天使とは神が定めた物事を実行する使徒達の事です。では具体的に説明したいとは思いますがその前に皆さんに質問したい。この世界を旅していて違和感を感じた事は無いですか?」
急に知的な話し方をして来たウェルミットの質問に、プレイヤー達は首を傾げたが、一人だけ手を上げる者がいた。
「世界感がおかしい…と言うか色んな文明の痕跡がある?」
「そう!そうです!この世界には明らかにこの世界の物では無い物や未知の言語で書かれた書物等があるのですが、そのどれも発展せずに名残を残すだけになっているのです」
「名残ですか?」
KUNIMOが聞き返すと、ウェルミットは頷いて話を続けた。
「皆さんは旅をしている上でこう感じたことは無いですか?この街の景色は前の街と全然違うな…と?もちろんその土地特有の風土や風俗の話ではなく急に未来的になったなと思った事は?」
「あー確かに…」
「そう言ったのは神や天使が介入したせいでそうなってしまったのです。例えば、異世界人がある物を世界に普及させよう行動し、このまま行けば世界中で使っている姿が見れる位の広がりを見せていたのに、ある日突然その広がりが止まり、更には始めから存在しなかったかの様に記録や痕跡等が消されている…そう言った事が積み重なった結果なのです」
「…そう言った経緯があったのですね」
「だた、消されたと言っても完全にではないので名残を残すと言う言葉を使いました」
ウェルミットの言葉を聞いたプレイヤー達にも、思い当たる事があったのか、この場が少し騒然となった。
「天使を見分ける時に何か特徴みたいな物は何かありますか?やはり翼と頭の上の輪っかとかですか?」
マナリアの質問に、ウェルミットは首を横に振った。
「…残念ながら見分けるのは難しいと思います。これをご覧ください」
ウェルミットが片手を上げると、部屋全体が暗くなり、ウェルミットの隣に半透明の女性が現れた。
「このホログラムはこの部屋にアンデットモンスターを設置して行った天使と思われる人物です。見てわかる通り、この人物には翼も輪っかもありませんの通常時に見分けるのは難しいでしょう」
「通常時ではない時があるのか?」
「はい。実際に見せますね」
ウェルミットは、ホログラムの女性に向かって手をかざした後に横へスライドさせると、ホログラムの女性が動き出した。動き出したホログラムの女性は、その場に地面に黒い種の様な物を置いた後、その黒い種に手をかざして呪文を詠唱し始めると、ホログラムの女性の背中と頭上に、天使の特徴が現れた。
「この様に力を行使時だけ天使としての特徴が出るのです」
「それ以外に見分ける方法は無いって事か」
「はい。スキャン等の計測器を使っても何の反応を示さないでしょう」
「厄介だな…他に情報は?」
ソウルの言葉に、ウェルミットは首を横に振って答えた。
「今お伝えしたのが私が知りうる全てです。…なので皆さんに依頼を出したいと思います」
「依頼~?」
頭に大きなたん瘤を作りながら、地面にうつ伏した状態のホワイトローズが聞き返した。
「天使関係の情報を収集して来て欲しいのです。天使が関係しているかも?と予想や予感めいたの物でも構いません。その情報に見合った報酬をお支払いするとお約束します」
「冒険のついででいいなら問題ないわ」
「はい、それで構いません」
「その依頼に期限はありますか?」
「ありません」
「見つけたらここに来て渡せばいいのか?」
「出来ればそうして欲しいですが、無理ならメール機能を使って送ってきてください。ただその場合は改ざんされる恐れがあるので支払われる報酬が通常より下がります」
「俺達にまで干渉してくるのか!…分かった。なるべく重要そうな情報はここに持ってくるとしよう」
「お願いします。他に質問はありますか?」
ウェルミットは、プレイヤー達を見回しながら訪ねたが特になかったので、話を終える事にした。
「ふぅ~…オジサン久しぶりに真面目に喋ったから疲れちゃったよ…」
「(ホログラムなのに疲れるとは?)」
ウェルミットがオジサンに戻り、一仕事終えた顔をしながら言うと、その言葉を聞いたソウルが内心で疑問に思った。
「よっしゃ!聞きたい事も聞けたし~そろそろ宴会するか!」
「「「「うぃ~っす」」」」
ユメミルクの言葉に、プレイヤー達は立ち上がりながら返事した後、出口に向かって行った。
「…で~ソウル?何時までその格好しているの?」
出口に向かっている時にアップルが尋ねてくると、ソウルはハッとした後、言い訳をしながら装備を変え始めた。
「あ…あまりにも着心地がいいから着替えるのを忘れていた…」
「へぇ…」
ソウルの言い訳に、アップルはニヤニヤしながらソウルを見つめると、ソウルはその視線に顔を顰めた。
-ウェルミットの塔・叡智の門前-
「乾杯!」
宴会の準備が手早く終わり、簡易に作られた壇上に上がったソウルが、プレイヤー達に向かって協力してくれた事への感謝の言葉を述べ、乾杯の音頭を取ると宴会が始まった。
「あの~ソウルさん?ちょっとお話が…」
「どうしたジンジャー?急に改まって?」
「いえ、えっとあの…」
ソウルが壇上から降りると、ジンジャーが話しかけてきた。
「えっと…両親の事ありがとうございました!」
「…無理強いしたから感謝される事ではないぞ?」
「いえ、あの時送ってやれなかったらこの先ずっと後悔していたと思います…」
「そうか…」
「それで、この後事なんですが…」
ソウルは、何も言わずジンジャーの言葉を待った。
「私、もう一度ベリタスでやり直そうと思います」
「やり直す?」
「はい、これまで私はいい加減に生きてました…あれこれに手を出して飽きて投げ出して…最後までやりきるという事をしてきませんでした。そのせいでいろんな人に迷惑をかけて…反省する事もしませんでした」
「まぁ…そうだな」
ソウルは、これまでのジンジャー行動を思い出しながら同意する言葉を述べた。
「だからそれらを一切止めて少し真面目に生きてみようと思います!」
「…ジンジャーがそう決めたのならそうしたらいいさ。だけどな、ジンジャー?」
「…はい?」
「人間はそう簡単に変われないぞ?当然だよな?今まで適当に生きていたからそれが心と体に染みついてしまっているんだから…だから生半端の覚悟なら止めた方が良いぞ?」
「半端じゃないです!本気です!」
「本気か…じゃあ、この言葉を送ろうと思う。これは俺も言われた言葉だ」
「…はい」
「お前が半端な事をすればお前を愛した人も汚泥を被る事になる。だが逆に賞賛される事をすればお前を愛した人も共に賞賛される。常に誰かがお前の一挙手一投足見ている、それ故に自分の行いには気をつけろ。完璧じゃなくていい、完璧を目指して心を磨き続けろ」
「心に刻みます!」
ソウルは、ジンジャーの目を見つめながら言うと、その目に決意が宿るのを感じた。
「よし、ジンジャーの新たな門出に飲むか!」
「はい!」
ソウルは、ジンジャーを連れ添い、屋台を巡った。
今回は天使の説明とジンジャーの決意回です。
残り1話か2話でカドゥケウス編終わりです。…多分…きっと…あ!エビフライの準備はしないでいいですよ!




