ウェルミットの塔 9
完成しました!お楽しみください!
次回更新は、5月16日 0時更新でっす!
14半ページです!
「【ダブルスイ…】うお!」
放たれた弾丸を防いだ後、デリーバートンがスキルを使って攻撃しようしたが、ソウルが続けて発砲した為、スキルの発動が失敗に終わった。
「【ブラッディスパイラル】」
「【壊拳】」
デリーバートンのスキルが封じられた後すぐに、ミラストーカーが黒い日傘の石突をソウルに向けて、赤い水流を螺旋状にして出したが、アップルがソウルとミラストーカーの間に入り、スキルを使って赤い水流を殴って迎撃した。
「な!?」
「驚いてる時間は無いわよ!」
アップルは力強い一歩を踏み出して、ミラストーカーの目の前に迫り、腰の入ったボディブローをミラストーカーに入れ、体が折れて下がった頭を掴んで膝の追撃をした後、回し蹴りをして蹴り飛ばした。
「うわ!えぐぅ!」
「チィ!…一気にHPの半分以上が無くなったわ…そこの木偶の坊!見てないで手伝いなさいよ!」
「で…デク…う~ん…でもなぁ…」
「早くしなさい!!」
「わ…分かったよ…」
渋々、ミラストーカーの言葉に従ったオニオンチョップは、剣と盾を構えなおし、アップルに向かって走り出した。
「【Vスラッシュ】」
「…ぬるいわ」
「そこ!【ブラッドバット】」
V字に斬られて来た斬撃を、易々と回避したアップルは、追撃しよう一歩踏み出そうとしたが、ミラストーカーが赤色のコウモリを飛ばして阻止した。
「やっぱ魔装使いは強い…強すぎるよ…」
「情けない声出してんじゃないわよ!それに魔装使いが強い訳じゃないわ!あの女が異常に強すぎるのよ!的確に急所を突いて殺しに来てるわ…」
「日頃の修練の賜物よ…っと!」
纏わりついて来た赤いコウモリを、叩き落したアップルは、ミラストーカーに視線を向けた。
「日頃の修練!?一体どんな生活送っているのよ…なに?リアル武人なの?」
「別に?普通に日々を過ごしている女の子よ?」
「人を確実に殺せる技を使ってくる女の子が普通であってたまるか!?冗談を言うのもいい加減にしなさいよ!」
「冗談なんかじゃないわよ?実際にここにいるじゃない」
「あーもーいいわよ!もう!」
ミラストーカーがその場で地団駄を踏むと、血まみれのデリーバートンが二人の所に転がって来た。
「うおおおお!」
「チィ…仕留めきれなかったか」
ソウルが、悔しそうに言いながらアップルに近づき、デスブリンガーの銃口先から出ている煙を振り払った。
「行けそうね?」
「ああ、デリーバートンが猪みたいに一直線に来るから周りを気にしながら距離を取って攻撃すればよかったからな」
「くそ!くそ!くそ!クソがぁ!」
デリーバートンは、折れて柄だけになった斧をソウルに投げつけ、地面を殴って怒りをぶつけた。
「お待たせしました!」
「合流するよ」
そこに、返り血と肉片に塗れたマナリアとティカルが合流すると、ソウルは三人を睨みながら訪ねた。
「で?どうするんだ?どういう理由か分からないが前に戦った時より弱くなっているお前らにここから逆転する何かはあるのか?」
「…ああ…あるぜ!」
「旦那!まさか!?」
「げ!あれを使うっていうの!?私離れておくわね…」
ソウルの言葉を聞いて、嫌らしい笑みをこぼしたデリーバートンが腰のポシェットから何かを取り出そうとすると、オニオンチョップとミラストーカーは慌てて距離を取った。
「全員警戒!」
「おめぇらを唯一殺せる方法…これだ!」
デリーバートンは、ポシェットから紫色の水晶玉を咥えている髑髏の短杖を取り出し、上へ掲げた後、謎の言葉で詠唱を唱え始めた。
「マギア…あれはなんだ?」
「検索してみます……分かりました!あれは「贄食いの杖」という杖で効果が発動されると発動者と周囲にいる動物やモンスター等を取り込んで強力な魔物を生み出すという物です」
「禁制品か?」
「はい。かつてテロに使われた事がある為に禁制品に指定されています」
「ぐああぁぁぁぁ!!」
デリーバートンから詠唱を唱える声が聞こえなくなり、突然の悲鳴が聞こえると、ソウルは視線を戻した。
「なんだあれは?」
「うわぁ…」
「気持ち悪い色をした粘液が襲ってるわね…」
「僕…あれに近づきたくない」
デリーバートンが掲げた杖にある紫色の水晶玉から、黒色の粘液が大量に出てくると、デリーバートンを徐々に侵食して行き、遂には体の全てが飲み込まれてしまった。
「詠唱妨害をしたら何が起きるか分からなかったから攻撃はせずに様子を見ていたが…さすがに攻撃した方が良いっぽいな!」
ソウルがデスブリンガーの銃口を、デリーバートンを飲み込んで球体状となった黒い粘液に向けるが、マギアが止めた。
「無駄です。あの状態になると全て攻撃は無力化されてしまいます」
「…出てくるまで待ってなきゃいけないって事?」
「はい」
「そうか…ん?マギア?さっきの説明で周囲のモンスターを取り込むって言ったか?」
「はい、言いました」
「なら取り込むモンスターが居ないとどうなるんだ?」
「強力な魔物が生み出されず自壊するはずです」
「なら全力で周りの餌を駆除しないといけないな」
ソウルの言葉に仲間達は頷き合い、手分けしてアンデットモンスター達の駆除を始めた。
-4分後-
「おう!ソウル?そっちは片付けたのか?」
ソウルが、混戦状態になっている中でアンデットモンスター達を駆除している途中、偶然ユメミルクと出会い話しかけて来た。
「あの黒い玉見えるか?あれに飲み込まれた」
「あれか?…何かやべぇ色してるけど…」
「禁制品の「贄食いの杖」を使ったらああなった」
「な!?禁制品だと!?」
ユメミルクの言葉に、ソウルは銃を発砲しながら頷いた。
「その杖の効果はなんだ?」
「発動者と周りのモンスターを取り込んで強力な魔物を生み出すらしいぞ?」
「か~…面倒だな…まだこっちは片付いてないのにボスが増えるとか…」
「取り込むモンスターが居なければ自壊するらしいぞ?」
「ほぉ…ならこっちのボスを倒せば増えない!…って事か!」
目の前のゾンビを、一刀両断しながらユメミルクが言うと、ソウルは頷いた。
「だがあの黒い球体がいつ動き出すのか分からないから…」
「急いで倒せって事だな!…仕方ねぇ突っ込むか」
「頼む。マギア?ホワイトローズとハピネスカラーさんに連絡できるか?」
「先ほど連絡をして合流するとの返信を貰っています」
「よし、目印を打ち上げるからそこに向かって来てくれと伝えてくれ」
「了解しました」
ソウルは、アイテム欄を開いた後、先が丸い円柱を取り出した後、デスブリンガーのシリンダーに装填し、銃口を真上に向けて引き金を聞くと、装填された先が丸い円柱が煙を出しながら放たれ、天井に接触すると強い光を発した。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
「いやぁぁぁぁ」
「うばぁぁぁぁぁ」
「Ubaaaaa!」
発せられた強い光で、ゴースト系のモンスターが消滅したり苦しむ声を上げると、その相手をしていたプレイヤー達は好機と見て、全力で攻撃を仕掛けて行った。
「照明弾だからモンスターには何の効果もないと思ってたが…弱いゴーズト系のモンスターには効くんだな…」
照明弾に新たな使い道が出来た事に、驚いたソウルは独り言を呟いていると、照明弾を打ち上げた場所にホワイトローズとハピネスカラーが走って合流して来た。
「そういうのあるなら最初に使って欲しかったな~」
「そうね」
「いや、ただの照明弾にあんな効果があるなんて知らなかったし…一発作るのにすごいコストかかるし…」
「おい!文句は後で言え!今は1秒でも早くボスを倒さなねぇといけねぇんだから!」
「という事は突っ込むの~?突っ込むとかなりのダメージを負うと思うから失敗はできないよ~?」
「やるしかない…あの黒い球体が動き出す前に」
「あれって何なの?気が付いたらあそこにあったんだけど?」
「デリーバートンが禁制品の「贄食いの杖」を使ったって言ったら分かるか?」
禁制品と言う言葉を聞いて、ホワイトローズとハピネスカラーは、目を大きく見開いて驚いた。
「良くないモノが出てくるって事だけは分かったよ~」
「大体分かった。これは急がないといけないわね」
そう言った後に二人は、ウィンドウを開いて部隊の仲間達に指示を出し始めた。
「突撃するメンバーはいつものメンバーでいいよね~?」
「流石に新人には荷が重いと思うし」
「分かった。俺のメンバーも入れてくれ」
「あいよ~」
「全員聞こえるか?至急集まってくれ!ボスに特攻をかける」
ホワイトローズに言った後、ソウルはウィンドウを開いてアップル達を呼んだ。
-3分後-
「わ…私も突撃するの!?」
「いや、ジンジャーは残るメンバーと一緒に援護していてくれ」
「わ…分かった」
ソウルの言葉を聞いて、ジンジャーはホッと胸を撫で下ろした。
「こっちは準備できたよ~」
「私の所もOKよ!」
「俺の所もだ」
「よし、じゃあいくか!」
ソウルに頷き、ユメミルクが大声で指示を出した。
「先頭はKUNIMOとマナリア!盾持ちが外側に立ってアタッカーが内側で走れ!目標は鬼のミイラみたいな奴だ!逃げるタイプにボスだから必死に食らいついて行くぞ!」
「「「「応!!」」」」
「突撃!!!」
ユメミルクの号令で、突撃メンバーはボスに向かって走り出した。先頭にいるKUNIMOとマナリアはFJWを駆使して、目の前にいるアンデットモンスター達を黒い霧に変えていき、横から来る攻撃には盾持ちが盾で防ぎ、ひたすら前へと進んでいった。
「ボスが右に逃げるぞ!」
ソウル達の突撃で、ボスモンスターは安全な場所へと逃げようとするが、その都度ユメミルクが指示を出して軌道修正して行った。
「くそ!南無三!」
盾持ちのプレイヤーの一人が、モンスター達に盾を掴まれてしまい、これ以上進めないと判断すると後ろに続く仲間の邪魔にならない様に敵側へ踏み出し、突撃メンバーから外れて行った。そしてその後も外側にいる盾持ちが、モンスターに止められてしまった時は、先程のプレイヤーと同じ様に敵側へ出ていった。
「KUNIMOさんとマナリア!これ以上は持たない!強引でもいいからボスの前に頼む!」
「了解です!」
「分かりました!」
ソウルの言葉に答えた二人は、ほぼ同時に手に持っていた槍を前に投擲した後、盾を前に構えて突進して行き、立ちはだかる敵を蹴散らしながらボスの前へたどり着いた。
「アタッカー!!」
ユメミルクが咆哮の様な声で叫ぶと、アタッカー達は自分達が持つ最高火力のスキルを叩き入れて行った。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁ!」
アタッカー達の猛攻で、HPをすべて失った鬼のミイラは悲鳴を上げると、どこからかガラスが割れる様な音が聞こえ、無数にいたアンデットモンスター達が幻だったかの様に消えて行った。
「…倒せたか?」
黒い霧を体から出して倒れているボスを見て、ソウルがユメミルク達に尋ねてみたが、未だに警戒を解いていないので、ソウルも気を引き締めて警戒した。
「ソウルさん!黒い塊が!」
ジンジャーの声に反応して、ソウル達は黒い球体に視線を移すと、黒い球体に無数の目が見開かれており、その目と目の間から黒い粘液を飛ばす様に伸ばし、倒れている鬼のミイラを取り込んで行った。
「全員警戒してください!黒い塊から生命反応があります!」
「マギア!どういう…いや今は立て直すのが先か…一旦全員集まって立て直すぞ!」
ソウルの声に、突撃メンバー達が頷いた後、待機組と合流して戦闘不能状態のプレイヤーを回復したり、失ったHP MPを回復させたりしていると、黒い球体から心臓の鼓動が聞こえて来た。
「マギア?一体どういうことだ?取り込まれたのはボス一体だけなんだが…」
「あのボス一体で容量に達したのだと思われます」
「そうなの~?ヒフミちゃん?」
「はい、あの鬼のミイラには【7リバイブ】のと言う蘇生魔法が掛かっていたので、それが要因となったと思われます」
「7リバイブ?…つまり7回生き返るって事か?」
「はい」
「めんどくせぇボスだったんだな…」
「更に言うとすればあの黒い球体から出てくる敵にも同じ魔法が掛かっていると思われます。さすがに7回も生き返る事が出来るとは思えませんが…」
「もしそうだったとしても7回倒せば言いって事でしょ?皆で協力すれば行けるわよ絶対」
「そうだな…よっし!じゃあ気合い入れてやるか!」
ユメミルクの言葉に、その場にいた全員が頷き、準備が出来たプレイヤーから順に黒い球体を中心として取り囲んでいった。
「警戒を強めてください!生まれますよ!」
マギアの言葉に反応してソウル達は武器を構えると、黒い球体が2つに割れ、そこから巨大な人型モンスターが生まれた。
「うおおおおおおお!」
巨大な人型モンスターが地面に着地し、咆哮の様な雄たけびを上げると、肌色が白だったのが急速に紫色へと変わって行き、一人のプレイヤーを凝視した。
「(デリーバートン…あんなになっても俺への恨みは忘れてないって事か…)」
凝視されたソウルが心の中でそう思うと、巨人は両の掌を地面に向け、6つの魔方陣を出現させると、その魔方陣から6体のアンデットが召喚した。
「え?…そんな…嘘…嘘だよね?…だって…」
「ん?どうしたジンジャー?」
ソウルの近くに居たジンジャーから、否定する声が聞こえてくると、どうしたのか?とソウルは尋ねた。
「…お父さん?…お母さん?」
「何!?」
ジンジャーのまさかの言葉に、ソウルは驚愕して召喚されたアンデットを見てみると、顔の半分は無くなっているが、ジンジャーの顔や雰囲気が似ているアンデットが2体いた。
「いや…嫌よ…そんなの…いやぁぁぁぁ!」
ジンジャーは、目の前の現実を受け入れられず、心から絶叫した。
三人が弱くなった理由 1、デリーバートンは余りの怒りや憎しみで所突猛進しかしてこない。2、オニオンチョップとミラストーカーはソウル達に勝てなかった為スキル構成を組み直したが失敗していた。
他にも理由がありますが大体がこの2つが原因です。
まぁ勝てないならスキルの見直しや組み直しとか新しい作戦なんかを考えるよねって事です。
照明弾1発作るのに3万8000オカーネン掛かります。ではなぜ作ったのか?と問われれば塔のダンジョンに一寸先も見えない様な暗黒フロアがあるかもしれないと思ったからです。
2024/05/09 一文字下げを忘れていたので実行して修正。
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