ウェルミットの塔 8
完成しました!お楽しみくだちゃい!失礼!噛んだのはわざとです!
次回更新は5月9日 0時更新です!
ウェルミットの塔10くらいで終わろうと思ったけど11くらいになりそう…何とかまとめなければ…
「戦闘音…」
ソウル達が、昇降機に乗ってたどり着いた場所には、巨大な金属製の扉がすぐ目の前にあり、その扉の奥から戦闘音らしき音が聞こえて来ていた。
「誰かが~…って多分さっきソウルが言っていた3人が中で戦っているんだと思うけど…どうしようか?」
「3人が終わるまでは入れないし…ここで待つか?」
「う~ん…出来るなら一緒に叩いてしまいたいな…」
「そうね、何時までも付き纏わられるのも困るし、ここで終わりにしたいわね」
「そうですね」
「えっと~こういう時に言うセリフがあるんだけど~あ~思い出せない…何だっけ?」
「いや、俺に聞かれてもな?どんなゲームだったんだ?」
ソウルがティカルに尋ねると、ティカルは腕を組んだ後に頭を傾け、出てこないセリフを何とか出そうと考え続けた。
「えっと確か戦乙女のゲームで巨大な剣を振り回している男キャラのセリフなんだけど…」
「あ~…大体分かった」
「何?」
「答えはその時が来たら言ってやる。だけど今はどうやって中に入るか考えないとな…」
「で?どうするの~?」
「ちょっと出来ないか聞いてみるか…」
ソウルは上を見上げた後、深く息を吸って大声を出した。
「すみませーん!どうにか中に入れないでしょうかー?」
ソウルの大声は、フロア中に届くと言っていい程よく通ったが、反応は無かった。
「(…ダメか?)」
「あいよ~ちょっとまってな~」
「(よぉし!やったぜ!)」
しばらく待った後で聞こえて来た声に、ソウルは心の中でガッツポーズをした。
「ガハハ!マジかよ!」
「うそでしょ~!?」
「言ってみるもんだな」
「流石です!ソウルさん!」
「サッソウ!」
誰かが言った言葉に、プレイヤー達も便乗して声をそろえて言い出した。
「「「「「サッソウ!サッソウ!サッソウ!」」」」」
「よせやい、そんなに褒め…ん?あれ?馬鹿にしてる奴いないか?」
ソウルの耳には、明らかに馬鹿にするような言い方で言っている声が聞こえ、怪訝な顔で聞こえて来た方を見つめると、幼い少女だけが視線を逸らした。
「ホワイトローズ…またお前か…」
「えへっ」
あざとく言ったホワイトローズに、ソウルは苛立ちを感じていると、天井から声が聞こえて来た。
「入れるようにしたよ!オジサン頑張ったよ!褒めてくれよ!」
「わぁ!凄いですね!お疲れ様です!」
マナリアが、純粋な心で素直に褒めると、マナリアの体に謎のエフェクトが発生して強力なバフが掛かった。
「わぁ!すごく強くなってます!」
「オジサンね、純粋な子にはサービスしちゃうよ!」
「ワァ!オジサマステキ-」
「スゴイワー!サスガネー」
オジサンを褒めると、強力なバフが貰える事を知った女性プレイヤー達が片言で褒め出すと、次々と謎のエフェクトが発生し、女性プレイヤー達は強化されていった。
「すげぇな!おっさん!俺にもくれよ!」
「男は黙ってろって言ったよな!?そんなお前はこうだ!」
「うげ!?デバフで弱くなった!?やっぱり理不尽だぁ…」
女性プレイヤー達が強化されたのを見て、男性プレイヤーが同じバフを強請ったが、天井から聞こえて来た声はかなりの怒気をはらんでいて、デバフが与えられてしまった。
「…よし!行くぞ!」
デバフが与えられた男性プレイヤーを見ていたソウルだったが、何事も無かったかのように視線を扉に向けると「ボスに挑みますか? YES/NO」と書かれたウィンドウが表示され、ソウルは躊躇わずにYESを押した。
「あの男はどこだぁぁぁぁ!」
金属製の扉が開いて行くと、最初に男の声が聞こえ、無数のアンデットモンスターが3人に群がる光景が広がっていた。
「うへぇ~ゾンビやスケルトン…ゴーズトにリッチ…まさにアンデットモンスターのパレードだね~」
「俺らあの中に切り込んで行くのか…斬ったら返って来るモノで病みそうだな…」
ホワイトローズとユメミルクが、心から湧き出て来た不快感を表情に出しながら言うと、ソウルが活を入れる様に声を発した。
「それでもやるしかない!FJW装備のKUNIMOさんとマナリアが最初に突っ込んだ後に盾持ち、アタッカー、後衛の順で中に入って行ってください!」
「了解です。マナリアさん…行きますよ?」
「はい!」
KUNIMOに元気よく答えたマナリアは、背中にあるジェット機構を展開した後、槍と盾を構えて身構えた。
「行きます!」
KUNIMOがそう言った後に、背中のジェットを勢いよく噴出させて飛び出していくと、マナリアも同じ様に飛び出して行き、アンデットモンスター達を次々と黒い霧に変えて行った。
「行くぞ!お前ら!」
「ホワイトローズ隊!出遅れるなよ!」
「あたしら技術屋も戦えるっていう所見せるよ!」
ヴァルハラ、ホワイトローズ隊、ハピネスカラー隊が一斉に前へと動き出し、敵と接触したプレイヤー達は攻撃スキルを使いモンスターを屠って行った。
「俺達も行くぞ!」
ソウルが、デスブリンガーを右腕の義手から展開させ、左手にΣウェポンを持ちながら言うと、その言葉にアップル達も武器を構え、前へと走り出した。
「【旋脚】」
アップルが体を独楽の様に回転させ、前にいたゾンビの頭を蹴って黒い霧に変えると、その後にティカルが、アップルを背後から攻撃しようとしていたスケルトンに、大剣を右手から出して、剣の腹で叩き潰した。
「援護します!」
ソウルと並んで進んでいたジンジャーが、ホワイトローズ隊の最前にいる盾持ちに向かって、マジックポットで合成したアイテムを射出すると、プレイヤー達の頭上で爆散して回復の雨を降らし、その範囲内に居たアンデットモンスター達にはダメージを負わせた。
「見つけたぁぁぁ!見つけたぞ!ソウルゥゥゥ!」
「デリー・バートンか…」
「死ねぇぇぇぇ!」
「ちょっと!勝手に先に行こうとしないでよ!」
「旦那!今は無理だ!」
「うるせぇ!死ねぇぇぇ!」
ボス部屋に突入して来たプレイヤー達に驚いていた3人だが、ソウルの姿を見たデリー・バートンが頭に血を上らせ、目の前のアンデットモンスター達を斧で倒しながら、ソウルに迫ろうとしていたが、アンデットモンスターの数が多すぎて前に進めずにいた。そしてソウルは、そんな三人を視界に入れながら仲間達に援護射撃をした。
「ソウル?いいのかあれ?かなり激おこみたいだけど?」
前線にいたユメミルクが、攻撃スキルの反動でソウルがいる所まで下がってきて、3人の事を訪ねてきたが、ソウルはニヤリと笑って答えた。
「敵を減らすのに協力して貰おう。そうすれば程よくHPも削れているだろうし」
「利用するって事か?ガハハ!酷い奴だな!」
「戦略と言ってくれ」
「なら俺達はこのままモンスターを相手してればいいんだな?」
「ああ、一応あの三人には近づかない様にしてくれ」
「分かった。皆にも伝えておく」
「頼む」
「【空絶旋斧】」
ユメミルクは、スキルを使い高くジャンプした後、ヨーヨーの様に縦回転しながら戻って行った。
「クソがぁ!邪魔だぁ!」
「(おーおー怒ってる怒ってる~)」
デリーバートンの怒号を聞いて、ソウルは内心で笑っていると、今度はアップルがソウルの近くに来た。
「あら、ソウル?悪い顔してるわよ?」
「おっと」
アップルに言われて、真面目な顔に戻したが、口元だけは少し笑ってしまっていた。
「…それにしてもモンスターの数減ってないわね?」
「ん?…そういえば確かにそうだな」
「何処かからか誰かが出しているのかしら?」
「マギア?何処かにそんな魔法陣があるのか?」
「センサーには何も反応がありませんのでボスが召喚しているはずです」
「そのボスは何処にいる?」
「申し訳ございません…ボス特有の反応は無い為に分かりません。何かしらかの偽装をして他のモンスターに紛れていると思われます」
「紛れている…か…」
ソウルは、3人がまだ来ない事を確認した後、近づいて来た敵だけに銃を発砲し、アンデットモンスターの群れを観察すると、その群れの後方で、明らかに他とは違う動きをしている個体がいた。
「あいつか?」
「見つけたの?何処?」
「ああ、あの後ろにいる鬼のミイラが見えるか?」
「ええ、見えるわ。あれがそうなの?」
「明らかに違う動きをしていたから多分あれじゃないかな?」
「殴ってみないと分からないって事ね」
アップルは、襲って来たゾンビに右ストレートを出しながら言うと、ソウルはその言葉に頷いた。
「死ねぇぇぇ!」
「ん!?ちぃ!以外に早かったな!」
ボスに視線を向けていたソウルに、デリーバートンが斬り掛かって来ると、ソウルは振り下ろされて来た斧を、デスブリンガーで鍔迫り合いする様な形で防いだ。
「お前を殺す為に必死で斧を振ったぜ!」
「それはそれは…ご苦労さん!」
デスブリンガーで受け止めた斧を上にかち上げ、回転しながら距離を取った後、左手に持った∑ウェポンの銃口をデリーバートンに向けてトリガーを引いた。
「チッ!」
デリーバートンは、忌々しそうに舌打ちしながら、放たれた弾丸を斧を盾の様にして防いだ。
「旦那!一人じゃ無理だって!」
「学ばないバカはもう死んじゃいなさいよ!」
「うるせぇな!てめぇらが遅いのが悪いんだろう!」
「なんですって!?」
「まぁまぁこんな所で喧嘩したら相手の思う壺だそ?」
デリーバートンの言葉にミラストーカーがキレて言い返そうとしたが、オニオンチョップが間に入って仲裁した。
「あら?3馬鹿が揃ったわね」
「3馬…殺す!」
「コウモリ娘はキレやすくて大変だな?」
「そうなんだよ…宥めるのも苦ろ…ゴフッ!」
ミラストーカーは、同意するオニオンチョップの腹に怒りの拳を入れて黙らせた後、深呼吸して気分を落ち着かせた。
「ふぅぅ…淑女として失礼しましたわ…それでは本格的に始めましょうか?」
ミラストーカーが、傘の石突をソウルに向けながら言うと、ソウルとアップルも身構えてその言葉に答えた。
「マスター、マナリアさんとティカルさんのお二人にこちらへ来るようにと連絡を入れました。ジンジャーさんには少し遠くで援護する様に伝えてあります」
「OK。それじゃあ周りにも気を付けながら決着を付けようか」
「しこたま殴って分からせてやるわ」
そうアップルが言った後、ソウルがデリーバートンに向けて発砲し、その発砲音が戦いの合図となった。
デバフを食らった男性プレイヤーは、入り口でオジサンを褒めたプレイヤーです。
プレイヤーネームは「アイス・テイル」ホワイトローズ隊でアタッカーをしています。
そんな彼は「理不尽だ」と「不幸だ…」が口癖です。
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