ウェルミットの塔
お楽しみください!
次回更新は3月21日 0時更新です!
「えっと…呼び出された理由を聞いてもいいか?言いたくなかったらそれでもいいんだが…」
生徒指導室に呼ばれた事があると言ったアップルに、ソウルは恐る恐るその理由を聞いてみると、アップルは表情を変える事無く口を開いた。
「別に隠すような事でもないから別にいいわよ?呼び出されたのは、私が通ってる学校で胸糞悪いいじめをしてた奴らを偶然見かけたからそいつ等をボコボコにしたら呼び出されたって感じね」
「えっとアップルちゃん?そのボコボコにした人達ってどうなったの?」
「ん~話してもいいけど聞きたい?馬鹿達とその馬鹿に関わってる奴らやそれらの家族達の末路を?」
「うん…末路って言葉だけで大体分かったから大丈夫」
「大丈夫だったのか?その~なんだ…うるせぇ奴出て来ただろ?」
「出て来たけどそういう人達はちゃんとお話をしてそれらが通らない遠くに行って貰ったわ」
「遠くか~きっと国内じゃないよね?」
「海外でそれらが通らない場所か…きっとそこには顔が半分無い仏の像が立ってそうだな」
「それに橋にはロープが一本垂れ下がってそうですね…」
「ねぇ?それってあの場所の事よね?」
「さぁ?どうだろ?おっと呼ばれているんだった!行くか~」
アップルの質問に、ソウルは惚けて答えた後、ホワイトローズの所に向かって行った。
-プロテウス港・3番ポート・薔薇の女王・ブリッジー
「おーい来たぞー」
「やぁ~ソウルさっきの戦争は大変だったね~」
「そうだな…危うく完成した賢老のローブがボロボロになる所だった…」
ソウルとホワイトローズが、サウスリアが起こした戦争の事をしみじみと思い返していると、アップル達は首を傾げて、マナリアが質問して来た。
「戦争って何の話ですか?」
「ユメミルクの失言でサウスリアさんがキレて戦争が起こったんだよ」
「え?そうなんですか!?そう言った音とか衝撃とか来なかったので全然知りませんでした…」
「二人の戦いがテントの外になろうとした時、私が特殊領域を展開するスキルを使ったから、気が付かなくても当然だよ~…まぁ急いで展開したから一緒に巻き込んじゃった人達には申し訳ないと思ってるけど~…」
「本当にね…私のお好み焼きが食えないもんじゃ焼きにされた時は殺意が芽生えましたよ…」
ホワイトローズの後ろに立っていたミミランジェが、冷たい目で睨むと、睨まれたホワイトローズは冷や汗を掻きながら、明後日の方向に顔を向けて口笛を吹いた。
「で?俺達を呼んだ用事は?」
「あ、そうそう。ソウル達が行こうとしているダンジョン?遺跡?の場所を教えて欲しくって~」
「ウェルミットの塔か?場所は~…」
ソウルは、マップを開いてウェルミットの塔があるとされる場所を伝えると、ホワイトローズは眉間に皺を寄せて首を傾げた。
「あれ~?ここに塔なんかあったっけかな~?ミミちゃんはなんか覚えてる~?」
「私もここに塔があるなんて知りませんでした…皆はどう?」
ミミランジェが、ブリッジにいた仲間達に尋ねるが、その全員が知らないと答えた。
「ホワイトローズ達が知らないって事は何か特殊な条件を満たしたら行ける場所かもしれないな?」
「あ~それはありそうだね~」
「実際に確かめた訳じゃないからそこにあるという確信は無いけどまずは行ってみてだな」
「そだね~で~どうする?このまま出発する~?」
「いや、支部長さん達に挨拶してから行こうと思う」
「あいよ~ここで待ってるから終わったら話しかけて~」
「了解」
ソウル達は、最初に冒険者ギルドへと向かって行った。
-プロテウス・冒険者ギルド-
「失礼します」
冒険者ギルドにやって来たソウル達は、支部長室の扉をノックし、中から聞こえて来た声に反応して支部長室の中に入って行った。
「皆さんどうしました?」
「アビスさんが持ってきた手記のおかげで賢老のローブを作る事が出来ました。これから早速ウェルミットの塔に向かうので挨拶をしに来ました」
「そうでしたか!おめでとうございます!」
「ありがとうございます。あ、まずは鍵を最初にお返ししておきますね」
ソウルは、支部長から借りたマークス家の鍵をアイテム欄から取り出し、支部長に手渡した。
「はい、確かに。それでソウルさん達はここから真っ直ぐ向かうのですか?」
「そうですね。ホワイトローズの船で向かう事になりました」
「ヴァルハラの皆さんとネレイスの皆さんも一緒にですか?」
「ユメミルク達とは一緒に行きますが、アビスさん達には来るのか聞いてないので挨拶が終わり次第聞いて、出発するという形になりますね」
「分かりました。ではこちらをお持ちください」
支部長は、封蝋された手紙をソウルに渡した。
「これは?」
「そちらの手紙を本部にお渡し頂ければ幾つかの事について柔軟にご対応いただく事が可能となります」
「いいのですか?」
「はい。報酬として賢老のローブを望まれましたがこちらとしては大した協力が出来ませんでしたので、その代わりと言っては何ですがお渡しいたします」
「私としては大分助かりましたがありがたく受け取らせていただきます」
ソウルは、軽く会釈をして受け取った後、手紙をストレージの中に入れた。
「他に御用が出来た時は受付に言って貰えればできうる限り対応いたしますのでお申し付けください」
「はい、その時はお願いします。では失礼いたします」
「改めてプロテウスを救っていただきありがとうございました」
互いに礼を尽くして挨拶した後、ソウル達は支部長室から退室した。
-プロテウス港・3番ポート・マリンプリンセス号付近ー
「あ、いたいた。アビスさん!」
「ひゃい!」
冒険者ギルドから3番ポートに戻って来たソウル達は、ネレイスの船「マリンプリンセス号」付近で分かれてアビスを探すと、船尾付近で簡易的に作られたテーブルに座り、まったりとフランクフルトを食べているアビス達を見つけた。ソウルは、彼女達に近づいて声を掛けると、突然声を掛けられた事に驚いたアビスは、変に高い声で返事をした。
「すみませんアビスさん。ちょっとお尋ねしたい事がありまして…」
「にゃん…ゴホン!なんでしょう?」
「これから俺達はウェルミットの塔に向かいますがアビスさん達はどうしますか?」
「え?そうなの?じゃあ私達も…」
「船長!駄目ですよ?」
「え?」
アビスが、付いて行くと言おうとした時、その言葉を遮る様にアコヤがそれは駄目だと言うと、アビスはその言葉に首を傾げた。
「だってさっきこれからクエストがあるって言ってたじゃない?」
「あ…でも!でも!ソウル様からご指名されたんだよ!?これは行かなきゃダメじゃん!」
「ソウルさんは別に指名なんてしてないわ!どうしますか?って聞いただけよ!」
「でも!でも!」
「でもじゃないわ!もう他の皆にも別のクエスト行くって伝えちゃったし変更はできないのよ!」
アビスは、行きたいと涙目で訴えたが、アコヤはその視線に首を横に振って答えた後、ソウルに視線を向けた。
「ソウルさん?さっき言った通り別のクエストの予定があるので気にせずに出発しちゃってください」
「え~と…そうですか?分かりました。ではここでお別れですね。いろいろとありがとうございます。お疲れさまでした」
「ふふふ…渡地たちは別に何かした訳じゃないけどこっちこそありがとう、それとお疲れ様。…ほらアビス!こっちも出発の準備するよ!」
「え!ちょ!まだ碌に話しても…ウワァァァァァァン!ソウル様ぁぁぁぁぁ!!」
アビスは、駄々っ子の様に手を伸ばしてソウルを求めたが、アコヤがそうはさせないと言う様に、マリンプリンセス号の中に引きずって行った。
「あ…アビスさんに手記をジンジャーに渡した事やそのお礼言うの忘れてた…」
「マスター?後で感謝の言葉を添えたメールを送っておけば問題ないと思います」
「そうだな…そのメールにジンジャーに手記を渡したとか書いておけばいいか」
ソウルは、マギアの言葉に頷いた後、仲間達に連絡して薔薇の女王に向かった。
今回からウェルミットの塔パートです!ソウル達にどんな試練が待ち受けているのでしょうか!こうご期待です!
アップルは同姓にモテるタイプ。だけど悪即殴精神なので恐れられています。
支部長の手紙は冒険者ランクが上がりやすくなったり、ユニオンホーム建設時の手数料や税金など安くなったりします。その他いろいろ特典がありまーす!
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