プロジェクト R -更に挑む者達-
完成しました!お楽しみください!
次回更新は2月22日 0時更新でやんす!
「お父さんってどういう事~?」
「父を尋ねて3千里って事か?」
「父だけじゃなく母もだな。実は…」
ホワイトローズとユメミルクの質問に、ソウルはジンジャーが仲間に入った経緯を説明した。
「そうか…ご両親を探しに…大変だっただろう…」
「ソウルが一緒だからね~」
「ん?おい!それはどういう意味…あ、いや…何でもない」
ホワイトローズの言葉に、ソウルは立ち上がって反論しようとしたが、自分のトラブルを引き寄せる事だとすぐに理解し、表情をスンとさせ椅子に座り直した。
「ジンジャーさん?えっと~ご両親ののお名前は?」
アビスが、両親の名前を聞いてみると、ジンジャーは下に俯きながら答えた。
「母がサラサ・エドワードで父がジャン・エドワードです」
「サラサさんとジャンさんね…あれ?」
「アビスさんどうかしましたか?」
「何処かで聞いた名前だと思って…何処だっけ?」
「いや、私に聞かれてもっす…」
仲間に聞いたアビスだったが、聞きたかった答えでは無かった為で、腕を組んで悩み始めた。
「すみません支部長さん、ジンジャーのご両親が関わっていた依頼書等はありますでしょうか?」
「探してみますね」
「ありがとうございます」
ソウルは、支部長に頭を下げて感謝の言葉を言った。
「ジンジャー?ご両親の事は後で考えよう。今はローブの事について話を戻そうと思うが…いいか?」
ソウルの言葉にジンジャーはコクンと頷くと、ソウルはすまんなと謝罪して、ローブの話に戻した。
「それで~サウスリアさんとノースさんは何時頃来るんだ?」
「北のおっさんはさっき連絡したらすぐ来るって言ってたから多分30分位で来るんじゃね?」
「サウスリアはなんかクエストやってるっぽいからそれが終わったらくるってさ~」
「了解した。二人が来るまでの間に出来るだけ素材を集めておこうと思う」
「そだね~」
「おう、色々余りまくってる物があるから持ってけ」
「ありがとう。じゃあ貰いに行くわ」
「おうよ」
「う~ん…ウーン…何処だっけ?…あー思い出せなくてモヤモヤする!」
思い出せなくて、モヤモヤしているアビスを他所に、ソウル達は3番ポートに向かって行った。
-プロテウス港・3番ポート-
「うわ!なにこれ!お祭りじゃん!」
ソウル達が、3番ポートに戻ってくると、薔薇乙女騎士団やヴァルハラの面々が屋台を出しており、プロテウスの住民相手に商売をしていた。そんな風景にネレイス達は、目を丸くして驚き、信じられないと言った表情をした。
「ん?戦いが終わったら皆でこういう事するのではないのですか?」
「しない、しない。戦いが終わったらクモの子散らした様に各拠点に帰っていくわ…」
「そうなんですね。いつもこうだからこれが普通だと思っていました」
「船長!あそこにイカ飯が売ってますよ!めっちゃ美味しそうっす!」
「あっちには射的があるわね?あ、あそこのくまさん可愛い…」
「ちょ!あんた達!そうやって見っともなく燥ぐんじゃ…ってもういないし…あはは…」
制止する声も聞かず、ネレイスの二人が、欲望が赴くままに屋台へ行ってしまい、その光景をソウルに見られたアビスは、恥ずかしさで身を小さくした。
「まぁ実際楽しいですからね。燥いじゃうのも仕方ないですよ。俺も用事が無かったら満喫しちゃいますし」
「あはは…」
恥ずかしそうにしているアビスを、ソウルがフォローすると、アビスは苦笑いで返した。
「ソウルちょっとこっちに来てくれ」
「あいよ。では呼ばれたので失礼しますね」
「あ…」
アビスは、離れていくソウルに対して何も言う音が出来ず、ガックリと肩を落とした。
-プロテウス港・3番ポート・エインヘリャル前-
「えーっと…あー何処だ?…あ、あった」
ソウルはユメミルクと一緒に、ヴァルハラの飛行船「エインヘリャル」の近くに来ると、ユメミルクがウィンドウを展開し、依頼書に書かれた素材を探してソウルに渡した。
「ありがとう。後は魔髄液と万年蜂の蜂蜜、蓮花の蝋だな」
「そっちはホワイトローズが多分持っていると思うぞ?」
「そうか、じゃあホワイトローズ…ってあれ?どこ行った?近くに居ると思ったんだが?」
「ん?あいつはここに着いた途端に屋台巡りを始めてたぞ?」
「……」
ユメミルクの言葉に、ソウルは口を一文字にして、何か言いたげな視線でユメミルクを見つめた。
「いや、俺にそんな目をされてもな…」
「そうなんだけどさ…」
「北のおっさんが来るまでまだ時間はあるしソウルも屋台巡りしたらどうだ?」
「あー…そうだな…そうするか」
「おう、来たら連絡するからよ」
「頼む」
ユメミルクの頷きを見た後、ソウルは屋台巡りを始めた。
-プロテウス港・3番ポート・薔薇の女王側-
「ん?あれは…」
ソウルが、ホワイトローズの飛行船「薔薇の女王」側の屋台を満喫していると、桟橋の先で見覚えのある人物の後ろ姿が視界に入り、その人物に近づいて行った。
「はぁ~…あたしってなんでいつもこうなんだろ…」
「どうかしました?」
「きゃ!」
ソウルが見た人物とは、アビスだった。アビスは、三角座りをしながら海を見つめ、上手く行かない事を嘆いていたが、ソウルの声に驚いて体をびくつかせた。
「驚かせてしまいましたか?すみません」
「いえ…」
「隣いいですか?」
「どうぞ」
「それじゃあ失礼してっと…あ、これご自由にどうぞ」
ソウルは、手に持っていた紙袋の口をアビスに向けると、アビスはありがとうと一言言い、紙袋に入っていた鯛焼きを一つ手に取った。
「何やら落ち込んでましたが…どうしました?」
「あ、いえ…その…」
アビスは、ソウルとの関係が上手く行かないと言う本心を言えない為、言いどもってしまった。
「言いずらい事でしたか…では別の話にしましょう」
「はい…すみません…」
ソウルは、紙袋に入っている鯛焼きを一つ取りった後、その鯛焼きを食べながら別の話題を考えた。
「そう言えば…この街を離れた原因を聞いていませんでしたね?…あ、これも話しづらいか…」
ソウルがハッとして別の話題を考えたが、アビスは首を横に振って口を開いた。
「それは話せるので問題ないです。…えっとですね、この街の新聞屋の一つが「マークスさん凶刃に倒れる。冒険者ギルドは無能の集まりか?」っていう見出しの新聞を発行したのが原因なんです…」
「それは…酷いですね…」
「そのせいで市民から非難の声が多く上がって、窮地に陥った冒険者ギルドは私達を切り捨てるという判断をしたんです。「冒険者ギルドは全力でサポートしたが、マークスさんを守れなかった責任はネレイスにある」って公式な場で言われたあの言葉は今でも忘れられませんよ…」
「………」
ソウルは、アビスの言葉を聞いて沈痛な表情をしながら、黙って続きを聞いた。
「私達も抗議はしたんですけど、マークスさんを守れなかったのは事実だから何も言い返せなくて…それで色々悩んだ末に、別の街に拠点を移す事に決めたんです」
「……」
「でも、この街を去る当日に意外な人が合いに来たんです。誰だと思いますか?なんと冒険者ギルドのギルドマスターアインですよ」
「アインさんが?」
ソウルは、ギルドマスターと言う言葉を聞いて、アークライトのアインの顔を頭の中で思い浮かべた。
「アインさんは私達に深々と頭を下げて謝罪をしてくれました。「本来冒険者ギルドと言うのは、こういった事から冒険者を守る為に存在しているのに、保身の為に貴女達を犠牲にしてしまった…切り捨ててしまった…本当に申し訳ない」って言ってくれたのです。それに、その横で殴られた様な跡を顔に付けた支部長も頭を下げていて、幾分かの気は晴れましたよ」
「なるほど、そういった事情があったのですね」
「そうなんですよ。…あ、それで別の街に拠点を移した後になって分かった事なんですが、さっき言った新聞屋って実はウィテガーと繋がりがあったんですよ。それを知った時はしてやられたと思いましたね」
「訳が分かりませんね…何故その新聞社はウィテガーが捕まった後に行動を起こしたのでしょうか?ただの復讐心でやった事なのでしょうか?」
「さぁ?そこまでは…真意を問おうとしても既にその新聞社は無いですし、関係者も全て監獄に入ってますから何とも」
「感情で動いたのか?…それとも別で何かをしようとしていた?」
ソウルは、そう呟きながら紙袋の中に手を入れて、鯛焼きを取り出そうとしたが、その中には何も入ってない事に気が付き、紙袋の口を下に向けて振った。
「あれ?もうなかったか…」
「(え?しょんぼりしてるソウル様…可愛すぎんだろ!)」
「俺の顔に何かついてますか?」
「いえ、何もついてないですよ!…えーっと~さて!そろそろ船長に戻るかな!ソウルさん!お話出来てよかった!それじゃ!」
「?」
アビスは、見つめていた事を誤魔化す様にしながらその場を離れて行き、ソウルはその後ろ姿を見ながら首を傾げた。
ネレイスがこの街を離れた理由が判明!
全く厄介な物ですね…何がとはあえて言いませんが…
モチベ維持に評価お願いします!
「ブックマークに追加する」ボタン登録もよろしくね!
いいね登録!よろしくお願いいたします!
誤字脱字報告 アザマス!




