ギガントグラトニー討伐作戦 -skirmish-
完成しました。お楽しみください!
次回更新は、12月7日 0時更新です!
「おお…これが海人機ですか?」
「そう!これが海人機!どう?かっこいいでしょう?」
ソウル達は、海人機の操縦を学ぶ為に、ハピネスカラーが乗ってきた飛行船に近づいて行くと、丁度のその海人機を船から降ろしている最中だった。船から降ろされている海人機を見て、ソウルは感銘の声を上げながら尋ねてみると、ハピネスカラーは胸を張りながら海人機を自慢した。
「4m位ありますか?」
「そうね。4m59cmあるわ」
海人機の姿は、全体的にスマートな姿をしており、体中に付けられた装甲は、少しでも水の抵抗を減らすように、レモンの様な紡錘形の形をしていた。そして背中には、鳥の翼の骨を金属で再現した様な物が1対となってあり、その最初の関節部分と先端に筒状のスクリュープロペラが付いていた。
「背中のあれは何ですか?」
「ウィング型推進器だね。あれと左右の腰にある螺旋型噴進器…って言っても分からないか…えっと~簡単に言えば破氷船にあるドリルみたいな構造していて、そのドリルで水を取り込み噴水の様に勢いよく出す事で進む奴なんだけど、その2つがあるおかげで水の中を自由に動ける事が出来るんだよ」
「な…なるほど?…へぇ~」
マナリアの質問に、ハピネスカラーは出来るだけ分かりやすく説明したが、いまいち理解できないマナリアは生返事で言葉を返すと、ハピネスカラーは渋い表情をした。
「あ~…やっぱ分からないか…う~ん…まぁスクリューと水力が二つ合わさって最強に動けるって覚えてくれたらいいよ」
「あ、それなら理解できそうです」
「…本当に?」
ハピネスカラーは、冗談交じりで聞き返すと、マナリア視線を明後日の方に向けた。
「えっと~その~…多分?」
「あはは…だよね~」
マナリアの言葉に最初は笑ったが、最後はしょんぼりと気を落としたハピネスカラーだった。
「搭載可能の重量はどのくらいですか?」
「2t位なら積めるよ。水の中だしね」
「なるほど…それなら8連行けるか?」
「例の魚雷?」
「ええ、そうです。頭の中で形は出来ているんで後は設計図に起こすだけですね」
「それ今やって貰っていいかい?」
「問題ありませんよ。その間仲間達に操縦方法を教えて貰ってもいいですか?」
「OKOK。シュミレーションがあるからそれで教えるわ」
「お願いします」
「あいよ。じゃあちょっと私に付いて来て」
ハピネスカラーが一度だけ手招きして、付いてくるように言うと、仲間達はその後ろに付いて行き、ソウルは仲間達を見送った後、アイテム欄にある紙とペンを取り出し、頭の中にある魚雷の形を紙に書いて行った。
「Ⅿ202を8連にした形で…バックブラストは起きないから後ろに弾倉を…」
独り言を呟きながら手早く書いていたが、何処からか視線を感じてふと顔を上げてみると、ハピネスカラーの隊員達がソウルを囲み、ソウルが書いていた設計図を凝視していた。
「皆さん…どうしましたか?」
「いや、すげぇなと思ってさ…こんな小型の魚雷見た事ねぇよ」
「それにそれって弾倉交換できるロケットランチャーみたいな奴でしょ?よくこんな物を思いつくね?」
「リアルだとこんな事できませんがこの世界の物を応用すれば核爆弾だってポケットに入るサイズにまで小型化できると思いますよ?」
「創意工夫って事か~…俺達もリアルの常識に囚われすぎてたのかもしれないなぁ…」
「そうねぇ…帰ったら全機体の見直しをしてみるのもいいかもしれないわねぇ」
「その場合彼も拉…連れてった方がいいんじゃね?」
「おー!それは戦力数値が倍に上がりそうだな!まさにURじゃん!」
「俺はソシャゲか何かのキャラですか?」
「カードゲームの能力持ちモンスターかも?」
「そうそう。一枚出すだけでモンスターゾーンと魔法トラップゾーンが全部埋まって相手のライフを半分削るみたいな?」
「それは強すぎて禁止カード一直線ですね…って誰が公式から除外される存在ですか!?そんなふざけた事言う人には膝の皿や腰にゴッドハンド〇ラッシャー食らわしますよ!」
「足腰立たなくなる(意味深)と言う奴ですな!」
「止めてください!そう言うと卑猥に聞こえてしまうではありませんか」
ソウルが、笑いながらツッコミを入れて、隊員達と笑い合った後、手に持っていたペンをアイテム欄にしまった。
「良し、完成です」
「マジかよ…談笑しながら書いていた…だと…」
「この世界って紙に何か書く時お絵かきソフトみたいな機能が使えますから、ながらでも掛けるんですよね。リアルでもこの機能欲しいです」
「めっちゃ便利だよねぇ…おっとそろそろ仕事しないと姉さんにどやされるな…その設計図貰っていいかい?…あー…見た所俺達が持ってきた素材で大体は作れそうだけど、炸薬だけは俺達には作れないからソウルさんに作って貰う事になるかな」
「ええ、構いませんよ」
「じゃあ、炸薬頼んだ」
「頼まれました」
ハピネスカラーの隊員達は、ソウルが描いた設計図を持って、飛行船に戻って行くと隊員達と入れ替わる様にして、ハピネスカラーがソウルの所に戻ってきた。
「皆シュミレーターに夢中なったけどそっちはどう?」
「さっき隊員さん達に書いた設計図を渡しました。後は魚雷の炸薬を作ってマギアが作った装置を一緒に組み込めば完成ですよ」
「お!相変わらず仕事が早いね」
「簡単に掛けますからね。では俺は競売所行ってき「大変ですマスター!」」
プロテウスにある競売所に向かおうとしていたソウルだったが、マギアが慌てた様子で近づいてきた。
「どうした?」
「現在このプロテウスに向けて敵性反応が近づいて来ています!」
「なに!?もう来たのか!?」
「いえ、ギガントグラトニーとは別の敵性反応です」
「そうか…よかった…あ、いや、良くないか。とりあえず迎撃するぞ!」
ギガントグラトニーがまた来ていない事に安堵し、うっかり失言をしてしまった事を訂正した後、ソウル達は海人機が置いてある場所に、駆け足で向かって行った。
-プロテウス港・3番ポート・海人機前ー
「あら?ソウルどうしたの?」
「敵が来る!全員戦闘準備をしてくれ!」
ソウルが、その場にいる全員に聞こえる様に大声で言うと、その言葉を聞いた仲間達は驚愕した。
「え!?もうギガントグラトニーが来たのですか!?」
「いや、別だ」
「敵の数は?」
「現在敵影は20体を確認しています」
「20体か~…いける?」
敵の数を聞いたティカルが、首を傾げながらソウルに尋ねてくると、ソウルはニヤリと笑った後口を開いた。
「ギガントグラトニー戦い向けての実践訓練だと思えばいい」
「ん?あれ?ソウルも出るの?操作大丈夫?」
「この戦いで学べばいいさ」
「なら私が上に座って下の席はソウルが座った方がいいわね。下は足の操作と補助操作だから」
「分かった」
ソウルはアップルの言葉に頷き、近くにある海人機を見上げた。
「よいしょっと!」
海人機の上の席にアップルが座った後、ソウルが下の席に座ると、コクピット内はまるで、アップルを肩車しているような格好となった。アップルは、自身の股にソウルの頭がある事に恥ずかしさを感じて、両頬を赤くさせた。
「ん?どうした?」
「な!何でもないわ!」
アップルの足が、もじもじしている事に気が付いたソウルは、視線をすぐ近くのコンソールに向けたまま尋ねたが、アップルは少し上擦った声で問題ないと答え、静かに深呼吸した後、視線を前に向けた。
「≪ソウル聞こえる?海人機を起動するには左下にある赤いボタンを5秒間長押ししてみて≫」
「これか」
コクピット内に、ハピネスカラーの声がトランシーバーを介して聞こえ、ソウルは言われた通りに左下の赤いボタンを長押しすると、海人機が起動する音が聞こえ、コクピットハッチが閉じて行った。
「≪問題なく起動したみたいね。じゃあ次は歩行よ!大股で歩く様にすれば上手く歩けるわ≫」
「了解。前に出てみる」
ソウルは、大股で一歩踏み出す様に片足を前に出すと、その動きと連動して海人機が一歩踏み出し、もう片方の足を前に出すと、その動きも連動して動き、歩行する事に成功した。
「≪歩行も問題ないわね。次は~…≫
ハピネスカラーが、次のレクチャーをしようとしたが、マギアが通信に割り込んできた。
「≪マスター、どうやら時間切れの様です≫
「分かった。後は実戦でどうにかしてみる」
「≪了解しました。私はここで皆様のオペレーターをやります≫」
「頼む。さて、アップル?準備はいいか?」
「何も問題ないわ」
「じゃあ行ってみるか」
「ええ、行きましょう」
二人が乗った海人機は、他の海人機達と一緒に海側に向かって歩いた後、次々と海の中に入って行った。
推進器はウィング型とか噴進器とかありますが、これはこの世界の物です。リアルにはありません!
しまった!完成した後に書くの忘れていた…両足の踵付近にもスクリューがあります。地上時の歩行では両くるぶしからヒールみたいな突起物が出て、つま先との3点で歩く事が出来ます!
書き忘れ追加情報・海人機の全高なのですが、目安として電柱が10m位らしいのでその半分の高さです。
FoFを食らった膝と腰は、通常の3倍の痛みです。救急車案件です。
作者はカードゲームで脳トレしてます。
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