ギガントグラトニー討伐作戦 -briefing-
お楽しみください!
次回更新は、11月30日 0時更新です!
「怒った声が聞こえて来たけど大丈夫なの?」
「問題ない」
「そもそも何で怒ったの~?」
「甘い考えして決断するべき時なのにしなかったから怒鳴ったんだ」
「あ~なるほど…所謂「並み未満の役人」だったという訳だな?座ったその席の重さってのを理解していない系の」
「まぁそうだな。…よし、そろそろ始めようか」
これ以上その話題を話したくないのか、ソウルは無理やり話を終わらせて、準備を始めようと言うと、中俣にもその言葉に同意し、ユニオンリーダーの3人は、自身たちの船の船員に準備を始めるよう伝えた。
「で~ソウル?俺らん所はどうすればいいんだ?」
「その話する前にユメミルクの所のグリムニルさんは今日いるか?」
「来る前まで居たんだが明日何か重要な会議?みたいのがあるから今日はもう落ちたんだ」
「そうか、それじゃあ仕方ないな…分かった。今から作戦を説明するから全員集めてくれ」
「あいよ」
「ほい~」
「わかった」
ソウルは、グリムニルが居ない事に表情を曇せたが、いないなら仕方がないと頭を切り替えて、考えた作戦を話す為に、この場に全員を集める様に三人に指示を出した。
「後ろの方聞こえるか?」
「問題ねーです!」
「こっちも聞こえてるから大丈夫~」
「では作戦を説明する。マギア書き込めるウィンドウ表示してくれ」
「了解、開きます」
マギアが、言われた通り大きめのウィンドウを表示すると、ソウルはそのウィンドウに文字を書き込みながら説明を始めた。
「これから話す作戦は3つのステップに分けて動く。最初のステップは、プロテウスを出発しギガントグラトニーの近くに来たら海人機で出撃してヘイトを最大にして海人機に集める。セカンドステップは、ギガントグラトニーを連れて一気に海面上まで上昇。最後のステップは、海面上まで追って来たギガントグラトニーを、海上で待機していた人員が最大火力でギガントグラトニーを討伐する。この三つのステップだ」
「…おいおいそんな簡単でいいのかよ?」
集まったプレイヤー達の中からそんな声が聞こえてきたが、ソウルは首を横に振って説明を続けた。
「この作戦は簡単に見えるがとても難しい…それを今から説明する。まず最初のステップは3チームに分かれて行ってもらう。1チームがギガントグラトニーを対処し、残り2チームは索敵と遊撃を行ってもらう」
「その2チームってどういう事?」
ティカルが首を傾げながら言うと、ソウルはさらに詳しく説明し出した。
「前回の神獣戦を経験した皆は知っているだろうが、あの時はイレギュラーが多すぎて被害が大きくなってしまった。あれはそのイレギュラーを即座に見つけて叩いていれば防げていた筈だ。だから今回その反省を生かし、この2チームには索敵と遊撃を行ってもらう」
「異常種が出てきた時はマジで焦ったからね~…準備も不足してたし…」
「では今回も異常種若しくはそれに準じた物が出てくる可能性があると?」
ソウルの左前側で、体育座りをしていたKUNIMOがそう尋ねてくると、ソウルは首を横に振った。
「いや、分からない…だから警戒するんだ。この2チームはどんな些細な事も見逃さずに行動して行ってくれ」
「分かりました」
頷いて納得したKUNIMOは、静かに闘志を燃やし始めた。
「次にギガントグラトニーを相手するチームは遠距離戦で戦ってもらう。まぁちょっとした魚雷を作るからそれでだな」
「ちょっとした魚雷ってなんだい?」
ハピネスカラーが、疑問符を頭に浮かべながら訪ねてくると、ソウルはウィンドウに絵を描きながら説明した。
「最初に信号が出る杭をギガントグラトニーの胴体に打ち込んだ後、その信号を頼りに魚雷が追尾していくって奴だ。これはうちのマギアがこういうの得意だからマギアが中心となって動いてもらう。いいかマギア?」
「お任せください。必ず成し遂げますよ」
「頼む」
「あ、そういう事ならうちのサポートAIも手伝わせていいかな?名前をヒフミっていうのだけど?」
「俺の所のレーヴァもいいか?」
「問題ありません」
「じゃあ頼むよ」
「頼んだ」
「お任せください」
「むむ…私の所もサポートAI入れた方がいいかしら?とても頼りになりそうね…」
ハピネスカラーは、二人のやり取りを見て、サポートAIを導入するか真剣に悩み始めるた。
「次の第2ステップに話を移そうと思うのだが、第1ステップの質問は他にないか?」
ソウルは、そう言った後にその場を見回して確認したが、手を上げる物はいなかった為、話を第2ステップに移した。
「第2ステップはヘイトを最大まで上げた後、海上で待ち構えている仲間の所まで浮上する。これはただ単純に上がって行けばいいが、ギガントグラトニーのヘイトが外れない様に一定の距離を保ちながら上がる必要がある」
「先ほど海面上と言っていましたがどういう事ですか?」
マナリアが質問してくると、ソウルはその問いに答えた。
「俺が海面上と言ったのは、海上で待機している仲間が攻撃する際、必ずその攻撃を当てる必要があるから、ギガントグラトニーの胴体が海面より上に出る様にしなければいけない。なので海人機は海面到達と同時にロケットか何かを使って飛び上がる必要がある」
「なるほど、俺達はただ最大にバフ掛けて最大火力を土手っ腹に叩き入れればいいんだな?」
「ああ、だが注意して欲しい…タイミングを外したりその攻撃で倒しきれなかったら、俺達は全滅して最悪の結末になる」
「オイオイ…責任重大じゃねぇか!」
「無理か?」
ソウルは、少し煽るような言い方で言うと、ユメミルクとその仲間達は、その挑発に乗って声を荒げた。
「あ゛あぁ!?誰に物言ってんだ!んなもん出来るに決まってんだろ!俺達をなめんな!」
「やってやるよぉ!」
「できらぁ!」
「てぇめ!ザッケンナコラー!!」
「あんまり私達を舐めないで頂戴!こっちは物理的に舐めるわよ!」
「あんま調子乗ってっと籍いれっぞ!」
「おっと、愚問でしたね?失礼しました。必ず成功すると信じてますよ!(あれ?どさくさに紛れてなんかすごい事言われなかったか?)」
ヴァルハラのメンバーの中に、どさくさに紛れて欲望をぶつけてくる奴が居たが、ソウルは内心で引きつつもそれらをスルーして話を続けた。
「で~最後のステップなんだが、ギガントグラトニーが浮上した際、海上メンバーの足場が波でかなり揺れると思うのだが…何か対策と言うかアイディアみたいなのはあるか?」
「波か…あ~これ使えるかもしれないな?」
ハピネスカラーはウィンドウを開き、自身のアイテム欄から拳大の大きさの石を取り出して、ソウルに渡した。
「これは?」
「2級の浮遊石。これをどこかに仕込めばある程度の揺れは抑えられるかもしれない」
「2級と言うと1級や3級とかもあったりするんですか?それらは使えるのですか?」
ソウルの質問に、ハピネスカラーは首を横に振った。
「3級は浮く力が弱すぎて使っても意味無いし、1級は逆に強すぎて安定させるのに余計にパーツが必要になって来るから2級がいい。しかも安いしね!」
「なるほど…この石をショックアブソーバーみたいに仕込めばいいんですね」
「うん。それで行けると思う」
「実験する時間は無いのでぶっつけ本番になりますがやってみましょう。それで~ここまで作戦を説明しましたが他に質問はありますか?」
ソウルは周りを見渡して確認をしたが、手を上げる者は居なかった為、行動に移す事に決めた。
「では、何か問題が起きたら俺の所に来てください。では、行動開始!」
ソウルはそう言った後に一拍すると、作戦を聞きに集まった仲間たちは、急ぐ様に準備を始めて行った。
「持ってきた海人機を全部出して!その全機に追加武装するわよ!…そこ!何グダグダやってんだ!尻蹴り上げんぞ!」
「ヴァルハラは一度こっちに集まってくれ!海上メンバーを選出する」
「ホワイトローズ隊集合~。どこに配属されたいか希望を出してね~。出さなかったら適当な危険な所に配属するからね~」
各ユニオンリーダーがメンバーに指示を出し、第3ポートが活気づいてくると、ソウルはその光景を見て、内心で期待感が満ちるのを感じた。
「ワクワクするわね…こういう大きな事をなそうと準備する光景って」
「そうだな」
アップルの言葉を聞いて、この期待感は自分だけが感じている物では無い事に、うれしい気持ちになったソウルだった。
「ではマスター、私はヴァルハラとホワイトローズ隊のAIとリンクして作業を始めてきます」
「よろしく頼む」
「お任せください」
マギアを見送った後、ソウルは仲間達に視線を向けた。
「よし、俺達はハピネスカラーさんの所に行って海人機の操縦を学ぶぞ」
「人型ロボットに乗れるですね!凄くワクワクします!」
「楽しみだね」
ティカルの言葉に、その場にいた全員が頷いた。
[1stSTEP…実行中…対象がエリアに入るまで残り69%]
[目標の行動を確認…戦闘準備を確認…]
「エラー1を検出。このままでは目標が戦闘準備を終わらせる可能性が高]
[対策を検討中…対象近くに中型戦闘ユニットの存在を確認……中型戦闘ユニットの誘導に成功]
[対象が目標に入るまでの時間を再計算…エラー数…0]
[このまま対象と目標の観測を継続…]
… … … … …
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