プロテウスの絶望
完成しました!お楽しみください!
次回更新は11月16日 0時更新予定です!
「わぁ!」
「これはすごいな!」
「すごいわねぇ」
「あ!魚!」
「フガァ…フゥゥン…」
ソウル達が、列車内でまったり過ごしていると、暗いトンネル内の風景だったのが、海の中を進んでいるような風景に変わった事に感銘の声を上げた。
「透明なトンネル…なのか?すごいな技術だな」
「魔力の反応もありますから循環型の魔法が施されていますね」
「循環型って確かメティスダンジョンみたいな奴か?」
「はい」
「なるほどなぁ」
「あ!イルカだ!…ん?いやジュゴンかな?」
ティカルが、トンネルの横をゆっくり泳いでいる生き物を見つけたが、顔がジュゴンなのに背中にイルカの様な背びれがあった為、ジュゴンなのかイルカなのか特定できず首を傾げた。
「あれはドルゴンと言う名の哺乳類ですね」
「ドル…ゴン?…はえ~」
生き物の名前を聞いて、更に困惑したティカルは考える事を止めて、列車から遠ざかって行くドルゴンに手を振って見送った。
「ソウルさんソウルさん!」
「なんぞなもし?」
「あっちにクジラっぽい生き物が見えますよ!」
「あ~…ちょっと遠いけど見えるなぁ」
次にマナリアが、クジラの様な生き物を見つけ、ソウルに報告してくると、マギアがその生き物の説明をし始めた。
「あれはギガントグラトニーという両生類の魔物ですね」
「両生類?あの見た目で陸に上がるのか?」
「いえ、体の中にヘリウムに似たガスを溜めて空を泳ぎます。そしてその名の通り何でも食べてしまう為、各国から最優先討伐指定魔物にされています」
「え?そうなのか?…見つけてしまったのだが…」
「今は何もできないので後で報告した方がいいでしょう。スクリーンショットを取っておきますね」
「頼む」
「あれって魔物なんですね…ちょっとがっかりです…」
「マナリア?あなたがあの魔物を見つけてくれたから助かる人もいるのよ?だからガッカリしないで胸を張りなさい」
「アップルちゃん…そうだね。そうするよ!」
「ん?あれがプロテウスか?」
ソウルは、目を細めながら線路の先を見つめると、遠くの方に建造物があるのを見つけた。
「そうですね、あの遠くに見えるのがプロテウスです。到着まで数時間と言った所でしょう」
「楽しみだな」
「そうね」
「そうですね」
「そうだね~」
「フガぁぁ…ムニャムニャ…」
「…そこで寝ている準ゴリラ顔を列車の外に投げ捨てていいか?」
期待感をぶち壊した寝ているジンジャーに対し、ソウルは少しキレ気味で言った。
-海中都市プロテウス・プロテウス駅-
「はぁぁ…やっと着いたわねぇぇ…っと」
プロテウス駅に到着したソウル達は、列車からホームに降り立つと、体を伸ばしながら体の中にあった退屈を吐き出す様に息を吐いた。
「ソウル様、少しお時間よろしいでしょうか?列車強盗犯の事でご記入して欲しい書類が幾つかあるのですが…」
「あ、はい、分かりました。ついて行きます。皆、先に観光しててくれ。終わったら連絡入れるから」
「了解~」
「分かりました。先に楽しんできます」
「先に行ってるわね」
「最初は~そう!宿の確保が最優先!」
仲間達は、ソウルに返事した後に駅を出て行き、駅に残ったソウルとマギアは、列車ホープの車掌に案内された事務所で、渡された書類に必要事項を記入して行った。
「…ん?強盗犯の中に賞金が掛かった奴が居たのですか?」
「ええ、強盗犯リーダーの「アンボル」20万オカーネン、痩せた男が「ポンボ」が15万オカーネン、中肉中背の男が「タンダル」が同じ15万オカーネンですね。引き渡しの際にその賞金を受け取れると思います」
「その為の書類ですか?(アンポンタンか…)」
「それもありますね」
「なるほど…」
車掌の言葉に納得したソウルは、その後黙々と渡された書類を記入して行き、書類を車掌に渡した。
「はい、ありがとうございます。では引き渡し行きましょう」
「分かりました」
車掌と一緒に駅の入り口に向かうと、鉄製の檻が積まれた荷馬車と、軽鎧を来た衛兵が5人居り、その中の一人が車掌とソウルを見つけると、こちらに近づいてきた。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様です~早速引き渡しますね」
「了解です」
「おーい、連れて来てくれ」
「分かりました!」
車掌が近くに居た同僚に声を掛けると、その同僚は拘束されたアンボル、ポンボ、タンダルの三人を太い紐で繋いで引っ張る様に連れてきた。
「こちらのソウル様があの三人を捕まえた方です」
「そうでしたか!ではこちらの書面にお名前をお願いします」
「ここですか?」
「はい」
ソウルは言われた通り、指定された箇所に名前を書いた後書類を返すと、何かが入ってある袋を手渡された。
「その中に賞金が入っていますのでご確認をお願いします」
「…はい確かに」
「では、失礼します。この度はありがとうございました!」
渡された袋の中身を見たソウルは、50万オカーネンがある事が確認して頷くと、衛兵は敬礼した後に、強盗犯を連れて行った。
「これで終了となります。ソウル様、本日は本当に…本当にありがとうございました」
「はい、では失礼します」
車掌は、最大限の感謝を込めて敬礼し、駅から出て行くソウル達を見送った。
-海中都市プロテウス・冒険者ギルド・プロテウス支部-
「では、マスター。さっそくギルドカードの登録とギガントグラトニーの報告をしましょう」
「あいよ」
プロテウス駅を出たソウルは、マギアに冒険者ギルドがある場所まで光の線を出して貰い、その線を追って向かって行った。そして、たどり着いた冒険者ギルド建物は、周りにある白色の建物と同じ景観をしており、派手な装飾等もなく、黒字で冒険者ギルドと書かれた看板が、入り口の脇にあるだけだった。ソウルはその看板を見た後、冒険者ギルドの中に入り真っ直ぐ受付に向かった。
「いらっしゃいませ、本日は冒険者ギルドにどんな御用でしょうか?」
「すみません。ギルドカードの登録ととあるモンスターの目撃報告をしたいのですが」
「畏まりました。では、ギルドカードのご提示をお願いいたします。それで~とあるモンスターと言うのは?」
「マギア」
「スクリーンショットを表示します」
マギアは、受付の女性に向けてウィンドウを開き、取った写真を表示した後、ギガントグラトニーが写ってある箇所を拡大して行った。
「これは!しょ…少々お待ちください!支部長に報告してきます!」
「分かりました」
拡大表示された魔物を見た受付の女性は、慌てて2階の階段を上って行き、そしてすぐ一人の男性を連れて戻ってきた。
「お待たせして申し訳ございません。ソウル様少し別室でお話を伺ってもよろしいでしょうか?」
「わかりました」
受付の女性が連れてきた男性が、ソウルに申し訳ないと言った態度を取りながら、別室で話を聞きたいと言ってくるとソウルはその言葉に頷き、2階の支部長室へと連れていかれた。
「本当ギガントグラトニーでしたか?何かの間違いではないのですか?」
「マギア」
「了解しました。写真を表示します」
支部長室に入り、互いに対面する形でソファーに座った後、支部長が何かの間違いではないのか?とソウルに行って来たが、ソウルはその言葉に対して、証拠を見せるという形で真実だと伝えた。
「マジかよ…あ、失礼しました」
マギアが表示した写真を見た支部長は、顔を青ざめた後に本音が口から出てしまい、慌てて口を押えながらソウルに謝罪した。
「もしかして今ギルドにはこれに対処できる人がいないのですか?」
「う!…はい…実はそうなんです…」
支部長から漏れ出た言葉から、ソウルはもしかしてと思い、その疑問を支部長に投げかけてみると、どうやら確信を付いたようで、言いずらそうに頷いた。
「支部長?彼女らを呼び戻してはどうでしょうか?」
「今更どの面下げて戻って来てきてくれと言うんだ!あのバカがしでかした事をもう忘れたのか!?」
「…す…すみません…ですが…」
「ですがもへちまもねぇ!無理だ!」
支部長は、受付の女性に怒鳴りつける様にして言った後、頭を抱えて悩み始めた。ソウルは、そんな姿の支部長を見て、何かを考える様に顎を摩った後口を開いた。
「少し整理してみましょう。今ギルドにはギガントグラトニーに対処できる人達はいない…いや、いたけども何かしらがあってここのギルドから別のギルドに移ってしまった。その人達に全力で頭を下げても来てくれる可能性は限りなく低い…という事でいいですか?」
「はい、大体は…」
「なるほど…ではその方たち以外を呼ぶのはどうでしょうか?」
「地上や海上での戦闘なら来てくれる…とは思うのですが、相手は海中にいますし群れで襲ってきますので来てくれる方は少ないと思います…」
「なるほど…ほとんど詰んでる状態と言う訳ですね」
「あぁぁぁ…どうすればいいんだぁ…」
絶望する支部長に、ソウルは人差し指を立てて答えた。
「私にいい考えがあります」
イルカなのかジュゴンなのか…どっちなんだい?と聞かれれば私はドルゴンだよと答えます。
宿屋の重要性に気づいたジンジャー
ほぅ…経験が生きたな…
プロテウスの街は、大きなドーム状の人工街です。街中の風景は白が基本となっているので、その景観を壊さない様にしないといけない法律があります。
イボンコ的提案の仕方!
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