悔しい気持ち
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次回更新は、10月26日 0時更新です!
2023/10/23 属性魔法弾を属性魔導弾に変更
「あの住民さんがプロテウス行のチケットを交換してくれるのですか?」
「ああ」
「早速渡してみましょう?」
アップルとマナリアの二人から、チャオスの箱を必要数以上の数を受け取ったソウル達は、二人を連れてガンシの元に戻って来ると、アップルが、早速交換してみようと言い、ソウルはその言葉に頷き、ガンシに話しかけた。
「ガンシさん集めてきましたよ」
「ええ!?もうですか!お早いですね!これで勝ちましたよ!」
「ブロ…いえ、何に?と言っておきますね」
「こっちの話なのでお気になさらず…では早速渡して貰えますか?」
ガンシの言葉の後、ソウルの前に1つだけの枠がある小さなウィンドウが表示され、ソウルは自身のアイテム欄からチャオスの箱をドラックして枠の中に置いた。すると、いくつ渡しますか?と書かれた文章と数を操作できるスライドバーが別のウィンドウで表示され、そのスライドバーを300になる様に動かした後、ウィンドウの右下にあるOKボタンを押した。
「どうぞ」
「え~っと…確かに!…それで~その~…言いづらいのですが~…」
ガンシは、右手首に着けている腕輪を触ると、その腕輪から飛び出す様に、自身のアイテム欄が表示されたウィンドウが開き、渡されたチャオスの箱の数を確認したが、その後に申し訳なさそうな表情をしながらソウルに視線を向けた。
「300じゃ足りないですよね?」
「え!あ…全部お見通しでしたか…はい…実は後からよく考えてみたのですが300箱じゃ全然足りないと気が付きまして…」
「大丈夫です。後ろにいる仲間達のおかげでさっき渡した数以上にチャオスの箱を集める事が出来ましたから」
「そうなんですか!?お二人とも本当にありがとうございます!」
「別にお礼を言われる程の事じゃないわ。ソウルが集めているって知らなければ捨てていた物だったし」
「そうですね。私達が持っていてもアイテム枠を圧迫するだけの物ですし、気兼ねなく貰っちゃってください」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「じゃあ渡しますね」
ソウルは、さっきと同じ数を渡そうと思ったが、300箱以上にスライドさせる事が出来たので、現在持っている最大数にスライドさせた後、OKボタンを押した。
「こ!こんなに!?十分です!これなら確実に行けます!」
「それは良かったです」
「では約束のこちらをどうぞ!」
ガンシから「列車の一等チケット -ベリタス⇒プロテウス-」を6枚受け取ると、アップルが首を傾げた。
「あら?1枚多くないかしら?」
「1枚は予備だよ。ほら…やらかす奴がいるだろ?」
「…ああ、なるほど」
「…納得です」
ソウルが言う人物が分かった二人は、その人物の顔を頭の中に浮かべ、苦笑いを浮かべた。
「では私は一旦会社に戻り交渉の準備をするので失礼します!」
「分かりました。交渉が成功するといいですね」
「必ず成し遂げて見せますよ!では!」
ガンシは、ソウル達に会釈をした後、自身が務める会社に全力で走り出して行った。
「あら?もう見えなくなったわ…足早いわね」
「何かのスキルでしょうか?」
「あれは【ワーカースプリント】というスキルですね。何らかの会社に所属し、アルバイト以上の立場にならないと発動できない移動スキルです」
「アルバイト以上?…正社員か?」
「そうです」
「派遣社員はどうなのかしら?」
「…残念ながら使えません」
「…世知辛いなぁ」
マギアの答えを聞いて、ソウルはこの世界の社会に対して悲しみを感じると、その悲しみを体から出す様に呟いた。
-学術都市ベリタス・インペリアルホテル・特別客室-
「ただいまーっと」
「戻りましたー」
「戻ったわ」
「「お帰り~」」
ソウル達がホテルに戻ると、ティカルとジンジャーがだらけた姿勢でソウル達に返事を返した。
「お?二人が居たなら丁度いい。今後の予定を皆に伝えておく」
「お?何々?」
だらけた姿勢の二人は、ソウルの話を聞こうと体を起こして聞く姿勢に正すと、アップルとマナリアも近くにあった椅子に腰掛け、ソウルに耳を傾けた。
「今後俺達は列車でプロテウスに行った後、マークスと言う人物から賢老のローブ製作のクエストを受けて、それをやって行く事になると思う」
「そのマークスっていう人が何処にいるか分かっているの?」
「ああ、俺が調べた限りだと街の北東付近で小さな仕立て屋をしているみたいだ」
「そのクエストの内容は分かりますか?」
「主に素材集めだな。それもそのクエストを受けないとアイテムが出ないタイプの奴だ」
「最初から持っていくっていうのが出来ないんですね?」
マナリアの質問に、ソウルは頷いて答えた。
「そのクエストを終わらせたらいよいよウェルミットの塔よね?」
「ああ、プロテウスから出ている列車で近くまで行った後、そこから直接マウントで塔まで飛んで行けばいいと思う」
「いつ頃出発するの?」
「それは相談なんだが皆明日何時頃インできる?」
ソウルが仲間達に尋ねると、仲間達は視線を上に向けて時間を確認しだした。
「明日は20時位かしら?遅くても21時位にはインできると思うわ」
「私もその位です」
「僕はオールで行けるよ!」
「今は無茶する必要ないからオールは止めておけ…で、え~っと…じゃあ、20時30分位にベリタス駅入り口前集合でいいかい?」
「分かったわ」
「了解です」
「あいよ~」
「朝じゃないから寝坊する心配はないね!」
ジンジャーの言葉を聞いた仲間達は、自らフラグを立てた女に対して最大限に不安を覚え、眉間に皺を寄せた。
「(駄目かもしれない…)」
「(これは駄目ね…)」
「(駄目っぽいですね…)」
「(こりゃ駄目だな…)」
仲間達は、フンスと意気込むジンジャーの姿を見て、内心でそう思った。
- 翌日・午前7時・ベリタスの外-
「これから特殊魔法弾の実験を始める!」
「マスター?いきなり声を張り上げてどうしました?」
「意味は無い!」
「左様ですか…」
「銃はCLC 12を使う!」
「敵は前方にいるメタルパペット、弱点は雷や酸です」
「酸の魔法は無いから雷だな」
「了解しました。各種センサー良好、いつでもどうぞ」
翌日にインしたソウルは、以前から頭の中で考えていた新たな属性魔導弾を製作し、その威力を確かめる為に、ベリタスの街の外へとやって来ていた。そして、マギアが自身の周囲に、幾つものウィンドウを展開して準備が整った事をソウルに伝えると、ソウルはCLC 12の銃口をメタルパペットに向けて引き金を引いた。
「…あれ?」
「先程与えたダメージは467でした。マスターもっと魔力を弾に込めてみてください」
「分かった」
マギアのアドバイスに頷いたソウルは、先程倒したメタルパペットの奥にいた同じ敵に銃口を向け、弾に魔力を込めて行った。
「…どの位入れればいいんだ?」
「もっとです!」
「もっとか!」
マギアの言う通りに魔力を込めていくと、CLC 12のわずかな隙間から、青色の光が溢れ出してきた。
「まだか?大分入れたと思うのだが…」
「まだ行けます!もっとです!」
「マジか!」
マギアの言葉に不安を感じつつも、更に魔力を込め続けると、溢れ出ていた青色の光が赤黒い色に変わり、光の量も強くなっていった。
「な…なぁ?これヤバいんじゃないか?」
「問題ないです!もっと行きましょう!」
「ホントに大丈夫か!?銃から嫌な音が聞こえてくるんだが!?」
「大丈夫です!そのまま込め続けて私の合図で発射してください」
「ホントかよ…」
言われた通りに魔力を込め続けていると、突然銃から聞こえていた嫌な音が鉄琴でドを出したような音に変わり、溢れ出ていた光の色が金色に変わった。
「今です!」
マギアから合図が来ると、ソウルは引き金を引いて属性魔導弾を放つと、放たれた属性魔導弾は、メタルパペットの胴体を殆ど吹き飛ばし、更には後ろにあった木々や岩などを貫通していった。
「万越えのダメージが出ましたよ!成功です!…あれ?マスター?ひっくり返ってどうしました?」
「ものすごい反動でひっくり返った…そして何故だか硬直のデバフが付いて動けない…」
「その硬直はこの世界の仕様で高威力の技や道具類等を使った際に起きる物です。防具系などに付与されている効果で軽減または無効化できます」
「そうか…ってこれ外したらヤバいじゃん!魔力込めるのにも時間が掛かるし…」
「そうですね…使うとするなら最後の切り札でしょうね」
「普段使いはできないな…お?硬直が解けた!」
ソウルは、ひっくり返った姿勢から立ち上がると、ウィンドウを開いて銃に異常が無いか調べた。
「…銃の耐久が残り2割なんだが?」
「まぁあれだけの威力を出しましたからね」
「う~ん…今の持っている銃じゃ一発だけの切り札にしかならないか…あの威力に耐えうる新しい銃を作るしか…ん?」
ソウルは、アイテム欄の中に何か使える物が無いか探していくと、一番最後の枠にとある物があった事に気が付いて驚いた。
「は?チャオスの箱?え?はぁ?」
「おや?ドロップしたのですね。初ドロップおめでとうございます」
「なんで今出た!それも13箱あるし!何でだよ!なんで必要な時に出なくて要らない時に出るんだ!」
「そういう物だと思いますよ?マスター」
「ふざけんなぁぁ!」
ソウルは、心の底から湧き上がってくる悔しさを、しばらくの間地面に向かって打つけ続けた。
黄金の鉄の塊を身に纏うナイト…いったい何ントさんなんだ…
ジンジャーから漂う青木臭…
物欲センサー…恐ろしい…
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