幸せを運んできたうさ耳の獣人
完成しました。お楽しみください!次回からカドゥケウス終盤の話になると思います!
次回更新は10月19日 0時更新です!
「チャオスの箱をドロップするのはベリタス周辺にいるマシーン系の魔物でいいんだよな?」
「はい。アイアンバード、ジャンクワーム、メタルパペット、シルバーライターンがドロップ対象ですね」
「…出ないんだけど?」
「すばらしく運が無いな、君は」
「おい!とあるアイテムラボの店員が言うセリフは止めろ!ちくしょうめ!」
学術都市ベリタスの外に出たソウル達は、早速対象の魔物を狩り始めたが、2時間経った今でもドロップする事は無かった為、何か間違えているんじゃないのかと思い、改めてマギアに確認してみると、運が無いと言われてしまい、ソウルはその言葉に憤慨した。
「あ、北東方向でジャンクワームがリポップしましたよ」
「うらぁ!出せぇ!」
全身が機械のミミズが地面から出てくると、ソウルは早撃ちのする様に銃口を向けた後、連続で引き金を引くと、放たれた弾頭は胴体に当たり、ジャンクワームを黒い霧に変えた。
【アナウンス:ジャンクワーム を討伐しました。SP 20 を獲得しました。42 オカーネン を獲得しました。ジャンクパーツ(小)を獲得しました。】
「出ねぇ…」
「すばらしく運が無いな、マスターは」
「だからやめろって!しまいにゃ泣くぞ!」
オリジナルに似せて言ったマギアに対し、ソウルは目尻に小さな涙を浮かべながら、止めるように言った。
「後方に新しいのが沸きましたよ!アイアンバード2機とメタルパペット1機です」
「今度こそ!」
ソウルは後ろに振り返り、すぐ近くにリポップしたアイアンバードに銃を向けて引き金を引くと、銃口から放たれた弾頭は、アイアンバードの頭部に当たりHPの9割を削った。そして、ソウルに攻撃されて瀕死のアイアンバードは、口からサイレン音を周囲に響かせると、その近くに居たもう1機のアイアンバードとメタルパペットを呼び寄せ、ソウルに敵意を向けて来た。
「仲間を呼びましたね」
「雑魚だから問題ない!」
ソウルは、瀕死のアイアンバードに止めの弾丸を撃って、黒い霧へと変えた後、こちらに向かって来ている2機を正面に捉えながら後へと下がり、その2機に連続で発砲して倒した。
【アナウンス:魔物群れ を討伐しました。SP430 を獲得しました。430 オカーネンを獲得しました。ジャンクパーツ(小)x2 ジャンクパーツ(中) 劣化したコード を獲得しました。】
「…」
「これは~…あれですね!あのセンサーが発動してますね!」
「物欲…センサー…」
ソウルが、ガックリと地面に項垂れると、横にある茂みから搔き分ける様な音が聞こえ、その方向に顔を向けてみると、小学4年生位の身長で、頭にうさ耳を生やした獣人が現れたが、その獣人の顔にはガスマスクを身に着けていて、かなり怪しい雰囲気を見に纏っていた。
「こ…こんにちは!」
「え?あ~…こんにちは…」
「さっきアイアンバードとかメタルパペットとかのマシーン系を倒してましたよね?」
「倒したけど?」
「やった!…あ!ごめんなさい!…コホン…えーそれでですね。そのマシーン系から出たジャンクパーツ等を譲ってほしいのですが…駄目でしょうか?」
「いいですよ。俺はチャオスの箱集めしているのでそれ以外は必要ないですし…」
「ありがとうございます!ありがとうございます!いや~助かります!」
ソウルは、うさ耳の獣人の提案に頷いた後、立ち上がってウィンドウを開き、アイテム欄にあるトレードのボタンを押すと、トレード選択画面がウィンドウに表示された。
「チャオスの箱を集めているんですよね?お礼にこれをどうぞ!」
うさ耳の獣人が求めているアイテムを、アイテム欄から選んでトレードの枠に置いて行った後、OKボタンを押すと、うさ耳の獣人側の枠にチャオスの箱x40と表示され、ソウルは目を大きくさせて驚いた。
「え!いいんですか!?」
「はい!お礼ですので気兼ねなく受け取ってください!」
「助かります!2時間位やっているのですが1個もドロップしなくて困ってた所だったんです!」
「え?…2時間やって1つも?…え?」
うさ耳の獣人は、信じられないと言いたそうな顔をしながら、ソウルの顔をじっと見つめた。
「バグとかの話ではないですよね?…それでも2時間くらいやって?…え?」
「本当です!信じてください!」
「えっと~…あ!じゃあそこに出てきたシルバーライターンを倒して見てください!」
「分かりました!」
トレードが正常に完了しましたとウィンドウに表示された後、ソウルはウィンドウを消して、新しくリポップしたシルバーライターンに銃口を向けて、連続で引き金を引き、黒い霧に変えた。
【アナウンス:シルバーライターン を討伐しました。SP120 を獲得しました。110 オカーネンを獲得しました。罅が入ったインサイドユニットを獲得しました。】
「罅が入ったインサイドユニットを手に入れました…」
「え?チャオスの箱は出なかったんですか?」
「はい…」
「おかしいですね…敵を倒したら必ずドロップするゴミアイテムなのに…あ…」
「ぐふ!」
求めているアイテムが必ず出るゴミアイテムと呼ばれ、その言葉がソウルの心にクリティカルとして入ると、ソウルは再び地面に項垂れた。そして、項垂れたソウルの姿を見たうさ耳の獣人は、慌てて口を押えながら頭を何度も下げてきたが、ソウルの心が晴れることは無かった。
「ごめんなさい!必死に集めているアイテムをゴミ扱いするのは酷いですよね!本当にごめんなさい!」
「ああ…うん…大丈夫ですよ…」
「でもなんでそんなに出ないのでしょ…あ!沸いた!よいしょ!」
会話の途中で、新しくメタルパペットがリポップし、うさ耳の獣人は背中に背負っていた大きなスパナを掴んだ後、唐竹を割る様に真っ直ぐ振り下ろし、メタルパペットを黒い霧に変えた。
「あ、出た…」
うさ耳の獣人が呟くように言うと、その言葉が耳に入ったソウルは、口を一文字に結びながらな何とも言えない表情でうさ耳の獣人を見つめた。
「えっと…あの…ごめんなさい!」
ソウルの視線で、居た堪れなくなったうさ耳の獣人は、その場から逃げ出して行った。
「マスター?こういう時に言える言葉がデータにあるので言ってみますね!…ドンマイ!」
「うるせぇよ!」
ソウルは、心からそう思った。
-学術都市ベリタス・入口-
「結局あれから1時間位やったけどドロップしないのは何なんだ?あれか?俺は呪われているのか?」
「だとしたらかなり特殊な呪いですね?チャオスの箱だけが出ない呪いとは…」
「か~やってられるか!今日はもう落ちる!」
「お疲れさ…おや?アップルさんとマナリアさんが居ますね?」
「ん?」
マギアが、名前を言った二人が居る方向に指を指すと、ログアウトをしようとしていたソウルは、視線をマギアが指を指している先に向けてみると、アップルとマナリアが何かを会話している姿が見えた。
「挨拶だけして落ちるか…」
ソウルはそう呟き、二人に近づいて行った。
「おつかれ~」
「あ、ソウルさんお疲れ様です」
「お疲れ様。ねぇ?ソウル?もしかしてこんな箱集めてる?」
アップルは、アイテム欄からチャオスの箱を取り出して見せると、ソウルは目を大きくさせて驚いた。
「集めてるけど…なんでわかったんだ?」
「ちょっとこの周辺でマナリアとSP稼ぎしてたら兎耳の獣人プレイヤーがジャンクパーツを譲ってほしいと話しかけて来たのよ」
「ですです!それで快くトレードしてあげたんですけど、その時にウサギ耳の獣人さんが「さっき会った銃士の方が何故かチャオスの箱がドロップしなくて不憫な目に合っているので、もしその方と出会う事があったら協力してあげてください」と涙浮かべながら言って来たのです」
「その話を聞いて、もしかしたらその銃士ってソウルの事じゃないかしら?と思ってたのだけど…合ってたみたいね」
「邪魔だからと捨てなくてよかったです。はいこれ全部どうぞ!」
「私も渡すわね」
「本当にありがたい!感謝する!」
最初にマナリアとトレードを開始し、マナリア側の枠に表示されたチャオスの箱の数を見て、ソウルは再び驚いた。
「1149個!?まじか!」
「敵を倒したらたまに2個とか3個出たのですよ」
「私もその数とだいたい同じ位ね」
「マジか…」
ソウルは、トレード画面を凝視ながら言うと、丁度視界の端に居るマギアが、何か言いたそうにしている姿が見え、ソウルは視線をマギアに向けた。
「マギア?どうした?」
「お二人はこんなに出ているのに…マスターは…」
「おい…それ以上何も言うな…」
次に言う言葉が分かったソウルは、目を睨ませて言うのを止めさせようとしたが、マギアはそんな事を気にせずに言葉を続けた。
「すばらしく運が無いな、マスターは」
「ちっくしょょょょょ!」
ソウルは心からそう叫んだ。
[ドロップ率変動作戦・・・・・失敗
これ以上の作戦続行は不要と判断・・・・
次作戦に移行・・・・
対象が作戦エリアに入るまで待機します… … …]
PSO2ユーザーならあの例のセリフを何度も聞いて絶望に打ち震えた事でしょう…
皆ドロップしたと言っているのに自分だけ何回やっても出ない…そんな経験をした人はたくさんいると思います!そして不要になった後に何度もドロップしてくるという…
もうね、泣きたくなりますよ!
モチベ維持に評価お願いします!
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