知恵者のカンテラ 9
難産でしたがお楽しみください!
次回更新は8月10日 0時更新です
「来るぞ!」
ソウルが、Σウェポンを向けて発砲してヒュージパラサイトに攻撃すると、今まで様子を見ていたヒュージパラサイトが動き出し、スライムに寄生された頭を上に向けて、何かを吐き出すのか喉元を大きく膨らませた。
「ブレス来ます!ハイジャンプして回避してください!」
「やば!」
マギアが大声で注意を施したが、攻撃モーションに入っていたティカルが1テンポ遅れてしまい、扇状に吐き出された紫色ブレスが片足に掛かってしまった。
「げ!鈍足と猛毒…それに麻痺!」
「ジンジャー!治せるか!?」
「行けるわ!」
「頼む!アップル!マナリア!マギア!あいつの向きを変えるぞ!」
「はい!」
「了解よ!」
「了解です!」
扇状に、吐き出された紫色のブレスをジャンプで回避した後、ソウル達はティカルの治療の為、今いる6時の現地点から9時方向へ攻撃しながら移動して行った。
「さっきから攻撃してるが…全然HP減ってないな?」
「そうね、コアみたいな物も見かけないし…トカゲの体内にあるのかしら?」
「トカゲの部分を攻撃してみますか?」
「やってみよう」
「了解しました。攻撃目標をトカゲ部分に変更します」
ヒュージパラサイトのHPバーを見ながらソウルが言い、攻撃目標をスライム部分からトカゲ部分に変更しようとマナリアが提案すると、ソウルとアップルそしてマギアがその提案に同意した。
「【蒼雷破】」
「【スパイラルスティンガー】」
「フルバーストします!」
アップルとマナリアがスキルを使い、マギアとソウルは通常攻撃をすると、ヒュージパラサイトはトカゲの胴体に攻撃が当たるのを嫌がり、頭部部分のスライムの粘液を大きく膨張させると、その粘液でソウル達の攻撃を受け止めた。
「…嫌がったな?」
「嫌がったわね」
「やっぱり胴体にコアがあるんですかね?」
「その可能性は高いですね」
「スライムの部分をどうにかできれば行けるな」
「どうにかって…どうするのよ?」
「銀牙で凍らせて…」
「マスター…残念ですがあのヒュージパラサイトは凍結耐性が高いので凍りません…」
「マジか…」
ソウルは、マギアに考えていた事を言ったが否定されてしまい、ソウルはどうしようかと、眉間に皺を寄せながら次の案を考えた。
「マギア?水は効くか?」
「有効ですが…どの位有効か分かりません」
「試してみるか」
ソウルは、アップル達に少し距離を取る事を伝えた後、アイテム欄からScarlettと余っていた水のエンチャントを付与した弾を取り出した。
「効いてくれよ…」
祈るような言葉を呟きながら、Scarlettの引き金を引くと、銃口から轟音と共に弾頭が発射され、着弾と同時にバケツ一杯分程の水が、ヒュージパラサイトに掛かった。
「【蒼雷破】」
「【スパイラルスティンガー】」
ヒュージパラサイトに水が掛かると、スライム部分の体積が小さくなり、全体の動作が遅くなったので、アップルとマナリアの二人はそれがチャンスだと理解し、トカゲの体部分にスキルを叩き入れ、HPバーを大きく削る事に成功した。
「弱点は水ね!」
「ソウルさんどんどんお願いします!」
「そうしたいのは山々なんだが…残りの弾2発しかない…」
「え!どうするんですか!?」
「急いで作るしかない…時間稼げるか?」
「私は水属性の技あるから行けるわ」
「頑張ります!」
「すまんが頼む!マギア、二人をサポートしてくれ!」
「了解しました」
「やっと回復したよ!お待たせ!」
弾にエンチャントを付与する為に、ソウルがその場から離脱しようとした時、状態異常から回復したティカルと治療していたジンジャーが、戦闘に参加してきた。
「攻撃来ます!」
マギアの言葉に触発されて、アップル達は警戒を強めると、ヒュージパラサイトのスライム部分が急激に膨れ上がった後、急速に縮むと同時に鋭い棘を突出させた。
「【ビックシールド】」
ヒュージパラサイトからの攻撃を、いち早く察したマナリアがスキルを使って仲間達を守ると、その後ろでアップルが両手に水を纏い始めた。
「切り込むわ!【水鉤爪】」
「了解!後ろに続くよ!」
ヒュージパラサイトから突出して来た棘の勢いが止まった瞬間、アップルが両手に纏った水の鉤爪で、邪魔な棘を切り落としながら前へと接敵して行った。
「【水鱗化】【斧生成】【ダブルスイング】」
二人が十分にヒュージパラサイトに近づくと、最初にティカルが行動し、自身の体全体に青色の魚鱗を発生させるスキルを使った。そして、右手の口から斧を生成すると、斧にもその魚鱗が付いた状態で生成されていた。ティカルは生成した斧をしっかりと握り、無限を描くようにスイングすると、刃が触れた所に水が噴き出す様に現れ、ヒュージパラサイトの横腹を容易に切り裂いた。
「(一瞬白い玉みたいのが見えたけど…あれがコアかしら?)」
ティカルが、ヒュージパラサイトの腹を切り裂いた事で、アップルの目に一瞬だけ白い玉の様な物が見え、その位置に向かって正拳突きを行う為に予備動作を取った。
「【スパイラルストレート】」
捻りこむ様に打ち出された、正拳突きが胴体に入ると、ヒュージパラサイトの体が少し浮かび上がり、破裂音に似た大きな音が部屋中に響き渡った。
「HPが半分を切りました!行動が変化します!注意してください」
マギアの忠告を聞いて、アップル達は距離を取ると、ヒュージパラサイトはその場で四つ足をバタつかせて暴れ出した後、部屋の壁を這うようにしながら天井に登って行った。
「困ったわね…」
「こらー降りてきなさーい!」
「僕の【射出】でも届かないなぁ…」
「同じく…」
アップル達が、天井に張り付いているヒュージパラサイトに向けて文句を言ったが、ヒュージパラサイトはそれらの言葉を気にすることなく、ただ目を気持ち悪く動かしていた。
「ブレス来ます!」
「え!あそこから!?」
「避けるしかないか!」
マギアの警告で、アップル達は天井にいるヒュージパラサイトを見上げながら身構えると、ヒュージパラサイトは喉を膨らまして紫色のブレスを吐きだしてきた。
「うわ!さっきと違ってダメージエリアが残るやつだ!」
「回避場所も考えないといけないわね…っと!」
「汚いです!ばっちぃです!」
「イヤァァ!ワァァ!ギャァァ!」
天井から吐き出されて来た紫色のブレスが、床に着弾すると、液体がぶち撒けられた様に放射状に広り、数十秒間の間その場に残る物だった。アップル達は、阿鼻叫喚の声を出しながらも、それを踏まないように気を付けながら、上から降ってくる紫色のブレスを回避し続けた。
「ちょっと!何時まで続くのよこれ!」
「もう逃げれるスペースが無いです…」
「あーもしかしてちゃんと逃げる場所の順番とかあったのかなぁ…」
「え!そうなの!?そんなの初見じゃ分からないわよ!」
「これは…回避不可ですね」
「もう駄目だ…おしまいよぉ…」
ジンジャーが、喉元を大きく膨らませ今にも吐き出そうとヒュージパラサイトを見ながら、絶望した声を上げると、別の場所から数発の発砲音が鳴り響いた。
「すまん皆!待たせた!」
ソウルが、銃口を天井に向けながら仲間達に謝った後、先程撃った水のエンチャントを付与した弾で、落ちそうになって慌てているヒュージパラサイトに、追加で数発発砲して天井から落とした。
「皆さん!チャンスです!ヒュージパラサイトは落下ダメージでHPが大きく削れました!今全力攻撃すれば倒せます!」
天井にいたヒュージパラサイトが、床に落ちた事で落下ダメージが入り、全力攻撃すれば倒せるとマギアが言うと、アップル達はバフスキルと大技の予備動作を取り始めた。
「マジックポット射出!身体強化!」
「【超集中】奥義!【獅子天咆】」
「【ランス・チャージ】【ウリエル・スティンガー】」
「【大剣生成】【ストレングス・アーム】【ルーナ・スラッシュ】」
ジンジャーが、マジックポットでアイテム同士を合成してアップル達のステータスを底上げし、高くジャンプしたアップルとマナリアの二人が、スキルを合わせるようにして放った後、ティカルが大剣の切っ先を、月を描くように振り下ろしてヒュージパラサイトに止めを刺した。
【アナウンス:ヒュージパラサイト の撃破を確認しました。これによりこのダンジョンを脱出しても5階層から始める事が出来ます。】
ソウル達のチャット欄にアナウンスが流れてくると、今まで開かなかった巨大な扉が、大きな音と共に開いて行った。
「…あれ?SPとか入手できたか?」
「入ってないわ」
「僕も入ってないね?」
「私もです」
「ないよ~」
「…なぁ?もしかしてこのダンジョンに人がいない理由ってもしかして…」
「そうだね…それもここが過疎っている理由の一つだと思うよ?」
「あ~…でもここでSPとか取れちゃうとここに集中しちゃって他の所に人が来なくなっちゃいますからそういった意味ではいいのかもしれませんね?」
「なるほど…」
マナリアの言葉にソウル達は納得した後、巨大な扉を通り、6階層に上がる階段を上って行った。
ヒュージパラサイト 森の中にいた小型の爬虫類が、メティスダンジョン内に侵入し、ダンジョン内の魔素に触れた事で魔物化と大型化した。その魔物はダンジョン内に居るゴブリン等を餌にしていたが、ヒュージパラサイトに寄生されていたゴブリンを食べてしまい、ヒュージパラサイトに寄生されてしまった。ヒュージパラサイトの元は、ダンジョン内を綺麗にするクリーンスライムだったが、突然変異でヒュージパラサイトになった。
マギアが攻撃しないのは、ソウルの指示ミスなのです。
ソウルが離脱する前にマギアに「サポート」を頼むと言ったので、マギアは攻撃より補助を優先しました。コトバッテ ムズカシイ デスネー!
~プレイヤーが天井まで届く攻撃を持っていない場合~
HP半分を切ったヒュージスライムは天井に移動して紫色のブレスを吐いて来ますが、プレイヤーが部屋の端に移動して、四角い波を描くように回避して行けば助かるギミックです。
【ウリエル・スティンガー】高くジャンプした後、対象に向けて槍を突き出すと、突き出した先の地点にダメージ判定がある光の柱を出現させる。
【大剣生成】大剣を生成する
【ストレングス・アーム】一時的に腕力を上げる
【ルーナ・スラッシュ】大剣装備時、そしてSTR値が300以上ある場合使用可能な技で、現在のSTR値×3.5倍のダメージを出す。
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誤字脱字報告 あじゅじゅした!
まだ続くんじゃよ…




