知恵者のカンテラ
お楽しみいただけたらこれ幸いです。
次回更新は6月15日 0時更新です!
「綿布を巻いてっと…よし、出来た!マギア確認してくれ」
「少々お待ちください……はい、問題ありません」
「完成ですね」
「出来たわね」
「心なしか立派に見えるね」
「…ん?出来たのよう?」
「≪完成したワン?≫」
マギアが、最後に確認をして問題がない事を確認すると、完成した杖の出来栄えに、仲間達はそれぞれ感想を述べた。
「ナナミちゃんありがとう。君が手伝ってくれたおかげで立派な杖が出来たよ」
「えへへ」
ソウルがナナミを褒めると、ナナミは恥ずかしそうにしながら照れた。
「杖が完成したから次はカンテラかローブよね?」
「ここからだと知恵者のカンテラがある場所が近いけど…どうする?」
「私は近い方でいいですよ」
「僕も近い方でいいよ~ローブを先に取る理由もないし」
「私も近い方で構わないわ」
「じゃあ知恵者のカンテラを取りに行こう。場所はここから東に向かった所にあるランバル村の近くにあるダンジョンにあるらしい」
「ダンジョン…腕が鳴るわね」
ダンジョンと言う言葉にアップルが期待すると、他の仲間達も期待する言葉を言い始めたが、その中で一人だけが寂しい顔をしていた事に、ソウルは気が付いた。
「ソウルさん達行っちゃうんですね…」
「そうだなナナミちゃん…俺達は先に進む…それにこの町にまた来れるかは分からない…でも俺達はナナミちゃんの事は忘れないぞ」
「私も忘れないわ。こんなに笑顔が素敵な女の子がいたって事を」
アップルの言葉に同意するかの様に、仲間達はナナミを見ながら頷くと、ナナミは目に涙を浮かべた。
「私も…絶対に忘れないです…ソウルさんが甘えていいって言ってくれた事…叔父さんと叔母さんとの仲をよくしてくれた事…絶対に忘れないです!」
ナナミは、流れてきた涙を手で拭い、笑顔を作った。
「ランバル村に行くのか?それなら帰り道にあるから送って行こうか?」
「頼む」
ユメミルクが提案に、ソウルは頷いた。
「じゃあ、そろそろ帰るから俺達の船に乗ってくれ。ナナミちゃん、なんか面倒事が起こったら俺達を頼ってくれ。冒険者ギルドに言えばすぐ駆けつけるからな!他の皆にも言っておいてくれ」
「はい!」
ナナミが元気よく答えると、ユメミルクはその言葉に笑顔で返し、ウィンドウを操作し始めると、上空で止まっていた飛行船から、金属製の梯子が降りてきた。
「おう!じゃあ、降りてきた梯子に掴まってくれ。自動で引き上げてくれるから」
「分かった」
ユメミルクが降りてきた梯子を掴むと、自動で上に上がって行き、ソウル達も梯子を掴んで飛行船に乗り込んでいった。
「皆さーん!さようなら!」
ナナミのその声に、ソウル達は手を振って答えると、飛行船が進み始めて行った。
-ヴァルハラ・エインヘリャル・客室-
「飛行船って快適ね」
「そうだねアップルちゃん…マウントもいいけど流石に長距離移動は飛行船がいいね」
飛行船エインヘリャルの客室で、寛いでいたアップルとマナリアの二人がそんな会話をしていると、その会話を聞いたマギアがソウルに話しかけてきた。
「マスター!お二人が言っている様に飛行船が必要なのでその為のユニオンハウスを建てましょう!」
「飛行船はユニオンハウスからじゃないと作れないんだっけ?」
「いえ、一応は作れますが時間とオカーネンがかかりすぎます」
「それに場所も必要になるか…どうしようか…建てるのいいんだけど何処の場所に建てるのがいいんだろう?」
「いい候補地を探しておきますね」
「ああ、頼む」
マギアがウィンドウを操作し始めると、二人がいる所にティカルが近づいてきた。
「ユニオンハウスって聞こえたけど建てるの?」
「建てようとは考えているけど…何処に建てたらいいか分からんからマギアに調べてもらっている」
「僕大きな農地が欲しいかな~スローライフ系のゲームで何かを育てるの好きだったし」
「農地って畑とか田んぼとかか?」
「うん。それとできれば畜産もできればいいかな~」
「それだとかなり広い場所が必要になるな…」
ソウルは、どの位土地の広さが必要になるか頭の中で計算し始めると、銀牙を抱きかかえながら客室の中を飛び回っていたティーが話に入ってきた。
「お家建てるのよう?なら近くに森がある場所がいいのよう!」
「≪駆け回れるお山が合ったらいいワン≫」
「も…森と山…だと…とんでもない額のオカーネンが必要になるな…」
「その条件だと最低でも3億くらい掛かりますね…そして6桁クラスの税も払っていかなければいけませんし…」
「さ…三億…6桁の税金…」
マギアが言った金額を聞いて、ソウルは困惑し始めた。
「まじかよ…どうすればそんな金額を稼げるんだ?」
「一つ簡単な方法がありますが…マスターのプレイスタイルではおすすめはできません…」
「それは?」
「何処かの国に仕官して手柄を立てて領地を賜ればいいのです」
「爵位持ちになればいいのか…まぁその方が安くは済みそうだけどお勧めできないのはなんで?」
「領地経営で手一杯になり今までの様な自由に冒険する事が出来なくなってしまいます」
「なるほど…それはおすすめ出来ないな…」
マギアの言葉にソウルは納得し、どこかの国に仕官するという事は無しだなと頭の中で思った。
「そろそろつくぞ!下船の用意をしてくれ」
扉の入り口近くにある伝声管から、ユメミルクの声が聞こえてくると、ソウル達は客室を出て甲板に向かった。
-ランバル村・入口-
「ユメミルク送ってくれてありがとうな!」
「送迎に感謝します」
「またね~」
「ありがとうございました!」
「感謝するわ!」
「バイバーイなのよう!」
「≪お世話になったワン!≫」
飛行船から梯子を使って地上に降りたソウル達は、飛行船にいるユメミルク達に手を振りながら言うと、甲板でソウル達を見下ろしていたユメミルクも、片手を上げて答えた。
「なんかあったら頼れよ!オカーネン以外でな!」
ユメミルクからそんな言葉が聞こえた後、エインヘリャルが動き出し、自分達の拠点へと帰って行った。
「ソウル?この村の近くにダンジョンがあるのよね?そのまま向かうの?」
「いや、この村で少しそのダンジョンの事を調べてみよう」
「情報収集ですね」
エインヘリャルを見送ったソウル達は、そのままダンジョンに行くかどうかアップルが聞いてきたが、ソウルは村でダンジョンの事を聞いてみようとソウルが提案し、仲間達はそれに頷いた後、ソウル達は村の中に入って行った。
「長閑な村ね」
アップルが言った通り、ランバル村の風景は長閑な田舎と言う様な村であり、あちらこちらにある畑で作業している住民達が、興味本位な目でソウル達を見てきた。
「お主等は旅人さんかい?」
「あ、いえ冒険者です。この村の近くあるというダンジョンに挑みに来たのですがこの村で何か情報を聞けないか立ち寄ってみたのです」
「こりゃあたまげた!今時あのダンジョンに挑みなさる人がいるとは…」
ソウル達が村の中を進んでいると、雑貨屋の店前にあるベンチで日向ぼっこしていた老人が、ソウル達に話しかけてきた。その老人は、ソウルの言葉を聞くと細めだった目を大きく開きながら驚いた後、膝をポンと軽く叩いた。
「儂はこの村の村長をやっているノボールっていうもんじゃ。又聞きした話なのじゃがそれでも良ければ儂が答えよう」
話しかけてきた老人が、村長だった事にソウル達は驚きながらも、ダンジョンの事を尋ね始めた。
「では、早速質問ですがダンジョン内に出てくるモンスターはどんなのが出るか分かりますか?」
「ゴブリンやらオーク、オーガ等の亜人系が多いと聞いたのう…あーあとエレメント系がたまに出るとも…」
「罠の類はあるのかしら?」
「床から出るくる槍衾とか高い位置に設置されたボウガンがあるって聞いたのじゃが落とし穴とかの罠の話は無かったのう」
「ダンジョンって何階層ですか?」
「30階層かの~」
「ギミックというか謎解きの類はある?」
「あるようじゃぞ?それも簡単な物から専門的な知識の謎かけらしいそうじゃ」
「なるほど…皆?他に聞きたい事はあるか?」
ソウル達が仲間達に尋ねるが、仲間達は首を横に振って答えると、ソウルはノボールに最後の質問をした。
「では最後の質問ですが途中で帰らなくてはいけない場合が出た時、入ってきた入り口まで戻らないといけないのでしょうか?それとも何かしらの帰還アイテムがありますか?」
「それについては聞いたことがあるのう…確か~…え~…なんじゃったかな…あ!そうそうピジョンウィングというアイテムがダンジョン内で取れるらしいから、それを使えばダンジョンの入り口にまで戻る事が出来るようじゃぞ?」
「ありがとうございます。準備を済ませたら早速挑んでみたいと思います」
「頑張りなされ~…あ、そうそうダンジョン内はだいぶ暗いらしいから後ろの雑貨屋でカンテラを買っておく事をお勧めするのう」
「分かりました」
ソウルは、ノボールに笑顔で感謝の言葉を伝えた後、仲間達と共に雑貨屋に入店して行った。
ナナミちゃんとの話をもう少し書きたかったけど、そうするとカドゥケウス編が長くなってしまう問題がある為こうなりました。
ユニオンハウスはお高いのです。山と森それに農地を含めると億越えもあり得てしまいます。
ソウル達の飛行船はいまだ考え中です。
ランバル村の村長は、昔ダンジョン案内人みたいな事をしていた過去があります。それにそのダンジョンから帰ってきた冒険者の話を聞くのが大好きなので、いろいろ答えられるのです。
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