杖作り 2
急な出費で破産しそうですが頑張ってます!もし駄目だったら…ウーン…
次回更新は6月8日 0時更新です!
「ジャスト26mmです」
「出来ました!ソウルさん!」
「よくやった!」
ナナミが、高速回転するエルダートレントの木材に、ユメミルクのアドバイス通りに紙やすりを掛け、要求されている太さに仕上げた。
「次は3級魔髄を使ってエルダートレントの丸棒に魔力線を付けます」
「魔力線?ってなんですか?」
ナナミが首を傾げながら言うと、ユメミルクが代わりに答えた。
「魔力線っつうのは魔力が通る道みたいなもんだな。その道を通って魔力が流れて仕掛けなんかのギミックを動かす事が出来るんだ」
「魔力って魔法使いさんが使う力の源の事ですよね?魔髄液を付けてないとどうなるのですか?」
「魔力は流れるけど途中で途切れちゃったり、通りずらかったり誤作動したりする」
「なるほど、ちゃんと道を作ってあげないと正しく機能しないんですね」
ナナミの理解に、ユメミルクは頷いた。
「赤い光でガイドしますので、このペンに魔髄液を入れて書いて行ってください」
「分かった。ここは俺がやろう」
マギアから、エアブラシの様な見た目で、万年筆の様に先が尖っているペンを受け取ると、ペン先にある塗料入れに魔髄液を入れて、赤い線をなぞって行った。
「よし、出来た」
「では定着するまでイミテーションルビーを杖に付ける為の台座を作りましょう」
マギアが、そう言った後にウィンドウを操作すると、表示されていたエルダートレントの丸棒までの内容が変わり、イミテーションルビーの台座作りの手順に変わった。
「爪部分が難易度高そうだな…」
「しっかり作らないと簡単に外れてしまいますので難しい作業になるとは思いますが、先ほど表示した手順通りにやれば問題なくできるはずです」
「とりあえずやってみよう。あ、それと皆も作ってみてくれ、俺のが失敗して一から作るとなると時間が掛かるからな」
「分かりました」
「やってみるよ」
「頑張ります」
「人力機械を使うなら任せて!」
「(アップル…逃げたな?)」
アップルが、機械を動かす専門になると言って、自ら戦力外だと自己申告すると、ソウルはその言葉にしょうがないなと思いながら、台座を作り始めた。
「ここを…ん?」
しばらく台座作りに熱中していたソウルが、ふと顔を上げてみると、加工場の入り口の方で、ユメミルクがとある少年を抱きしめている所を目撃した。
「(…何やってんだ?あいつ…)」
ソウルは、目を細めてユメミルクを凝視してみると、どこかで見覚えのある少年がユメミルクの胸に挟まれているのが分かり、しばらく藻掻く様な動きをしていたが、徐々に力が失われていくかのように動かなくなっていった。
「ふぅ…一仕事終えたぜ!」
胸の中にいた少年を、適当な所に寝かせたユメミルクはソウルの所に戻ってきた後、額をぬぐって清々しい顔をした。
「何やってたんだ?」
「ん?ああ、なんか急に少年が棍棒振り上げて襲ってきたから自前の優しさで寝かしつけてやったんだ」
「やさしさ…?」
「俺の胸には夢と希望と優しさがたっぷり詰まっているからな!」
「…なるほど」
「でも…なんであの少年は襲ってきたのだろうか?なんか理由っぽい物言ってたみたいだったけど、喚くように言ってたから聞き取れなかったしなぁ…」
「きっと多感なお年頃だから暴れたかっただけかも?」
「そうなのか?」
「知らんけど」
「「…」」
ソウルとユメミルクは互いに真顔で黙った後、ソウルは台座作りに戻り、ユメミルクも何かを作り始めた。
-ビトーレ・町の加工場-
「マギア、確認してくれ」
「分かりました。少々お待ちください」
マギアが表示した作業手順を確認しながら、台座を完成させたソウルは、マギアに出来上がった台座の確認を取った。
「マスターが作った台座は少し小さいのでイミテーションルビー自体が嵌りません…」
「あれ?表示された手順通りに作ったんだけどな…」
「縦5.5mm横3.2mmなのですが逆になっていますね」
「あちゃー…逆にしちゃってたか…」
「私のもできました!自信作です!」
「…あのマナリアさん?これは…」
「台座です!」
「…この上に何を置く気ですか?」
マナリアが自信満々に出してきたのは、両手を上にあげて何かを持つような姿の悪魔像だった。
「…えっと~…この上に対価になる物を載せれば何かと合体できそうなデザインだな?」
「マナリアちゃんだっけか?あんたある意味すげぇよ…」
「悪魔も泣き出しそうな顔してるわね」
「うわぁ…悪魔像っていうの初めて見ました…」
マナリアの悪魔像に、それぞれが感想を述べると、マナリアだけが首を傾げた。
「おかしいですね…私もウィンドウに表示された手順通りに作業したのですが…分からなかった部分をオリジナルにしたのが原因ですかね?」
マナリアは、後半の言葉を誰にも聞こえないように呟いたが、その呟きは全員の耳にしっかり聞こえた。
「手順通り?え?手順通りってなんだっけ?」
「オリジナル部分が強いなぁ」
「何故オリジナルを出してしてしまったのか…コレガワカラナイ…」
その場にいた仲間達は、マナリアの言葉に困惑したが、少しの後に落ち着きを取り戻し、次にティカルが作った台座をマギアは確認した。
「ティカルさんが作った台座には何の問題もありませんね」
「やったぜ」
「では、イミテーションルビーを嵌め込みましょう。爪部分はしなりますが強い力が掛かり続けると折れてしまいますので気を付けてください」
「あいよ~」
マギアから、ティカルが作った台座を受け取ったソウルは、イミテーションルビーを慎重にはめ込んでいった。
「これでいいか?」
「振って音が出なかったら問題ありません」
マギアに言われた通り、ソウルはイミテーションルビーを嵌め込んだ台座を振って確かめて見ると、何の音もしなかった為、問題ない事を確認した。
「次にエルダートレントの丸棒に台座を固定する為の溝とピンを入れる穴を作ります。それが済みましたら台座の凸部分になっている所を丸棒に差し込んだ後、ピンで固定します」
「溝と穴…ゴクリ…」
「…今お前下ネタ考えたな?しばらく壁向いてろ!」
「っく!何故バレたし…」
マギアの説明を聞いて、ユメミルクが呟くように言うと、ソウルはその呟きが微かに聞こえたので指摘すると、ユメミルクは悔しがりながら壁に体を向けた。
「穴はドリルで開けるとして…溝はどうすればいいんだ?」
「万力なんかで動かないように固定してドリルで穴開けて行けばいいぞ!例えるならあれだ!ミ〇四駆でやった肉抜きだ」
「あ~…なるほど」
「あぁ~…それで頑張って肉抜きしたのにコースで走らせたらリアルマグナム〇ルネードして大破する結果になるんだね?」
「おい!不吉な事を言うんじゃない!」
ユメミルクが、壁に体を向けながらソウル達にアドバイスすると、ソウルは納得したがティカルはよくあった結果を言葉にすると、ソウルが嫌な顔をしながら、ティカルの言葉を否定した。
「あの…ユメミルクさん?リアルマグナムト〇ネードって何ですか?」
「あー…なんと言えばいいか…創作物の中では必勝技だけど現実でやると何処かが高確率で壊れる禁忌の技だ」
「禁忌なのですか!?…恐ろしいですね…」
「ああ、人体に当たったら怪我をする恐ろしい技だ…」
ナナミが、壁を向いているユメミルクに質問すると、ユメミルクは態とらしい厳つい表情で説明し、ナナミを戦慄させた。
「ピンは前に刀を作った時の奴でいいか…」
「ソウルさん丸棒を固定しました~」
「ありがとうマナリア。後は~これを細いのに交換してっと…よし、アップル頼む!」
「任せて!」
アップルは、ボール盤の自転車に跨った後にペダルを漕ぎだすと、固定されたドリルが高速回転し始め、ソウルはゆっくりとレバーを下ろして行き、穴と溝を作って行った。
「一応出来たけど入るか?」
「いいえ、もう少し削らないと入らないので鑢で調節してください」
「分かった」
マギアの言葉に頷き、ソウルはひたすら溝の中を鑢がけて行き、幾度目かの確認で台座を嵌め込む事に成功した。
「後はこのまま横に穴開けてピンで止めればこの工程は終了だな」
「そうですね。最後はジンジャーさんの持ってきた綿布を巻いて完成ですから」
「…あれ?そういえばジンジャーは?」
ソウルは、ジンジャーの姿が見えない事に気が付いて視線を動かして探すと、マギアがある方向を指さしながら答えた。
「ジンジャーさんはここで働く男性達に興奮して鼻血を出しながら倒れてますよ?ほら、ユメミルクさんが寝かしつけた幼年の横で寝てます」
「えぇぇ…ジンジャー…」
ソウルは、ジンジャーのポンコツっぷりに片手で目を覆いながら落胆した。
魔力が物体に浸透出来る距離は、人それぞれ違いますが、平均は自身の手2つとその半分位の距離です。
この町には電気が無いのですべて人力でやっています。なのでムキムキマッチョメンの人達が多いのです。かっこいい所を見せようとしても返り討ちにあいます。
ユメミルクが作っている物は、自身の斧に付ける木製グリップです。
マナリアの才能が光る!
行くぜマグナ〇!トルネードだ!!…マグ〇ム!?マグ〇ァァム!?
とアニメを見返してみたのですが、あの硬い電池も折れ曲がっているので、最早レイスティンガーは兵器ですね!
肉抜きしすぎて大破させた人も多くいると思います。
ジンジャーはポンコツスキルが発動した。人生ゲームなら一回休みです。
次回予告
俺は…間違えていたのか?…数多の作戦もことごとく敗れ…失ったものも帰ってはこない…俺の望みは打ち砕かれてしまうのか…嫌…まだだ!まだ最後の作戦が残っている!
次回 満星の下で僕は君に愛を叫ぶ XX43話!「涙の敗北」 お前は…まさか…
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