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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
カドゥケウス
199/329

名もなき西の森の戦い 3

お楽しみください!


次回更新は4月27日 0時です!

「【大切断】」


「うわ!」


 デリー・バートンが、ティカルの頭を()ち割る様に斧を振り下ろしてきたが、ティカルは驚きの声を上げながら、右に飛び込んで回避した。


「食らいなさいよう!」


 ティーが風魔法を放つと、デリー・バートンの周囲にカマイタチを発生させる風の渦が現れ、全身に切り傷を付けた。


「ちょっとしか減ってないのよう!」


「問題ないぞ…っと!!」


 ティーが放った魔法が収まろうとした時、追撃に出たソウルがティーの言葉に反応しながら、βブレードを袈裟斬りに振り下ろした。…が、その攻撃は斧の柄腹で防がれてしまった。


「残念だったなぁ?」


「まだ終わってないぞ?」


 ソウルの追撃を防ぎ、デリーバートンは嫌らしい表情を浮かべたが、ソウルはΣウェポンの引き金を引き、爆発音と共にβブレードを振動させると、刃が斧の柄腹に食い込み始めると、デリー・バートンは慌ててソウルの腹に蹴りを入れた。


「くそが!!」


「おっと!」


 デリー・バートンが片足を上げた時、蹴られると気づいたソウルは、それ以上深追いせず、後ろへ飛びのき、βブレードを先に出す形で構えなおした。


「まだやるか?(さて…どうした物か…)」


「ざけんじゃねぇ!勝負はまだ始まったばかりだろうが!」


「上等!(あの遠距離攻撃無効には何かしらの条件みたいなものがあると思うんだが…)」


 ソウルは、遠距離攻撃無効をどうするか?と考えながら、挑発するように言葉を投げかけると、デリー・バートンは、憤激しながら言葉を返し、ソウルに向かって突進する勢いで向かってきた。


「【フェイクスラッシュ】」


「(いろいろやって確かめて見…な?!)」


 突進してきたオニオンチョップは、ソウルの目の前に立った後にスキルを使い、左薙ぎの攻撃をしてくると、ソウルはβブレードの切っ先を下に向け、持ち手と二の腕で防ごうとしたが、迫って来ていた筈の左薙ぎの攻撃が()()()()、ソウルの体に()()()()の大ダメージが入ってしまった。


「ッく!…フェイクってそういう事か!」


「おらぁ!止めだ!【アックスクラッシュ】」


「させないよ!【アッパーファング】」


 デリー・バートンの幻影攻撃に引っかかったソウルは、HPが半分以下となってしまい、止めのスキルを刺されようとしたが、ティカルが割り込むようにしてソウル達の間に入り、右手に出た剣で天を突く動作のスキルを使って、デリー・バートンのスキル打ち返した。


「すまんティカル!回復する!」


「任せて!」


「≪援護するワン!≫」


「えーっと…この場合に言うセリフは~…なぁ?首よこせ?なのよう!」


「(誰だ?ティーに島津武士を教えたのは?)」


 使い所を間違っているティーの言葉を聞きながら、Σウェポンを地面に突き刺して置いた後、ソウルはアイテム欄から回復薬を取り出して一気に飲み干し、自身のHPを回復させた。


「(10595/35189だったがハイポーションで13095になった。あとはハーフエリクサーでHPの50パーセントが回復するからハイポーション1本とリジェネポーションの持続回復で完治だな)」


 自身のHPを確認しながら、回復薬を追加で取り出して飲み続けると、胃の中に水が溜まっている感覚が感じ取れ、ソウルはその感覚に少しだけ表情を曇らせた。


「ヒーラーがいないから回復薬を使ったけどお腹がチャポチャポする…多飲はできないって事か」


 ソウルは、腹を摩りながらHPに視線を向けると、リジェネポーションの持続回復効果で、最大値まで回復したのを確認すると、地面に刺して置いたΣウェポンを抜き、デリーバートンに向かって走り出した。


「待たせたな!!」


「ん?待ってないよ?なんだか僕達だけで行けそうだったし」


「実際行けたわよう!」


≪行けたワン!≫


「畜生!急いで回復して来たのに酷い扱いだ!それもこれもお前のせいだ!デリーバートン!」


「ふざけろよ!っていうか俺に当たんじぇねぇよ!」


 ティカルの言葉通り、デリーバートンのHPは半分近くまで減っており、ソウルが来なくてもこのまま倒せる位だった。ソウルは、そんな事実を受け入れる事が出来ず、デリーバートンに八つ当たりする様に攻撃に加わった。


「くそ…くそがぁ!」


 ソウルが加わった事で、1対4の戦いになり更に劣勢になっていったデリーバートンは、一心不乱に斧を振り回しながらもスキルを乱発するが、疲れが溜まってきたのか明らかに動きが遅くなっていき、ソウル達の攻撃が(もろ)に入る様に成ってしまった。


「はぁ…はぁ…畜生が…」


「(今なら遠距離攻撃無効の条件を調べられるか?)」


 肩で息をしながら、ティカル達の攻撃を防いでいるデリー・バートンの姿を見て、ソウルは調べる為にCLCの銃口をデリー・バートンの頭に向けて、引き金を引いた。


「ちぃ!」


 デリーバートンは、ソウルが銃口を頭に向けている事に気づいていたが、ティカル達の攻撃を回避中だった為、それ以上動く事が出来ず、首だけを傾けて弾道から逃げたが、発射された弾丸自体は回避できた物の頬に掠った為、その掠った場所から赤い血を流し始めた。


「(通っただと?!何故だ?さっきは通らなかったのに今は通った…さっきの状況と今の状況を見比べてみて何が違う?考えろ!答えはあるはずだ!)」


 ソウルは、デリーバートンの頬から流れ出る血を見ながら、頭の中をフル回転させると、一つの考えが浮かび上がった。


「試してみるか…」


 そうつぶやいた後、アイテム欄からαトリガーを取り出し、Σウェポンを換装させた。


「ソウル?それは効かないんじゃなかったの?」


「大丈夫だ!俺の考えが正しかったら通るはず!ティカル達はそのまま攻撃してくれ!」


「何か分かったんだね?了解したよ!」


 ティカルの言葉に答えた後、ソウルは仲間達の邪魔にならないようにしながら発砲すると、デリー・バートンは()()()()()()()()ティカル達の攻撃をしのぎ始めた。


「やっぱり()()()()()?」


「ちぃ!もうバレたか!」


 デリー・バートンがその場に止まり、放たれた弾丸が見えない何かに阻まれたのを確認したソウルは、頭の中に浮かび上がった考えが間違っていなかった事に確証を得て、更には返答した言葉を聞いて正解したと確信した。


「銀牙!デリーバートンがいる地面を凍らせて滑らせてやれ!」


≪分かったワン!≫


 ソウルの指示を受け、銀牙が地面に向けて氷のブレスを吐くと、土と石ころだけだった地面が凍り出し、至る所に氷塊を出現させながら、その場一帯をアイスバーンに変えていった。


「ぐぅ!滑る!」


「これなら踏み止まる事はできないし移動判定になるだろ?終わりだ…」


 ソウルの言葉を聞いて、デリーバートンは忌々しげな表情をしながらソウルの睨んだ。斧を使ってその場に留まろうとすれば、ティカルの攻撃を防ぐ事が出来ず、かと言ってティカルの攻撃を防げばその場にと止まる事が出来ない為、遠距離攻撃無効の効果を発生する事が出来ずにソウルに撃たれてしまう。デリーバートンは、必死にこの詰みをどうにかしようと考えたが、その答えを出る前にΣウェポンから弾が発射された。


「うおおおおおお!!」


「な!?」


 ソウルが引き金を中程まで押し込んだ時、突然オニオンチョップが横から飛び込んでくると、デリーバートンを庇い、放たれた弾丸を見えない何かで防いだ。


「旦那!もう無理だ!撤退しよう!」


「うるせぇ!俺はまだやれる!」


「いや無理だ!あれを見ろ!」


 ソウルの銃から発射される、何発もの弾丸を防ぎながら、オニオンチョップが上空を指さしながら言うと、その上空には尾を引くようして上る白い煙と、その先端で赤く輝く何かがあった。


「信号弾だ!もうすぐここに援軍が来ると思う!もう時間切れだ!」


「くそ!くそ!くそがぁ!覚えていろてめぇ!絶対に殺してやるからなぁ!」


「逃がすか!」


 デリー・バートンの声を聴いて、逃げられると思ったソウル達は急いで近づいて攻撃しようとしたが、二人は突然体の中心から現れた、黒い渦に包みこまれるとその姿を消した。


「…逃げられたか」


 ソウルが舌打ち交じりに言うと、アップル達が申し訳なさそうな顔をしながらソウルに近づいてきた。


「ごめんなさいソウル…あいつのHP全損させたんだけどまさか復活するなんて思いもしなかったから油断してたわ…」


「あの復活も何かのスキルですかね?」


「いえ、あれは自動復活アイテムだと思います」


 青年のPTメンバーを治療していたマギアが、ソウルの下に返ってくると、マナリアの質問に答えた。


「はい。治療を施しながら皆さんの戦いを見ていたのですが、アップルさんがβFキックをした後、何かが割れる音を感知しました。さすがにアイテム名まではわかりませんが、復活した所を見ると何かしらの復活アイテムが自動で発動したと思われます」


「えっと~つまり身代わりアイテム?命の〇とかリレ〇ズとかみたいなやつ?」


「そうです」


「この世界にもそういうのあるんですね…」


「いいなそれ!俺も欲しいな」


「残念ですが…復活アイテム系は高額でトレードされている為現在のマスターの所持オカーネンでは…」


「え?!まじで?…はぁ…命は安くないって事か」


 ソウルは、お金がない事にがっかりしていると、背後から幼い声が聞こえ、後ろを振り返ってみると、視線下に小さい女の子が、恥ずかしそうにしながら立っていた。


「あ、あの!…助けてくれてありがとうございました…」


「えっと~君は?」


「ナナミって言います…」


「(この子が…)初めましてナナミちゃん!俺はソウル。こっちが相棒のマギアだ。で~格闘家っぽいお姉さんが…」


「アップルよ!」


「マナリアです。よろしくね」


「ジンジャーだよ~!」


「ティカルって言います」


「ティーなのよう!よろしくするのよう!」


≪ギンガだワン!≫


「わ!わ!頭の中に!わ!」


 アップルが自己紹介すると、残りのメンバーが一斉に自己紹介し始め、ナナミを困惑させた。


「おいおい、皆?そんな一遍に言うと困惑するだろう?ごめんね?ナナミちゃん」


「えっと…あの大丈夫です!人の名前を覚えるのは得意なので!」


「そうか、ナナミちゃんは利口なんだなぁ…で~ナナミちゃん?怪我とかしていないかい?」


「大丈夫です!フローレンさんにずっと守ってもらってましたから…」


「フローレンさん?」


「今ガダノスさんを解放しているエルフの女性です」


 ナナミが後ろに向かって指を指すと、倒れている男性に膝枕をしている耳の長い女性がいた。


「ガダノスさん私たちを守る為に身を挺して庇ってくれて…」


「そうか…勇敢な人なんだな…」


 ソウルはそう言いながら、視線をマギアに向けると、マギアがその視線に気づきチャットで返してきた。


 [私達の到着がもう少し遅かったら危なかったですが、現在は全員に治療処置を施しましたので命に別状はありません。しばらく安静にしておけば全治する事でしょう]


 [よくやった!]


 [頑張っちゃいました]


 マギアがソウルに褒められ、小聡明(あざと)いポーズで喜びを表現すると、その姿を見たソウル達は頬を緩ませた。


「あ…あの!どうかしましたか?」


 ソウル達が微笑んだ事に、不安を覚えたナナミが周りを警戒すると、ソウルはナナミに視線を向けて誤った。


「あ、ごめんねナナミちゃん、何でもないよ。それで~ナナミちゃん?もう少ししたら町の皆が救助に来るはずだからその時に一緒に帰ろうと思うんだけど大丈夫かな?」


「はい、大丈夫です!」


「いい子だ」


 ソウルは、ナナミの頭を撫でながら褒めると、ナナミは顔を赤くしながら照れ始めた。

【フェイクスラッシュ】 相手に幻影の刃を見せ惑わせる。相手が幻影に引っ掛かった場合、クリティカルが必ず発生する。


【アックスクラッシュ】 振り下ろし攻撃のみ発動可能。地面を陥没させる程の強烈な一撃を放つ。


【アッパーファング】 切り上げ 突き上げ攻撃時に発動可能。また、相手からの振り下ろし攻撃やスキルに対してキャンセルさせる事が出来る。


それもこれも〇〇っていう奴のせいさ…


オニオンチョップの遠距離無効はPTにも付与できます。が!効果は薄くなっています。


自動復活アイテムは最低でも億でトレードされています。種類としては消費系や複数回使える等いろいろあります。



次回予告

 ようやくナナミちゃんと会話できた!ヤッターウレシーと思っていたら…え!?ナナミちゃんと親しげに話すあの美人過ぎる男は誰!?あの男もナナミちゃんを狙っている!?ぐぬぬ…俺は一体どうすればいいんだ…


次回 満星の下で僕は君に愛を叫ぶ 402X話! 「峠でハードラックとタンゴを踊る」 

 お楽しみに!



モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!


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誤字脱字報告 きのどくな!

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