名もなき西の森の戦い
今回はちょっと短いです!
お楽しみください!
次回更新は 4月13日 0時 です!
「ふぅ…ご馳走様で…」
「誰か!助けてくれ!」
ソウルが魚料理を食べ終え、食後の挨拶を言った時、冒険者ギルドに全身を負傷した青年が転がり込んできた。
「どうしました!?」
突然転がり込んできた青年に、入り口近くにいたギルド職員が駆け寄り、事情を聴こうと声をかけると、青年は痛む腕を抑えながら、声を張り上げて答えた。
「突然現れた変な奴らに襲われたんだ!訳が分からねぇ!仲間は今もあいつ等を抑えてるはずだ!誰でもいい!助けてくれ!このままじゃ仲間達とナナミちゃんが死んじまう!」
「な…なんですって!?もう少し詳しくお願い!」
青年の言葉を聞いたギルド職員が驚き、更に詳しい事を聞こうとするが、青年は痛みせいか意識混濁をし始めていて、まともに会話が出来つつあった。
「君!意識がなくなる前に答えてくれ!君たちが襲われた場所は何処だ!?」
「はぁ…はぁ…西の…森…入り口…で…」
「わかった!後は任せろ!」
「頼む…仲間達を…ナナミちゃんを…」
青年からナナミの名が出た事にソウルは驚き、急いで駆け寄った後、襲われた場所を聞き出した。そして青年は、ソウルの問いに答えた後に、意識を手放してしまい、ギルド職員達によって奥の部屋に運ばれていった。
「ソウル?行くのね?」
「ああ、急ぐぞ」
ソウルは、アップルの言葉に答えた後、他の仲間達に視線を向けると、仲間達もその視線に頷き、ギルドの出入り口へと動き出した。
「俺達も行くぞ!」
「ヒーラー余ってたら俺達のPTに入ってくれ!」
「タンク職あと二人いないか!?」
ソウル達が、初めに動き出した事が原因かの様に、冒険者ギルドにいたプレイヤー達や住民達が、それぞれ慌ただしく動き始めた。
「マギア?場所に到着したら戦闘よりも救護を優先してくれ。戦闘は俺達の方で受け持つから。あ、それと後から来た冒険者達の為に信号弾を上げるのも頼む」
「了解しました。マスター」
「銀牙とティーは一旦戻っていてくれ。それと呼び出した時はすぐ戦闘が始まると思うからそのつもりでいてくれ」
「≪分かったワン!≫」
「どーんとティーにお任せなのよう!」
ソウルは、マギアに指示を出しながらウィンドウを操作し、銀河とティーの二人を帰した後、ジャバワークに跨り、仲間達が全員マウントに跨ったのを確認した後、西に向かって飛び立っていった。
-ビトーレ・名もなき西の森-
「マギア!何処にいるかわかるか?」
「私のレーダーにそれらしき反応がありますのでそこに向かっています」
「分かった」
ビトーレからたった数十秒で、西の森の上空に到着し、ソウルが青年のPTが今何処にいるのか、マギアに聞いてみると、すでに探知機能を使って居場所を特定していたらしく、その場所に向かって飛んでいるとソウルに伝えた。
「全員戦闘用意!見つけ次第その場に突っ込むぞ!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」
仲間達は、ソウルの言葉に勇ましく答えた後、すぐにでも戦闘が始められるように準備し始め、ソウルもジャバワークに格納されていたライフルを引き抜いた。
「視覚機能で捕捉できました!10カウントで到着します!」
マギアの言葉を聞いて、仲間全員に緊張が走った。
「俺も見えた!先制攻撃する!」
「了解しましたマスター!同スピードで安定させます!」
マギアが数えるカウントが減少していき、それに連動してソウルの目にも、敵だと思われる全身鎧を着た人物が確認できた。その全身鎧の人物は、目の前で倒れている人にとどめを刺そうと、今にも剣を振り下ろそうとしていた。
「(あいつは…!)」
ソウルが、ライフルを構えてよく狙ってみると、全身鎧の人物に見覚えがあったが、今はそんな事を考えている暇では無いと即座に頭を切り替え、ライフルの引き金を連続して引いた。
「うお!なんだぁ!?あ!お前は!まじかよ!本当に来たぜ!」
「ちぃ!やはり防がれたか!」
突然、上空から撃たれた事に驚いた全身鎧の男が空を見上げ、ソウルの姿を視界に入れると、歓喜するように声のトーンを上げた。
「俺を追ってきたのか?…オニギリチョップ?」
ジャバワークで、全身鎧の男と倒れている人の間に割り込んだ後、その場で自転してテール攻撃を繰り出し、全身鎧の男を下がらせると、ソウルはジャバワークから降りて、全身鎧の男を睨みながら言った。
「オニオンチョップだ!人の名前間違えてんじゃねぇよ!俺の頭に出てんだろが?!」
「機器の設定をドラマチックモードにしているから出てないぞ?ラムチョップ?」
「オニオンチョップだって言ってんだろうが!ふざけやがって…もう許さねぇからな!ツヴァイ・ゼーレ!」
「来るなら倒すまでだ。……そういえばお前の相方はどうした?」
「さぁな?どっかでそこにいる奴らの仲間を嬲ってるんじゃねぇか?」
オニオンチョップは、右手に持っている剣の切っ先を、負傷して動けないでいる青年のPTに向けながら言うと、ソウルはその言葉に失笑した。
「…嘘だな。吸血鬼がこんな真昼に活動するなんて事は相当のリスクなはずだし、彼女の性格を考えればどうせこう言うだろう?「真昼に吸血鬼を働かせるなんで馬鹿じゃないの!?あんた達だけでやってきなさいよ!この唐変木!」とかな?」
「な!?一字一句あっているだと…!?恐ろしい…」
「(マスター、この女性の治療処置が済みました)」
「(わかった)」
ソウルがジャバワークを降りた後、とどめを刺されようとしていた女性の治療をしていたマギアが、チャットで報告してくると、ソウルは腰にあるホルスターからΣウェポンとCLC 12を引き抜いた。
「一応聞いておくが…なんでこんな事をした?」
「俺の作戦だよ!」
ソウルがオニオンチョップに尋ねると、別の方向から答えが返ってきた。ソウルは、その声が聞こえてきた方向に視線を向けると、オニオンチョップの左後方から姿を現し、血走った眼をしながら手に持った斧を強く握りしめていた。
「デリー・バートン…」
「てめぇのせいで今まで築いてきたモノが全部なくなった!組織も追われた!しまいにゃお尋ね者だ…それもこれもてめぇのせいだ!てめぇを八つ裂きにしねぇと気が済まねぇんだよ!」
「は!ほざくな!それは全部貴様が悪い事し続けた結果だろうが!自業自得だ!」
「うるせぇ!うるせぇ!しねぇぇ!」
「おい!旦那!一人で突っ込むな!」
「やらせませんよ!【インタラプトガード】」
マナリアが、デリー・バートンとソウルの間に割り込み、デリーバートンの攻撃を盾で防いだ。
「クソがァ!しねぇ!」
「キレ過ぎて語彙力もなくなったか?」
「【スパイラルストレート】!!」
マナリアに向かって、一心不乱に斧を振るうデリーバートンに、アップルがマナリアの左から突出した後、スキルを使ってデリーバートンの腹に捻りを加えた右ストレートを繰り出し、デリーバートンの体をくの字に曲げながら吹き飛ばした。
「旦那!一人じゃ無理だ!」
「ゴホッ…グホォ…ぐぞがぁ…!」
吹き飛ばされたデリー・バートンに、オニオンチョップが慌てて駆け寄り、デリー・バートンを庇う様にしながら立ち上がらせた。
「アップルとマナリアそれとジンジャーはオニオンチョップを頼む」
「任せてください」
「ぼこぼこにしてやるわ」
「や…やってやりますよ!」
「デリーバートンは俺とティカル、銀牙とティーでやるぞ!」
「応さ!」
仲間達の声を聴いたソウルは、ウィンドウを手早く操作し、銀牙とティーを呼び出した。
「≪頑張るワン!≫」
「あたしの風が敵を穿つのよう!」
「いくぞ!」
ソウルの掛け声と共に、仲間達は動き出すと、オニオンチョップは忌々しい声を上げた。
「くそ!やっぱり分かれてきたか!」
「関係ねぇ!ぶっ殺すだけだ!」
デリー・バートン達も声を上げながら、ソウル達に向かって斧を振り上げた。
冒険者ギルドに誰かが転がり込んでくるのは所謂「お決まり」かもしれない…
オニオンチョップの名前を間違えるのはわざとですが、料理名が入っているのは作者…お腹すいてるんか?と言われれば頷くしかないです。
さて、ここでクイズです!ソウルは何時からFDVR機器の設定をドラマチックモードにしていたでしょうか?ワカルカナーわかるかなー?
そして、一部の人はこういうはずです「わかった!・・・・わからない!」っと!
説明忘れてて追記! ドラマチックモードは相手側にも自身の名前を表示しないという設定があります。なので名前を偽ることも可能です。
なぜこの場にデリー・バートンとオニオンチョップがいるのか…その理由はもう少し先の話で分かるんじゃ!
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