三つ巴
お楽しみください!
次回更新は、3月2日 0時更新です!
アマテラスの素材一つ足りない…
ツイッターでのご報告通り、現在PCが入院中な為、次回更新は 3月9日 になります! 申し訳ございませんが、今しばらくのお時間を頂きたいです。
「まず最初にデリー・バートンがやっている事はご存知ですか?」
「そりゃ知っているねぇ。なんたって家の傘下なんだから…」
「娼館経営と金貸しで間違いないですか?」
「そうさねぇ…」
ソウルの言葉に、老婆は深々と頷いた。
「では、こちらをご覧ください」
ソウルは、アイテム欄から例の媚薬と、マギアが調べた媚薬についての書類を取り出し、老婆に渡した。
「これは…まさか!」
老婆は、小瓶に入った媚薬をまじまじと見つめた後、書類に目を通すと、媚薬の中に麻薬が入っている事に驚き、両眼を大きく開いた。
「ご存知でしたか?」
「…いや、知らなんだねぇ…はぁ~…あの馬鹿たれは禁止されている麻薬なんかに手を出したのかい…これは本当にまずいねぇ…」
ソウルの問い掛けに答えた老婆は、苦痛の表情を浮かべながら、頭を抱え出した。
「その様子だと本当に知らなかったようですね…信じましょう。では次にジンジャーさんの事はご存知ですか?」
「ジンジャー?知っているも何も色々やらかしている有名な娘だから知っているねぇ…それに、この街にジンジャーっていう名を持つ人は1人しかいないし…その人がどうにかしたかねぇ?」
「そのジンジャーさんがデリー・バートンにお金を借りたのですが…どうも対応がおかしいのですよ」
「と言うと?」
「俺とジンジャーさんが出会った時、ジンジャーさんは追われていましてね…何でも借りた金が返せなかったらしく逃げて来たと言ったのですが…」
「それの何がおかしいかねぇ?返せないんだから何処かに連れて行かれて、何処かで働かされるのは当然の事じゃないかねぇ?」
「ええ、それはそうなんですが…明らかに奇怪しかったのですよ…」
「奇怪しい?なにがさねぇ?」
ソウルの言葉を、老婆は怪訝な顔をしながら聞き返した。
「必死だったのですよ。俺達が騒ぎを起こして逃げたのですが、この街にいるデリー・バートンの部下と思われる人達が総出で追いかけまわしてくる程に」
「…あの騒ぎはあんた達の仕業だったのさねぇ?おかげでこっちは協定破りやら店々の苦情の対応に追われて大変だったねぇ…」
老婆は、恨めしい表情をしながらソウルを睨んだが、そのソウルは全く気にしてない様子で、老婆に人差し指を向けた。
「それです、その協定破りですよ。その協定とは裏で生きる人達には「取り決められた縄張り」という物もあるのではないですか?」
「そりゃあ!…あ…そういう事かい…」
ソウルの言いたい事が分かり、老婆は眉を寄せた。
「ええ、お察しの通りデリー・バートンの部下達は縄張りなど一切気にする事なく襲って来ました」
「だから必死と言ったんだねぇ?」
老婆の言葉にソウルは頷き、話を続けた。
「何故あんなに必死だったのかは分かりませんが、きっと碌でも無い事を企んでいると思いますよ?」
「そうだねぇ…そう予想するのが当然だねぇ…」
老婆はそう答えた後、黙って何かを考え始め、ソウルも同じように黙って老婆を見つめた。そして、注文していた料理が届いた時、老婆が重々しく口を開いた。
「デリー・バートンとは縁を切るしかないねぇ…」
「それが良いと思います。そちらとしてもレオンさんの所とは敵対関係になりたくは無いでしょうし」
ソウルがにこやかに言うと、老婆が再び頭を抱え出し始めた。
「…あ゛あぁぁ…思い出したくない事を思い出させてくれたね!…はぁぁぁ…あの馬鹿たれはとんでもない事をやらかしてくれたもんだよ!」
「きっと相当な物を詫びにしないといけませんね?」
「なんであの馬鹿は一番襲っちゃいけない所を襲ったんだいねぇ…」
「おや?襲撃の理由はご存知ではないのですか?」
ソウルは、そう訊ねた後にゆっくりとココアップを飲み始めると、老婆は催促する様に人差し指をテーブルにトントンと叩き出したが、ソウルは何も気づいてない様に振るまっていると、老婆がため息を吐き、両手を上げた。
「分かったよ。降参だねぇ…何をしてほしいんだい?」
「俺としては3つあります。1つ目はデリー・バートン本人やその組織に関係している人達との繋がりを完全に切ってほしい事、2つ目はデリー・バートン達に被害に遭われた方達を助ける事、3つ目は俺達が困った時に無条件で助けて貰う事ですね」
「…3つ目が高く付きそうだねぇ…」
「今からお話する事を聞いたら同等の価値があったと思いますよ」
「ほぉ…言うじゃないか。じゃあしっかり聞かせて貰おうかねぇ?」
ソウルが老婆の言葉に頷いた後、レオンから聞いたホテル襲撃時の事、蟲惑魔潜入時に知り得た事を詳しく話し始めた。
-クリウス公園・喫茶「学びの安らぎ」-
「…なる程ねぇ…でも、その話だけじゃあんたの言う「同等の価値」と言うには足りないねぇ」
老婆が、それじゃ足りないと首を横に振ってから言うと、ソウルは片手で制止する手振りをしながら話を続けた。
「まだ話は途中ですよ。それにここからが重要な事です」
「何だい?勿体振らず早く話しな!」
「そこの媚薬が禁忌書室内にある本のレシピ通りに作られた物だとしたら貴女はどうしますか?」
ソウルが、テーブルに置かれた媚薬を指差しながら言うと、老婆は驚愕して目を大きく見開き、指さされた媚薬を見つめ始めた。
「な!?」
「作られている所をはっきりと見た訳ではないですが間違いないでしょう。蟲惑魔に囚われていたサキュバスの証言もありますしね」
「まずい…不味過ぎるねぇ…これは武装司書案件じゃないかねぇ…」
「おや?呼びましたか?」
老婆が冷や汗を搔きながら言ったその時、ソウルの後ろから聞き覚えのある男性の声が聞こえてくると、二人は驚いて視線を後ろに向けた。
「いつからそこにいた?」
「これはあんたの策略…じゃあなさそうだねぇ…」
そこにいたのは、前日ソウル達が戦ったシープ・レザーが仁王立ちしており、ソウルは右手をΣウェポンに伸ばしながら問いかけた。そして、その様子を見ていた老婆は、疑いの目をソウルに向けたが、今のソウルの姿を見て、仕込んだ事ではないと理解し、視線をシープ・レザーに戻した。
「君がホテル襲撃の話を始めた時ですね。ああ、安心してください。今日はオフなので働きませんし、どちらにも呼ばれて来た訳ではないですから。いや~まさか新しいスライムの実験をしていたら、こんな面白い事になるとは思いませんでしたよ」
「新しいスライムの実験?まさか姿が消える能力とか言わないよな?」
「まさにその通りですよ!昨日ボコボコにされたおかげで自分の弱点が痛みだと知りましてね!その対策として色々スライムを改造していたら偶然にも透明化の能力をスライムが身に着けましてね!こうして実験をしているのです」
シープ・レザーは証明する為に、足元にいたスライムを自身の体に纏わせると、スライムを纏わせた箇所から姿が消えて行った。
「どうです?すごいでしょ…おっと、この話は今は置いて置きましょう。それで?私を呼びましたか?」
「読んではいないが丁度いい…ゴホン、同席どうぞ」
「おやおや、それじゃあ失礼しますよ」
「ちょっと!お兄さん!?いったい何を考えて…」
ソウルは、心を落ち着かせる様に咳払いをした後、シープ・レザーを席に誘ったが、老婆はその事に対して、声を荒げながら問いただすと、ソウルは両手で制止する手振りをしながら、席に座り直した。
「先ほどの話を聞いていたのなら話は早いですね。この件を聞いて武装司書はどう動きますか?」
「まずは捜査ですね。任意、強制問わずにです」
「武力行使もあり得ると?」
「はい」
ソウルの問い掛けに、シープ・レザーは深々と頷いた。
「そうですか…なら情報提供者として一つあなたに要求しますよ」
「おや?それは…まぁ…聞くだけ聞きましょう?」
「今回俺達が禁忌書室に入った事を見逃してください。もちろん俺達のPTだけで構いませんから」
「…」
ソウルの要求に、シープ・レザーは黙って考えながら、ソウルの目を見つめた。
「俺等みたいなぽっと出の侵入者を相手するより、大物を相手にした方があなたの今後の未来に期待できると思いますが~…どうでしょう?」
そう言われてシープ・レザーは、しばらくソウルの出した提案を考えていたが、この街に居る大物の一人を処分できる機会だと思い、その話に乗る事にした。
「…なるほど。いいでしょう。今回はその情報に免じて貴方達を見逃しましょう」
「話が早くて助かりますよ。それで~ああ、ごめんなさい。お名前をお聞きするのを忘れていましたね。俺はソウルと言います」
「そうだねぇ…名前を聞くのを忘れていたけど、あたしゃはこの場では偽名を使わせてもらうよ。そうさねぇ…「クレイン」と呼んでもらおうかねぇ」
「クレインさんですね。分かりました。では、クレインさん近々捜査の手が入ると思いますから、見せたくない物は何処かに移しておく事をお薦めしておきますよ」
「ほっほっほ!そんな物ある訳ないけど…その忠告は有難く聞いておくかねぇ」
老婆は、なるべくシープ・レザーの顔を見ない様にしながら言うと、シープ・レザーがニヤッと笑った。
「先ほども言いましたが、今日はオフなのでその話は聞かなかった事にしますよ」
「おやおや?天下の武装司書様が何ともお優しい事をいうのかねぇ?」
「休みの日ぐらいは仕事から離れたいのですよ…ただでさえ激務が続いていましたし」
「それはそれはお疲れ様だねぇ…」
老婆は、憐みの目でシープ・レザーを見つめた。
「俺の話は以上ですが…お二人から何か質問はありますか?」
ソウルが、二人を視界に入れながら言うと、老婆は首を横に振り、シープ・レザーが人差し指を立てて質問して来た。
「一つ質問あるのですがいいですか?」
「どうぞ」
「そもそも何で禁忌書室に侵入したりしたのですか?」
「カドゥケウスの伝説を追う為です」
ソウルがそう答えると、シープ・レザーは驚きの表情をした後、豪快に笑い始めた。
「…おっと失礼しました。いや、近頃その伝説を追うと言う者がめっきり居なくなりましたし、仕舞いには彼の伝説は只の空想の産物だとぬかす輩も多くなりましてね…」
「その言い方だと前は沢山いた様ですね?」
「ええ、いましたよ。なのでほんの一昔前までは、彼の手記を自由に見る事が出来たのですが、今では伝説を追う人がいない為に禁忌書室の最奥に仕舞われているのです」
「そうだったのですか…」
「そういえばそういう話とんと聞かなくなったねぇ…昔は至る所でそういう話を聞けたけど…これも時代の流れって言う奴かねぇ…」
クレインがしみじみ言うと、シープ・レザーも口を閉ざして、昔を思い出している様な表情を浮かべた。
「おっと…もうこんな時間だねぇ…ここいらであたしゃは失礼するよ。帰ってやる事が沢山出来たしねぇ」
「そうですか。クレインさん今日はありがとうございます。同等の価値はありましたか?」
「それ以上の価値があったねぇ。その余剰分は何かで返させてもらうよ。それじゃあね」
「はい、お疲れ様でした」
ソウルが、クレインに軽く会釈をしながら言うと、クレインは笑顔を浮かべながら会釈を返して帰って行った。
「私も失礼しますよ。明日の為の準備があるので」
「そうですか。今度は普通に来てください」
「おっと!そうですね!今度は普通に伝説の話を聞きに来ますよ。それでは…」
クレインを見送った後、シープ・レザーもソウルと軽い挨拶を交わして帰って行った。そして、一人残ったソウルは、目の前にある料理に視線を向けた。
「…これどう見ても軽い物じゃないだろう?」
ソウルの視線の先にある料理は、フランスパン程ある大きくて長いパンに、分厚い肉や野菜、果実などが挟まれている物であり、どう見ても軽い食べ物には見えなかった。
「これが軽い食べ物だなんて…あの店員さんは大食いのスキルでもデフォで付いているのか?」
そう言った後、ソウルは黙々と食べ始めた。
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