哀哭の復讐
新年あけましておめでとうございます!
今年も頑張って投稿していきたいと思います!
次回更新は、1月19日 0時更新です!
23/06/27 追記 せがた三四〇が立ち向かっていったのは隕石ではなくミサイルにだったので修正!ア〇ムとごっちゃになっていました!失礼しました!
「そこに転がってる死体を盾にして近づくぞ!」
デリー・バートンが、足元にある遺体を片手で拾い上げ、大盾の様に構えながらレオンに躙り寄って行くと、部下達も嫌な顔をしながら、床に倒れている仲間だった者を盾にして、レオンとの距離を縮め始めた。
「貴方達は本当に人なのですか?そんな事を平気でするなんて…」
「さっきも言っただろうが!俺達には後がねぇんだ!だから形振り構っている場合じゃねぇんだよ!な~に、こいつらの代えなんて幾らでもいる!」
「その考えは間違いです!人はそれぞれ違ったモノを持つ宝ですよ?それ故に代えが効くなんて事は在り得ません!在ってはならぬ事です!」
「ぬかせ!」
デリー・バートンは苛立ち、残り数歩の距離を一気に詰めようとすると、レオンが通路に向かって幾つ物ナイフを投げた。その投げられたナイフは、デリー・バートンには一切当たらず床、天井、壁のあらゆる所に深く刺さった。
「へっ!ここで外すなんてやっぱりあんたは老いたよ!死ねぇぇ!」
「本当にそうお思いですか?」
投げられたナイフが、明後日の方向に刺さった事にチャンスだと思ったデリー・バートンは、斧を振り上げて斬り掛かろうとしたが、レオンの笑顔で言った言葉に、本能が反応して頭の中で警鐘がけたたましく鳴り響くと、慌てて盾にしていた部下の遺体を手放し、攻撃を止めて後ろへと飛びのいた。
「ちぃ…死体がサイコロステーキみたいになりやがった…そうだったそうだった…あんたは失敗に見せかけて罠に誘い込むのも上手だったな…」
デリー・バートンが後ろに飛びのいた時、手放した遺体がレオンの方に倒れて行くと、突然四角い肉塊に変わり、空中に赤い液体が漂い始めた。
「おや?そのまま斬り掛かってくると思ったのですが…相変わらず危険を察する能力だけはピカ一の様ですね?」
「アンタの技を思い出せなきゃそのまま飛び込んでいたさ…その糸の壁にな…」
デリー・バートンが、空中に漂っている赤い液体を凝視してみると、無数の極細の糸が一枚の壁の様にして、張り巡らされているのに気が付いた。
「さて、どうしますか?この糸はアサシンスパイダーの糸をより強靭にした特注品で、例えこの場にベヒーモスが現れて突進を仕掛けて来ても十分に耐えうる強度です。それでも仕掛けてきますか?」
「いいや、もう十分さ…」
「もう十分?いったい何を…」
不敵な笑みを浮かべるデリー・バートンに対して、レオンが首を傾げて聴き直そうとした時、ジンジャーがいる部屋から、大きな破壊音と悲鳴が聞こえて来た。
「な!」
ジンジャーのいる部屋から聞こえて来た音を確かめるべく、レオンは急いで施錠された扉を破壊して中に入って行くと、その部屋の壁が、何か大きな物に抉られたかの様に破壊され、その残骸が部屋中に散らばっていた。
「こいつで間違いない?」
「こいつ一人だけだったし間違いないだろ?」
そんな部屋の中で、男と女の会話する声がレオンの耳に届き、その声がした方に視線を向けて見ると、黒一色のゴシックロリータ服を着た女性が、黒い日傘を差した状態でクルクルと回転させ、全身フルプレートで身を固めた重戦士風の男が、何かを肩に担ぎながら会話している姿が見えた。
「貴方達は一体!?」
「おっと!護衛か?」
「殺っちゃう?」
「いや、こっちは荷物抱えているし止めておこう」
「…それもそうね」
謎の女性が男性の言葉に頷くと、その二人はレオンに背を向けて、破壊した壁から外に出ようとしていた。その二人の後ろ姿は、まるでレオンなんて最初から居なかったと言う様に無警戒で、隙だらけだったが、逆にその違和感がレオンの警戒を高めた。
「お待ちなさい!何処に行こうと言うのです!?ジンジャー様を解放しなさい!」
「…うるさいわねぇ…やっぱり殺しちゃった方が良いかしら!?」
「おいやめろ!お前が暴れたらこいつが無事じゃ無くなる!そうなると困るのは俺達なんだぞ!?」
「‥‥‥ッチ…」
「ほら行くぞ!」
フルプレートの男が、腰のポーチから小指程の長さのホイッスルを取り出して吹くと、馬鎧を付けた黒いペガサスが部屋の中に入って来た。
「よいしょっと…」
「んー!んー!」
「今から飛ぶから大人しくしていてくれよ?暴れて落ちでもしたら潰れたトマト不可避だからな?」
「‥‥」
「待ちなさい!逃がしませんよ!」
「あー無駄だから止めておけ」
レオンは、黒いペガサスに跨ったフルプレートの男に向けて、数本のナイフを投げたが、その途中で見えない何かに阻まれてしまい、金属同士がぶつかる音を出した後に、全てのナイフが床に転がった。
「ほら?無駄だったろ?」
「ほら!いくわよ!なにちんたらしているの!?」
「お前なぁ…はぁ…」
黒いゴシックロリータ服の女が、空中にふわりと浮かび上がり、フルプレートの男を見下す様に言うと、フルプレートの男が呆れながらも、ペガサスを走らせて外へと出て行った。
「ああ!くそ!追わなくては!」
レオンは二人の後を追おうとして、慌てて部屋から出たが、自分が設置していた糸の壁がある事を思い出して立ち止まった。
「デリー・バートンも居ない…これは…してやられましたね…」
通路には、遺体が残されているだけで、先程まで戦っていたデリー・バートンやその部下達は居なくなっていた。レオンは糸の壁を解除する為、近くに刺さっていたナイフを引き抜きながら、ソウルにどう説明すればいいか悩み始めた。
「これが全てです…」
「‥‥‥‥」
「こ!この度は本当に申し訳ございませんでした!」
「ん?ああ!違います違います!怒っているのではなくどうすればいいか悩んでいたのです!」
レオンは、ソウルの表情が険しい物になっているのを見て、怒っていると勘違いして深く頭を下げると、ソウルは慌てて必死に頭を下げるレオンを止めた。
「でもどうするソウル?ジンジャーさんを連れ去った奴らのどこ行ったか分からなくなったよ?」
「そうだな…困った…」
「それについては安心してください。追跡が得意な部下に後を追わせていますのでもう少ししたら連絡が来るはずです」
「それは良いですね。後はどう対処して行けばいいかですね…あ~マギア?何か~…あれ?マギアは?」
ソウルは、マギアに何かいい考えが無いか尋ねてみたが、そのマギアが居ない事に気が付き、視線をあちこちに動かしてマギアを探した。
「レオンさんが「部屋の壁が壊された~」って言った所で慌てて出て行ったよ?」
「どこ行ったんだ?…あ、部屋か…すみませんレオンさん、ちょっと部屋に入っても大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です…が、まだあの部屋は完全には片付けておりませんのでお気をつけてご入室なさってください」
「はい分かりました」
ソウルは、レオンに断りを入れた後、ティカルと一緒にジンジャーが居た部屋へと向かって行くと、その途中の通路で、誰かがすすり泣いている声が聞こえて来た。
「な…なぁ?ティカル?何も聞こえないよな?」
「ん?女性がすすり泣いている様な声ならさっきから聞こえているけど?」
「おま!それ!もー!…なんではっきりと言うかなぁぁぁ!?」
「まぁ…7割嫌がらせで」
「この野郎…いつか野郎オブクラッシャーしてやる…」
「謹んでお断りさせていただきます」
ソウルの言葉に、ティカルはオーバーリアクションをしながら2歩後ろに下がるという、拒否する意思を体全体を使って現した。
「っく!その動きをしたのでは許すざる負えないな…」
「いや、そう言いながら後ろに下がって行っているけど…ここで逃げるのはだめだよ?」
「な!?べべべ…別にビビッてねぇし!ギャグで済ませている内に逃げようとか…思ってねぇし!」
「声が上ずってるよ?はいはい、ちゃっちゃと調べようね~」
「HANASE!いっっや!許して!」
ティカルは、その場に固まるソウルの背中を押して、部屋へと向かって行った。
「ウグ……ヒック……オヨヨ…」
「畜生…何だよ…この泣き声は…」
ソウル達が部屋の前に立つと、はっきりと誰かが泣いている声が聞こえてきた。そして、悪態を吐く様に言った後に深呼吸をして、ゆっくりと部屋の中に入って行った。
「そこに誰かいますか?アピールしてください…」
「あれ?それって何処かで聞いた事ある様な…」
「特殊調査の奴を真似してみたんだ…でもその前になんでティカルは俺の後ろにいるんだ?」
「気のせいだよ?」
「いや、絶対俺を盾にしているだろ!?」
「キノセイダヨー」
「嘘だ!って押すな!うわぁ!」
ティカルが強くソウルを押すと、ソウルが瓦礫に躓いてしまい転んでしまった。転んでしまったソウルは、恐る恐る視線を横に向けて見ると、謎の球体がある事に気が付き、そこから泣き声が聞こえて来ていた。
「あばばばば…」
「ソウル!ライト!」
見ちゃいけない物を見て怯えるソウルに、ティカルがライトで照らす様に言うと、ソウルは急いでアイテム欄からライトを取り出し、謎の球体にライトを向けた。
「…何をしているんだ?マギア…」
「マズダー!わだじのザダーンちゃんがミザイルにだじむがっで行った三四゛郎゛み゛たぐなっじゃいましたぁぁぁ…」
ライトを向けると、すすり泣いていたのはマギアだった。ソウルは何をしているのか尋ねてみると、マギアは破壊されて、基盤がむき出している黒い箱をソウルに見せて来た。
「あー…基盤にも亀裂が入っているし…修復も無理だな…」
「ウワァァァァン!」
ソウルは、マギアが見せて来た黒い箱をよく調べてみると、基盤に大きな亀裂が入っていたり、内部メモリーや各種部品類も壊れていた。
「あちゃー…記録する拡張機器の方も割れちゃってるね…」
「なんで…なんでこんなひどい事ができるのですか!こんな事をする奴は人間じゃありませんよ!必ずぶっ殺してやります!」
さっきまで号泣していたマギアは、涙を拭った後、黒い箱の復讐を誓った。
レオンさんが使っている武器はナイフと特殊な糸です。糸は手袋の上に着けた指輪と繋がっています。
フルプレートの男、ゴスロリの女…一体どんな関係なんだ…
突然誰かがすすり泣いてる声が聞こえて来たら誰でもビビると思います。ホラーがだめなソウルも思わず声が上ずっちゃうのも仕方ない事ですね。
「黒き箱の復讐に燃えるマギア…彼女の右手が真っ赤に燃えて螺旋をえがく!あいつの尻を貫けと轟き叫ぶ! 次回X412話 「物理でハートキャッチ!キラキラ農業でバースデイ!」 GO!Flag!」
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