リアル技
お楽しみください!
次回更新は12月22日 0時更新です!
年末年始の更新は、お休みにしようと「考えて」おります。あくまで予定ですが。
え?クリスマス?何の事ですか?分かりません。
「やったか!?」
「いや、殺っちゃまずいんだが…それとティカル?それフラグだから!」
学術都市の外門から飛び越えてきたシープ・レザーを、一斉攻撃で撃ち落としたソウル達は、地面に落ちてピクリとも動かない姿を見ながら、ティカルが言うと、その言葉に対してソウルがツッコミを入れた。
「うはぁ!死ぬかと思いました…」
突然、地面に倒れたシープ・レザーから声が聞こえ、仰向けの状態のままで起き上がってくると、自身の服に着いた土やホコリを払い始めた。
「私のスロータースライムが代わりになっていなければ殺られていましたよ!全く…酷い事をしますね!」
そう言いながら、服に付いた土埃を払い終えたシープ・レザーは、ソウルの目を見て睨むと、ソウル達はシープ・レザーを警戒し、再び攻撃できるように身構えた。
「それに貴方達のマウント…かなり強いみたいなので封じさせてもらいますよ!」
腰にあるポーチから、一つの紐に無数の鈴が括り付けられている物を取り出して鳴らすと、その鈴の音を聞いたソウル達のマウントが急に騒ぎ出し、ソウル達を振り落として帰って行った。
「きゃ!」
「わぁ!」
「ちょっと!」
「くそ!ジャバワークもか!」
「マスター!強制的にマウントが帰されました!さらには10分間の使用不可になっています!」
「あの鈴のせいか!」
シープ・レザーが持っている鈴の塊を、ソウルが忌々しく見ながら言うと、シープ・レザーは高笑いしながら鈴の塊を掲げた。
「どうです?すごいでしょう!この「帰郷の鈴」は!もうこれで逃げられなくなりましたね!」
ソウルは、自慢してくるシープ・レザーの言葉を聞き流し、掲げられた鈴の塊に注目すると、ホルスターに収まっている銃のΣウェポンへと手を伸ばし、一気に引き抜いて数発発砲した。
「あ!」
「これで…」
「壊すなんて酷いですね!これを作るのにどれだけ手間がかかったと思っているのですか!?でもまぁいいでしょう!まだ沢山ありますし」
「…チィ」
ソウルが放った弾丸は見事に当たり、鈴の塊を破壊したが、シープ・レザーは手に持っている鈴の塊だった物を適当に投げ捨てた後、今度は両手で新しい物を腰のポーチをから取り出し、ソウル達に見せた。
「もう分かったでしょう?何をしても無駄だという事が!諦めて観念しなさい!」
「確かに逃げるのはもう無理だな…だからと言ってここで立ち止まる訳にもいかない!」
「ほう?どうするのです?」
「こうする!」
ソウルが、銃口をシープ・レザーの体に向けて連続で発砲すると、銃口を向けれた瞬間にシープ・レザーは横に走り出し、放たれた銃弾を回避して行った。
「私が相手です!【タウント】」
マナリアが、ソウルの発砲を合図に走り出し、シープ・レザーの前に立ちはだかると、スキルを使って自身に敵視を集めた。
「おお!お嬢さんから目が離せない!これが「敵視を集める」という事なんですね!」
「これはかなり痛いわよ!」
シープ・レザーの横に付いたアップルが、捻りを入れた右拳を突き出して鳩尾に入れると、シープ・レザー体がくの字に曲がった。
「こちらのお嬢さんもすごいですね!今の一撃で私のスライムが20体代わりに死にましたよ!」
「一体何体のスライムを持っているのよ!」
殴られた腹を抑えつつ、数歩後ろに下がったシープレザーは、何ともない素振りでアップルの一撃の感想を言うと、その姿や言葉を聞いたアップルは不満な表情をしながら、シープ・レザーに問いかけた。
「フフフ…何体だと思いますか?」
「千?もしくは…」
「アップル!言わなくていい!どうせこういう輩は尋常じゃない数を保有しているはずだ。…なぁ?そうだろう?」
「おお!よくお分かりで!…しかし残念ですね。数を教えて絶望する表情が見たかったのですが…」
「生憎と…俺らはそんな事で絶望する魂の持ち主じゃないんでな…」
「そうでしたか…本当に…本当に残念ですよ!」
シープ・レザーが頭の近くで手を二回叩くと、地面に無数の魔法陣が放射状に現れて行き、その魔法陣から銀色のスロータースライムが次々と召喚されてきた。
「隠匿災呪部隊第六項シープ・レザーが作「銀の海」です!どうぞ心ゆくまでご観覧して逝ってください!」
スロータースライム達が止まる事なく召喚され続け、あっという間に土と雑草だらけだった場所を銀色の海のような風景に変えた。そして、その銀色の海の中心に居たシープ・レザーが、ソウル達に紳士のようなお辞儀をすると、足元に居たスロータースライムに後方へと運ばれて行き、ソウル達と距離を取った。
「どうするの?一番後ろに下がっちゃったけど…」
「一応作戦っぽいのはあるにはある、が…アップル?それを話す前に確認したいのだが、あいつの意識を確実に刈り取るスキルとかなにかあるか?」
ジリジリと迫りくるスロータースライム達を、攻撃しながらソウルがアップルに尋ねると、意外な言葉が帰ってきた。
「そういうスキルは持ってないけどリアルの技でならあるわよ?」
「え?あるのか?詳し…って今はいいか。それで?その技はあいつに効くか?」
その技の事を、詳しく聞きたいと思ったソウルだったが、今は聞いている場合ではないと諦め、アップルにその技がこの世界に通用するのか尋ねると、アップルは小首を傾げながら答えた。
「人なら行けるはずよ?でも不死身なあいつにはどうかしら?痛みすら感じてなさそうだったし…」
「いや、さっきのアップルの一撃で腹を抑えていただろ?多分だが痛みは感じているはずだ」
「え?じゃあさっきのはやせ我慢してたって事?」
「それも演技だったという可能性もあるけどな…」
ソウルは、銀牙が氷ブレスで凍らせた複数のスライム達を攻撃して、少しずつダメージを重ねて行きながら言うと、アップルが困惑した表情になった。
「で?どうするの?やるの?やらないの?」
「あ、すまん!困惑させてしまったな!やるぞ!」
ソウルは、アップルに謝った後に仲間達に作戦を伝えると、その作戦を聞いた仲間達は微妙な顔をした。
「ねぇ?それってただの…」
「ソウルさん本気ですか!?」
「あら?ソウルにしてはシンプルね?もっと大掛かりな物を想像してたわ…」
「失敗すれば全員赤ネームになって監獄行きですね!あ、ちなみにその作戦の成功率を計算してみたのですが、出た成功率は58%です!まさに伸るか反るかですね!」
「《よくわからないけど頑張るワン!》」
「他に思いつく作戦はない!いくぞ!」
ソウルの考えた作戦に、仲間達は半信半疑で疑いながらも準備を始めた。最初にマナリアが全員の前に立ち、迫りくるスライム達をせき止めた後、アップルがその後ろで【蒼雷破】の構えを取った。
「《いつでも行けるワン!》」
次にアップルの横で、銀牙がいつでも氷ブレスを出せるように身構えると、ソウルは義手の中にある大口径の銃身と赤子の頭ほどあるシリンダーを取り出して、Σウェポンと合体させた。
「ソウル?それで倒せるの?相手はスライムだけど?」
「倒せはしないが吹き飛ばす事はできる」
「なるほど」
ティカルは、ソウルの合体させて両手持ちになった銃を見ながら頷いた後、アップルの左側に立ち、ソウルはその反対側に立って銃を構えた。
「皆さん準備完了しました。いつでもいけます!」
「よし!カウント3で始めるぞ!」
アップルの頭上にいるマギアが、両手を機関銃に換装してソウルに報告すると、ソウルはその言葉に頷いた後にカウントを取り始めた。
「3…2…1…スタート!」
「【シールドストライク】」
スタートの合図で、マナリアがノックバックあるスキルを使い、近くに居たスライムを吹き飛ばした後、すぐに横に移動すると、アップルがシープ・レザーに向けて【蒼雷破】を放ち、銀の海を2つに割った。
「おお!私の銀の海を割るとは流石ですね!ですが私の所までは射程外だったようで…残念でしたね!」
シープ・レザーが勝ち誇ったような顔で言ってきたが、ソウル達はその声を無視して行動を続けた。
「銀牙、今!」
ソウルの合図で、銀牙は勢いよく氷ブレスを吐き、再び一つの海に戻ろうとしているスライム達を凍らせると、シープ・レザーへ真っすぐ行ける氷の道が出来上がった。更には、遮る物がなかった為、氷ブレスがシープ・レザーの周りにまで届き、シープ・レザーの足ごと凍らせる事に成功した。
「な!?」
流石にこれには心底驚いた様子で、シープ・レザーの顔に焦りの表情がはっきりと浮かび上がったのを、ソウルはしっかりと見て取れた。
「スライム達!私を守りなさい!」
「アップル今だ!」
「【ブリッツ】」
ソウルがアップルに合図を出すと、アップルは移動スキルの【ブリッツ】使って氷の道を進み、シープ・レザーまでの距離を半分稼いだ。
「ティカル!マギア!俺達は全力でスライムを止めるぞ!」
「任せろ!」
「近寄らせませんよ!」
シープ・レザーの言葉に従い、スロータースライム達が主人を守ろうと、凍ったスライム達を踏み台にして上り、アップルに迫ろうとしてきたが、ソウル達の遠距離攻撃がそれを阻み、登ってくるスライム達を撃ち落として氷の道に入れさせない様にした。
「接触炸裂弾だ!高い弾だからよく味わっていけ!」
ソウルのその言葉には、少しの悲しみが混じっていた。なぜなら、今使用している弾丸は、対象に弾頭の先端が接触すると炸裂する仕組みの弾丸であり、その弾丸が当たったスロータースライムが簡単に四散するほどの威力を持っていたが、一発作るのに1200オカーネンの費用が掛かっていたからだった。更に言うとすれば、倒す為に使用しているのではなく、ただ吹き飛ばす為だけに使っている、という理由も大きかった。
「歯ぁ食いしばりなさい!」
「ただではやられませんよ!」
再び使用可能となった【ブリッツ】を使い、アップルがシープ・レザーの前に到着すると、拳を握りしめながら叫んだ。そして、対するシープ・レザーはアップルを睨みつけ、腰のポーチからわずかに装飾された棍棒を取り出し、アップルを待ち構えた。
「死ねぇぇ!」
「遅いわ!」
シープ・レザーが、アップルの頭を搗ち割ろうと棍棒を振り下ろしたが、アップルは棍棒の軌道を完全に読み、体を横にして回避した後、シープ・レザーの顎を殴って脳を揺らした。そして、脳が揺れた事を確認したアップルは、右膝で金的を打った後、左足を軸にして時計回りで体を回転させた後、後頭部に肘打ちを入れ、最後に反時計回りに体を回転させて顔面を全力で殴る、と言う動作を一片の迷いなく行った。
「がっ!」
その声と共にシープ・レザーが前のめりで倒れ、意識を失った。
「ふぅー…行けたわね」
倒れたシープレザーを見ながら、呼吸を整えた後にアップルが呟く様に言った。
「さて、皆は~無事ね!ん?あれ?」
アップルは、仲間達がいる方に視線を向けて見ると、その仲間達は、顔を引きつらせながら青い顔をしていた。更にソウルに至っては、何故か涙目にもなっていた。
「あれ?みんなどうしたの?」
「アップルさん…今の技結構えぐいね…」
「そうかしら?」
「素人の私から見てもえぐかったよ?あの人生きてるかな?」
「大丈夫よ!手加減したし!誓って殺してないわ!」
ティカルとマナリアの質問に、アップルは胸を張って堂々と答えた。
「そうか…ならいい。お疲れアップル、皆」
最後にソウルが話しかけて来て、仲間達にも労いの言葉を言ってきたが、アップルは何故ソウルが涙目になっているのか不思議に思い、その事を尋ねてみた。
「弾が…いや何でもない。こっちの話だ」
「そう?よく分からないけどソウルもお疲れ様。…そう言えばスライムはどうしたの?」
「シープ・レザーが倒れた瞬間数匹を残して消えたよ。ほら、そこで謎のプルプルしているだろう?」
ソウルがアップルの後ろに人差し指を向けて言うと、その指し示された所には、シープ・レザーが倒れている近くで、数匹のスライムが会話しているかの様に、体を振るえさせていた。
「どうやら本当に会話しているみたいですよ?スライムは体を振動させて同種と会話すると冒険者ギルドにあった本に載っていましたし」
「へぇ~…そうなんだ。…まぁもう敵意は感じられないし放って置いても大丈夫だろう」
「そうですね」
「ではそろそろ戻りますか?って、もういい加減寝ないと怒られます…」
「私も明日学校が辛くなっちゃうわね」
「僕はまだ大丈夫だけど…」
「《もう限界だワン…》」
「おつかれ銀牙、ゆっくり休んでくれ。…よし、じゃあ~別の門から街に入ってホテルに戻ろう」
銀牙を返した後、仲間達はソウルの言葉に頷き、各自マウントを呼び出して騎乗すると、そこから大きく迂回しながら街へと入って行った。
「な…何が…」
静かに街へと戻り、インペリアル・ホテルに帰って来たソウル達が最初に見た光景は、悲惨な光景だった。いたる所に血の跡があり、いくつかの壁には大きな穴が開いていて、調度品や家具等がすべて壊されていた。ただ現在「襲われている」と言う状況ではなく「襲われた」状況であり、ホテルの従業員が総出で片付けを行っていた。
「あ!お客様は!少々!少々ここでお待ちください!!ふ、副支配人!」
従業員の一人が、ホテルに入って来たソウル達を見て、慌てて副支配人を呼びに行った。そして、その数分後、青い顔をした副総支配人のレオン・ポートマンが奥の部屋から現れると、足早にソウル達に駆け寄り土下座をした。
「申し訳ございません!ソウル様!ジンジャー様を連れ去られてしまいました!」
「な!ジンジャーが!?」
レオンが言った言葉に、ソウル達は驚愕した。
鈴は一つ一つシープ・レザーが紐に付けています。内職するが如く…
ジャバワークは機械ですが、カテゴリーはマウントですので、帰郷の鈴の効果が効きます。
シープ・レザーを倒すには、配下のスライム達を全て倒し切った後に致命の一撃を入れるしか方法はありません。
シープ・レザーが倒れた姿は 足が凍っている為、尻を突き出して頭を下げた様なひどい格好です。
ソウルが普段使っている弾は、150オカーネン以内の通常弾。そこから考えるに、一発1200オカーネンするの弾を撃つのは流石に躊躇しますね。1ダース(12発)14,400、1スタック(99発)で118,800 です。
で、今回使った弾数は258発です。309,600なり~
連れ去られてしまったジンジャー!一体どうなってしまうのか!? 次回32XX話 「え?人違い!?」 お楽しみに!
モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!
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