神獣戦 3
神獣戦クライマックス!
次回更新は、7月7日 0時です!
七夕ぁ!(威圧)の日ですね!
「ダ‥‥イ……ブ?」
「え?」
「ダイ……ジョ‥‥ブ?…イタ…イタ…イ?」
視界全てが暗闇に覆われたソウルに、微かにだが子供の様な声が、ソウルの耳に届いた。ソウルは、その声を聞きとる為、神経を集中して耳を澄ませると、はっきりと聞こえて来た。
「ダイジョウブ?パパ?いたいいたい?」
「君は?」
「ぼくはパパとマギアママがうえた、たねからうまれたよ?」
「…種?」
ソウルは、自分の記憶を思い起こして種に関する記憶を探すと、初めてのダンジョンで獲得した謎の種の事を思い出した。
「君はマギアが育てていた…」
「うん!そうマギアママが、まいにちお話してくれたから、【念話】とかできるようになったよ?」
「そうか…それはよかったな…」
「えへへ」
褒められて嬉しそうな声がソウルの耳に届くと、その声の主は話を続けた。
「パパ?イタイイタイ?」
「…ああ」
「どこがイタイ?」
「心…かな…このままだと皆消えてしまう…俺はそれがなにより痛い…」
「じゃあ、ぼくももうちょっとがんばるよ!」
「がんばる?いったい何を?」
ソウルが尋ねてみたが、返事は返ってこなかった。だが、その問いに答えるかのようにして、ソウルの視界が明るくなると、先程まで戦っていた場所の風景が広がって行った。
「これは…」
ソウルは、視界が明るくなった事に驚いたが、それと同時に理解した。
「ああ、そうか…ありがとう。これは君が頑張ってくれたからなんだな…」
ソウルが自分のHPを確認すると、先程まで0だったソウルのHPが半分まで回復していた。更に、回復したのはHPだけではなく、MPやブルーローズの残量も半分回復していた。
「皆は…まだ硬直のデバフが取れないか…」
ゆっくりと立ち上がり周りを見回すと、アップル達やプレイヤー達には、硬直のデバフが付いており、指先一つ動かせないでいたが、そんな中でもソウルに近づいて来る3つの影があった。
「マスター!ご無事ですか!?」
「なんでか動ける様になったわよう!」
《主様!》
「お前達も動けるようになったんだな?」
「ええ、理由は分かりませんが動ける様になりました!」
マギアの言葉にソウルは疑問を持ったが、今は話し合っている場合ではないので、その疑問を頭の片隅に置き、ディスペアーストーカーに視線を向けた。
「氷雨、地面を凍らせて滑る様に出来るか?」
《できます!》
「マギア、あいつの攻撃予測は出来るか?」
「できます。ですが完全ではないです。精度を上げるにはマスターの背にくっついた状態で、私自身がマスターの目になる必要があります」
「ティー?敵の風攻撃を迎撃できるか?」
「全部は無理よう!でも何とかやってみるのよう!」
ソウルはマギア達に作戦を伝え、Σウェポンを左手に持ち、CLCを右手に装備して構えた。ソウルの視線の先にいるディスペアーストーカーは、ソウルが立ち上がった事に驚きつつも、息を荒げながらの唸り声を上げていた。
「初めてのぶっつけ本番…失敗すれば全員全滅…あいつのHPは残り3%…上等だ!やってやる!」
ソウルは呟く様に言った後、ディスペアーストーカーを睨みながら吠えた。
「行くぞ熊野郎!この弾丸がお前を裁く!」
決め台詞を言う事で覚悟完了したソウルが、動き出したと同時に、氷雨が地面に向かってスキルを使った。
《【氷上銀場】》
氷雨の前足から冷気が生まれ、地面が凍り付いて行くと、洞窟内の地面が巨大なスケート場となって行った。ソウルは、氷雨が凍らせた地面を滑りながら銃を発砲し、ディスペアーストーカーにダメージを負わせた。
「攻撃来ます!」
マギアはソウルの背中にくっつき、自身の両手とウィンドウ開き、ヘッドマウントディスプレイの様な形した後、ソウルの目の位置に置いた。そのマギアの手を使ったヘッドマウントディスプレイには、ディスペアーストーカーからの攻撃が予測表示され、ソウルはそれを頼りに攻撃を回避した。
「迎撃するのよう!」
ティーは、ソウルが内側にいる様に飛行し、ディスペアーストーカーから放たれる無数の風の刃を、ソウルと自身があたらせない様に、風の塊で迎撃していった。
氷雨の作り出した銀盤の上で、ソウルは踊る様に回避と攻撃を繰り出していった。その踊りは、時にワルツの様に優雅で繊細に、時にタンゴの様な情熱的でリズミカルに、時にパソドブレのような勇ましい闘牛士の様に、時にフィギュアスケートの様に軽やかに滑りながら、時にブレイクダンスの様にアクロバティックに動くソウルに、ディスペアーストーカーは付いて行く事が出来ず、その場で癇癪を起す子供の様に何もできないでいた。
「マスター!フィニッシュです!」
「氷雨!合わせろ!」
マギアの言葉を聞いたソウルは氷雨を呼び、ディスペアーストーカーの攻撃を回避しながら近づいて行った。そして、ソウルと氷雨がディスペアーストーカーを射程圏内に入れた時、ソウルはブルーローズをパイルバンカーの形にし、氷雨は口に氷で出来た刀剣を銜え、同時に攻撃して止めを刺した。
「グゥゥゥ…」
氷雨の氷の刀剣が、ディスペアーストーカーの首に致命傷を与え、パイルバンカーの杭が射出され、胴体に刺さった後に爆発すると、ディスペアーストーカーは断末魔を上げながら倒れていった。
【アナウンス: 3の神獣 ディスペアーストーカー を討伐しました。 SP 1872000 を獲得しました。17,000,000 オカーネンを獲得しました。 神獣 を討伐した事により リイルフの集落 防衛戦も終了します。】
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「つ…疲れた…」
高速で流れて行くチャット欄を目にしたソウルは、その場で仰向けに倒れた。
「マスターお疲れ様でした」
ソウルが仰向けに倒れた事で、背中にいたマギアが枕になったように下敷きになったが、マギアはそんな事になっていても、全く動じてない様な声色でソウルを労った。
「ソウルさん!やりましたね!おめでとうございます!早速質問しますけど、さっきの攻撃は何ですか!?まるで踊ってるみたいでしたよ!あんな攻撃できるんですね!私ときめいちゃいました!あんな優雅で独創的な踊りをしながら攻撃するって見た事ありません!硬直解けた後も見入っちゃいましたよ!それにそれに…!」
疲れ果てて寝転んでいるソウルに、マナリアが興奮しながらソウルに質問して来た。マナリアの口調は早くマシンガンの様に出てくる言葉を、ソウルはゲンナリしながら聞いていた。
「あー…うんとだな…あれは攻撃を避ける為にあんな形になっただけなんだよ…マギアのおかげで攻撃を予測できたし、ティーが頑張ってくれたし、氷雨も最後にダメージを稼いでくれたから出来たんだ…また同じことやれって言われても出来ないかもしれないね…」
「そうなんですね!でも私、あまりに綺麗でキャーってなって!もうすごいと言うほかなくて!…」
マナリアの語彙力がおかしくなっていっても、止まることないマシンガントークに、再びゲンナリしながら自分のHPを確認してみると、残りHPが20しか無い事に気が付き、恐ろしくなったソウルは、もう二度としないと心の中で叫んだ。
興奮したマナリアを、アップルが落ち着かせて一旦落ち着かせてソウルを解放させると、ソウルは仰向けの姿勢から立ち上がり、回復ポーションを飲んだ後、ディスペアーストーカーに近づいて行った。
「お?ソウルもう大丈夫なのか?」
「ええ、ジェラルドさん。回復ポーションを飲んだので大丈夫ですよ」
「そうか。…ソウル、あの時はありがとう。…あの時、俺を庇ってくれたおかげで助かった。だが…まったく、無茶をする奴だな…」
「あはは…気づいたら体が勝手にと言う奴ですよ…それに、爪に引き裂かれて死んだと思ったのですが、ストレージにいる仲間のおかげで助かりました」
「じゃあ、リイルフの集落に帰ったら労ってあげないとな」
「そうですね」
と、その時、残量が底をつきかけていて、腕の維持すらできなくなっていたブルーローズが、勝手に動き出し、ディスペアーストーカーの体から出て来たフワフワした白い玉に絡みついた。その白い玉は、ブルーローズに絡みつかれながらも、何とか逃げようと必死にもがくが、ブルーローズは絶対に逃がしてなる物か!と言うような動きで、白い玉を包み込んで行き、ブルーローズの腕輪の中に引きずり込んでいった。
【アナウンス:ブルーローズ が 3の神獣 ディスペアーストーカーの魂 を捕獲し、吸収する事に成功しました。これによりブルーローズが強化され、風属性 が使える様になりました。」
【アナウンス: ディスペアーストーカーの魂 が吸収され消滅した事により、ディスペアーストーカーの復活時間が1週間から1か月後になりました。】
「マジかよ…一体何が…」
突然起こった余りの出来事に、ソウルとジェラルドは、驚いた表情をしながら互いの目を合わせたり、ソウルの右腕にあるブルーローズに視線を向けた。更には、ディスペアーストーカーの呪いが解呪され、失っていたモノが帰ってきた事に、喜んでいたプレイヤー達も、驚愕した表情でソウルを見ていた。
「マスター…何が起こったのかは一旦後にして帰りましょうか…氷雨達の呪いも解呪されたようですし…」
「あ…ああ、そうだな…集落が心配だしな…」
いまいち状況が呑み込めないソウルは、マギアの言葉にとりあえず従い、ディスペアーストーカーの死体を、プレイヤー達の力を借りながら運んでいき、リイルフの集落へと帰還して行った。
まるで少年漫画のような復活とフィニッシュムーブを決めるぜ!…好きだろ?こういうの?
皆様はまさか、ここでマギアが育てていた物が出て来るなんて、思いもしなかったでしょう!?作者もほぼ忘れていました!
マギアママと言われたらマギアがハッスルしそうなので、ソウルはそこら辺を濁して伝えようと思っています。
CLCは実弾モードでブルーローズを射出しています。
ディスペアーストーカーが首を切られたのに、断末魔を出せたのは、腹から声出せと昔から言われている奴です!…もしくは、騎士道が完成した人が、敵に向かって月を真っ二つに斬る技を放っても、敵の方は全く切れていなくて絶命する…アレです!
倒した表現が他に思い付かなかったんや…許して…
マナリアさん興奮、ソウル疲れてる、その時にマシンガントークはきつい
おや?ブルーローズの様子が…!?
モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!
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