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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
隻狼と氷狼の銀弾武踏
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憎しみの果て 2

お楽しみください!


次回更新は、一週間後です!

 ソウルとジャバワークを操縦しているマギアは、ジェラルドの親バカ話を聞きながら、崖の底に到着するとすぐに全壊した馬車、馬車馬、カールの遺体を見つけることが出来た。


「馬とカールさんの遺体…かなりひどい事になってますね…」


「ああ、虫が集っていて腐乱臭もきつい…」


 ソウルは、アイテム欄から布を2枚取り出し、ジェラルドに1枚渡した。


「気休めですが…」


「ありがとう。早速回収しよう」


「はい」


 ソウルから貰った布で、鼻と口を覆ったジェラルドは、ジャバワークの出す光を頼りにカールの遺体に近づいて行くと、ソウルもジェラルドと同じく布で口元を覆い、回収作業に取り掛かった。


「…かなり腐敗が進んではいるが…やはりと言うべきか…」


「…ええ、首に大きな切り傷がありますね…死因はこの傷による出血死でしょうか?」


 カールの遺体は、崖から落ち、底の地面に叩きつけられた事で、あちこち骨折していたが、首に何かで切られたような大きな傷跡があった。


「上の崖には血の跡がなかったですから、きっと馬車の中で殺された後、そのまま馬車と一緒に崖下に落とされたのでしょう…なんとむごい…」


 ソウルは余りの酷さに、両の手を合わせて合掌し、カールの遺体を拝んだ。


「マスター、遺体浄化のルーン魔法を作ってみました。お使いください。このままだと…その…何かと大変だと思うので…」


「ああ、ありがとう。早速使ってみるよ」


 ソウルは、マギアからルーン魔法を教えて貰い、早速使ってみると、カールの遺体から虫が除去され、体中の血の跡も無くなった。


「ルーン魔法を使えるのか?」


「ええ、何とか使えている状態ですけどね」


 ソウルは、ベーンから渡された大きな布をアイテム欄から取り出し、綺麗になったカールの遺体を、その布で包みながらジェラルドの質問に答えた。


「これでよし…」


「後は上に戻るだけだが…どうする?他に何か手掛かりが無いか探してみるか?」


「そうですね。少し調べてみましょう」


 ジェラルドの言葉に頷いたソウルは、全壊した馬車や馬車馬を調べ始めた。そして、その数分後、覇者の破片を手に取って観察していたジェラルドが、何気なしにソウルに質問して来た。


「そういえば、何かを確認していて遅くなったと言ったが、何を確認していたんだ?」


「あの少年の事を確認していました」


「少年?ベーンの事か?」


「はい。最初出会った時に何か怯えた表情だったので…」


「それで?何か分かったのか?」


「ええ、確認してみた所…あの少年ベーンは、普段お客に対して物怖じせずに堂々とした態度で接客していたらしいそうです」


「なるほど。確かにそう聞くと、最初の出会いはおかしいな…」


 ソウルの言葉に、ジェラルドは思い出しながら頷いた。


「まだ、確証は無いですが…ベーンはカールさんについて何か重要な事を知っていると思います」


「聞いてみるか?」


「そのつもりですが…多少手荒に聞く羽目になりそうですね…」


「…その事を秘密にしなくてはいけない何かしらの理由があるという訳か…ふむ…手荒になるのは仕方ないか…」


 ジェラルドは、調べるのを全壊した馬車から馬車馬に移し、ソウルと会話した。その会話で、ソウルの手荒と言う言葉を聞いたジェラルドは、ベーンを少し哀れんだ。


「まぁ、あまりやり過ぎるなよ?……ん?これは…」


 ジェラルドが、馬車馬の尻に細くて鋭い針が刺さっているのを見つけた。その針を尻から抜いてみると、微かに薬の独特な匂いがした。


「これは毒か?…マンジュリリーとアスフィア草の匂いがするな…」


「マンジュリリー?」


「赤い花で根に混乱する毒がある奴だ」


「それが暴走の原因ですか?」


「いや、それだけではない。アスフィア草と合わせる事で獣を意のままに操る事ができる。獣使いが獣を捕獲する時によく使っている」


「なるほど。その薬で馬を操り、崖まで走らせた後、馬車内でカールさんを殺害。その後そのまま崖下にですか‥‥」


「だろうな」


 ソウルの言葉に頷いたジェラルドは、これ以上の物は見つからないなと感じ、視線を上に向けた。


「そろそろ戻るか?」


「そうですね。マギア、カールさんを頼む」


「了解しました」


 2人はジャバワークに乗った後、ジャバワークが少し浮かび上がった。そして、ジャバワークの両手から複数で半透明のワイヤーが伸びて行くと、そのワイヤーが布に包まれたカールの遺体を持ち上げた。


「上昇します」


 ジャバワークを操縦するマギアが二人に伝えると、ソウルとジェラルドは頷き、アップル達が待っている崖に戻って行った。






「今戻った」


「お帰り。ソウル」


 ソウル達が崖に戻り、ゆっくりとカールの遺体を地面置いた後、アップル達に戻った事を報告すると、アップルがそこ言葉に返答した。


「お帰り~ソウル。大変だった?」


「いや、マギアがルーン魔法を作ってくれたからそこまで大変では無かったよ」


「ソウルさんお帰りです。ルーン魔法って何でもで来るんですね。私も覚えようかな…」


「覚えるのに難儀するけど、コツを覚えたらすぐ出来るようになるぞ?」


「そうなんですね…う~ん…ルーンナイトプレイも惹かれますね…」


「何でも挑戦してみるといい。‥‥さてと」


 ソウルは、ジャバワークから降りてティカルとマナリアと会話した後、カールの遺体を前にして座っているベーンの後ろに立った。


「少年…知っているか?昔の実験で頭と胴を切り離されても、反応があるのか確かめた実験があったらしいぞ?そして、実際に反応があったらしい…何秒かは忘れてしまったが…」


「ソウル!?急に何を!?」


 アップルが慌ててソウルを止めようとしたが、ティカルが片手を上げてアップルを止めた。


「現代ではありえないと言われているが…俺は、こう思う。ほんの数秒ならそれが可能なんじゃないかと。それは、事故にあった人が言っている「世界が遅くなった」と言うのが頭の中で起こってるからではないかと…」


「…」


 ソウルの話を、ベーンはカールを見つめながら黙って聞いていた。


「では、その遅くなった世界でカールさんは何を感じていたのだろうか?後悔?絶望?恐怖?痛み?もしくはその全部か‥‥」


「‥‥」


「それとも、死にたくないという生への渇望か…残されるカペラさんへの想いか…俺達にとって取るに足らない数秒でも、カールさんにとって永遠に近い数秒だったはずだ」


「…なさい…」


「永遠に近い数秒間…一体どれほどの苦しみだろうな?」


「ごめんなさい‥‥ごめんなさい!」


 ソウルの話を聞いて、ベーンはカールに謝罪しながら泣き出した。


「ベーン君。何か君は隠しているな?」


「うぅ…ひっぐ…僕、あの時見じゃっだんでず!‥‥カールさんが殺ざれる所を…」


 涙声で濁音交じりの言葉が、ベーンの口から発せられると、ソウルは、ベーンと同じ目線までしゃがみ、目線を合わせじっと見つめた。


「話してくれるか?その時の事を…」


 ソウルの言葉にベーンは頷いた。


「僕…あの時、盗賊に襲われて暴走した馬車を追いかけて行ったんです。でも、この場所に着いた時、黒い服の男が短剣でカールさんの首を斬り付けている所を見てしまったんです。僕‥‥すごく怖くてその場に動けなくなって…助けを求めて手を伸ばしていたのに…僕動けなかったんです!」


 自分を責める様に大きな声で言ったベーンは、大粒の涙を流し始めた。


「崖から落とされた時もただ見てる事しかできなくて‥‥それで…黒い服の男が僕に…「この事を誰かに話したらお前の()を殺す」と言われました」


 妹と言う言葉を聞いて、ソウルは眉を寄せた。


「よく話してくれたな。ありがとう。君は強い子だ。その黒い服の男に見覚えはあるか?」


 ソウルはベーンの頭を撫でた後、両眼にある涙を手で拭い、更にベーンに質問したが、ベーンは顔を横に振って答えた。


「顔を布で隠していたので分かりません。でも、首に三角のアクセサリーを付けていました」


「その三角のアクセサリーと言うのはこんな形か?」


 ベーンの言葉を聞いていたジェラルドが、地面に描き始めた。その地面に描かれた物は、逆三角形を円で囲む様な形をしており、円の部分には何かの文字のような物が描かれていた。


「はい。それで間違いないです」


「ジェラルドさん…これに見覚えが?」


「ああ、ミルコス邸の執事がこんな形のアクセサリーを付けていた。少しこのアクセサリーについて聞いてみたんだが、死んだ娘から貰ったアクセサリーだと言っていたからよく覚えている…」


「繋がりましたね…」


「ああ、繋がってしまったな…」


 ソウルとジェラルドは、視線を下にしてため息を吐いた。


「え?カールさんは事故に見せかけた殺人だったって事?その犯人はあの家にいた執事さん?」


 いまいちピンと来てないアップルの質問に、ソウルは頷いて答えると、アップルは目を大きくして驚いた。


「まだ、動機は分かってないが今回の事は全てミルコス邸の人間が関わっているだろう」


「ただのモンスターを退治すればいいと思ってたけど、妙な事になったわね…」


「まったくだ…」


 アップルの言葉に、ジェラルドは呆れて首を横に振った。


「後は、このベールをカールさんと一緒の墓に入れてやればいいだけですが…ここまで来た以上、全て明らかにしてやりましょう」


 ソウルは、視線を後ろに向けながら言うと、その視線の先に馬車が一台こちらに向かって来ていた。


「おーい!棺桶もってきたぞー!」


 こちらに向かって来ている馬車から男の声が聞こえ、ソウルはそれに頷いた後、ジェラルドに視線を向けた。


「だが、具体的にどうするんだ?」


 ジェラルドの言葉に、ソウルはニヤッと笑いながら答えた。


「簡単な事ですよ。ミルコス一家をカールさんの墓前に連れて来るだけです。多分ですが、それで全て上手く行くはずです」


「そこは自信をもってほしかったな~多分って…」


「仕方ねぇだろ!ちゃんと確かめた訳じゃないんだから!そんな事を言う口はこうしてくれる!」


「いひゃいいひゃい」


 ソウルは、ティカルの言葉に反論し、両頬を軽く引っ張った。

Q 何故ティカルの頬を引っ張った?

A オチの為。


後書きが少ない?安心してください!次回で全て明らかになります!今は只のネタバレ防止なだけです!


モチベ維持に評価お願いします! 


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