怨念のタリスマン
予定があって執筆時間が取れず、今回は少し短いです。
では、お楽しみください!
「わかった、いいだろう。だが、必ず俺の指示に従ってくれ」
ジェラルドは、ソウルの提案に頷くと領主のミルコスに視線を向けた。
「そういう訳だから、彼らと一緒に行動させてもらうが…いいな?」
「ジェラルド殿がよろしければいいですよ?彼らは、無償で手伝ってくれるみたいですし」
「じゃあ、また娘さん達の部屋に入らせてもらうぞ?」
「ああ、よろしく頼む」
ジェラルドの言葉を聞いたミルコスは頷いた後、偽物のジェラルドを引き連れて部屋を退室した。その後、ジェラルドの案内でソウル達は、ミルコスの娘達の自室がある2階へと向かうと、ジェラルドはソウルに視線を向けた。
「この部屋が長女の部屋だ。ここで何か手掛かりが無いか探してくれ」
「了解」
ソウル達は言われた通りに、部屋の中を探索し始めた。この長女の部屋は、いたる所に何かで引っかいたような大きな傷跡がいたる所にあり、調度品やカーテンがボロボロで、人が真面に住めるような部屋では無かった。ソウルは、一番近くにあった傷痕をよく観察してみる事にした。
「この傷痕は…何かの爪痕なのか?」
「そのようですね。私が分析してみた結果、この傷痕から微量のケラチンが検出されました」
「ケラチンって何ですか?」
マギアの言葉を聞いたマナリアは、首を傾げて質問をした。
「爪の主成分になっている物です」
「へ~そうなんだ」
マナリアは自分の爪を見ながら答えると、ソウルが表情を曇らせた。
「この傷痕が人の所業だと?」
「これは、呪われた長女がやった事らしいぞ?領主の話では、ある日突然、長女が人狼に変態して暴れ出したらしい。更には奥方や次女、息子も人狼に変態したらしい」
「人狼化の呪いですか…確か森に呪われたと聞きましたが…」
「ああ、俺もそう聞いて早速、森の中を探索してみたんだが…どうも様子がおかしんだ」
「おかしい?」
「今だ分からないから言葉に出来ないが…違和感のような物を感じた」
「違和感…」
ジェラルドの言葉を聞きながら、ソウルは辺りを探してみると、床に何かが染みて変色した部分があり、その染みの上には割れた小瓶が散乱していた。
「これは?」
「少々お待ちください……これは、アルコールとシソ科の反応がありますね…ラベンダーの香水でしょう」
「微かに匂いが残って、あっちに続いているな…」
「匂いを辿れますか?」
「ああ」
マギアが床の染みをスキャンしてみると、ラベンダーの香水の染みだとわかり、ジェラルドは匂いが続いている方に視線を向けた。
「行ってみましょう」
ジェラルドはソウルに頷いた後、ジェラルドを先頭にして、ラベンダーの匂いが続いている方に向かって行った。
「ここは次女の部屋だ」
ジェラルド達は、匂いを頼りに進んで行くと次女の部屋へと辿り着いた。長女の部屋から次女の部屋に着くまでの廊下には、長女の人狼がやったと思われる破壊の痕跡があった。
「人狼化した長女は、真っ直ぐ次女の部屋に向かった‥‥何故?」
「それをこれから調べる」
ティカルの言葉を聞いてソウルが答えると、ソウル達は次女の部屋に入って行った。次女の部屋の中は、長女の部屋より荒れており、もはや人が住める部屋の状態では無かった。
「これはひどいな…」
「人狼二体分ですから」
「いや、人狼に変態した奥方もこの部屋に来たらしいぞ?」
「‥‥一体この部屋に何の恨みが…」
ジェラルドが、マギアの二体と言う言葉を正し、奥方も入れた3体だと言うと、ソウルは部屋の惨状を目にしながら呟いた。
「この酷い有様で何か見つかるかしら?」
「2人がこの部屋に来た意味がきっとあると思うから念入りに調べてみよう」
ソウルの言葉に全員が頷き、次女の部屋を調べ始めたが、それから30分経っても一向に手がかりは見つけられなかった。
「う~ん…しばらく探して見た物の…あるのは調度品の残骸やら家具の残骸ばかりだな…」
「そうですね…」
「…マギア?」
ソウルは、マギアの対応に違和感を感じて視線をマギアに向けると、後ろ姿のまま手を忙しく動かしているのが見え、ソウルは何をしているのか気になった為、マギアの後ろから覗き込んでみた。
「これは…ご立派な物ですね‥‥悪魔マーラを模した物でしょうか?」
「‥‥おい…マギア…一体何をしている?」
「っハ!これは違うのです!けして痕跡探しが飽きたからでは無く、この箱に特殊な施錠がされていたので開けて見たら、このご立派様が入っていたので、ついよく調べていただけなのです!」
「太いな…じゃなくて!何か見つけたんなら報告しろ!」
「いえ、乙女の秘密らしいので報告は控えさせていただきました」
「確かにそうだと思うけど、報告ぐらいはしろ!開けて見るのは女性に任せると言う手段もあるんだしさ!」
ソウルがマギアをしかりつけていると、その声を聞いた全員がソウル達の元に集まって来た。
「ソウルさん?何をそんなに怒って…ってそれなんですか?」
「え!?あーうん…何と言うか…その…あれだ!悪魔マーラを模した神像だ!」
「へぇ~」
マナリアが、マギアが大事そうに持っている物を指差してソウルに訊ねると、ソウルは言いずらそうに説明をした。
「…っふ…このバイ…悪魔マーラの神像ね…」
ティカルは、冷や汗をかきながら説明しているソウルの姿を見て笑った。
「何だよ!もうそう言うしかないじゃないか!このご時世、はっきりモノを言うとセクハラだって訴えられる余の中なんだしさ!神像って言っておけば美術品扱いでセーフになるだろ!」
「そうだね。これから僕も悪魔マーラの神像っていう事にするよ!このバイ…ゲフン、ゲフン!」
「ねぇ?もしかしてその箱、二重底じゃない?」
ティカルは、わざとらしく咳をして言葉を濁すと、悪魔マーラの神像が入っていた箱の中を見ていたアップルが、二重底になっているのを見つけた。
「あ、本当ですね」
アップルの言葉に反応したマギアが、手から細い金属を出し、箱の隙間に入れて底を持ち上げてみると、手作りのタリスマンと数枚の手紙が入っていた。
「おい!そのタリスマンに触るなよ?かなりの呪いかかかっている!」
箱の中にあったタリスマンを見たジェラルドが、ソウル達に警告すると、丁度タリスマンを手に取ろうとしていたティカルが、腕を慌てて引っ込めた。
「うひゃ!危なかった!」
「それが彼女達がここに集まって来た理由ですかね?」
「恐らくそうだろう。そのタリスマンにはかなりの怨念が宿っている」
マギアが、タリスマンに付いている紐に細い金属を通して持ち上げると、その持ち上げられたタリスマンを見つめたジェラルドが、マナリアの質問に頷いた。
「それに…そのタリスマンから別の何かを感じる…どうやら、そこの窓に続いているみたいだぞ?」
「追ってみましょう」
ソウルに頷いたジェラルドは、タリスマンから出ている「何か」を追って、窓から外を眺めてみると、どうやら森へ続いているらしい事が解り、ソウル達は次女の部屋から正面玄関に移動した後、森へ向かって行った。
「かなり暗いですね…」
「明かりが無いと無理ね…」
「これをどうぞ!体に装着して使うライトです!」
「流石マギア、用意がいいな!」
「それが私の存在意義ですので」
「全員何時でも戦えるようにして置いてくれ」
領主邸から森に向かったソウル達は、その入り口でマギアからライトを受け取り、装備した後、ジェラルドの言葉に頷き、戦闘準備を始めた。
「あの…僕このライト装備できる箇所ないんだけど…」
「仕方ないな!じゃあ、ちょっと紐で固定してやるから動くなよ?」
ソウルは、マギアからもう一つライトを受け取った後、アイテム欄から適当な長さの紐を取り出し、ティカルの頭に2つのライトを紐で固定した。
「あー…何だっけ?どこかで見た事ある姿ね…」
「アップルちゃん?あれじゃないかな?丑の刻参りで頭にロウソク付ける奴」
「あー!あれね!納得したわ」
ティカルの頭に固定された2つのライトを見て、首を傾げたアップルはマナリアの
言葉に頷いて納得した。
「全員準備はいいな?行くぞ!」
ジェラルドの号令の下、ソウル達は森の中へ入って行った。
冴えわたるジェラルドさんの〇ィッチャーセンス!
香水の染みは黄ばむ。
悪魔マーラの神像…なんてご立派オスがた…失礼お姿!
洋ゲーの暗さは異常…何に攻撃されてるかもわからずに死んでしまった事があります。
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