魔物ハンタージェラルド 3
寒くてキーボードを打つのが辛い…
それでも完成したので、お楽しみください!
「またせたわね」
「いや、こちらも今到着した所だ」
ジェラルドが、ミルコス領にいる可能性が高いと知ったソウル達は、別行動を取っていたアップル達に集合する様に伝え、冒険者ギルドの入り口で待ち合わせた。ソウル達が、花街から冒険者ギルドに到着すると、アップル達も丁度到着し、ジェラルドについて聞いた情報のすり合わせを行った。
「こっちで聞いた話では、ジェラルドさんだと思う人物が、各種薬草や武器防具を購入したって話を聞いたわね」
「それと「これから何処に向かうんだ?」って聞いた商人さんもいたらしく「ミルコス領だ」って答えたそうです」
「そうか。その話でジェラルドさんがミルコス領にいる可能性が高まったな」
「マスター?可能性…ですか?これはもう確定した物では無いですか?」
ソウルの言葉に、何かが引っ掛かったマギアは聞き直してみると、ソウルは視線をマギアに向けて口を開いた。
「いや99%の正解だと思っても、残りの1%の不安要素があるなら安心しちゃいけない。その1%を最悪な状況下で引いてしまう事があるからな…」
「最悪な状況下ですか?」
「ああ、例えば~…リイルフの集落の状況が変わって制限時間が短くなってしまった時、ミルコス領に行った人物が本人じゃなかったら最悪だろ?」
「マスター?あり得ませんよ!そんな事!」
「まぁ確かに、ゲームだからあり得ないかもしれない。だがな…それを100%あり得ないと言えるか?今は誰も経験したことが無いだけで、俺達がその最初の人物になるかもしれないんだぞ?リアルと言って良いほどの意志や思考を持つ住人達がいるこの世界で、本当にあり得ない事だと言い切っていいのか?俺は、出来ないから可能性だと言ったんだ」
「イレギュラーのような物が起こると?」
「その可能性はある…。真理者の塔で見た彼の日記に「データの分際で他の人間を生き返らせるだと?許されぬ!愚かな行為を行った者に神罰を与える!」と書いてあったからな。彼自体がイレギュラーな存在だったんじゃないかと俺は予想している…」
ソウルは、自分の右腕を見ながら答えると、マギアは全力で否定した。
「あり得ませんよ!イレギュラーなんて!ゲームが破綻してしまいます!」
「だろうな…」
ソウルのその言葉を聞いてマギアは絶句した。それは、このゲームが最初から破綻している様に聞こえたからだった。
「ねぇ?アップルちゃん?ソウルさん話…理解できた?」
「イレギュラーがどうのこうの言っていたわね…サッパリだわ…」
ソウルの話を黙って聞いていた女性二人は、何の事だか分からず首を傾げていたが、ふとアップルがティカルに視線を向けると、何故だかニヤついていた。
「ティカル?」
「ん?ああ、ごめんね。二人はソウルと付き合いが短いから分からないと思うけど、ソウルがああ言ったら何かがこの先に起こる可能性が大きいからね。楽しみでニヤけちゃったよ」
「え?どういう事よ?」
「二人共、ソウルとこの先も一緒にいるのなら覚えて置くといいよ?この先あり得ないと思われていた摩訶不思議な事が起こるかもしれないから。それは「ソウルを中心として起こる事」で「本人の意思とは関係なくやって来て」、「近くに居た人も巻き込んじゃう事」だから。まぁ、それがいい事か悪い事かは分からないけど」
「…え?ソウルさんがトラブルアトラクターだって事ですか?一体何が起こるのでしょうか?」
「大丈夫!私はどんとこい!摩訶不思議現象と言っておくわ!」
ティカルの話を聞いたマナリアは、怯えた表情を顔に出したが、アップルは笑い飛ばす様に冗談を言って答えた。
「知っているなら話は早いね。まぁ、僕が知っている限り起こる可能性は今の所7割だから。…あ、そろそろ出発しないとやばいね!おーい!ソウル~そろそろいこ~」
「え!?な…七割って結構大きいじゃないですか!?ティカルさん!何とかできないんですか!?ちょっとー」
ティカルは、今猶も論争を続けている二人に話を掛けに行くと、7割という言葉を聞いたマナリアは、その後を追って行った。
「‥‥なんか滑ったみたいになっちゃった…」
そして、アップルは冗談を言ったが無視されてしまい、しょんぼりしながら幻獣の笛を取り出し始めた。
冒険者ギルドからミルコス領に向かったソウル達は、約1時間飛行し続けていると、領の境目を超えた先に、大規模な森が広がっているのが見えた。
「大森林ね」
「これは…何かいてもおかしくないですね…」
「そうだね。夜だから余計に怖いね」
「森の中はもっと怖いぞ?それはもう発狂しそうな程だ」
下の森を見て、月明りすら届かない森の怖さを口にしたソウルは、視線を前に戻すと遠くに篝火のような光が多く焚かれている場所が見えた。
「マギア?あれは?」
「あの場所がミルコスさんが納めている街ですね」
「あそこか…マギア!」
「飛ばします!」
マギアは、ジャバワークの翼の出力を上げてスピードを上げると、アップル達も遅れない様にスピードを上げて行き、街の入り口へと向かって行った。
「止まれ!現在この街は現在封鎖中だ!重要な要件が無い限り入ることは出来ない!」
街の門に到着したソウル達に、衛兵の一人がソウル達を止めた。
「一つ訪ねますが、ここにジェラルドさんは来ていますか?」
「ん?確かに来ているが…何用だ?」
「ジェラルドさんに緊急性がある依頼をしたいのです」
ソウルは衛兵に事情を話したが、衛兵は怪訝な顔をした。
「緊急な依頼があろうとも、ここは通せん!」
「わかりました。貴方!の、せい!で依頼できなかったと上に報告します!残念だなぁ~貴方のせいで!全世界のリイルフ達とここの領主との戦争!が起きてしまうのは…」
「な…なんだと!?ま…待て!今上と相談するから!」
わざとらしく単語を強調して言うと、ソウルの言葉を聞いた衛兵は慌て出し、上司と相談する為門の中に入って行った。
「なにか酷いごり押しを見た気がするわ…」
「ハッハッハ!アップルさん?ちょっと何を言っているのか分からないですね?まぁ、あの衛兵もホウレンソウを怠って俺達を追い返そうとしたんだからお相子だ」
「そうかしら?」
ソウルの言葉に首を傾げたアップルだった。そして、その数分後に門から先ほどの衛兵の上司だと思われる中年の男性が門から出てきた。
「君か?うちの兵士に変な事言って脅したのは?」
「脅したとは心外ですね…紛れもなく事実ですよ。俺達はリイルフの集落の長老から直々に依頼されてきたのですから。ジェラルドさんを連れて行かないと集落が滅びてしまうのですよ。なんたって敵はディスペアーストーカーなんですから」
「な!…ユニークモンスターだと!?…むぅ~…そう言う話なら無下には出来ないか…分かった。俺に着いて来るがいい。だが、変な事したらすぐ牢にぶち込むからそのつもりでいてくれ」
「分かりました」
ソウル達は、中年の男性に頷いて答えると、頷きを見た中年の男性は門の上にいる衛兵に合図を送り、門を開かせた。
「ジェラルド殿は今領主邸におられる。こっちだ」
中年の男性の案内に従い、ソウル達は領主邸へと向かって行った。
「ここで待て、ミルコス様にお伺いを立てて来るから」
「分かりました」
中年の男性に言われた通り、領主邸の入り口で待っていると、領主邸の中から走ってこちらに向かって来ている、足音が聞こえて来た。
「待たせたな。お会いになるようだ」
「あー…はい…」
「ん?どうした?」
「いえ、俺達は領主様に用があるのではなくてジェラルドさんに用があるのですが…」
「安心しろ、ジェラルド殿も同席なさる」
「あ、そうですか」
中年の男性の案内で、領主邸に入って行ったソウル達は、そのまま両開きの扉の前まで連れてこられた。その両開きの扉を見たソウルは、応接室かな?と考えていると、中年の男性が扉を3回ノックし、部屋の中にいた人物から、入室を許可する声が聞こえてた。
「ようこそ、我がミルスコ領へ。私が領主のヤセク・ミルコスだ」
「初めまして、ミルコス様。俺は、リイルフの長老からジェラルドさんを集落に連れてくるように言われたソウルです。こっちが俺の相棒のマギア、俺の後ろにいるのが、アップルとマナリア、ティカルです」
ソウルは、頭にかぶっていた帽子を片手で取った後、帽子を胸の位置に移動してお辞儀をし、アップルソウルのお辞儀に合わせて、カーテンシーの挨拶をすると、日本の挨拶をした残りの二人がギョッとした目でアップルを見た。
「これは度丁寧にどうも。早速だが、本題に入ろう。こちらとしては今、ジェラルド殿はそちらに渡す訳ことは出来ない」
「それはつまり…リイルフの集落がどうなってもいいと?」
「そうではない。私どもの依頼が終ったら好きにすればいいと言っておるのだ」
「それは何時になるのですか?」
「それは…分からない。ジェラルド殿次第だからな」
「こちらとしましては、2日以内にジェラルドさんを集落に連れて行かないといけないのですよ」
ソウルは、わざと2日と偽ってミルコスに伝えた。そうする事で、後々になってジェラルドに何かを追加で依頼したり、この場に引き留めようとする事を防ぐ為だった。
「2日だと!?ここからリイルフの集落までどの位あると思っているのだ!?たった2日で迎える距離ではないぞ!?」
ソウルの言葉を聞いたミルコスは、信じられないと言った風に声を荒げて言うと、ソウルは一つのアイテムを取り出した。
「問題ないですよ?これを使いますから」
「何だそれは?」
「さぁ?」
「貴様!ふざけているのか!?」
ソウルが取り出したのは、ネファーから渡された8角形の箱だった。その箱について聞いたミルコスが、ソウルの態度に声を荒げながら机を叩いた。だが、ソウルもけしてふざけてのではなく、この箱で通信ができる事以外、よく分からない物だった。
「はぁ…ジェラルド…お前に聞こう…どうしたい?」
「俺は…」
「待ってください。そちらの方がジェラルドさんですか?」
ミルコスは、自身の横にいた男に向かって尋ねるが、ソウルは何か違和感を感じて訪ねた。
「そうだが?」
「嘘ですね」
「なんだと?」
ミルコスの横にいた男が、怒りを含んでいる様な低い声で聞き返すと、ソウルはその男を真っ直ぐ睨みつけた。
「貴方の目の動き…何と言うか、魔物を相手にする目ではなく…そう、暗殺者の目の動きだ。貴方…最初に俺達の武装を確認したな?」
ソウルは、当たり前の事をわざとらしく行った。何故わざと言う必要があったのか理由を話すと、ソウルはその男に違和感を感じて、鎌を掛けたのであった。もちろん暗殺者の目と言うのもはったりで、一見しただけで解る物では無かった。
「ぬぅ‥‥」
「それにこれにも反応しなかったな?これは、ジェラルドさんの奥さんが預けてくれたものだ。これを出した時、反応したのがそこにいる白髪の彼だけだ。貴方が本物のジェラルドさんですね?」
ただ黙ってこちらを見ていた男性に、指を差してソウルが言うと、ミルコスが深いため息を吐いた。
「はぁ~‥‥正解だ…。まさか、ここまでとは…要注意人物と言うのは本当だったか…」
「え?要注意人物?」
「ああ、帝国起きた戦争の報告にあったんだ。君があの戦争の中心にいて、いろいろ動いていたってな…良くも悪くも。それで、わが国では君は要注意人物だ」
「そうですか…」
ソウルの困った表情を見て、ミルコスはやり返してやったぞと言う表情になった。
「よく分かったな?」
「ええ、あの8角形の箱を出した時に、目元が動いたのでもしかしてと思ったのですよ」
「俺もまだまだって事か…さて、話を戻そう。すまないが俺は2つの依頼を同時に受ける訳にはいかない」
「なるほど、では俺達も手伝いますよ。来訪者の俺達が手伝えばすぐ解決すると思いますよ?ああ、報酬はいりません。急いでいるので」
「え?」
執事服を着たジェラルドが、何故分かったのかと尋ねて来ると、ソウルは勘とは言えず目元が動いたからだと答えた。その理由に納得したジェラルドが話を戻すと、ソウルは無報酬で手伝うと申し出た。そして、無報酬で手伝うと言う言葉を聞いたミルコスは、目を大きくして驚いていた。
「何を驚いているのです?あれ?もしかして、このまま帰るとでも思っていたのですか?それとも無報酬の件?これは、ジェラルドさんが受けた依頼なので俺達が報酬を貰う訳には行かないじゃないですか。あ、それとも手伝うと言った事です?当り前ですよ?こちらは急いでいるのですから」
ソウルが煽るような言い方で言うと、ミルコスは嫌な顔をした。
「私はお前が嫌いだ…」
「俺は、貴方の嫌そうな顔になるの好きですよ?」
ソウルの言葉にミルコスはさらに嫌な顔をした。
夜の森は月明りすら届かないのでやべぇというLvを超えてます。明かり無き海岸もおなじですね!危ないので近づかないようにしましょう。
ユニークモンスターの脅威は、世界共通で知れ渡っているので、通してくれました。
ミルコスは何故ソウル達を騙そうとしたかと言うと、ジェラルドに依頼を何とか達成してほしいからです。そして、ジェラルドはソウルと言う見知らぬ人物が自分を訪ねて来た為、ミルコスの偽ると言う話に乗りました。
嫌がらせ大好きソウル。
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