魔物ハンタージェラルド 2
完成して投稿です。あぁ…次は乙ゲー魔王の方を制作だ…
ネファーに、18時頃再び訪ねて来てと言われたソウル達は、あの後ティカルと合流し、雑談を交えながら街の近くに居るモンスターを狩ったり、ティカルが興味を持った生産職について学んだりとしながら、時間を潰したソウル達は、アップル達と合流した後、再びネファーの所に訪れていた。
「準備は良いかしら?」
「はい」
【アナウンス:重要キャラに同意した為、特殊クエストが開始されます。】
【アナウンス:現実時間3日までに ジェラルド を リイルフの集落 に連れて行け。残り時間71:59:58】
「ここでかー」
「ん?どうしたの?」
ネファーに頷いたソウルの前に、制限時間があるクエストが表示された。その表示を見たソウルは、ここで出たかと言葉にすると、アップルが首を傾げた。
「制限時間があるクエストが出てきた。今から現実時間で3日以内にジェラルドさんをリイルフの集落に連れて行かないといけなくなった…」
「大変じゃない!急がないと!」
「ああ、だが焦らず行こう。焦って何か失敗したら余計に時間掛かってしまった…なんて目も当てられない状態になりたくないからな」
「そうですね」
「では、ネファーさん。お願いします」
「よく分からないけど、とりあえず急いだ方が良いって事は分かったわ。今からテレポートで貴方達をグラードの街に飛ばすから、ジェラルドを見つけたらこれに向かって話しかけて。帰りのテレポートを開くから」
「分かりました」
ネファーは、8角形の中心に人の唇が付いてある小さな箱をソウルに渡した後、すぐ近くの地面に書かれてある魔法陣とその上に置かれた器具の方を向くと、何かの呪文を詠唱し始め、魔法陣を起動した。
「出来たわ!長くは持たないから急いで!」
「ありがとうございます!行って来ます!」
起動した魔法陣の中心に、空間の歪みが発生すると、ネファーはその歪みを指差しながらソウル達を急かした。ソウルは、ネファーに感謝の言葉を伝えながら、空間の歪みの中に入って行くと、周りの景色が一変した事に驚いた。
「転送装置にも驚いたけど、これはこれですごいな…」
「ちょっと!急に止まら…きゃあ!」
「えぇ!なんでそこで止まったn…うわぁ!」
「ソウルさん!そこで立ち止まらな…キャ!」
ソウルが転移に驚いてその場に立ち尽くしてしまうと、後ろに続いて来たアップル達が、そのソウルを巻き込む形で地面に転んでしまった。
「皆さん…大丈夫ですか?」
マギアが転んだ全員を心配して声を掛けると、アップル達は立ち上がり、土を払いながら文句をソウルに言い始めた。
「もう!なんで止まったのよ!?」
「ソウルさん…何故立ち止まったりなんかしたんですか?」
「あの初見回避は不可能だよ…」
「すまん、目の前に広がった景色があまりにも綺麗でな…」
「景色?」
ソウルの言葉に、アップル達は首を傾げながら視線を前に向けると、素晴らしい光景が広がっていた事に気が付いた。今、ソウル達が立っている場所は何処かの崖の上で、その崖下には大きな街が広がっており街の端から端まで一望できた。日没まじかの日の光に照らされた街は、何とも幻想的で美しい光景で合った為、思わず息を吞む程だった。
「‥‥綺麗ね…」
「…そうですね…あ、SS取っておこうっと…」
「この時間帯にだけ見れる物って奴だね」
「ああ、多分そうだろう…」
余りに美しい光景だったので、日が完全に隠れるまでの約十分間、その場で景色を見ていたソウル達だったが、そろそろ街に向かおうとソウルが言うと、アップル達もそれに頷き、幻獣を使って崖下にある街の門へと向かった。
「お?お前達、ずいぶん遠い所から来たんだなぁ…あ、そういえば同じ遠い所から来た男もいたな…」
グラードの街の門番に、ギルドカードを渡したソウル達は、衛兵の言葉に反応し、ジェラルドの事ではないかと考え尋ねてみた。
「その男性は何処に向かって行きましたか?もしかしたら俺達が探している方かも知れないのです」
「ん?あの男に何か用があるのか?」
「はい、その男性が目的の人物か分かりませんが、その男性に渡さなければいけない手紙と依頼があるのです」
「なるほど…。あの男なら冒険者ギルドがある方に向かって行ったぞ?冒険者ギルドは、この先の道を進んで行って2つ目の角を曲がった所にある」
「ありがとうございます。行ってみます」
ソウル達は、情報をくれた衛兵に感謝の言葉を伝えると、言われた通りに道を進んで行き、冒険者ギルドへたどり着くと、ギルドカードの登録ついでにジェラルドの事を受付嬢に尋ねてみた。
「ジェラルドさんですか?えっと~今依頼人さんの所で事情を聞きに向かっているはずです」
「依頼人さんの事を教えて貰える事は出来ますでしょうか?」
「申し訳ございませんが、守秘義務があるのでお話しできません」
「そうでしたか、分かりました。すみません変な事を聞いてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ」
「あ、もしジェラルドさんがギルドに戻ってきたら、伝言を伝えてもらうというのは可能でしょうか?」
「申し訳ございません。それも出来かねます…」
「そうですか…分かりました…」
その後、受付を離れたソウルは、アップル達が座っているテーブルに戻って来ると、首を横に振ってダメだったとみんなに伝えた。
「困ったわね…手がかりが無くなってしまったわ…」
「もしかして、この街の好感度が低いと苦労するって奴?攻略サイトにそんな事書いてあったけど、ここまでお役所対応されるとは…」
「ソウルさんの持ってるギルドマスター効力も効いてないみたいですし…どうしましょうか?」
「どうしようか…」
ソウル達は、頭を傾けながら悩んでいると、ソウル達がいるテーブルに料理が運ばれてきた。
「とりあえず美味しい物食べながら悩みましょう」
「そうしましょう!」
「おお!これが噂のギルド飯っていう物なんだね!」
「そうだな…俺も注文しよう。すみませーん!魚とお酒お願いしまーす」
アップルは肉料理、マナリアはスイーツ、ティカルは麺料理を食べ始め、ソウルは酒と魚を注文した。
「マスター、もしかしたらネファーさんが依頼の事を知っているかもしれませんよ?」
「あー‥‥そうかもしれないな…聞いてみるか…」
マギアの助言を聞いたソウルは、ネファーに渡された謎の8角形の箱を取り出し、それに向かって話しかけて見た。
「ネファーさん聞こえますか?」
〈…〉
「ネファーさーーーん?」
〈…もしもし?どなたですか?〉
「!?」
ソウルが箱に向かって話しかけると、その箱の中心にある唇が動いて幼い声が聞こえてくると、その声を聞いたソウル達は、目を大きくして驚いた。
「えっと…君は?俺は、ネファーさんからこの…なんだ?…箱を預かったソウルという物だが…そこにネファーさんは居ないのかい?」
〈あ、お母さんのお知り合いの方ですか?私はシリア。今お母さんはお風呂入っていていません〉
「そうだったのか…初めましてシリア。少し訪ねたい事があるんだけど…君のお父さん、ジェラルドさんが依頼人の事について何か話していた事は無かったかな?」
〈え?お父さんが?えっと…うーんと…あ!なんか貴族様の事を話していました!森に呪われたとか狼人間がどうのとか言っていた覚えがあります!〉
「貴族…森の呪い…人狼…か。なるほど、シリアありがとう。進むべき道が見えたよ」
〈えへへ。お役に立てたら幸…「シリア―お風呂空いたから入っちゃいなさいねー」…ヤバ!じゃあまたです!ソウルさん!〉
八角形の箱にある唇から何も聞こえなくなると、ソウルは箱をしまいアップル達を見回した。
「道が見えたな」
「シリアって言う子が言っていた貴族と森の呪い、人狼について聞き込みをしろっていう事ね!」
「聞き込みするって聞くと刑事か探偵物のドラマを思い出しますね」
「刑事物は西〇警察、探偵物は探偵〇語が好きだな」
「ティカル…お前本当に同世代か?」
「親が持ってたDVDを見て好きになった」
「あ、な~るほどTHE…やめとこう…」
その後、ソウルが頼んだ魚料理と温いエールがテーブルに着くと、ソウルはそれらを味わうようにゆっくりと食べ始めた。
「じゃあ、私達は商人達をあたってみるからそっちはお願いね」
「ああ、そっちも気を付けてな」
ギルドで食事を終え、ステータスにバフが乗ったソウル達は、二手に分かれて情報収集する事に決め、アップルとマナリアは、情報に耳聡い商人達をあたり、残ったソウルとティカルそしてマギアは、噂話が出やすい酒場をあたる事になった。
「ギルドの内で情報収集しようとすると目を付けられる可能性があるって厄介だね…」
「まぁ、守秘義務が~とか言っている手前、目の前でやられるといい顔されないのは当たり前だな…」
「それもそうだね。じゃあ、これから向かうのはこの街の花街?」
「ああ、いこう」
ソウルはこの街の地図を開き、目的の地域までの道順を確認した後、その場所へと向かって行くと、その地域の入り口には簡易な赤い柵門があり、その赤い柵門の奥では街灯や店からの光で、現代の街並みに明るかった。
「さてと…早速酒場に…」
「あら?そこのお兄さんと…謎の‥‥え?なに?」
ソウル達が赤い柵門の中に入って行くと、煽情的な服を着た女性に声を掛けられたが、ティカルの姿を見て、頭の上に?マークを出すような仕草をしながら驚いていた。
「お姉さん?俺達に何か御用が?」
「え?…あ、ごめんなさいね。初めて見る種族の方だったから驚いちゃった。では改めて…コホン、お兄さん達、今日のお宿はもうお決まりですか?」
「いや、俺達は来訪者だから宿を取る必要は無いんだ。その代わりいい酒場を探しているんだけど、おススメの酒場かなんか無いかい?」
「なるほど!そういう事ならこの道を進んで、最初の角を曲がった所にある「ウエストリンギア」って言うお店がいいわよ?演劇や踊りを見ながらお酒と料理を楽しめるから」
「それは楽しみだな。じゃあ、そこに行ってみるよ。ありがとう」
「まいど~楽しんで行ってね」
ソウルは、情報をくれた女性にチップとして、200オカーネンを渡した後、おススメされた酒場「ウエストリンギア」に向かって行った。
「賑わってるな…これなら期待できるかもしれない」
「そうだね。期待大って所だね」
ソウル達がウエストリンギアの中に入ると、多くの住人達が酒や料理を口にしながら楽しんでいる風景が目に入って来た。その他にも、ソウル達と同じプレイヤーと思われる人物が複数おり、住民達と一緒になって酒と料理を楽しんでいた。
「あれ?マスター?行かないのですか?」
「いや、こういうのは最初に聞き耳を立てて、目的の噂話を話している人物を探すんだ」
「?」
「手あたり次第に聞いて回るとオカーネンもすぐ底を付くし、自分達が楽しんでいる所だったのに邪魔されたと思われて話してくれない時もあるからな」
「なるほど!」
「じゃあ、どこぞのアサシン教団の如く聞き耳を立ててればいいんだね」
「いや…誰かを暗殺するのではないから、普通に客としていればいいと思うぞ?」
ソウル達はその後、店の従業員に開いているテーブル席に案内され、料理と酒を注文した。
「そういえば…森に呪われた領主様って言う話を知ってる?」
しばらく料理と酒を口にしながら、聞き耳を立てていたソウルの耳に、どこからかそんな声が聞こえて来た。
「森に呪われた領主?何の話だ?」
「私も知人から聞いた話なんだけどさ~なんでも西にいる領主様が森に呪われちゃったらしいわよ?それもある日突然だって~怖いわよねぇ…」
「それはあれか?知人からとか友人から聞いたとか言う何の信憑性も無い類の話か?」
「違うわよ!本当に起こった話なのよ!」
「おや、お姉さん?面白そうな話をしていますね~その話もっと聞かせて貰えたら沢山ご馳走しますよ?」
耳に届いて来た声の主を見つけたソウルは、酒がなみなみと入ったジョッキを両手に持って、噂話をしていた女性の所に向かい声を掛けた。そして、両手に持っていたジョッキをその女性と相手に渡すと、その女性は嬉々として話し始めた。
「あら?お兄さん?こういう話に興味があるの?」
「ええ、職業柄そういった話には商機がある可能性がありますからね。ここは奢りますので話してくれると嬉しいです」
「やめとけよ商人さん、こいつの話は大体ホラ話だぞ?」
「ホラ話って何よ!これは本当の話よ!」
「まぁまぁ…俺達はそういった話から金の鉱脈を見つける物なのでかまいませんよ?例え、間違えだった話だとしてもお酒の席で笑い話に出来ますし、綺麗なお姉さんの話を信じるのが男という物です」
「綺麗なお姉さん…いいわ~話してあげる。お兄さんもいい男ね~こいつとは違って…」
「こいつ!?」
「まぁまぁ…あれ?もうお酒がないですね?すみませーん!店員さん!ここにお酒2つ追加で!」
ソウルは、彼らに自分を商人だと思わせる事に成功した。もちろんソウルは、商人などではなくただの冒険者なのだが、相手が勝手に商人だと言ったので、ソウルはそれに乗って話を合わせたのだった。
「えっと~どこまで話したっけ?…あ、そうそう。ここから西に行った所に森に呪われた領主様がいてね、その領主の家族も呪れちゃったみたいなのよ~…ヒック…それで~困った領主様は、そういう事に詳しい専門家を遠い所から呼んだみたいよ?その専門家を呼ぶ為に、多額のオカーネンを使ってね~…そのオカーネン、少し私に分けて欲しいわ…」
「ほうほう、それで?」
「それでね~…あれ?そういえば何で呪われたかって話したっけ?…まだ?…えっとね~確か領主のドラ息子が勝手に森を切り開こうとしたのが原因みたいよ?」
「ドラ息子?…西の…あ、もしかして、ミルコス領のバラガか?」
「おや?ご存じで?」
「ご存知も何も有名だぞ?王様が禁止した処女税を取る事も平気でするし、領主の権威を笠に着て領民から略奪するしで滅茶苦茶な奴だ。きっと森を無断でっていう事も欲に駆られたからだろうさ」
「王が禁止した事を平気でする奴なんですね…」
「ああ、当時大変な騒ぎだったな。そのバラガがやった事が王様の耳に届いて、それで激怒した王様は、ミルコス家全員を縛り首にしようとしたらしいんだが、家臣達の説得でどうにか思いとどまったらしいぞ?ミルコス様は大変優秀な方だからそれが功を得たんだろうな。なんであんな優秀な人からあんな馬鹿が生まれ出て来たのか…神の正気を疑うね」
噂話を話していた女性の相方だと思われる男性が、その噂話の出所だと思う場所と呪いの原因と思われる事を口にし、その言葉を聞いたソウルは、次に行く目的地が見つかったなと考えた。
「そうよねぇ…ご息女二人も大変優秀な方なのに、跡継ぎになる息子があれだと、もうあそこはダメかもしれないわね~」
「なるほど~!大変面白い話をありがとうございます。これは情報についての報酬です」
「お!?こんなにいいの?」
「ええ、お好きな物をたくさん食べて行ってください」
「ありがとう!ね?お兄さん?この後…」
「申し訳ない、この後予定があった事を思い出したので失礼します」
「チェ~」
「フラれたな!ざまぁ!」
「なによ!こうなったら自棄酒よ!ちょっと!お酒樽ごと持ってきて!」
「ちょ!おま!貰ったオカーネン全部使う気か!?」
話しが逸れ始めたので、これ以上は聞いても意味が無いと判断したソウルは、ティカル達がいるテーブルに戻って来た。
「どうだった?」
「ああ、バッチリだ。次に向かうのは西のミルコス領だな」
「おっけー。じゃあ、早速アップルさん達と合流して行こう」
「ああ」
ソウル達が席を立った時、どこかに行っていたマギアが一枚の紙を持ってきた。
「マスター!マスター!大変ですよ!そこの掲示板に異種族の女性達がいる風俗店のレビューがありました!これは行って確かめてみないといけませんよ!」
「…行かん…っていうか俺が情報を聞き出している時にお前は何をしていたんだ?」
「はい!ティカルさんと一緒にそこの掲示板にあった性風俗の情報を見ていました!」
「え!?ちょっと!それ秘密だって言ったじゃないか!」
「お前らぁ‥‥」
ソウルは二人に呆れながらも、ウィンドウを開いてアップル達に連絡を取り始めた。
何でこのタイミングで制限時間が出たんだ?という時たまにあるあるネタを書いてみました。え?ねーよって?ちょっとその言葉、何言ってるか分からんどすね…
急に目の前に美しい風景が広がったら、誰でも足を止めるはず!
ジェラルドさんは妻子持ち。
ゆっくり食べてる場合かァーとか思われるかもしれませんが、本来このクエストは1日あれば十分、間に合うクエストです。ソウル達はそれを知らないですが…
情報を得るなら酒場だって古事記にも書かれていたらいいな…そしてナチュラルに話を聞きだす話術を使うソウル。コミュ障ボッチには真似できませんね!〈憤激
う~ん…ロリサキュ3つ子どすいちゃックス新婚マシマシで!(業深
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