舞台争奪1本勝負!
遅れましたが、どーんと24ページ!お楽しみください!
この章の纏ったギャグパートはこれで終わりです!
ソウル達がダンジョン内部へと入って行くと、いたる所で楽器を演奏しているプレイヤーやその曲に合わせて歌っているプレイヤーまたは、踊っているプレイヤーが数多くおり、ダンジョン内は様様な音で溢れかえっていた。
「ソウルさん!どこでやりますか?」
「え?何!?聞こえない!」
「どこで!始めますか!」
「ここは!うるさ過ぎるから!ここから離れた場所でやろう!」
「分かりました!」
様々な音で会話もままならなかったが、その場から逃げるようにしてダンジョン内部へ進んで行くと、ようやく普通に会話できるようになった。
「あそこは激戦区だな…なんかレアな幻獣でも出るのか?」
「いえ、ここにいる幻獣は全てランダムポップなので関係ないかと。多分ですが、あの場所が契約しやすいというジンクスみたいな物があるのではないでしょうか?」
「あ~なるほどね~私もそういうの好きだわ」
マギアの言葉に、アップルは納得して頷いた。
「もう少し進んでいい場所を見つけよう」
「了解です」
「分かったわ」
「了解しました」
「おっけー」
ソウル達は、更に奥へと進んで行くと、天井の亀裂から日が微かに差し込んでいる場所を見つけた。その日が差し込んでいる真下には、何かの遺跡があっただろうと思われる朽ちた石柱や人工的に削られた石が散乱してあり、日が当たる箇所には植物が生えていて、幻想的な雰囲気を出していた。
「わぁ~すごく幻想的な場所ですね」
「よし、ここにしようか。心を見せるって言っても雰囲気も大事だと思うし」
「そうだね~…あれ?ふんいき?ふいんき?どっちだっけ?」
「ふんいきだ」
「そっちか。たまにどっちか分からなくなるよね~」
「ふん!イキがるな!と覚えて置けば間違いない。まぁそれを口にしたら、何言ってんだこいつ?みたいな目で見「ちょっと!あんた達邪魔よ!どいてちょうだい!」…あん?」
突然、後ろから女性の声が聞こえてくると、ソウル達は振り返りその声の主を視界に入れた。
「聞こえなかったの?邪魔よ!早くどっか行って!」
「はい?俺達に何か御用ですか?俺達、今からここで演奏するのですけど?」
「はぁ?あんた何言ってんの?馬鹿じゃないの?ふざけないで!その場所は、前から私達が目を付けてたの!邪魔しないでくれる?」
「……なんだぁてめぇ?…張っ倒すぞ?」
ソウル達が後ろを振り返ると、全員ゴスロリ服を着た女性だけで構成された4人PTだった。その中の黒いゴスロリ服を着た女性が、ソウルに向かって理不尽な事を言って来た。もちろん、ゴスロリ服の女性が言っている事は間違いであり、予約制の場所でもない為、目を付けていたからどっか行けとは、理不尽極まりない事だった。そんな理不尽な事を言われたソウルは、あまりにも不愉快だったので、満面の作り笑いをしながら喧嘩を売る様な言葉を言った。
「やっぱり駄目だよ…ポリフェちゃん…割り込みは…ほら謝ろ?あの人めっちゃ怒ってるよ…美人な人が怒るとすごく怖いんだよ?ね?ほら…」
黒いゴスロリ服のPTメンバーだと思われる、白いゴスロリ服の女性が、黒いゴスロリ服の女性を諫めようとしたが、黒いゴスロリは止まらなかった。
「何言ってんのよ!サキ!そう言うこと言ってたら、いい場所なんて全部取られちゃうわよ!それに、私達はこの日の為に頑張って来たんじゃない!ここで足踏みするなんて私は嫌よ!」
「そうだけど、やっぱり割り込みはダメだよ…遅れた私達が悪いんだからさ…」
「そんなの関係ないわ!他の奴らなんて待たせておけばいいのよ!」
黒いゴスロリ服のポリフェが、徐々にヒートアップしていき、もはや手が付けられなくなった時、ソウルがΣウェポンを抜き、天井に向かって数発発砲した。
「さっきから黙って聞いていれば、ふざけた事ぬかしやがって!上等だこの女郎!この場所が欲しいのなら来いよ!戦ってやる!」
「いいわね!その方が手っ取り早いわ!」
「え!PvPするの!?」
「この人…嫌いです!」
マギアを抜いたソウル達4人が戦闘態勢を取ると、相手側も武器を抜いて構え始めた。互いに武器を構え今でも戦いが始まろうとしていたが、そこに割って入るモノがいた。
「皆さん!落ち着いてください!ここで戦闘をしてしまうと、幻獣達が寄り付かなくなってしまいます!別の方法で決着を付けましょう!」
「…っち…そう言う事なら引いてやる…どうするんだ?」
「ここは平和的な勝負で決着を付けましょう!一本勝負のあと腐れなしです!」
「そういう事なら私はかまわないわよ!さっさと勝負な内容を話しなさい!」
互いに(ポリフェ一人で勝手に話を進めた)同意すると、マギアは勝負の内容を話し始めた。
「では、「集めて!羊さん!」で勝負しましょう!ドンドンパフパフ~!…説明ッ!!この先を進んだ所に広い部屋があるので、その部屋の中で私が訓練モードを使用し、羊を部屋の中に放ちます。皆様は、指定された場所に羊を入れてください。ただし放たれた羊の中には、見た目がほぼ似ている「羊もどき」と言う魔物がいるので、それが指定した場所に入ってしまったら減点になります。よく見れば普通の羊と違う部分があるので、よく確認してくださいね」
「つまり、よく確認してより多く指定された場所に入れればいいって訳ね!」
「はい、そうですアップルさん。他に質問はありますか?」
「羊一頭の点数はどのくらいですか?」
「羊一頭に付き+1点、もどきの場合は-2点になります」
「なんだかおもしろくなって来た。あ、そういえば制限時間は?」
「5分にしましょう」
「ルールは分かったわ!当然妨害行為もOKよね?」
「はい、正し直接は禁止です。また武器を使うのも禁止になります」
「分かったわ!さっさとやりましょう!」
互いにルールを確認し、ソウル達とポリフェ達は奥の部屋へと進んで行った。
「では、訓練モードを展開します。あ、言うのを忘れていましたが、あの場所に結界を張りましたので、この勝負の勝利者はこの鍵を使って結界を解いてください」
マギアは全員頷いた事を確認した後、その部屋を全て使った訓練モードを展開した。
「メェ~」
マギアが訓練モードを展開し終わると、部屋の中には羊が大量にポップし始めた。そして、部屋の中心には柵で覆われた四角いエリアとその上にカウンターが表示され、ソウル達はその柵の中でゲームが始まるのを待機した。
「それでは開始します!制限時間は5分です!スタート!」
マギアのスタート合図を聞き、一斉に柵のエリアから飛び出して行ったソウル達は、目の前にいた羊の群れを囲い始めた。
「普通の羊と羊もどきの違いって何かしら?」
アップルがしゃがんで、目の前にいる羊の顔を見つめながら首を傾げると、その問いにマナリアが答えた。
「アップルちゃん、よく見て!この羊角が逆向きだよ!」
「あら、本当だわ」
「他にも蹄の形が違っていたり、毛質が羊毛じゃなくて綿みたいな子がいるよ!」
「なるほど…ほとんど似ているけどよく見れば違うってわかるのね」
マナリアの見分け方を聞いて、実際に確認したアップルは、深く頷いた。
「え!?あ!ちょ!誰か助けて!」
「何やってんだ!?」
ソウル達は、順調に羊と羊もどきを選別して、自分達の柵に連れて行っていると、ティカルの周りに羊達が群がり出した。そして、一頭の羊が無理やりティカルを背に乗せて動き出すと、群れも一緒に動き出し、走り出して行った。ティカルの助けを求める声を聞いたソウルは、慌ててティカルを追いかけ始めた。
「うぷっ…これは酔う…」
ティカルを乗せた羊は、飛び跳ねる動きや、急な方向転換からの走り出しでティカルを酔わせた。羊の上に乗っているティカルは、振り落とされない様に体を密着させ、しがみついているのがやっとだった。
「残り2分です!」
マギアが残り時間を伝えて来ると、時間が無いと感じたソウルは、ティカルを乗せた羊の群れの前に出た。
「遊んでいる時間はない!俺が止める!止めて見せる!」
羊達とソウルは、まるで荒野の決闘の様に対峙し始めた。対峙する羊達はソウルを見ながら、蹄で地面を削る様な動きを見せ、ソウルは足を踏ん張り両手を開いた。そして、少しの沈黙と何処から転がって来たか分からない謎のダンブルウィードが、ソウルと羊達の間に流れていった。
「かかってこいやぁぁぁぁぁ!!!‥‥こっ!ひゅん…」
ソウルが大声で吠えると、羊達はソウル目掛けて突進を繰り出した。が、突然ソウルの真横に羊がポップし、その羊が驚いてソウルに頭突きを喰らわせた。羊の頭突きで地面を転がったソウルは、うつ伏せの状態になった。
「え?ソウル?どうしたの?なんで起きないの?」
「えっとその…アップルちゃん、ちょっとそっとして置こう?ソウルさん今恥ずかしすぎて顔を上げられないんだから…最初かっこいい事言って、ドヤ顔しながら待ち構えてたんだけど、突然横に現れた羊に頭突きされて転がされたんだしさ…それに、頭突きされた時、変な声を出しちゃったから、よけい恥ずかしい思いをしているんだよ…だから、ちょっとそっとして置こう?」
「ああ、さっきの無様なこっひゅんって奴ね。確かにあれは恥ずかしいわね…」
女性二人の容赦ない言葉に、ソウルはそのままの体勢で、顔を真っ赤にしながら目に涙を浮かべた。
「ふ…無様ね!これなら勝ちは私達が頂い‥‥たひゅん!」
ポリフェが、地面を転がったソウルの姿を見て勝利を確信した時、その後ろに羊もどきがポップすると、ポリフェに向かって頭突きを喰らわせた。ソウルと同じく変な声を出したポリフェは、そのまま地面に転がり、うつ伏せの状態になった。
「ああ!ポリフェちゃんも変な声出して地面に!きっと顔真っ赤になってるよ!」
「無様に油断してるからそうなる…」
白いゴスロリ服のサキと青いゴスロリ服の女性が、追い打ちをかける様な言葉を言うと、ポリフェはその状態でプルプル震え出した。
「残り50秒です!」
「マナリア、男共は使えなくなったから私達で追い込みをかけるわよ!」
「ガッテンだよ!アップルちゃん!」
「誰か…タスケテ…」
完全にグロッキーになったティカルをそのままにして、アップルとマナリアは羊を追い立て始めると、相手PTもポリフェを見捨てて追い立て始めた。残り30秒になると、柵の上に表示されているカウンターが???となって分からなくなったが、アップル達はそれを気にせずに、自分達の柵の中に羊を入れていった。
「終了です!」
マギアからゴング音が3回鳴ると、部屋の中の羊達は消え去り、ソウル達は自分のエリアに戻って来た。
「集計完了です!一の位から発表します!」
ソウル達は、頭上のカウンターに視線を向けると、マギアがドラムロールを鳴らした。
「ゴスロリチーム ??9」
「リベリオンチーム ??8」
「一の位は勝ったわ!」
「まだ一の位だろ?何を喜んでんだ?」
ソウル達に向かって、挑発する様にポリフェが言うと、それに対してソウルは冷静なツッコミを入れた。
「ゴスロリチーム ?79」
「リべリオンチーム ?88」
「げ!」
「…フン」
ソウルは、頭上のカウンターを見上げて、嫌な顔をしているポリフェを鼻で笑った。
「ゴスロリチーム 179」
「リベリオンチーム 288」
「100以上あるの差で勝った!圧勝だ!」
「はぁ!?そんなはずないわ!インチキよインチキ!インチキだからノーカンだわ!」
「イカサマ等不正行為は誓ってやってません」
「はぁ?じゃあ、インチキしてない証拠を出しなさいよ!」
「では、こちらは貴方の言っている「私がインチキをした」という証拠を提示してください。あ、それとも最初に私目線で録画していた動画を公開しましょうか?その場合、あなたは私がインチキをしていたという証拠が提示出来ない場合は、運営に通報並びに多額の賠償を請求しますが…それでよろしいですか?」
「うぅ…」
流石のポリフェも通報と言う言葉を聞いて、目に涙を浮かべて下に俯いた。
「ほら、ポリフェちゃん。最初から言ってるじゃん…美人な人怒らせると怖いんだって…ここは素直に謝ろう?」
「‥‥‥‥ごめんなさい‥‥」
サキに諭されたポリフェは、呟くような声で謝罪した。
「ふん!これで買ったと思わないで頂戴!バーカ!バーカ!ウワァァァァン‥‥」
「あ!待ってよポリフェちゃん!…皆さん!ポリフェちゃんが大変失礼しました!本当にごめんなさい!では失礼します!」
泣きながら捨てセリフを吐いたポリフェは、何処かに走り去って行くと、サキがソウル達に謝罪してポリフェの後を追って行った。他のPTメンバーもサキと一緒にポリフェの後を追いかけて行った。
「まったく…変な奴に絡まれたもんだ…」
走り去って行くポリフェ達を見ながらソウルが呟くと、アップルとマナリアは視線をソウルに向けた。
「「こっひゅん!」」
「やめて!」
女性二人は、先程無様を晒したソウルの真似をすると、ソウルは顔を真っ赤にしながら否定した。そしてその三人がいる場所の横で、ティカルが口元を抑えながら地面に横たわっていた。
「遅いじゃないのよ!さっさと始めなさいよ!」
「まだいたのか…」
演奏する場所に戻って来たソウル達に、ポリフェが急かすような言葉を言うと、ソウルはうんざりした気分になった。
「いるわよ!順番変わってあげたんだから感謝してよね!」
「(こいつ…腹立つぅ…)」
ソウルは、その場に施された結界を解いた後、内心でそう思いながら演奏の準備を始めた。
「じゃあ、まずマナリアから始めて次にティカル、最後にアップルで行こう」
「はい!頑張ります」
「了解~だよっと」
「ねぇ?私は演奏しなくていいの?」
「アップルは別にどっちでもいいぞ?演奏できる楽器は無いから、歌う事しかできないと思うが…プリティ♡ルージュのエンディングの歌詞知ってる?」
「知らないわ!」
「なんで堂々と言った?…まぁいい、じゃあちょっと見学してて」
「はーい」
ソウルの言葉に従い、アップルはソウル達の前に移動した後、体育座りで待機し始めた。
「マスター最初はどの楽器を使いますか?」
「雷鳴のギターを使う」
「了解です。では、私はキーボード音とアンプ役を引き受けます」
「オカリナでプリティ♡ルージュか…いけるかな?」
「楽譜を拝借して来たのでこちらをどうぞ」
「あ、マギアさんありがとう」
「(ん?拝借?)」
マギアの言葉に、何かの引っ掛かりを感じたソウルだったが、深く考える事はせずウィンドウに映った楽譜に集中した。
「よし、確認完了。3人は準備OKか?」
「緊張しますが…大丈夫です!」
「音量調節完了です。いつでも行けます」
「こっちもオッケー」
「マナリア、こういう場合、上手く見せようとか失敗したらどうしようじゃなくて、自分の心から楽しいと思える程、楽しんで踊った方が良いぞ」
「なるほど!楽しんで踊る…分かりました!」
マナリアはソウルの言葉を聞くと、胸の位置で両手を握り、フンスを気合を入れた。そして、ソウル達が演奏を開始するまでの静寂が流れた後、演奏を開始した。
「わぁ…」
ソウル達が演奏し、踊っている途中でゴスロリPTの方からそんな声が聞こえて来た。最初、アップルが言ったのかと思ったソウルだったが、どうやら違う様でゴスロリPT全員が目を輝かせてこちらを見ていた事に気が付いた。
「本当に楽しそうに踊ってるわね…こっちまで楽しくなって来たわ」
アップルの呟きがソウルの耳に聞こえると、ソウルはギターを弾きながらマナリアに視線を向けてみると、アップルが言った通りマナリアは、楽しそうに踊っていた。マナリアの踊りを見ていると、自分まで楽しくなってくるような気分になり、演奏にも力が入った。そして、3分25秒の曲が終り、マナリアは最後まで楽しそうに踊りきると、何処からか馬の鳴き声が聞こえて来た。
「ソウルさんこれってもしかして…」
「ああ、蹄の音が近づいて来るな…きっと幻獣がマナリアの踊りに答えてくれたんじゃないか?」
ソウルの言った通り、馬が駆けて来る音がこちらに近づいて来ると、その音を出している幻獣が姿を現した。
「え?〇導馬?!」
「ひゃー!これです!ソウルさんこれ!私、この色の馬が欲しかったんです!」
目の前に現れたのは、有名な特撮に出て来る馬に似た幻獣だった。ただ、その馬は青を基調にした配色をしており、まるで空の青さを表している様な姿だった。欲しかった馬が出た事で、マナリアは喜んでいると、突然幻獣の額に謎の紋章が浮かび上がって光だすと、マナリアの目の前にウィンドウが開いた。
「名前を決めてください?うーんとえーっと…青い…蒼い…そうだ!蒼天!貴方の名前は蒼天に決めた!」
名前を付けた事で幻獣との契約が成立し、マナリアは馬型の幻獣の「蒼天」を手に入れた。
「へ~幻獣が答えてくれると、こうなるんだね~」
「よし、次はティカルだ。どうする?一人でやるか?それとも一緒にやるか?」
「うーん、そうだなぁ…僕が一番得意な曲って哀愁漂う曲なんだよね…」
「あーだったら俺がハープしようか?ハープだったら問題ないと思うし」
「そうだね。頼むよ」
「では、私はアンプと音量調節だけやりますね」
契約が成功したマナリアは、アップルの横に座ると蒼天は、マナリアのすぐ後ろで待機し始めた。
「曲は何にする?」
「冬空アンダンテで行こう」
「あいよ」
互いの準備が出来ると、少しの静寂の後、最初にソウルがハープを鳴らして演奏が始まった。曲調は、何処か寂し気な雰囲気を出していて、まさに哀愁漂う曲と言っていい曲が鳴り響いた。
「何かこう…沁みるわね…」
「そうだね…」
アップル達からそんな声が聞こえたソウルは、ふとゴスロリPTに視線を向けると、涙を流している人が数人いる事に気が付き、内心驚いた。そして、演奏は2分20秒ほどで終わると、遠くの方で幻獣の鳴き声がソウル達に届いた。
「あれ?なんだろう?さっきの鳴き声って聞き覚えある様な?それもつい最近…」
「そうだなぁ…まるで羊のような鳴き声だったなぁ…」
「うぇ!ひ…羊!?…嫌そんな事はないよ!きっとヤギだよ!そうに違いない!」
先程のミニゲームで羊にトラウマを持ったティカルは、必死にヤギだと言ったが、こちらにかけて来る幻獣の姿は、もこもこしていた。
「ああぁぁぁぁぁ…もう違うと言えない…」
ティカルは、幻獣のもこもこしたシルエットに絶望し、地面に両手と両膝を付いてガックリと落ち込んだ。そして羊型の幻獣が、ティカルの目の前にたどり着くと、額に紋章を浮かび上り、光を放ち始めると、ティカルの目の前にウィンドウを表示した。
「えっと…名前…うん…もうモコでいいや…」
ティカルは、羊型の幻獣にモコと命名すると契約が完了し、羊型の幻獣「モコ」を手に入れた。
「よし、最後にアップル。君の出番だ」
「なんか緊張するわね~」
「緊張しているアップルには悪いけど、少し難しい注文をするぞ?」
「え?!」
「愛し君へと贈る鎮魂歌は、もう二度と会うことが出来ない恋人に送る鎮魂歌なんだ。目をつぶってイメージしてくれ。アップルには、恋人がいた。だけど、戦争で恋人が出兵する事になり、離れ離れになってしまった。恋人の無事は戦場から送られてくる手紙だけ。心配で心配でたまらない。だけどある時から、手紙が来なくなってしまった。アップルはまさか…と思うが確かめる術はない。いろんな理由を付けて自分を誤魔化すけど、いつまでたっても手紙は来ない。だけどある時、恋人から手紙が届いた。アップルは、手紙が届いた事で恋人の無事に安心したけど、手紙の内容には戦況が悪化して生きては帰れないと言う内容が書かれてあり、同封されいたのは恋人の遺髪。アップルは、恋人の死に絶望し、嘆いた。何日も泣き続け、ついには死の寸前まで来た時、恋人の夢を見た。その夢で、恋人から「生きて」と言われたアップルは目を覚ました時、生きる事を誓う。そしてアップルは、海が見える丘の上で死んだ恋人に届く様に鎮魂歌を歌う…どう?イメージで来たか?」
「ええ、よく分かったわ」
「よかった。長い説明をもう一度お願いされたら、どうしようかと思ったよ」
ソウルは、アップルが一度で理解してくれた事に安堵し、ハープを鳴らした。
「ティカル、マギア、準備は良いか?」
「こっちも楽譜確認終わったからいつでも大丈夫だよ」
「大丈夫です。マスター」
「じゃあ、始めよう」
準備が完了した仲間達の言葉を聞いた後、少しの静寂が流れてから演奏を開始した。最初にソウルのハープから始まった後、次にティカルのオカリナがゆっくりと演奏し始めた。アップルが歌う歌詞は、7割ロシア語、2割英語、最後の1割は日本語と特殊な歌詞だったが、全て完璧に歌っていた。
「わぁ…すごい…」
「何よ…これ…涙が止まらないわ…」
「こんな…すごすぎ…」
ソウル達の演奏とアップルの歌声を聞いた聴衆達は、すっと心に入り震わせてきた事に驚き、涙を流しながら感想を述べ始めた。実際、演奏しているソウルやティカルも、アップルの歌声に心を震わせていた。
「はぁ…こんな曲もあるんだなぁ…」
3分ほどの曲が終り、サキが切なさが入った様な声で言うと、遠くから馬の様な鳴き声が聞こえて来た。
「え!この鳴き声ってもしかして!」
ポリフェが涙を拭いながら、聞こえて来た鳴き声に驚いた。
「ポリフェちゃん、間違いないよ!これってあのすっごいレアな幻獣だよ!」
「本当にいたのか…」
「あの幻獣を手に入れた人って世界で2人だけなんでしょ!まさか、3人目になる人に立ち会えるなんて…」
馬の蹄に似た音が近づいて来ると、ソウル達は音が鳴る方に視線を向けた。その幻獣の体は、金色と紺桔梗色で、雷を纏っていた。
「あれは…確か中国の神話の麒麟って奴か?」
「わぁ~すごくきれいな色をしていますね」
「幻獣と言うより聖獣と言った方がしっくりくるね」
「今検索して調べてみたのですが、聖獣「金色麒麟」と正式名称らしいそうですよ?」
「金色って紺と金を掛け合わせているのか?なんにしてもすげぇな!やったね!アップル!」
「…望んでた幻獣と違う…」
「「「「「「えぇぇぇぇ‥‥」」」」」」
まさかのアップルの言葉に、その場にいた全員が耳を疑った。だが、その後全員でアップルを説得して金色麒麟と契約させる事に成功した。
「うーん…名前ね…あ!そうだわ!鍔天王にしましょ!」
「アップル!ちょっと待ってくれ!せめて王は無しにしよう!」
「えぇ?なんで?」
「王付けちゃうととある乙女達が奮闘するアニメが出てきちゃうから!」
「…あ~なるほど、分かったわ。今日からあなたは「鍔天」よ!」
アップルが「鍔天」と命名すると契約が完了し、聖獣「鍔天」を手に入れた。
「よし、全員契約が済んだな。ダンジョンを出るか」
「ソウルは、やらなくていいの?」
「俺はマギアがいるから大丈夫だ」
「マスター…」
ソウルの言葉で、マギアが球体の一部を桃色に染めて照れた後、ソウル達がダンジョンを出よう足を入り口に向けた時、ポリフェがソウル達を止めた。
「ちょっと待ちなさいよ!」
「なんだよ!まだ何かあるのか?」
「えっと…その…いいモノを聞かせてくれたお礼に私達の演奏を聞いて行きなさいよ!」
「そうか、だが俺はこう言う。お断りィ!」
「なんでよぉ!聞いて行きなさいよぉ!」
「おい!放せ!どこ掴んでる!HANASE!!」
ポリフェがソウルのズボンを掴んで、ダンジョンから出ようとする事を止め始めた。ソウルも、ズボンを脱がされない様に必死に堪えた。数分その行為を続けたが、根負けしたソウルは、ポリフェ達の演奏を1曲だけ聞く事を条件に折れた。
「もう一度言うけど、1曲だけだぞ!」
「分かってるわよ!心して聞きなさい!「夢色♡ビート」!」
ポリフェ達の準備が整うとドラムのスティック音が数回なり演奏を開始した。
私が、初めてライブに言った時、あまりの音量にびっくりした記憶があります。友チケで行った松浦 亜弥さんのライブです。
いい幻獣と出会う為に、げん担ぎは大事。
地雷そうなプレイヤーが現れた!
ゴスロリPT
黒いゴスロリ ポリフェノアール
白いゴスロリ サキ・ルメイア
青いゴスロリ トリン
黄色いゴスロリ クローバー
黄色いゴスロリ服のクローバーは一言だけ。ちなみにドラム担当
審判のマギアに不正を疑うと理論と正論そしていろいろな物を装備して殴ってきます。注意してください。
魔〇馬いいよね!
モチベ維持に評価お願いします! お願いします!
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総合評価1万以上を目指したい…コンテストに応募すればいいのかな?…一次落選したらガチ泣きしそうだし…どうしよう…




