己が心を見せる準備
お楽しみくだちゃい。失礼、わざとです。
「マスター、この辺りにAVRの反応があります」
「んあ?…もう着いたのか?しまった…暇すぎてウトウトしていた…」
マギアの声に起こされたソウルは、ヘリコプターの窓から地上を見下ろすと、AVRがある場所を見つけた。ソウルは、AVRがある場所をマギアに指示を出すと、マギアはヘリコプターをその近くに着陸させた。
「んーー…さすがに3時間はやる事なくて寝ちゃうわね~」
「ソウルさんのウトウトしている姿を見たら、私まで眠くなっちゃいましたよ」
ヘリコプターから降りたアップルとマナリアは、体を伸ばし始めた。
「空もすっかり夕暮れに…どうする?ソウル?」
ティカルの言葉にソウルは、女性二人に視線を向けて訪ねた。
「どうする?もうすぐ夕飯時だが…このまま挑むか?」
「私はご飯食べたら挑戦したいです!」
「そうね、私も夕食を終えた後に挑みたいわ」
女性二人の言葉に頷いたソウルは、ティカルに視線を戻すと、ティカルも頷いた。
「僕もそれで構わないよ」
「分かった。じゃあ、ダンジョン前まで進んだ後一度解散しよう。集合時間は8時半くらいで大丈夫か?」
「はい」
「それで問題ないわ」
「オッケー」
全員の言葉に頷いたソウルは、マギアに視線を向けた。
「マギア、AVRを起動しよう」
「了解です。では、皆様お手伝いをお願いします」
マギアの指示で、横に倒れているAVRを立て直した後、マギアがウィンドウを開いて何かを操作すると、AVRから青い光の玉が発射された。
「よし、この辺りの事が分かるようになった。ダンジョンは~ここだな」
「すぐ近くね」
「張り切って行きましょう!」
マナリアが元気よく言うと、ソウル達もそれに頷きダンジョンへと向かって言った。
「到着っと…」
「トゥー!ヘアー!!」
「ここに私のマウントがいるのね!」
「チェストォォォォ!」
「楽しみです!」
「グゥ…レイトォォォ!」
「そのマウントが何か分からないけど楽しみだね」
「アデュー!ア、ミーゴ!」
「じゃあ、一度解散しよう…ってうるせぇな!」
「仕方ないですよ、ソウルさん…だってこんなにプレイヤーの方がいるのですし…」
マナリアは、周りを見渡しながら言った。ソウル達は、ダンジョンの入り口にたどり着くと、その周りで多くのプレイヤー達が戦闘を行っている風景に出くわした。あちこちで魔法やスキルが飛び交い、それに合わせて掛け声を出すプレイヤーが多くおり、この辺り一帯がうるさかった。
「あそこではソイヤッソイヤッって言いながら踊ってるわね…」
「なんでだ?ソーラン節意味あるのか?」
「カオスだねぇ」
「きっと踊り子さん達だと思います。きっと!…その…多分…」
マナリアの言葉が徐々に自信を失って行くと、ソウルはこのカオスに呆れながらも話を切り替えた。
「とりあえず、一度解散しよう。集合は3時間後の8時半で」
「分かったわ」
「ご飯食べてきます!」
「僕も済ませて来るよ」
「じゃあ、後で」
ソウルの言葉に頷いた仲間達は、その場でログアウトして行き、ソウルも現実世界に帰って行った。
「ふぅ……あー…まだ、飯が出来るまで少し時間があるか…」
FDVR機器を外し、スマホの時計を確認したソウルはPCを立ち上げた。
「おや?マスター?どうしたのですか?」
「ん?ああ、マウントの取り方を調べておこうと思ってな」
「なるほど、ではこちらのサイトをどうぞ」
スマホに映ったマギアが、総一郎のPCに向かってURLを送ると、インターネットブラウザが勝手に開き、Wonderful Planetの攻略サイトを表示した。
「あのダンジョンの名前は何だっけ?」
「幻獣たちの休憩所です」
「幻獣たちの…あった」
マウスを動かし、目当てのページをクリックした。
「何々…「己が心を幻獣に伝えよ。さすれば幻獣はその者に心を開かん…」か…なるほど、分からん!」
「マスター、文字通りの意味だと思いますよ?契約者が目当ての幻獣に自身の心を見せる事が出来れば、契約してくれると思います」
「いや、それは分かるんだが…どうやって心を見せるんだ?まさか胸を切り開いて見せる訳じゃないだろう?」
「その場合だったら、ダンジョン内はモザイクだらけになりますね!マスター…思い出してください。ダンジョン前でソーラン節を踊っていた方達がいたでしょう?」
「え?心を見せるってそういう事なのか?」
「だと思いますよ?」
「えぇ…何も用意してないぞ?俺、ダンジョンに行って目当ての幻獣と殴り合いして勝てば契約してくれると思ってたし…」
「多分アップルさん達もそう思っているはず…どうしますか?」
「どうしますって言われてもなぁ…俺が出来る事と言えば楽器を演奏する事と歌う事しかできないぞ?」
「マスター!楽器が演奏できるのは知ってはいましたが、歌えるのですか?!」
「ばあちゃんに調きょ…一通り教わったんだ。いや~あの時は怖かったよ…音階一つでも外すと何度もやり直しされたし、大きく外しちゃうと「この戯け!」と言う言葉と共に鉄針が飛んで来たなぁ…そういえば一緒に教わってた子…よく失敗して鉄針投げつけられてたけど、最後まで付いて来てたな~懐かしい。今でもあの子は歌っているのだろうか?」
「マスター…それ大丈夫なんですか?マスターの妄想の子ではないですか?」
「失礼な!俺がボッチだったみたいに言うんじゃないよ!ちゃんと実在する子だ!全く…」
「いえ、そう意味では無いのですが…」
マギアが心配するような声色で言ったが、総一郎にはその言葉の本当の意味は伝わっておらず、総一郎は頬を膨らませてプンスカ怒り出した。そして、一階から母親の声が聞こえると、総一郎はその声に答えた後、一階に降りて行った。
「マスター、私が言った意味はその教えが苦痛過ぎて幻の子を作り出していたのでは?と言う意味です…ちゃんと実在している子ならいいんですが‥‥それにしてもマスターのご祖母様は芸事に関して厳しい方だったようで…念のために調べておきますか…」
部屋から出て行った総一郎を、スマホの画面から見送ったマギアはそう呟いた後、ネットの世界にダイブして行った。
「おまたせ~」
「おう!よし、これで全員集まったな」
夕食を食べ終えた総一郎は、再びログインをするとマナリアとアップルがすでにログインしており、集合場所に集合していた。そして集合時間の5分前にはティカルも現れ、全員が集まった。
「あれ?僕が最後だったか…」
「いえ、私達が早く来たのよ。気持ちが逸って30分前にはログインしちゃったし…」
「私も早く来ちゃいました」
「俺は10分前にインしたからティカルとそう変わらない…さて」
ソウルは、仲間達の視線を自身に集めた。
「ここに居る幻獣は自分の心を見せないと契約できないんだが…何かそういった芸は持ってるか?」
「「「え?」」」
「ここに居る幻獣は自分の心を…」
「いや、聞こえなかった訳じゃないから。どういう事?私、戦って勝てばマウントが得られると思っていたのだけど…」
「私もです」
「僕も…う~ん…そう言う事ならマウントゲットしてとんずらするネタを用意してたんだけど無駄になっちゃったね…」
「ちょ!お前はアレか?床ソムリエのドラゴンナイトか?」
「落ち芸と逃げ足には自信があります」
「それアウトだから!…ったく…話を戻すぞ?。ここの幻獣に自分の心を見せなきゃいけないから、その心を見せることが出来る何かしらが必要なんだが…何かあるか?」
ソウルは、全員の顔を見渡しながら言うが、アップル達は微妙な顔をしていた。
「…う~ん、私はこれと言って思いつかないんだけど…マナリアはどう?」
「えっと…強いて上げるならプリティ♡ルージュのエンディングに流れてるダンスを踊れる位でしょうか?」
「僕は高校の学園祭でソウル達と一緒にバンドしてた事あるけど…誰もキーボード持ってないよね?キーボード以外ならオカリナかハーモニカしかできないなぁ…」
「オカリナなら前に遊びで作った奴があるからそいつを渡そう。マナリアはその踊りで!問題はアップルだな」
「私ちまちましたの嫌いなのよ。だから楽器とか無理だわ…一応高校の授業でヴァイオリンは弾いていたけどいつも合格点ギリギリだったし…」
「う~んどうするか…」
「今気づいたけど、私って特技何にもないのね…自分自身に驚愕だわ…」
アップルは、自分にこれと言って特技が無い事に気がつき、両手と両膝を地面に付けて落ち込んだ。
「マスター!出来ました!これをどうぞ!」
落ち込んだアップルに、何と答えていいのか分からず迷っていたソウルに、マギアが一つの楽器をソウルに手渡した。
「これってアイリッシュハープじゃないか。どうしたんだこれ?」
「マスターのご祖母様の事をネットで検索していたのですが、ハープを引きながら歌っているマスターの動画を見つけたので作ってみました。このハープはエレキギターの様に機械を入れている為、アンプにつないで音を大きく出せる事が出来ます。どうぞ、出来立てですよ」
「そんな食べ物の出来立てみたいに言われてもな…」
ソウルは近くにあった石の上に座り、ハープの弦を鳴らしてみた。すると、音は小さいが綺麗な音色が鳴り響いた。
「綺麗なレの音ね」
「ん?アップル分かるのか?…じゃあこれは?」
ソウルは、ハープの弦を3本鳴らした。
「ミ、ソ、ファね」
「ふむ‥‥アップルさんは歌ってみようか」
「えぇ?!」
ソウルの言葉に、アップルは目を大きく開けて驚いた。
「ちゃんと音階も聞き取れているし、問題ないと思う。俺が演奏するからアップルは歌で心を見せよう」
「えぇ!?ちょっと待って!歌うってすごく恥ずかしいのだけど!第一何を歌えばいいのか分からないわ!」
「ダイジョブ、ダイジョブー、ナントカナルヨー。曲はどうしようか?…あ!アップル、「愛し君へと贈る鎮魂歌」って言う曲は知ってる?」
「それなら知っているわ。父様が異常と言う位聞いていたもの」
「え?異常?…まぁいいか、その曲なら完全に暗記しているから楽譜が無くても弾けるな。よかった」
アップルの言葉に疑問を感じたが、ソウルはまぁいいか、と考える事を止めて頷いた。
「よし、決まった事だし早速ダンジョンに行こうか」
「頑張ります!」
「オカリナ吹くの久しぶりだから上手く行くといいなぁ」
「え?あれ?私が歌う事決定なの?ねぇ?ちょっと!」
歌う事に納得行っていないアップルをそのまま連れて、ソウル達はダンジョン内部へと入って行った。
長時間の移動は、眠くなりますね。ドライバーの皆さん!お気を付けて!
乗り物に乗りながら携帯ゲームとかすると、必ず酔います。皆さんは酔いに強い方ですか?
戦闘している彼らはSPを稼いでいます。その稼いだSPで演奏系のスキルや踊りなどのスキルを取るためです。
幻獣とココロ…ツナガル!まぁ別に歌や踊りでなくても、心から表現できる物があるなら何でもいいのです。それこそ絵や詩でもおkなんです。
なんでアディオスじゃないのかと言うと、たいした理由はないです。そのまま使うとまずいかな?と思ったからですね。
ソウルのお祖母ちゃんはソイヤ!ソイヤ!なのでソーランソーラン~ソウルを鍛ハァ~ソーランソーラン~ハイ!ハイ!です。
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