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Wonderful Planet ~弱体化されまくった銃使いで頑張ります!~ Ver1.0  作者: ハーメルンホイッスル
冒険への準備編
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物の歴史

お待たせしました!それではどうぞ!

 錬金術ギルドから出たソウルはトイレ休憩を挟み、鉱山で何か手掛かりはないか探しにナーガの巣へと来ていた。


「とりあえず…虱潰しに探してみるか…まずは骨をどうにかしないとな…」


 そういえば、と思い出し簡易錬金釜を地面に置き、どんどん骨を入れていった。


「品質上昇合成を使って邪魔な骨を一つにして行けばいいんだよ!間違った使い方だと思うけど…」


 そして残りの骨が一割になった所で、一枚の羊皮紙が地面に半分埋まった状態で発見した。


「これは…」


 羊皮紙を広げてみると依頼書と書かれてあり、内容を読んで見ればナーガをこの鉱山におびき寄せた後、留まらせることに成功すれば大金を払う内容の物だった。


「サインも書いてある…重銃士「ハドリー・ラジェット」…だめだ…もう一つの名前はかすれて読めない…」


 この羊皮紙も一つの手がかりと感じ、アイテム欄に入れるとふと思うことがあった。


「これって絶対解らないじゃないか…運が良ければ見つける事は出来るかもしれないけど、このアイテム配置は悪意を感じる…」


 製作者の悪意を感じながら銃士ギルドに戻り、ハドリーラジェットについてハリーベルに聞いてみることにした。


「おっとその前に骨を取り出して片付けないと…」


【アナウンス: 骨 が完成しました。 品質210】


【アナウンス:称号 【それ?そんなに高めてどうするん?】を獲得しました。】


 アナウンスからツッコミを入れられ、何とも言えない気分になったソウルはただ無言で釜をかたずけ銃士ギルドに向かった。




「あ!お帰りなさい!魔法使えるようになりましたか?」


「いや、問題が発生してまだ出来ていない…その問題にこのギルドも関係しているから話をしたいのだが…」


「え!?そうなんですか!?あばば…これ以上なにが起きているっていうの…」


「お!君がソウル君か?いやーありがとう!君が教えてくれた作戦で銃士ギルドは助かりそうだよ!ハッハー」


「ギルドマスター!何か大変なことが起きてるようです!」


「ハッハー!これ以上何か起きれば俺、過労で死んじゃうぜ!…え?本当に?」


 ハリーベルが頷きを見たギルドマスターはその場で立ち尽くし真っ白な灰になっていった。


「ああ!もうだめだぁ…おしまいだぁ…」


 真っ白になったギルドマスターを見てハリーベルは地面に崩れ落ちた。


「絶望している所悪いのだが、まだ最悪な状態にはなっていない。 しかもこの問題がうまく行けば一発大逆転を狙える物になる…かもしれない」


「「あなたは神か!」」


 二人が立ち直り祈るようなポーズになってソウルを崇めた。


「とりあえず話を聞いてほしいのだが…」


 その言葉を聞いた二人は応接室へと、腰を低くして案内した。


「さて、自己紹介がまだだったな!俺っちは銃士ギルドのギルドマスター ゼフティ・ランヤード 逃げ出した前任者に変わってギルドを任された!…不幸ものさ…」


「がんばれ!♡がんばれ!♡」


「いろいろまずいからそこにいる女は黙れ…ソウルだ、さっそく話をするが、実はな…」


 魔導ギルドで起こった事、鉱山のナーガの件、きな臭い事、魔導ギルドマスターが黒だと思われるが言い逃れ出来ない様に証拠を集めている事、巣で一枚の羊皮紙に書かれた名前を調べている事をすべてゼフティに伝えた。


「ハッハー!…全部あいつのせいかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「うーん…俺の考えでは「全部」ではないな。銃士やる奴がいなくなって経営ピンチになった所にあいつが金の匂いがすると思い舌なめずりしたって所か…まだ証拠はないけど」


「あ、はい」


「あ、いや、まだ俺の考えって段階だ。もしかしたら全部あいつが仕組んだことかもしれないし、そうじゃないかもしれない…いま解ってるのはあいつが、なんらかに関与しているというだけだな」


「なるほど…ここを潰せば何かが奴の手の中に入るという事か…今もっている物っつったら~ギルド職員の名簿やら会計書類?後なんだ?渡来人のリスト?後は俺の銃?…ハッ!まさか俺自身?!」


「…いや、それらはあいつにとってゴミだろう」


「ゴミって…俺…塵?…」


「…まだ生きてる鉱山はどの位の価値があるだろうか?」


 ソウルの言葉にゼフティが目を見開いて驚いた。


「鉱山?!確かにあそこはまだ生きてるし、価値もある!でもここが無くなったら鉱山の管理は街役場になるはずだ!あいつの手には渡らないんじゃ?!」


「鉱山の中にモンスターがいればひと騒動だ、そんな時に≪間違いが起こって≫所有者の名前があいつになっているかもしれない…」


「そんな…馬鹿な…それじゃあまるで…」


「うーんいるだろう…街役場の中にあいつと一緒になって甘い蜜を吸いたい奴は」


 ゼフティは絶句してソウルを見つめた。


「もしこの事が事前にばれても、鉱山のナーガを使いひと悶着起こして逃げ去るって言うこともできるな‥‥」


「用意周到かよ!どうすればいいんだ…」


「いや、奴の計画は成功しない…と思う」


「思うってどういうことだ?」


「だって俺がもうナーガを倒したからな、銃士ギルドが鉱山を手放さない限り奴の想い通りにはならない」


「ああそうか、奴の計画はナーガを使って~だからか」


「そう…でもこのままでは、証拠がなくて奴らを捕まえる事は出来ないし、街役場がここの退去を取り消さないと奴に鉱山が渡ってしまう…」


「証拠…証拠ねぇ…」


「今アークライトの冒険者ギルドマスターアインが探りを入れてくれているし、錬金術ギルドのアンジェラさんが昔の仲間に連絡して対策してくれているそうだ…」


 ソウルが口にした二人の名前を聞いたゼフティは、驚きすぎて座ったまま後ろに倒れた。


「す・・・すごいビックネームが出てきた…」


「そうなのか?、いや、それは後で聞くとしてまずは証拠を探す為に依頼書に書かれていた名前 ハドリーラジェットの情報が欲しいんだ」


「ハドリー・ラジェット…うーん…どこかで聞いたような…ハリーちゃんギルド職員の中にいないか探してきてくれる?」


「解りました!」


「あー…うーん…喉まで出かかっているのに思い出せないこの感覚…いやだなぁ…でも俺っち頑張って思い出す!」


「参考になるか解らないが同じナーガの巣で見つけた物だ」


 机の上に横穴で拾った銃や巣で見つけたコートやら鎧やらを取り出して置いた。


「あれ…このバカでかい拳銃とボロボロのコート見覚えがあるぞ!」


 この時ゼフティの頭に電流が駆け走った。


「思い出した!ハドリーのおっさんのだこれ!いつもおっさんって呼んでたから名前が出てこなかった!ハッハー俺っちすっきり!」


 思い出したゼフティが、再び銃とコートに視線を向けると、悲しい表情をした。


「そうか…おっさん死んじまってたか…新米の頃だいぶ世話になったんだけどな」


「このコートと拳銃は同じ人の物だったか…じゃあ、ハドリーさんが住んでいた街は知ってるか?」


「ああ、ここから北西に行った所にバルームって名前の町がある。そこで奥さんと娘さんの三人で暮らしていたはずだ」


「徒歩だとどの位かかる?」


「え?!徒歩!?5日以上かかっちまうよ!ムリムリ!」


 ゼフティの言葉を聞いて、ソウルは時間が掛かり過ぎる事に表情を曇らせた。


「うーん…奥さんと娘さんにおっさんの事伝えないといけないしなぁ…よし!ソウル!代わりに行ってきてくれるんなら特別飛龍便(タクシー)出すぜ!」


「特別飛龍便とは?」


「飛龍を使って運送業している組織があるんだけど、この割符を見せれば好きな場所に運んでもらう事が出来るさ!これは本来ギルドマスターにしか使えない特権みたいな物なんだけど今回は特別さ!」


「なるほど」


「あと、出来ればでいいんだが…これらの武器と防具を直してくれないか?きっとおっさんの仲間が使ってた物だろう…遺族に渡すのにもこのままじゃ忍びねぇよ…俺っちもそのバカでかい拳銃に憧れてこの世界に入ったんだし、外見だけでも綺麗にして渡してぇ」


「うーん…出来るか分からないが…やってみよう」


「ありがとう!じゃあこの赤い割符を飛龍運送に渡して「バルーム」の町って言えばいいだけさ!この街よりも小さい町だけど、風車があってのんびりした良い町さ!そこにおっさんの奥さん「エメラ」さんがいるからおっさんの遺品を渡してやってくれ!他の遺品についてはエメラさんが知っていると思うから!」


「分かった。さっそく行ってみる」


「ハッハー!よろしく頼むぜ!」


 ソウルが応接室から出た後、しばらくしてハリーベルは書類片手に入ってきた。


「ギルドマスター見つけましたよ!見つけましたとも!この私の全身全霊を持って…」


「あ、ごめん!もうそれ必要ない!さっき全部思い出して場所も伝えたから」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「ハッハー!…ごめんて」


 ゼフティの言葉を聞いて、書類を落として無言で立ち尽くすハリーベルに、ゼフティは心から謝罪した。




「さてと」


 ソウルは最初、錬金術で修理しようと思ったが「素材を入れて新しい物を作りだす」という概念がある事を思い出し、もし別の何かになってしまったら目も当てられないと考え、錬金術で修理しない方がよさそうだと思い、別の方法で修理する事を考え始めた。


「修理…あ、そういえば」


 ソウルは、修理という言葉を連想させていき、あのお店なら出来るのでは?と考えた。


「彫金屋さんにダメ元で聞いてみるか?」


 そう思い立ったソウルは、飛龍運送に乗って、最初の街(アークライト)の大通りにある彫金屋に足を運んだ。


「すみません。どなたかいらっしゃいますか?」


「は~い!今いきま~す」


「ん?この声は…」


 誰もいないカウンターで声をかけると、聞き覚えのある少女の声が聞こえてきた。


「あ!ソウルさん!ブローチの件ありがとうございました!父様から事情を聞いて壊れたブローチを直してくださったばかりかお金まで払っていただいて…本当にありがとうございます!この御恩一生忘れません!」


「いえいえ、オーバーレイさんが頑張ってくれたので出来たことですよ。お礼は彼に…」


「いえ!レイさんに聞いたのですが、ソウルさんも高額なオカーネンをとても苦労してご用意されたと聞きました!なので何かお礼と思ってこれを作りました。どうか受け取ってください!」


【アナウンス:【乙女の祈る心】カテゴリー:指輪 を獲得しました。】


【乙女の祈る心】日によって違う+効果が複数付与される指輪 上昇率は+5%~+10%以内 確率の場合は10%~20%以内】


「これはすごいですね…材料費高かったのでは?」


「えっと~はい…でもここで働いて返すことになったので大丈夫です!それに貰ってばかりだとダメになっちゃうような気がするのでここで頑張りたいと思います!」


「ありがとうございます。大切にしますね」


「はい、なんだか異性に贈り物する初めてで照れますね」


「初めてですか?うれしいですね。では私が初めての男ですね」


「もう、ソウルさんったら別の意味に聞こえちゃいますよ~」


「すみませんがいちゃつくのは他所でやってもらえますか?」


 突然、男性の冷えきった声がして、声がした方向に視線を向けると、オーバーレイが奥から出てくるのが見えた。


「ローラさん?まだ仕事は残っていますよ」


「すみません!すぐやります!」


 逃げるように奥へと消えるローラを見届けると、レイはソウルと向き合った。


「何か聞きたいことがあると聞こえましたが?」


「実はですね…」


 遺品を修理して届けなくてはいけない事情を簡潔に話すとレイは頷いた。


「なるほど‥‥その程度なら私でもお教えできますよ。まぁ習得できるかはあなた次第ですが…」


「お願いします。残された人にはとても大事なものになるでしょうし…」


「‥‥‥わかりました。お教えしましょう。こちらへ」


 レイと一緒に奥へと入り作業場まで案内された。


「ここの机に直したいものを置いてください」


 言われた通り遺品を机に置くとレイが大きな拳銃に注目した。


「この銃は損傷がひどすぎますね…慎重にやらないと崩壊しますよ」


「気をつけます…」


 レイが遺品の中でも損傷が少ない弓を手に持った。


「まずは、この弓から始めましょう、まずは慎重に分解していきます…」


 弓を渡され、レイの指示を受けながら分解していった。


「次は汚れを落としていきます。この時落としてはいけない〈染みついた汚れ〉という物があり、これがあるかないかで印象もだいぶ変わります」


「量産品であってもその人の持ち物だと分かるようにするのですね」


「そうです、私たちは(物の歴史〉と呼びその 物の歴史 を読み解き修繕していく… すべて新しくするなら新品を買えばいいだけの話になってきてしまいますね」


「なるほど…物の歴史ですか…」


 弓をじっくりと観察していき、この弓の持ち主のがどのあたりで矢を番えたか、手形の跡、弦を引き絞ったイメージを考えた時、弓からセピア色の情報が流れ込んできた。


「!?」


「(観え)ましたね?」


「観え…もしかしてこれが?」


「そうです、それが物の歴史です。持ち主の癖、想い、それらを読み取っていくと過去の持ち主がどのように使っていたかが頭の中に流れ込んでくる…すごいですね、初めての作業で観えるとは…やはり貴方は…」


「?」


「あ、いえ、何でもないです。ではコツは教えたのでやっていきましょう、私も協力するのでわからない所があった時は質問してください」


「分かりました」


 その後、次々と遺品を修繕していき、最後に残った拳銃に取り掛かった。


「さっきも言いましたが、この拳銃は損傷がひどいので慎重にいきましょう。部品も多そうですし…」


「頑張ります」


 拳銃の錆び、部品の欠損、歪みを慎重に直していくと、朽ちた拳銃から年季の入った拳銃へと姿を変えていった。


「結構時間がかかりましたね…」


「ですが、ここまで修繕できたのはすごい事ですよ。最初1~2発撃てる位なら直せるか?と思いましたが、今はもう何の問題もない位にまでになっています。 持ち主の方が大事になされていた証拠ですね、物を大事にすれば死んでいる状態からでもこうして蘇る事ができる可能性が生まれる…覚えておいてください」


「はい、わかりました!今日はありがとうございます!えっと、授業料は‥‥」


「いえ、不要です。私も満足感を得たので」


「え?!いいんですか?」


「ええ、だたし今日得た事を忘れないでください。物の歴史、物を大事にする事、観る事」


「はい!胸に刻み込んでおきます!では早速届けに行ってきます」


「あ!ソウルさんもうお帰りですか?さっきこれを渡しそびれちゃったのでどうぞ!」


 レイに頭を下げて感謝し、作業場からカウンターへ戻ると、ローラからフレンドカードを貰った。


「えへへ、ソウルさんに渡しちゃった!女の子から最初に(・・・)渡した人になれました!」


「あ、いえ最初j…(ローラさんちょっと!)」


「はーい今行きます!では、ソウルさんまた来てくださいね!」


「何かやっちまった感がするのはなぜだろうか…」


 何か後で大変な事になりそうな予感がしつつ、ソウルは彫金屋から飛龍運送へ向かい、目的地のバルームへ飛び立った。

だけど二人はサブヒロイン。



2024/10/08 色々修正しました。多分この時壊れかけの端末で執筆していたと思うので、文章に謎の空間が入ってしまっています。一応見る限りで修正はしましたが、修正されてない箇所がありましたら報告お願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 三点リーダや句読点の使い方とか誤字脱字とかちよくちょく行の最初に空白が入ってるのとかで可読性が良くないので統一した方がいいと思います
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