手紙を届けて
完成しました! ΖΩΗの楽園編最終回です!
お楽しみください!
帝国から逃げ出したソウルは、ひとまずアークライト国の銃士ギルドで、身を隠そうと思い立ち、アクアクリスタリアに向かった。その道中ソウルは、イエローネームとなった事で、襲われるかもしれないと思ったが、なってから時間も経っていない為、ソウルの心配は杞憂だった。
「ここに来るのも、なんだか久しぶりな気がするな…」
「実際、数日経ってますしね」
「あーそうか。…じゃあ、入るか」
ソウル達が銃士ギルドに入り、最初に目にしたのは、数人のプレイヤー達が売店でパイルバンカーを買っている姿だった。
「おお、今だにパイルバンカーが売れているのか」
「銃士ギルドの役員さんも増えていますね。順調じゃないでしょうか」
「そうだな~‥‥てぇぇい!」
「ほわちゃぁ!」
マギアと会話している最中、突然ソウルは後ろに振り返り、チョップをするとそのチョップは、いやらしい手つきをしていたハリーベルの頭に当たり、ハリーベルを床に沈めた。
「何故…分かった…!?」
「俺は学習する男だ…毎回触れると思うなよ?」
「っく!…次の手を考えない…と…アタタタタ!背骨がぁ…!ああ、でも尻の感触が!」
「いい加減懲りろ!」
ソウルは、ハリーベルに逆エビ固めをキメてお仕置きをしたが、まったく懲りる様子は無く、むしろソウルの尻が体に当たっているので、それを楽しんでいた。
「ハッハー!お約束だなぁ!ソウルっち!」
「久しぶり!異常種以来だな」
「そうだったか?まぁいい、今日はどうしたんだ?」
「ちょっとアウトローと言う職業について聞きたいと思ってな」
「それは…笑えないな…それをどこで聞いた?…いや、ここでする話じゃないか…俺の執務室に来てくれ」
「分かった」
「ああぁん…何かに目覚めそうだったのに…」
ハリーベルに逆エビ固めをしたまま、ゼフティと会話すると、ソウルの質問でゼフティの表情が一変し、真剣な面持ちになった。ソウルは、その言葉に頷き、プロレス技を解いてハリーベルを捨て置いた後、ゼフティの執務室に向かった。
「掛けてくれ」
「失礼するぞっと…」
「…で?アウトローの事は、何処で知った?」
「長くなるが…いいか?」
「聞こう」
「そうだな…最初から話をするとしよう。あれは、今から…」
ソウルは、ゼフティの頷きを確認すると、これまでの経緯を全て話した。事の始まりである転職の事から始まり、帝国の監獄、大社が秘密にしていた楽園の事、ガンストライカーの事、ガンストライカーの紹介映像を制作している時に出会ったノインの事、楽園を開く為の鍵の素材集め、異常種ベヒーモス、楽園の鍵の製作、戦争、帝国の事、EXキャリバー戦、ボトワン達との戦闘、大社の失態そしてそれの罪を背負った事、ソウルがアウトローとなった事を全て伝えた。
「…すげぇな…それだけの事をたった数日でやったのか?素直に感心したわ…ソウルにとってこの夏は、濃厚なアバンチュールになった訳だ」
「アバンチュールと言っても、火薬臭い火遊びだけどな~」
「ハッハー!そうだな!…にしても、ソウルがアウトローに成っちまったのには驚いたぜ…」
「このアウトローって言う奴は、ヤバい物なのか?」
「それは、本人次第って奴だな…一般人と犯罪者の境目にソウルは今、立っている」
「なるほど…俺次第か。ちなみに、職業がアウトローになった事で利点はあるのか?」
「それは、アウトローらしくなんでも使えるようになる…けど、その装備に何かしらの制限があった場合は、従わないといけないけどな」
「つまり、アビスシューターの下位互換という事か?」
「そうだな。それで間違いないぜ」
ゼフティの言葉を聞いて、ソウルは期待に胸を膨らませた。それは、夢にまでみた2挺拳銃や両手持ちの長物を扱えるからだった。
「でも、気をつけないとすぐ赤くなるから注意しておいてくれ。他の所で大丈夫だった風習が違う所ではタブーだったって事がよくあるからな」
「あ~それはありそうだな…」
「頼むぜ!我が銃士ギルドの期待のエースが、犯罪者に落ちたって事になったら、今度こそ銃士ギルドは終わるからな…」
「敗北者にならない様気を付けよう」
「他に聞きたい事はあるか?」
ゼフティの問い掛けに、ソウルは首を横に振って答えた。
「今の所は無いな…もし何か聞きたい事が出来たら、また尋ねて来るとしよう」
「おう、分かったぜ!…あ、そうだ!ソウル、届けて欲しい手紙があるんだ。ちょっと遠い場所に行かなきゃいけないんだけど…」
「手紙?」
ソウルは聞き返すと、ゼフティは一通の封筒をソウルに渡した。
「これをレビアっていう街にいるジェラルドって人に渡してくれ」
「レビアの街のジェラルドさんだな、分かった。その人の特徴は?」
「あの人の特徴を言うなら、頭は銀髪でいかつい顔立ちしてるからすぐわかると思うぜ!職業は、魔物ハンターをしているから、レビアにある冒険者ギルドに聞けば何処にいるのか分かると思う」
「了解した。必ず届けよう」
ソウルは、封筒を預かり大事にストレージ内に入れた後、席を立って執務室から退室した。
「マスター?この後はどうしますか?」
「早速、銃を作ろうと思う。…あ、G・アークもやらないとな!」
「製作するのですね。素材採集に向かいますか?」
「外に出るのは少し怖いけど、出ないと始まらないしそうするか」
「了解しました」
ソウル達は、ハリーベルに素材採集に向かうと伝えた後、銃士ギルドが保有する鉱山に向かていった。
「は~どっこいしょ~!よっこいそぉい!…硬った!!なんだ?」
ソウルは、変な掛け声を出しながら採掘を続けていると、鶴嘴に妙に硬い物が当たり、その振動で手を痺れさせた。
「!、マスター!大当たりです!」
「何ぞ?」
「アマテライトです!この鉱石に特殊加工を施すと強力な動力源にすることが出来ます」
「動力源か…G・アークのリビルドにはいいか?」
「十分ですね。アマテライト動力源に燃料等の物は一切必要無いので、かなりの小型化が出来、尚且つハイパワーを出せます」
「これに特殊加工をすると言ったが、今俺達はそれを出来るか?」
「難しいです…が、楽園に加工できる機材がありました」
「じゃあ、楽園に行ってみるか~。転送装置も返さないといけないしな」
「了解です」
ソウルは鶴嘴をしまい転送装置を取り出した後、ボタンを押して転送した。
「‥‥鈴木達の遺体だけまだ残ってるな…」
「埋葬しますか?」
「ああ、このままだとかわいそうだからな…」
「了解しました。お手伝いいたします」
ソウルが楽園に転送した後、水晶の少女が気になった為、ボトワン達と戦った場所に向かうと、鈴木達の遺体だけが今だ残っていた。鈴木達の遺体の遺体を見て、忍びなく思ったソウルは、鈴木達を埋める事に決め遺体を外に運び出して行った。その作業中、ボドワン達が使っていた転送装置も探した。
「鈴木以外、誰が誰だか分からないな…」
「そうですね…。マスター?鈴木とその仲間達が眠ると墓石に書いておきますか?」
「申し訳ないが仕方がない…そうさせてもらおう」
「では、私は墓石を製作するのでマスターは、墓穴をお願いします」
「はいよ」
ソウル達は、役割分担を決めて作業に取り掛かった。マギアは墓石に文字を刻み始め、ソウルは墓穴をスコップで掘って行き、一人ずつ埋葬して行った。
【アナウンス;称号【戦没者のおくりびと】を獲得しました。STR+3% VIT+2% LUK+20 】
鈴木達を墓穴に入れ土を被せた後、マギアが作った墓石を上に設置すると、称号を獲得した。ソウルは、アナウンスを流し読みした後、鈴木達に向かって片膝を地面に付き黙とうを捧げた。
「よし、後はアマテライトを加工して帰るか~…結局転送装置は見つからなかったけど…」
「あ、マスター楽園の扉も閉めた方が良いですね」
「お?そうだな」
ソウルは、鈴木達の遺体を外に運び出している最中、遺体の下に楽園の鍵があるのを見つけていた。ソウル達は、星の子らに魔改造された部屋から、下に降りて3階層に到着した後、目当ての機械を見つけ起動し、アマテライトを加工した。
「一応、この機械の設計図化して貰っておくか」
「そうですね。役に立ちそうですし」
アマテライトの加工を終えた後、ソウルはスキャンカメラを取り出し、機械に向かってシャッタ―ボタンを押して設計図化した。
「これで良し。帰るか」
「はい」
ソウル達は、楽園の門まで戻った後、最後に後ろを振り返った。
「もうここに来る事もないな…」
「そうですね。その言葉を聞いて少し寂しさを感じましたが、きっとその方が良いのでしょう」
「そうだな…」
ソウルはそう呟いた後、門の方に体を向け歩き出した。そして楽園に、門が閉じる音が聞こえ楽園は平穏となった。楽園に咲く白い花々が風に吹かれて静かに揺れていた。
ΖΩΗの楽園編 ~完~
にげるんだよぉぉ!
ソウルの尻を揉みしだきたいハリーベルは、次なる手を考えている!
正者(一般)と死者の狭間に立つ者…
次章の為のお手紙!
アマテライトは宝石です。綺麗な赤い色で美しく輝いています。
墓穴を掘る作業時間は、結構かかっています。
鍵の事書いてあったと思たのですが、確認したら書いて無かったので、急遽遺体の下から出て来るようにしました。もし書いてあったら前に書いてあった方が正しいと思ってください。
長編お疲れさまでした!なぜこんなに長かったかと言うと…ってネタバレになるから多くは語れませんが、今後の展開に大きくかかわって来るからです!いや~それにしても私も思った以上に長編になってしまいました。次回は、この半分くらいの内容でいきたいですね!(願望)
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