楽園攻城戦 3
すみません!今日は所用で制作時間が取れなく分割になります!
前回の楽園攻城戦2の1と2は、合成して纏めました。
お楽しみください!
「おーい、ソウル~」
ソウル達やプレイヤーが、休憩している場所で、散乱していた信者達の遺体や血の表示が時間と共に消えると、ソウルはその場所でプレイヤー達の為に、消耗品や回復薬等を錬金窯で製作していた。しばらく錬金を行っていると、薔薇乙女騎士団やヴァルハラの面々がこの場所にたどり着き、ホワイトローズがソウルに声をかけて来た。
「ソウル達はもうここにたどり着いてたんだ」
「ああ、ここには大量の狂信者達が犇めいていたぜ!」
「狂信者?…ああ、星の子らって言う奴ら?ここに居たんだ」
「ざっと見で300人以上は居たな…」
「結構いたんだね…強かった?」
「う~ん…一般人が少し戦闘訓練した位の強さだったな。武器を振り回す事しかやってこなかったし…やった事と言えば、薬物を使って痛みを感じるのを鈍くした後、突っ込んで来ただけだったしな」
「うへぇ~嫌な敵だね…」
ソウルは、完成した回復薬を釜から取り出し、釜をアイテム欄にしまった後、ソウルに注文したプレイヤーに回復薬を渡した。その後ソウルは、Σウェポンに不備がないか確認し始めた。
「おぉ?ソウル?もう出発か?」
ここに着いたばかりのユメミルクが、ソウルの撮った行動を見て尋ねるとソウルは頷いた。
「ああ、他のPTが来るまでのちょっとした休憩だったしな。あ、そういえば二人に聞きたいんだが、ボトワンは何処かにいたか?」
「いや、俺の所では見てないな」
「私も見てないよ~そういう報告も上がって無いし」
「そうか…じゃあ、この先にいる可能性が高いな」
「この奥って確か~生物研究みたいな所とロボットとかの武器とか置いてある場所しかないよね?あ、異世界の歴史もあったね…そんな物しかない場所で何してるんだろう?」
「分からない…だけど、碌な事じゃない事だけは分かる」
ソウルの言葉に、ホワイトローズとユメミルクの二人は納得して頷いた。
「じゃあ、行くか~。その碌でも無い事を潰しに」
「そうだね~。その碌でも無い事が、時間経過で問題が大きくなっていく奴だったらやばいしね~」
友人二人は、自分のPTへ戻って行くと、PTメンバーに事情を説明し地下へと向かって行った。ソウルも、自分のPTの所に向かい地下2階へと向かって行った。
「ひゃ~…前に一回来ましたけど、ここはやっぱり気持ちが悪い所ですね~」
「地下2階は、生物研究をしていた所ですね」
地下2階に降りて来たソウル達は、その場所でボドワンの手掛かりが無いか探し始めた。マナリアが、カプセルに入っている謎の生物を見ながら嫌悪感を口にした。
「日本の苗字が付いてあるカプセルは、すべて割られてるな…」
「スキャンの結果、それらのカプセルは内側から破壊されていますね。多分ですが、ボトワン達が来た際に防犯機能として中に入っていた生物が活性化し、のちに内側からカプセルを破壊した後、防衛に出たと思われます」
「…そういえば、最初にここに案内した~…確か鈴木だったか?あの謎の生物が居ないな…どこに行ったのだろうか…」
「あの生物、鈴木って名前だったのね…びっくりだわ…」
「同じくびっくりです…あ、私の苗字もありました」
マナリアは、カプセルの下にあるプレートを見ながら言うと、アップルも自分の苗字が書かれたプレートを探したが、無かった様でがっかりしていた。
「マスター、そういえばこの奥に例の少女が眠っているはずですが、確認してみますか?」
「ああ、見て見よう」
「え!?この先に別の何かがあるんですか?」
「ああ、そこは~…まぁ今から行くんだし、見た方が速いか…こっちだ」
ソウルは、前に鈴木に案内された場所に向かいって言った。昇降機を動かす装置を操作し、昇降機を呼び出した後、昇降機が上がって来るまでの間、ソウルは、各隊長達に向かう場所の情報をメールで伝えた。
「…!ソウル!あれ!」
「あれは…!」
上って来た昇降機に乗り、下に降りていくと、見えて来た風景にソウル達は驚愕した。その場所には、謎の生物達と人の死体が多く散乱していたのだ。どうやらこの場所で謎の生物達とボトワン達が戦ったようで、血の臭いがきつく鼻について来た。
「あの水晶が無くなっている…鈴木達が何処かに移したのか?」
前に来た時、その中央には少女が眠っている大きな水晶があったが、今は無くなっていた。もし壊されていたのなら残骸が残っているはずだが、それも見当たらなかった。
「マスター、遥か地下にあの水晶の反応があります。どうやら避難させたみたいですね」
「そうか、少女は無事か…」
マギアの言葉に、ソウルは安堵して答えた。そして昇降機が目的の場所に到着すると、ソウル達は昇降機を降り、警戒しながらその場所を進んで行った。
「…この生物…鈴木だな…」
「はい、その個体で間違いありません…見る限り、かなりの外傷が多くありますね…激しい戦闘だった事が容易に想像できます」
ソウル達が、謎の生物達の遺体や人の死体を確認して行くと、鈴木を見つけた。その体には、火で焼かれて爛れた様な箇所や完全に炭化した足、背中には様々な武器が刺されてあり、いたる所に切り傷があった。
「この場所を守る為…いや、あの少女を守る為に戦ったのか?」
「多分ですが、後者でしょう」
「そうか…」
ソウルはマギアの言葉を聞いて、鈴木の遺体に寂しさと尊敬の念を感じ、呟くように言った。
「ソウル!こっちに来てくれるかしら?」
アップル達が人の死体を確認していると、見覚えある顔があり、ソウルを呼んだ。
「この顔に見覚えがあるのだけど…」
「…カール・ダス」
「ソウルさん!こっちにも見覚えがある顔があります!確か~そうそう、オレリア・アルシェって言う名前の人ですね」
「私も、見つけたわよう」
ソウルが、命の護り手のメンバーの名前を言うと、マナリアも見つけた様で、以前にソウルから貰った、情報が書かれてあるメールを開き、それを確認しながらソウルに報告した。どうやらここには、敵の主要メンバーがいた様で、そしてその全員が死体となっていた。
「12天逢の死体はあったか?」
「確か~魔導天のレナと空駆天のテイクですね。私は見てないです」
「私も見てないわよう!」
「見てないわ」
「マスター、その二人の反応は奥のカプセルからあります。そして、もう一人も」
「…ボトワンか?」
「はい」
マギアの言葉を聞いて、ソウル達は奥にある3つのカプセルに近づいて行くと、カプセルに入っている三人の姿があった。そのカプセルには、謎の液体が満たされており、中に入っている三人の体には、幾つ物細い管が体中に刺さる様にしてあった。
「これは…生きているの?」
「はい、生きています。眠っているようです」
「もしかして、人体改造中ですか?」
「だとしたら、出てくる前に潰して置こう。こいつらがもし出て来たら、厄介な事になるのが目に見えてるしな」
ソウルは仲間達に言うと、アップル達も同意して頷いた。その時、後ろで昇降機が上がって行く音が聞こえ、上がって行く昇降機に視線を向けた後、再び視線をカプセルに戻し、ソウルはカプセルの中にいるボトワンに銃口を向けた。
「!!‥マスター!お気を付けください!三人の覚醒値が跳ね上がりました!」
「殺気に反応したか!?」
ソウルは、引き金を引こうとした瞬間、ボトワンの手が動きその指先をソウルに向けると、指先から光線が発射され、ソウルの心臓を貫いた。
「な!‥に…」
「ソウルさん!」
「ソウル!」
「マスター!」
「ご主人!」
胸を貫かれたソウルは、仲間達の声を聞きながら胸を抑え、急激に減って行くHPを見つめた。
「下がれ…皆…」
ソウルが、短い言葉を言いその場に倒れると頭上に「DEAD」の文字が表示された。そしてそのすぐ後に、それぞれのカプセルから数回の打撃音が聞こえ、倒れたソウルからカプセルに視線を移したアップル達は、カプセルに大きな罅が入っている事が分かり、中に入っていた物が外に出ようとしていた。
「皆!ソウルを連れて下がるわよ!急いで!」
アップルがマナリア達に声を掛けると、ハッとしたマナリア達は、アップルに従いソウルの体を引き摺って昇降機の近くまで下がった。
「ゲホ…ゴホ…」
「ゴホッ…あー?なんだ?終わったのか?」
「みたいね…小父様?大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ…」
カプセルを割って出て来た三人は、体内に入った液体を吐き出した後、咳き込み周りを確認し始めた。そして三人は、アップル達を視界に入れると、敵意を向けて来た。
「何だ貴様ら!?…まさかここまで攻め込まれていたのか?ええい!役立たず共めが!無能は全員殺してやる!」
「ええ、そうね!でもまずは、あいつらを殺しましょう?小父様、私このカプセルの力を見て見たいわ」
「これに入ればかなり強くなるって話だったな。あいつ等で試してみるか」
「ああそうだな二人共、まずはこの力を確認してみようか」
魔導天のレナが、二人の武器を魔法陣から取り出し渡した。
「おお!剣を振っても肩が痛まない!ふははは!すごい!すごいぞ!」
「…ん?あそこに寝ている奴…見覚えあるな…」
ボトワンが、剣を振って肩の調子を確かめると、痛まない事に嬉しさを感じていた。そしてテイクがDEAD表示されているソウルに視線を向けると、思い出したのか目を見開いて驚いた。
「おいおい、あそこに寝てるのあの時の男じゃねか!」
「何?」
「え?うそ!?…本当だわ!…でも待って!あれ?…もしかして死んでるの?」
「死んでる?よくわからんが、これは好機か?来訪者は、殺されても死なないと聞いたが、手足をバラバラにされても元に戻るのか?せっかくだし試してみよう!肩を撃ったお返しもしたいしな!」
「やれるものならやって見なさい!皆!ソウルを守るわよ!」
「ソウルさんに指一本触れさせません!」
倒れているソウルを見て敵の三人は、嬉々としてアップル達に近づいて来たが、アップル達はソウルを守る為、武器を構えた。
「もう少しでマスターの友人さん達が来てくれるはずです!皆さん、それまで耐えましょう!」
「やってやるのよう!」
そして、ボドワン達とアップル達の死闘が始まった。
~の2~
「【ミックスマジック】!」
レナが、様々な属性の魔法を乱射し、アップル達に攻撃を仕掛けて来た。
「【水鉤爪】!【超集中】!」
「ティー達は、私の後ろに!【ミラーシールド!】」
レナの豪雨のような攻撃に対して、アップルが【超集中】で世界をスローにした後、【水鉤爪】で魔法を弾き返した。マナリアは、魔法を乱反射する盾スキルを使うと、マナリアを中心として半透明な障壁が現れ、マギアとティーそして、ソウルを守り始めた。
「頑張るね~!じゃあ、俺も参加させてもらうぜ!」
レナの魔法を凌いでいるアップル達に、感心したテイクが、魔法のクロスボウをアップル達に向けて白い塊を飛ばしてきた。その白い塊は、以前ソウルと空中戦をした際に、使用して来た魔法のクロスボウの矢で、接触すると大爆発を起こす代物だった。
「!…あれに触るのは不味そうね…」
「女性に向かって白い塊を飛ばしてくるとは…テイクは男好きは治ったのでしょうか?」
「な!てめぇ!その事、何で知ってやがる!ちなみに俺は、ノーマルだ!」
アップルが、白い塊に触るのはヤバイと直感で理解し回避すると、マギアがテイクに向かって爆弾発言をした。
「ええ、知っていますよ!だってあの時、私はマスターに跨られていましたから!」
「てめぇは、あの時の機械龍か!ええい…おぞましい!消え去れ!悍ましい過去よ!」
「あ、こちらに男性のマスターもいるので、両刀に悪化しただけですか!度し難いですね!」
「また…俺を弄ぶのか!?ふざけやがってぇぇぇぇ!」
「マギア!敵を煽ってどうするんです!?攻撃が激しくなったじゃないですか!?」
マギアの煽りで、テイクは完全にキレると魔法のクロスボウを連射してきた。その連射のせいで、マナリアを覆っている障壁に負荷がかかり始め、罅が入り始めた。
「ああ、まずい!」
「私が前に出るわ!張り直しを頼むわね!」
アップルがマナリアの前に立ち、レナの魔法を弾き、テイクの攻撃を気弾で迎撃していくと、ボトワンがその場を歩く様にして斬りかかって来た。レナとテイクの攻撃で、その場はとても歩いて来れる物では無かったが、ボトワンは二人の攻撃が当たる瞬間、違う場所に移動していた。それはまるで、瞬間移動の様だった。
「こっちは忙しいんだから、あんたの相手なんてしてる暇はないの!」
「そんなこと言わずに、私も相手をしてくれよ!」
ボトワンが、袈裟斬りから始まる連続攻撃をしてくると、アップルはボトワンの攻撃を回避しながら移動して、レナやテイクの射線上にボトワンが立つ様に誘導した。
「小父様!」
「総大将!邪魔だぜ!」
「ふははは!気にする事はない!私ごと撃つがいいさ!」
「小父様!そんな事出来る訳ないでしょ!」
レナとテイクがボトワンに呆れ、二人の射線上にボトワンが入ると、二人は攻撃を止めてしまった。その隙をついて、マナリアが同じスキルを使い、再び半透明な障壁を張り直す事に成功した。
「アップルちゃん!お待たせ!」
「これから私は、攻めに行くわ!そっちは任せても大丈夫?」
「うん!大丈夫!」
「じゃあ、任せたわね!」
マナリアに守りを任せたアップルは、撃発された弾丸の様に飛び出し、レナに向かって行った。
「やば!」
「【六道螺旋脚】」
一気にレナに向かって肉薄したアップルは、体全体を回転させ自らドリルの様になると、レナの脇腹に一撃を入れて深く抉り飛ばした。レナを倒した後、テイクに向かって【ブリッツ】を使い、技の予備動作に入った。
「今度は俺か!?」
「アマヅキ流【武神黒掌】」
アップルの両手に黒い気が集まり、左掌底を顎に入れると同時に右拳を鳩尾に入れた後、両手の掌底を胸に入れ、次に貫手のOne-Twoで体に風穴を開けた。そして最後に、両拳で突き飛ばすかの様に拳を入れた。攻撃のインパクトの際、両手に集まった黒い気が放射され、空間に波紋が現れると、その攻撃を喰らったテイクは、体の内部から爆破された様に、上半身を吹き飛ばした。
「これで最後よ!アマヅキ流!奥義【獅子天咆】」
「ちぃ!」
最後に残ったボトワンに向かって、気の塊を放ち獅子の咆哮が轟くと、ボトワンの膝から上を消し飛ばした。アップルは、一瞬で三人のHPを全て削り、勝利したかに見えたがありない事が起こった。
「お腹抉られても再生するのね…」
「レナはまだいい方だぞ?俺と総大将なんか、破裂したり消し飛ばされたりしたんだからな!」
「流石の再生力!これだよ!私はこれを求めていたのだ!」
「な…!」
倒したはずの三人は、まるで時間が巻き戻るかのように体を再生していった。三人が再生した事に驚いたアップルは、マナリアがいる所まで下がりどう攻めるか考え倦ねていると、昇降機が到着し、プレイヤー達が戦闘に参加し始めた。
「アップルさん!応援が来ました!一度こちらで回復を!」
「分かったわ!」
マギアの指示に従い、プレイヤー達の後ろに下がったアップルは回復を受け始めた。その近くで、ソウルを蘇生すべく、ヒーラーによる魔法詠唱が始まっていた。
「皆!気をつけて!魔法は強力になって、異常な再生能力があるわ!体全部を消し飛ばしても再生するわよ!」
アップルが、大声でプレイヤー達に伝えると、8人で構成された3組のPTが、それぞれ一人一組ずつに分かれて戦い始めた。
「よく耐えたわね!私達が来たからもう大丈夫よ!」
ルージュが、アップル達を褒めたが、アップルは納得してない様な顔をしていた。その顔を見たルージュは、アップルに何が原因なのか尋ねた。
「どうしたの?」
「倒せなかった…いや、倒せたのだけど再生してなかった事にされたわ…悔しい…」
「その事なんだけど、詳しく聞かせて貰ってもいいかしら?」
「ええ、もちろんよ。私達が最初にここに来た時‥‥」
アップル達は、最初にこの場所に着いた時から、現在までの状況をルージュと各隊長達やユメミルクに伝えた。その話の合間にマギアが、敵の詳細な情報も入れて伝えていった。
「フェムトマシン…脅威ね…」
「そんな化物どう倒せばいいのじゃ?」
「困りましたね…」
ホープとクラウンが頭を悩ませていると、戦闘中のプレイヤー達がいる方から、雷鳴が轟いた。どうやら誰かが大規模な雷魔法を使った様で、その余波が部屋全体に広がると、雷が何かの装置に当たり、起動し始めた。
【ピギギ…ザザー…ビーガー…研究所内で‥ガガ…戦闘行ううう‥動ををを検出ししました。自動動画メッセージを‥再生します…ピーガー…】
ノイズ交じりの機械音声が鳴り響、それに驚いた全員が、上に表示された大型のウィンドウを見上げた。そのウィンドウに映ったのは一人の男性で、白髪交じりの黒髪に白髭で白衣を着ており、かなりの高齢者の様で、顔には皺が多くあった。
「やぁ!この研究所の所長、ヴァレン・ナガトだ!このメッセージは、あの馬鹿共やそれに連なる子孫達がカプセルを使った時、なおかつその場で戦闘が起きた場合に流れる仕組みだ!まぁ…こんな条件無いとは思ってたが、これが流れているという事は、そんな特殊な条件が起きたんだな!まじかよ!あっはっはっは!」
動画内のヴァレンは、爆笑しながらも話を続けた。
「いやいや、すまない。このメッセージが流れたのは、今から何年後?50年?100年?それ以上か?いや~ご愁傷様と言ってやるよ!私が仕掛けた罠にまんまと嵌まったんだからな!ん?え?どんな罠かって?それはだな…カプセル内でフェムトマシンによる肉体強化をすると、醜い化物になるってぇ罠さ!ああ、もちろん解除する方法は無いぞ?」
子供が、悪戯を成功させた様な笑みを浮かべながら、ヴァレンは話を続けた。
「その化物は、フェムトマシンを体内に持つ奴を取り込み、アメーバみたいな醜い姿になって肥大化して行き、最後にはこの研究所を飲み込む程巨大化して、自壊するんだ。あの馬鹿共の醜い心みたいな姿になるんだから、喜んでくれると嬉しいな!…えぇ?なんでそんな事をするかって?そりゃあ…お前らの先祖は、俺達の住む世界を破壊したからだ!‥‥最初は、ただのクソアンチだった…誰かがいい物を世に出せば、それに噛みついて根も葉もない事を掲げるクソ迷惑なアンチ集団…それで終わるならよかったのだが、事もあろうにあいつらは爆破テロをやりやがった!」
先程の笑っていた表情から、急に豹変し怒りを露わにした。
「私の妻も、子供も全部吹き飛ばしやがった!何故だ!私達は、明日を生きたいと願う人達の為に頑張って来たのに!ふざけるな!クソが!クソがぁぁぁ!」
動画内のヴァレンは、目の前にある研究資料や機材を破壊し始めた。だが突然落ち着きを取り戻したヴァレンの姿が現れ、話を続け出した。どうやら、暴れている様子はカットされた様だった。
「まぁそんなわけだ。化物になるのは、カプセルから出て20分後だ。その短い時間で、人の生を楽しむがいいさ。やられてもすぐに再生する体を手に入れたと思ったか?無限の魔力を得たと勘違いしたか?永遠に年を取らない体になって、悦に入ったか?馬鹿め!そんな物はあり得ない!ふははははははは‥‥私らの苦しみを味わえ」
高笑いしている途中で、素に戻ったヴァレンは、最後に苦しめと言い残し、動画が終了した。動画を見ていた三人は、ヴァレンの言葉を聞いて狼狽え始めた。
「な‥‥なん…だと…」
「おい嘘だろ!?」
「えぇ!?そんな!嘘よ!」
醜い化物になる事が決定した三人を見て、ルージュ達が嬉しそうな表情をし始めた。
「解決したわね」
「そうなのじゃ!後はあいつらを放っておけばクリアするのじゃ!」
「この場所を飲み込むほど巨大化するって言いましたから、逃げればいいわけですね」
「…いや、それだと報酬がおじゃんになる可能性がありますね…」
ホープとクラウンが、この場から逃げようと言ったが、蘇生されたソウルがそれを止めた。
「ソウル!生き返ったのね!」
「ソウルさん!大丈夫ですか?」
「マスター!」
「ご主人!」
「皆、心配をかけたな。もう大丈夫だ。…話を続けますが、多分ここが分岐ポイントだと思います。化物に成った後一つとなったあいつらを、どうにか倒せる事が出来れば報酬がアップし、見捨てて逃げれば無しになると思うんですよ」
「でも、どうやって倒すのー?あいつ等は不死身の化物なんでしょ?」
ピンクパンサーがソウルに尋ねると、ソウルはアイテム欄から一発の弾丸を取り出して全員に見せた。
「その弾は?」
「これは、マギアが作った弾丸で、この容器の中にピコマシンが入ってます。このピコマシンが対象物を崩壊させるらしいです。フェムトマシンに効くかどうかわかりませんが…」
「マスター!大丈夫です!私が調整して効く様にしますので!」
「っとマギアも言ってますが、ルージュさん…どうしますか?」
「いいじゃない!やってみましょうよ!ソウルが失敗しても、逃げればいいだけなんだし、やる価値はあると思うわ!」
ソウルの提案に、ルージュは仲間達の顔を見ながら、賛成した。その時、ボトワン達から苦しむような声が上がった。
「うおおおお!体がぁ!」
「化物になって死ぬなんていやぁぁぁ」
「体がいうごどぎがなぐなっでぎだぁぁぁ」
「…始まったな…」
ソウルの言葉通り、ボトワン達の体が変異して行った。レナとテイクの姿が、グロテスクなアメーバになり、ボトワンが左顔と心臓がある左胸だけを残して変異すると、ボトワンの変異した部分が二人を取り込み始めた。
「うわぁ‥‥」
ホワイトローズが、不快な顔をして呟いた。何故かと言うと、ボトワンが居た所に、グロエクスで巨大な肉の塊が無数の触手を生やし、その触手でプレイヤー達を攻撃していて、今猶も触手を増やしていたからだった。
「マスター、DayBreakに調整が済みました。これをボトワンの心臓に撃ち込んでください」
「…心臓?」
「はい、あの肉塊の中に変異していない部分のボトワンが居ます。その部分に心臓があるので、そこにこの弾を撃ち込んでください」
「…あの肉の塊を切り裂いて、中にいるボトワンの心臓に弾を撃ち込む…言うなら簡単だが、やるなら大変そうだな…」
「大丈夫よ!私達がサポートするから!」
マギアから弾丸を受け取り、空の弾倉をアイテム欄から取り出した後、DayBreakを弾倉に入れた。マギアの説明を聞いたソウルは、難色を示すとルージュがサムズアップしながらサポートすると言った。
「ソウルは、そのまま突っ込んで行って!私達が道を切り開くから!」
「分かりました」
「じゃあ、皆!行くわよ!」
「「「「「了解!」」」」」
ホワイトローズやマナリア、他のプレイヤーの盾持ちが先頭に立ち、アローヘッドの陣形になると、その後ろにピンクパンサーやアップル達の近接が後ろに付いた。そしてその後ろには、ソウルやホープの後衛が続き、全員が同じズピードで走り出し、肉塊に向かって行った。
「うおぉぉ!」
「キャ!」
肉塊から突くような動きで触手が迫り、アローヘッド陣形のプレイヤーを、弾き飛ばして来た肉塊は、まるで死にたくないと言うように、必死に動いて来た。
「(もう少し!)」
肉塊まであと数歩の距離まで来たソウル達は、肉塊を切り裂こうと、剣を振り上げたその瞬間、触手の一本が魔法の乱射をしてきた。触手から放たれた魔法は、ソウル達に豪雨の様に降り注いでくると、盾持ちの防御が間に合わず、数多くのプレイヤー達に直撃した。
「な!ッぐあ!」
「ソウル!」
触手の魔法が直撃したソウルに、別の触手が伸びる様に突き出されると、ソウルはそのまま昇降機側の壁に激突した。ソウルを壁に衝突させた触手は、ソウルを取り込もうとして触手を太くさせた。
「皆さん!このままでは、マスターが取り込まれてしまいます!触手を攻撃してください!」
「ご主人を放すのよう!」
「皆!どけ!【大切断】!」
マギアとティーが、太くなった触手に向かって攻撃するが、大した効果は得られず、アップル達やルージュ達も攻撃に加わったが、傷をつけてもすぐに再生されてしまった。その時、ユメミルクが斧を振り上げた後、跳躍してスキルを使うと、大樹を斬るが如く触手が切断された。
「皆、ありがとう!」
助けてくれた皆にソウルはお礼を言った後、自分のHPを確認してみると、残り一割になっていて、慌ててアイテム欄から回復薬を取り出して使いHPを回復させた。
「やべぇなあれ…」
「どうする?ソウル?逃げる?」
ルージュがソウルに向かって聞くと、ソウルは首を横に振って、ルージュの問いを否定した。
「俺はまだやれます!もう一度だけやらせてください!」
「分かったわ!今度は一人で行く事になるけど、いいわね?」
「はい!」
「よし、皆!分散してあの触手を黙らせわよ!ソウルに近づけないようにね!」
「「「「「了解!」」」」」
ルージュの号令で、プレイヤー達が分散し、肉塊から伸びる触手の相手をし始めた。ソウルは、αトリガーからβブレードに換装し、弾倉にあるDayBreakを見つめた。
「この弾丸がお前を裁く…」
肉塊に視線を向け、気合を入れ直したソウルは、走り出した。
豪雨のような魔法攻撃がソウルを襲うが、マナリアが盾のスキルを使ってソウルを守り、ソウルは走り続けた。
新しく生成された触手が、ソウルに向かって突き出されるが、アップルがその触手を蹴り上げてソウルを守った。ソウルは、スピードを緩めずに走り続けた。
肉塊から、無数の槍のような小さい触手が飛び出して来たが、ホワイトローズが盾スキルを使ってソウルに当たるのを防ぎ、ユメミルクが槍の触手を一撃で全て切断した後、ルージュが炎の魔法を使って槍の根本を炭化させた。そしてソウルは、Σウェポンを振り上げた。
「ハアァァァァァァ!」
振り上げたΣウェポンを振り下ろし、肉塊を切断すると、肉塊の中にいたボトワンの姿が見えた。ボトワンは、こんな状態になっても生きている様で、変異していない左目で忌々しそうにソウルを見ていた。ソウルは、振り下ろした勢いを殺さずにβブレードを外すと、体を左に回転させながら、ブルーローズを使い、αトリガーに換装した。
そして、銃口をボトワンの心臓がある場所に向け、一切の迷いなく引き金を引き、DayBreakを発射した。
「ウオォォォォォォォォォ‥‥」
肉塊の何処からか叫ぶような声が上がると、ボトワンを中心にして肉塊が白い灰へと変わって行った。肉塊から出ていた触手も、動きを止めて白い灰に変わって行った。
「お見事です!マスター!換装攻撃のタイム0.89です!一秒越えましたね!」
「‥‥初めて成功したな…」
ソウルの呟きと共に、アナウンスが流れた。
【アナウンス:変異体001 を完全討伐しました。SP2500000 を獲得しました。23000000 オカーネンを獲得しました。おめでとうございます!すべてのフェーズが終了し、プールされていた報酬が支払われます。また、変異体001を放置せず討伐した事により、特別なアイテムが報酬に加わります。】
【アナウンス:特殊クエスト 楽園を望む愚者 をクリアした事により、新しい種族 キーメラ が追加されました。キーメラの情報は、新しくHELP項目に追加されたキーメラをご参照ください。】
【アナウンス:称号【世界の護り手】 を獲得しました。HP+3000 ALLステータス+50% MP解放されている場合、MP+2600】
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「すごいアナウンスの量だな…」
「これまでプールされていた物が一気に出たのだと思われます」
「まじか…これは暫く確認作業が忙しくなるな」
今だ鳴り続けるアナウンスを知らせる音に、ソウルはその場に座って得た物を確認して行った。
地下2階に置かれているカプセルの中には、大きな目玉が付いたある変異した右腕とかあるかもしれない…
ちなみにアップルの苗字は、天宮寺という苗字です。かなりの金持ちです。
鈴木は少女の為に頑張った!田中も頑張った!佐藤も頑張った!高橋も頑張った!小林は…ドラ…ゲホッゴホッ!
ボトワン達は無意識で~と言うより、体内に注入されたフェムトマシンが反応してカプセルを破壊してます。そして、ソウルを殺した事もフェムトマシンによる殺害なので、ボトワンはソウルを殺した事を知ってません。
~の2~
ボトワン達が手に入れたのは、無限の魔力、強力な再生能力、不老、人体強化などです。
アップルさん忙しすぎて禿げそう…
【六道螺旋脚】は魔装使いの基本スキルなのでアマヅキ流ではありません。
○○黒掌…それはヴェ〇トール、2、イドはかっこいいけど、ゼ〇ギアスになるとダサくなる。
ヴァレン・ナガト、楽園を作った研究者の一人、妻子を殺され、命の護り手に恨みを持つ。
ソウルの走る場面は、少し特殊な書き方をしました。どうでしょうか?
モチベ維持に評価お願いします! ありがとうございます!
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