作戦会議
サブタイトルが思いつかなかったのでそのままです。
お楽しみくださいな~
「マギア!あの戦艦はどうしてる!?」
「反応は在りません。何処かへワープしたものだと思われます」
「あの画像に豆の欠片みたいにして映っていたから、かなりの長距離から攻撃して来たんだな…それと、あの距離から山一つと村が吹き飛んだんだから、まだ射程距離があると見ていい…おまけにワープかよ…厄介だな!」
「それ以上に厄介な事がある…」
「なんだと!?これ以上あるのか?」
「ああ、ある。それで一つユメミルクに聞きたい事があるんだが…俺達来訪者や住民達に宇宙に行ける「何か」を持っている奴はいるか?」
「宇宙!?そんなの聞いた事な…ってまさか!」
「ああ、そのまさかだ!あの戦艦が宇宙に行かれたら俺らは「詰む」…今回はたぶんだが、調整の為に出て来たんだろう…そしてそのワープ先に、ホワイトローズの飛行船がいたから丁度いい獲物だと思われて狙われたんだと思う…」
「やべぇな…いや、やべぇってLVじゃねぇな…」
あの戦艦の攻撃によって、吹き飛ばされてしまった村に向かっていたソウル達は、その道中、あの戦艦について話し合っていた。ユメミルクが、ホワイトローズに送られてきた画像に写っていた機影の大きさから、大体の距離と威力をソウルに伝えた。だがソウルは、さらに脅威がある事を伝え、ソウルの質問に答えたユメミルクは、ソウルの言いたい事が解ると、体中に戦慄が走った。
「マギア、もし宇宙に行くとしたらその準備でどの位の時間が必要だ?」
「発射台やら、宇宙船、ブースターなど1から作らないといけませんので、最低でも一ヵ月以上はかかります。ああ、これはあの戦艦からの攻撃で妨害がされず、この世界の全国家が全面協力して、です」
「輸送機を使った方法では?」
「既存の飛行船を宇宙仕様にして、なおかつあの戦艦を破壊できる程の兵器を大量に詰まないと行けない為、それを運べる輸送機の開発をしないといけません。ですの掛かる日数は多少早くなった程度かと思います」
「そうか…」
「さらに付け加えて申しますと、あの戦艦で異世界から渡って来たとするならば、超高性能なエネルギーシールドがあるはずです。そのシールドを突破して戦艦を破壊するには、かなりの火力が必要になるので、宇宙仕様にした飛行船1つだけでは不可能でしょう。何百と言う数が必要になります」
「何百……かぁ~まいったねこりゃ…」
ソウルは後頭部を掻き、頭を悩ませた。
「つまり俺らが手の届く内に破壊するしかねぇって訳だ」
「その方が現実的ですね」
ユメミルクの言葉に、マギアが肯定した。
「こいつは…」
「マギア、汚染物質の心配はあるか?」
「調べて見た結果、汚染物質の反応は在りませんでしたので、それらについては安心していいと思われます」
「そうか…」
ソウル達が村の入り口へ到着すると、村の半分以上が抉り取られた様にクレーターとなっていた。爆発の衝撃で殆どの建築物が吹き飛んでおり、見るも無残な姿になっていた。ソウル達は、生存者がいないか探しながら村の中を進んで行くと、ほとんど崩れかけている壁に、人の上半身の様な影がある事に気がついた。その人影を見たソウルは、震える声でマギアに質問をした。
「マギア‥‥生存者は?」
「‥‥0人です…索敵範囲を最大にして調べましたので、間違いはありません」
「………」
マギアの言葉にソウルは黙って頷いた後、ウィンドウを開いてホワイトローズに生存者0人とメールを送った。そしてソウルは、メールを送った後、地面に座ると額に両手を置いて俯いた。
「マスター、これはマスターのせいじゃな…」
「マギアさんよぉ…そういうのはソウルも理解している…けど今は、何も言わずそっとして置いてくれねぇかな?」
「はい‥‥」
ユメミルクの言葉にマギアは頷いた。ソウルもユメミルクに心の中で感謝し、頭の中で叫んでいる「もっと何かできたはずだ!もっとよく調べたら回避できたはずだ!どうすればよかった!?」などの自責の念に耐え続けた。
しばらくの間、三人が地面に座ったまま黙っていると、応急修理を終わらせたホワイトローズ隊の飛行船がソウル達の所に向かって来ていた。飛行船の姿を見たソウルは、苦痛の表情をしながらも、立ち上がり、マギアにジャバワークを展開する様に伝えると、マギアはそれに従いジャバワークを展開した。そして、ソウルとユメミルクがジャバワークに乗った後、飛行船に向けて出発し、薔薇の女王に搭乗した。
「各隊長にメールして会議テントに集まってもらってるよ。目的地は拠点でいいよね?」
「ああ、頼む」
「了解」
ホワイトローズがソウルの言葉に頷いて答えた後、針路を拠点に設定し、隊員達に指示を出した。隊員達も復唱して針路を設定すると、飛行船が拠点へと進みだした。飛行船が進みだした事を確認したホワイトローズは、ソウルに視線を向けた。
「これからどうする?」
「まずは今回の出来事を報告して、対策を練らないといけない…しかも早急にだ…」
「準備期間はある?」
「…分からない…時間を掛ければ掛けるほど、楽園の攻略は難しくなるし、あの戦艦が宇宙に上る準備を整えてしまう…だけど、準備をしないと戦艦を破壊する事は難しいし、その後の楽園攻略も厳しいものになるだろう…」
「あの戦艦が宇宙に行かれたら私達は文字通り「詰む」って訳だね。しかも時間がないって来たもんだ…まいったねこりゃ…」
「せめて1日あれば…1日?…いや、待てよ…1日位なら稼げるかもしれないな…」
ソウルが、自分の言った事にハッとして何かを考え始めた。
「ホワイトローズ、格納庫を吹き飛ばす為に準備した爆薬ってまだ残ってるか?」
「あるよ~」
「よし!それなら行けるかもしれない!」
「なんか閃いたんだな!」
「ああ、詳しくは会議テントで話す!急いで向かってくれ!」
「了解!」
ソウルが、何かを閃き拠点へ急ぐように伝えると、ホワイトローズは頷いて飛行船のスピードを上げるよう指示を出した。隊員達はその指示に従いながらも、応急修理をした所があるので、その箇所がギリギリ耐えられる位の限界値まで速度を上げていった。そして、しばらくの飛行した後、拠点へと到着すると、4人(1人はAI)は足早に会議テントへ向かい、今回の事とこれまで秘密にしていた事を全て各隊長達に伝えた。
「マジ?あれってあんな厄介な物だったんだ‥‥」
ソウル達の報告を聞いたルージュが、驚きを口に出していた。
「儂もあれがあんなヤバい物だとは思わなかったのじゃ…ただの背景かとばかり…」
「冒険者ギルドマスターのアインさんが言っていました。「大量の毛皮を集めているから、北の国に攻め込むのか?と思いきや火山でも行くのかと思うほど耐熱性の高い革素材を集め出していたりて、どうにも容量を得ないんだ」っと…この言葉から察するに、あの戦艦を修理する為に素材を集めていたと思われます。錬金術を使えば武器や防具は金属素材として使えますし、毛皮や革も同じように使えますしね」
「修理している事を悟らせない様に別の形で素材を集めていたって訳ね…錬金術師を多く募集していた事もそれで納得したわ」
ルージュが、あの時のアリーの言葉を思い出しながら頷くと、ルージュの横に居たクラウンがソウルに質問した。
「そんな厄介な物とどうやって戦えばいいのですか?何処に出て来るか分からない敵機、さらには超長距離からの攻撃に加えて、異世界を渡る事が出来るほどの高性能なエネルギーシールド…どうしろと言うのです?」
「確かに突然現れて来る敵に対して一々追っていたのではかないませんが…ですがあの戦艦を指定の場所に呼びだす事が出来たとしたら?そしてエネルギーシールドが突然消えたり、長距離攻撃が使用不可になったらどうでしょうか?」
「え?そんな事が出来るの?」
ソウルの言葉に驚いたピンクパンサーが聞き返してきた。
「ええ、上手く行けば、ですね。では今回の作戦を説明します。まず俺と数名の護衛、それと潜入工作が出来るプレイヤーを数名連れて転送装置を使い敵地へと向かいます。そして俺と護衛達が陽動として騒ぎを起こすので、潜入工作の人達にはその間にあの戦艦の内部へと侵入し、数多くの爆薬を仕掛けて貰います。爆薬を仕掛け終わったら、俺に合図を送って貰い、俺はあの戦艦の艦長に指定場所と開戦時間を伝え、離脱します」
「あ~なるほど、戦艦壊されたくなかったら来いよと呼び出す訳ね。あっちも来ざるを得ないでしょうし」
「ん~それならそこで破壊しちゃったらダメなのかな?」
ソウルが、説明をするとルージュは納得したが、ピンクパンサーが首を傾げながらソウルに疑問を投げかけた。
「その場合、あの場所が崩落して奥にある楽園の扉までの道が、塞がる可能性があります。なのでそれは出来ません」
「崩落させてあいつ等全員閉じ込めちゃえばいいんじゃない?」
「いえ、ボドワンにも転送装置が渡っているので、出て来てしまいますね。それも最悪の形で、です」
「あ~そっか~」
「にしても大社の人達は大変な事をやらかしちゃったのじゃ…信じられないから大事な事を言わなかったって酷すぎなのじゃ…」
「ええ、その事でもう秘密には出来ない事態になってしまいました。信用されないとは悲しい物ですね…悲しいので今回獲得した物は自分の懐に入れてしまいましょう…」
ソウルのその一言で、全員の目が変わった。
「え?いいの?」
「ええ、もう楽園の事を秘密には出来ないし、持って行っても問題ないでしょう。奪われる可能性がありますが、それらがめんどくさくなったら高値で競売に流せばいいのです。今回携わったプレイヤーにしか獲得できない物ですから、きっと高額で売れますよ」
「ちなみにどの位の価格設定にすればいいか参考までに聞いていいのじゃ?」
「全品億越えで流せばいいと思いますよ。さっきも言いましたが、今回の事に携わったプレイヤーしか取れないアイテムですからね」
「億…億…」
億越えと聞いたハピネスカラーの目が最初に変わった。他の隊長達も怪しい目の色をしていた為、収拾が取れなくなりそうだと感じたソウルは、話を進めた。
「ですが、その前にやらなくてはいけない事が沢山あります。失敗すれば俺らは詰みます。もう二度と空を見上げる事が出来ない世界が来てしまいます。時間との勝負ですよ」
「皆!聞いたわね!早速取り掛かるわよ!気合入れて取り組みなさい!行動開始!」
ルージュの号令で、各隊長達が動き出し、会議テントを出て行った。会議テントにはルージュとホワイトローズ、ユメミルク、マギアだけがその場に残っていた。
「ソウル、連れて行く人達は私が決めちゃっていいかしら?」
「はい、ただし潜入工作の人は数多くの爆薬を設置してほしいので、狭い隙間に入れる小柄な人または液体化などのスキルを持つ人を選んでください。それと潜入工作の人は絶対に見つかってはいけないので、そこも含めてお願いします」
「なかなか難しい注文だけど、分かったわ!2時間後ここに戻ってきて頂戴」
「分かりました」
「白ちゃんとミルクちゃんも人選に協力してね」
「了解です」
「分かったぜ!」
「では、俺も準備してきます」
ソウルとマギアは会議テントを後にし、準備に取り掛かった。
敵の戦艦が宇宙へと上がった際、分かりやすい状況を説明するならテレビアニメ「ゾイ〇(無印)」デススティン〇ーが大気圏外から荷電粒子砲を撃って来る状況です。そしてこちらには宇宙へ上がる手段がありません。
ソウルは自分が出来る精いっぱいをやってきました。ですが死を前にしてもっとうまくやれたんじゃないかと自責の念が頭の中を支配してます。それは自惚れと分かっていたとしても、欲張りだと言われても、目に映った死を見れば、それらは心の底から湧き、ヘドロの様にこびりついて来るのです。
準備時間は1日とちょっと!どこまで準備出来るかが勝負の分かれ目です!
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