帝国への招待
祝い!100話!
記念話を書きたいと思いたいですが、ΖΩΗの楽園編が終るまでお待ちください。
城へと戻って来たソウル達は、城の入り口にいる門番にアインを呼んでもらい、しばらく待っているとアインがソウルの下にやって来た。
「お?どうしたソウル?」
「錬金術ギルドに行って来たら大変な事が起きました…」
「大変な事?‥‥お…おい…まさか…姐さんが参戦するなんて言わないよな?」
「そのまさかです」
「ん゛ん゛ン゛‥‥まじかよ…」
アインは、腹の底から出す様に唸り声炉だし、目頭を押さえた。
「分かった。その事も国王様に報告してくれ‥‥」
「分かりました」
「じゃあ、案内する」
ソウル達は、アインに付いて行き城の中に入った後、アークライト城の上層にある客間に入り、国王が来るのを待った。しばらくして国王が客間に入って来ると、ソウルは帽子を脱いで頭を下げた。
「堅苦しい挨拶はよい、ソウル殿、先程は助かった。ありがとう」
「いえ、皆様の協力があったからこそ出来た事です。こちらこそ一人一人に頭を下げてお礼を申し上げたいと存じます」
「これは、驚いた。先程とはまるで違うではないか!」
「突然現れた男が帝国の脅威や要望を話しても、相手にされ無かったら意味がないので証拠を提示しつつあのような演技を行い、自分の世界に引き込めばうまく行くと祖母から教わりました」
「なるほど、確かにあの場にいた誰もがソウル殿の話に耳を傾けていたな…それをソウル殿に教えた祖母殿に畏敬の念を抱くよ」
「祖母から言わせれば俺はまだまだ甘いらしいそうです。もっと精進しなければいけません」
「あれでまだまだとは…ソウル殿の祖母殿は厳しいようだな…」
「ええ、そりゃあもう‥‥」
国王の言葉にソウルはトラウマを思い出し、暗い表情をした。
「さて、報告を聞こうか」
国王が椅子に座り、ソウル達も対面する形で椅子に座った後、ソウルは錬金術ギルドでの出来事を話し始めた。ソウルからの報告を聞いた国王は、先程のアインと同じく唸り声と目頭を抑え始めた。
「アンジェラ殿が戦争に参戦…ああ…敵も味方も地獄を見るな…」
「ソウル…なぜ姐さんを止められ…ああ、すまん…あんな目で睨まれたら頷くしかないよな…」
アインが言いかけたが、何かを思い出したのかソウルに謝った後、ソウルに同情した。
「ええ、頷かなかったら殺すと言わんばかりに鋭い目つきで睨まれました…。俺の祖母と同じ目をしていたので頷くしかなかったのです…」
「同じ目?‥‥なるほど…その言葉を聞いたら、ソウル殿の祖母殿がどんな人物なのか予想できるな‥‥」
「ご理解されてしまいましたか…」
国王もソウルに同情し憐れむような視線を送ると、ソウルは悲しい表情を浮かべた。少しの間沈黙が続いた後、国王が咳払いをして気を取り直し話を進めた。
「アンジェラ殿が戦争に参加するなら我らの軍も編成もよく考えねばならんな‥‥誰か、急ぎアンドレアスをここへ!」
「ハッ!」
傍に控えていた近衛に国王が指示を出すと、近衛はアークライト式の敬礼をした後、部屋から出て行き、急ぎセルゲイを呼びに向かって行った。
「続きはセルゲイが来てからだな…少し休憩するか…ソウル殿、お酒はいける口かな?」
「人並みには」
「結構」
国王が椅子から立ち上がり、本棚がある場所へ向かうと中間にある赤い本を半ばまで引き出し、戻す様に押し込むと、本棚が180°回転し始め様々なお酒の瓶が陳列してある棚が現れた。
「妻と娘に酒は控えるように言われているのだが…今日くらいいいだろう」
「お子さんがいらっしゃるのですね」
「ああ、息子二人と娘二人がいる。全員腹違いだが、皆仲良くしているよ」
「それは何よりですね。王位を巡って争う兄弟姉妹は悲惨な事になって行く話が様々な物語で使われていますし、実際見ていてもつらい物がありますから」
「ああ、そうだな。余の代ではそれは無いと思うが…孫やひ孫、子孫達がそうならない事を祈るよ…っと出来た。どうぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
国王がウィスキーを人数分のグラスに注ぎ、自ら手渡して行った。ソウルは感謝の言葉を述べ、全員にグラスが行き渡った後、味わうように少しづつ飲み始めた。
「このウィスキーはストレートでも飲みやすいですね」
「ああ、このウィスキーはストレートが一番おいしく飲める余のお気に入りの酒だ」
「そうなんですね。俺がお酒を飲む時はいつも梅酒を飲んでいるのですが、このウィスキーなら問題なく飲めますね」
「梅酒?そんな酒があるのか…来訪者の世界には余が味わった事のない酒が沢山ありそうだな」
ソウルは、国王の言葉に驚き、マギアに確認してみる事にした。
「(マギア、この世界に梅酒はないのか?)」
「(ありますが遥か東の地で細々と作られているお酒の為流通していません)」
「(あ~なるほど…)」
マギアの言葉に納得し、もう一口ウィスキーを飲むと、客間の扉から3回ノックする音が聞こえて来た。
「アンドレアス・セルゲイ参上いたしました」
「入れ」
「ハッ!失礼します」
セルゲイが部屋に入ると、国王がグラスをセルゲイに向けた。
「お前もどうだ?」
「申し訳ございません。まだ仕事が残っている為、遠慮させていただきます」
「分かった。だが、今から話す事で飲みたくなったら何時でもいうがよい」
「そ…そんなに難題な事が起きたのですか?」
「ああ、アンジェラ殿が戦争に参加する様だ」
「‥‥‥すみません…頂きます…」
「そうだろう、そうだろう」
再び国王が立ち上がり、棚からウィスキーが入った瓶を手に取り、グラスに注いだ後セルゲイに渡した。
「姐さん…いえ、アンジェラ殿…が戦争に参加するというのは本当ですか?」
「ああ、どうもそうらしい」
「彼女がキレて暴走した場合、かなりの被害が出ますよ‥‥敵味方問わず…」
国王からウィスキーが注がれたグラスを受け取ったセルゲイは、お礼を言った後こめかみを抑え始め悩みだした。
「アンジェラさんには指示された場合それに従うようにと約束をしてきました。それで何とかできませんか?」
「おお!それはいい!よくやってくれた!彼女が自由に動かれたら我らも迂闊に動けないからな。助かる…が、彼女の上に誰を置くか…下手な奴が上に立つと、まずいしな…」
「ああ、話の途中ですみません。アンジェラさんとは別の話なのですが、アークライト国は帝国との戦争に参加する方向で話を持って行ってもいいでしょうか?」
「ああ、そういえばはっきり言ってなかったな。うむ、アークライトは此度の帝国との戦争に軍を持って参戦する。総勢3万の軍が貴君ら来訪者達と肩を並べて戦う事を約束しよう」
「ありがとうございます」
「まぁあいつらが襲撃して来たのだから軍を出す理由には十分だわな」
アインが残りのウィスキーを飲み干し、沁みる様な表情をした後、グラスを目の前のテーブルに置いた。
「うちの冒険者も約200人が参加したいと言ってきている。それも当てにしていいぞ!あ、もちろん俺も参加する」
「ありがとうございます。この事は俺達の作戦参謀達に伝えるので、皆さんが活躍できる場面も用意できると思いますよ」
「‥‥その場面で姐さんが暴れている姿しか想像できないな…」
アインの言葉にアンジェラをよく知る面々は、苦笑いで答える事しかできなかった。その後軍の編成について話し合ったが、いい案が出ず時間だけが過ぎ去り、夜も更けていったので解散となった。ソウルとマギアは城を出た後、拠点へと戻り会議テントに入り、今だログインしている参謀役の人達にアークライト国と冒険者ギルドの参戦、アンジェラ達の事を伝えログアウトして就寝した。
「もうそろそろ小中高生の夏休みが終わるし、帝国との決着を付けないとな…」
「そうですね」
「いっその事ご主人が単騎で乗り込んで親玉を倒せばいいんじゃないのよう?」
「いや、それだと帝国にはびこっている犯罪者が野放しだし、後々厄介な事が起こるからダメだな。親玉を倒せば物語が終るゲームじゃないしその後も続いて行くからやるなら一気に殲滅した方がいい」
翌日、ログインを完了し軽い準備運動をし始めたソウルは、マナリア達の事を考え、帝国との戦いが夏休みが終わるまでに終わればいいとマギアに伝えると、マギアもそれに賛同した。ティーが帝国にいる宰相を倒せば全部解決するような事を言ってきたが、ソウルは首を横に振って否定した。単騎で行くとなると12天逢と言う壁もあるし、犯罪者達も立ちはだかって来る為、ソウル一人で突撃するのは現実的では無いし、例えそれらの壁を上手く躱して宰相を倒したとしても、別の誰かが頭になるだけで何も変わらないだろうと、ソウルは考えていた。
「それに…」
「それになんです?」
「それに…!?」
ソウルは準備体操をしながら、後ろから聞こえて来た声に答えようとたが、その声に聞き覚えがあり、ソウルは驚いて後ろを振り向くと同時に銃口を声の主に向けると、ソウルのすぐ後ろで準備運動をしていた暗爆のイルクスがいた。
「急に現れたな変態め!」
「変態とは失礼ですね。まぁ男は皆変態と言いますし、特殊な性癖を持つ人も多いですから、この場合間違いではありませんね」
「それで…何しに来たんだ?」
「ええ、少し準備運動をご一緒にぃっとっとっと!」
ソウルは、ふざけた答えをしたイルクスに怒りを覚え、足元に数発撃ちこむと、踊る様に回避し始めた。
「次ふざけた事抜かしたら顔面をハチの巣にする…」
「おおぉ!怖い!そうなりたくないので要件をお伝えしましょう!宰相は貴方と取引をお望みです!取引するモノは…」
「鍵とノインだろ?」
「ええ、そうです」
「場所と日時は?」
「場所は帝国の中心部から少し南にあるツワーノという町でどうでしょう?そこは豚の畜産業が盛んで美味しい豚肉が食べられる所です!ああ、何といっても豚汁がうまい!町の風景は素朴ですが、それらを見ながら豚汁を啜ると心が落ち着きますよ」
「‥‥ツワーノだな…解った。日時は?」
「そうですね~明後日のお昼頃とかどうでしょう?こちらも支度がありますしノイン君のストレスもそのあたりが限界でしょう」
「わかった。明後日の昼、ツワーノという町でだな」
「ええ、必ず来てくださいね?来ないとノイン君がどうなっても知りませんよ?」
「必ず行くから問題ない!」
「おひょひょおっほふっは!ふん!ほいっと!確かに伝えましたからね~それでは~」
ソウルは、今度は当てる心算で銃の引き金を引いたが、馬鹿にするような動きで避け始めたイルクスはソウルから距離を取りながら転移魔法を使って帝国へと戻って行った。
「殺すつもりで撃ったのだが、簡単によけられたな‥‥」
「あんなふざけた奴でも実力はあるという事でしょうね。対策が必要ですね」
「そうだな…さて…どうした物か…」
ソウルは12天逢との戦いをどうすればいいか考えながら、会議テントへ向かい、帝国との取引が明後日の昼ツワーノの町で行われる事を伝えた。
「時にマギア、一応聞くが人を豚に変える魔法やら呪いやらはあるか?」
「そんな限定的な物は実装されてませんよ?」
「そうか…なら安心だな…」
マギアの言葉を聞いてほっとしたソウルだった。
アンジェラさんがキレると敵味方区別なく暴れ出す危険性があります。それを不安定要素をどこまで有効にできるか、軍師の采配が問われます。え?そんな人物を入れるなって?じゃあ、アンジェラさんに直接言って来てください。私は遠慮しておきますというか遠くに逃げますので。
ウィスキーがお好きでしょう~と言われても私はお酒は飲まない方(梅酒なら飲む)なのでお酒を知る友人に少し話を聞きました。ウィスキーはストレートで飲めという事を2時間位熱く語っていました。(聞いたのは時は昔で当時興味なかったから半ば聞き流してました)
アークライトは参戦を決めましたが他の国は今だ悩んでいます。
いつの間にか後ろにいる変態。どんな変態かと言うと自身が何気なしに準備運動をしていると、すぐ後ろ(1メートル以内)で同じ動きをしている変態です。恐怖です。
なぜソウルは準備運動を始めたのかって?なんとなくしたかったからです。特に意味はありません。あ、でも準備運動という一時的にバフが付きますから、無駄だとは言えません。
ツワーノ‥‥豚‥‥うっ…頭が…
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