アークライト城防衛戦
完成しました!投稿です!
お楽しみください!
「マギア、爆発はに西の建物の何処で起きた?」
「先ほどの爆発は3階の最奥の部屋で起きたようです」
「なんだと!?その部屋は、母上とモモニア、ノインの三人が使っていたはずだ!」
「急ぎましょう!」
アークライト城の廊下を走り西の建物に向かっていたソウル達は、マギアに何処の部屋が爆発したのか聞いてみると、マギアはウィンドウを操作しながら答え、アルベルトが焦りを含んだ声を上げた。ソウルは、アルベルトの言葉にとても嫌な予感を感じ、向かうスピードを上げていくとその途中でハピネスカラーから通信が入った。
「ソウルゥゥ…っと!こいつらもしかして帝国の奴ら?なら殺っても問題ないわよねぇぇ!?」
「ハピネスカラーさん!今交戦中ですか?」
「ええ、そうよ!帝国の奴らも機工兵装出してきて襲って来たから今迎撃しているわ!申し訳ないけど、数が多いからそっちの援護に向かえないわ!気をつけて頂戴!」
「了解です。全力でやっちゃってください」
「分かったわ!ブースター起動!ステーク準備!私の一撃嚙みしめな!ロボルビn‥」
ソウルは、ハピネスカラーとの通信を切り西の建物に向かうと、城と建物を繋ぐ通路で帝国から連れて来た兵士達が満身創痍になりながらも襲撃者達と戦っていた。
「加勢する!」
「皇帝陛下!?アルベルト様!」
「話は後だ!今はこいつらを一掃する!」
「はい!」
アルベルトの言葉で、兵士達の目に活力が戻り再び襲撃者達に斬りかかって行くと、ソウルとマギアは銃を抜いた後銃口を襲撃者達に向け引き金を引き、皇帝とアルベルトは床に落ちていた槍や剣を拾い襲撃者と切り結んでいった。
「死ね!旧時代の皇帝!」
「甘い!」
皇帝にフルプレートを着た兵士が斬りかかって来たが、皇帝は少し動作で振り下ろされた剣を避け、装甲が薄い箇所を目にも止まらぬ速さで抉る様に突いた後、視界の為に開けてある隙間に穂先を滑り込ませ、襲撃者の頭を突き絶命させた。
「見事な槍捌きだ!」
「父上の槍捌きは今だ壮健ですね!」
「いや…これでも全盛期と比べると落ちた方だ…」
襲撃者と戦いながらアインが皇帝の槍捌きに賛辞を送り、アルベルトが嬉しそうな声で言うと、皇帝は首を横に振って自分の衰えを感じた。だが、そうは言いながらも息一つ乱していない皇帝の姿に、アルベルトは横目で見ながら内心驚いていた。
「(父上の槍術は天下に轟いていたと聞いていたが…あの動きで衰えたと言うのなら全盛期はどの位すごかったんだ?)」
「少しづつですが敵の数も減って来ています!皆さんもう少しですよ!」
ソウルが味方を励ます様に言うと、士気が上がり押し始めた。
「すまない!遅れた!ここからは我らも加勢させてもらう!」
「ん?貴方は確か…ガメルフの時アンジェラさんに呼ばれた王国騎士団長のセルゲイさん…でしょうか?」
「おお!久しぶりだな!あの時は世話になった。いろいろ話したい事がある…が今は!」
「はい、一気に押してしましょう!」
「心得た!行くぞ!お前達!我に続け!」
援軍に駆け付けた王国騎士団長のセルゲイが、多数の騎士達を引き連れてソウル達に加勢し始めると、通路にいる襲撃者を圧倒し始め、ものの数分で最奥の部屋に行けるようになった。
「アリア!モモニア!ノイン!無事か!」
「何とか無事ですが…ノインが…」
「あ…あなたぁぁ…ノインが!ノインが!」
通路の襲撃者を一掃し、アリア妃達がいる部屋に皇帝達が足早になりながら入ると、侍女達が妃を守る様に囲み、モモニア皇女が短剣を構え、侍女達と妃を守る様に立ちはだかっている姿が目に入って来た。皇帝が家族の名前を呼ぶとモモニア皇女は、腰が抜けたのかその場に座り込み短剣を床に落とし、アリア妃が皇帝に泣きながら縋り付いて来た。
「ノイン!?がどうしたのだ!?」
「母様と私がノインと一緒にお茶お飲んでいた時、急に扉が開いて帝国の兵が入ってきました‥‥ノインは私と母様を守る為、果敢に戦ったのですが‥‥12天逢の一人「暗爆のイルクス」が現れて…」
「爆発したのは奴の爆弾だったという事ですか?」
モモニア皇女が数分前の出来事を淡々と喋り出し、ソウルがモモニア皇女が質問するとモモニア皇女は頷いた。ソウルは腰が抜けたモモニア皇女を胸に抱きかかえ、椅子に座らせた後さらに質問した。
「爆発は奴が起こしたのですか?」
「いえ、ノインがあの男の爆弾をレイピアで突いて爆発させたのです。ですが、その爆発でノインが吹き飛び、床に倒れました…ノインは魔法の障壁を出して私達と自身を守ったのですが…床に倒れたノインは起き上がりませんでした」
「マスター、もしかしたらノインはわざと爆発させたかもしれませんね。私達に知らせる為に…」
「無茶するな…いや、俺達が必ず来てくれると思っての行動か…それで、ノインはどうなりました?」
「あの男に連れて行かれました…行先は分かりません…」
「おい!お前達!ノイン皇子を探せ!また遠くには行っていないはずだ!」
「「「「「「は!」」」」」
セルゲイが、数名の騎士達に指示を出すと騎士達はノインを捜索しに向かって行った。ソウルも捜索に向かおうとしたが、部屋の隅で震えながら身をかがめている一人の侍女が居た事に気が付き、ソウルはその侍女に声をかけてみると、突然祈る様な姿で許しを請い始めた。
「お許しを!お許しを!」
「…何を許せばいいのか分かりませんので、話してくれますか?」
「‥‥‥はい」
顔を上げた侍女は、顔面蒼白になりながら震える唇で事情を放し始めた。
「わ…私が……帝国の兵達をここまで手引きしました…」
「な!?なんだと貴様!?」
「ひぃ!お許しをお許しを!」
「お二人共、落ち着いてください。まだ話の途中です」
侍女の話を聞いたアルベルトと皇帝の二人が驚き、アルベルトは無言で剣を抜き皇帝は声を荒げたが、ソウルは二人を落ち着かせた後、侍女に何故そんな事をしたのか尋ねた。
「国に残してきた家族が人質に取られてしまったからなんです…最初は協力しないと言ったのですが…家族の髪の毛の束が送られて来て…次に爪が…」
大粒の涙を流し泣き始めた侍女は、それ以上喋る事は出来なかった。
「家族が人質に…」
「帝国の奴ら…ひでぇことをしやがる!」
「だからと言って許す事は出来ない。お前のせいでアークライト城の方々にも被害が出てしまっている…故に皇帝としてお前を処罰しなければいけない…」
「待ってください」
皇帝が槍の穂先を侍女に向けると、ソウルが間に入って皇帝を止めた。
「止めてくれるな!そいつは!」
「ええ、解っています。ですがその裁きはノインにやってもらいましょう。一番被害を被ったのはノインです。彼には彼女を裁く権利があるはずですよ」
「……ぬぅ…」
皇帝が、槍の穂先を上に向け石突を床に付けた後、深呼吸をした。
「分かった。お前の裁きはノインがする事とする!それまで大人しく牢に入っていろ。もちろん裁かれる前に自ら死を選んだ場合、お前の一族は処刑されると思え!」
「‥‥‥‥はい」
「セルゲイ殿頼む…」
「分かりました。この者を牢へ!」
セルゲイが、その場に残っていた騎士達に指示し、侍女は涙を流しながら牢がある場所に連行されて行った。ソウルは、侍女が部屋から出て行く所を見た後、ウィンドウを開いてハピネスカラーに連絡を取り始めた。
「ハピネスカラーさん、そちらの状況はどうですか?」
「今全部倒した所だわ、いやぁ~臨時収入が美味しい!」
「それは何よりですが、こっちは大変な事が起きてしまいました」
「え?何が起きたの?」
「ノインが攫われました。上空から怪しい人物や馬車など何でもいいので見えたら教えてください!」
「分かったわ!」
「マスター、私もノインがいる場所を特定してみます」
「頼む」
マギアがウィンドウを操作し始め、その2分後ノインがいる場所を特定した。
「マスター!南東の方にノインの反応がありますが、移動中の様です。多分ですが馬車か何かに乗せられている物だと推測します」
「分かった。ハピネスカラーさん!南東方面に馬車か何か走り去ろうとしている物は見えますか?」
「南東?…んー?あ、馬車を一台見つけたわ!すごいスピード出してるわね」
「その馬車止められますか?」
「簡単よ!」
「では、お願いします。俺達もその馬車に向かうので」
「了解」
ソウルはハピネスカラーとの通信を一旦切り、皇帝達に体を向けた。
「どうやら俺の仲間がノインを見つけたようです。南東方面に逃げている一台の馬車の中にいる様なので早速行ってみます。皆さんは後から来てください」
「了解した。ソウル殿ノインを頼む」
「はい、お任せください」
「ソウル、俺は残党が残ってないか見回って来る!ノイン皇子の事は頼んだ!」
アインの言葉に頷いた後、ソウル達が急いで建物から外へ出て、マギアが展開したジャバワークに跨り、南東へと向かって行った。
「ソウル~こっちここっち~」
ジャバワークに跨り、南東に向かって飛行して行ったソウル達は、ハピネスカラーの声が機工兵装の拡声器から聞こえ、その場所に向かって行った。ハピネスカラーの近くに着陸し辺りを見渡すと、馬車の近くで御者が地面へとうつ伏せとなっており両手を組んで頭の上に置いていた。
「中は確認しましたか?」
「してないわ!」
「了解です」
ソウルとマギアは銃を抜き馬車の後ろに回った後、ソウルはマギアにアイコンタクトを送り、マギアが頷いたのを確認し、銃を構えながらカーテンを開いて中を確認した。
「ノイン!無事か!?」
「うぅ…はい…」
馬車の中を確認すると、ノインが両手両足を縛られて馬車の中に転がされていた。ソウルは馬車の中に入り、一度だけ鼻の抑える様な仕草をした後、ノインを縛っているロープを切って拘束を解いた。
「ありがとう…ソウル‥‥」
「皇帝様達が後から来る。顔を見せて安心してさせてやれ」
「分かったよ…」
ソウルは銃を握りつつ馬車から降りた後、皇帝達を待つとその5分後、皇帝達が乗った馬車がこちらへとやって来た。
「ふぅ…やっと来た…」
皇帝達が馬車から降りノインへと駆け寄ろうとした時、ノインの呟きがソウルの耳に届き、ソウルはノインに銃口を向けて発砲すると弾頭が肩に当たった。
「うわぁぁぁ!」
「ソウル殿!?何をするんだ!」
「偽物だ!」
「な!」
突然ノインに銃口を向けて発砲したソウルに、驚いた皇帝達や護衛の者が武器を抜いてソウル向けると、ソウルは発砲した理由を大声で叫んだ。そのソウルの言葉に、皇帝達は半信半疑でノインを見ると、撃たれた場所を抑えながらのた打ち回っているノインの体が、歪な動きや音を立てながら徐々に大きくなって行き、子供服を着たおっさんの姿になって行った。
「な…何故偽物だと分かった?」
「最初は臭いだ…お前から加齢臭とたばこ等の臭いがした。お前臭すぎだ」
「馬鹿な!それだけで!?」
「次に俺の事を呼び捨てにしたな?ノインはどんなに親しくなっても年上には礼儀正しくさんを付けていたぞ?さんを付けるべきだったな…デコスケ野郎!」
「っく!」
「最後にだ‥‥親や兄弟が心配して迎えに来たのに「やっと来たか」はねぇだろうが!育ちが悪い奴だな!てめぇは!」
「クソがぁぁ!」
ノインに偽装していたおっさんが自棄になり、隠し持っていたナイフでソウルに斬りかかって来たが、ソウルはΣウェポンを3回発砲し、両膝と負傷してない方の肩に鉛弾を撃ち込んで動けなくした。
「一度だけ聞く…本物のノインは何処にいる?」
「ふ‥‥ふはははは!馬鹿め!本物はもう帝国にいる!残念だったなぁ!」
「そうか…暗爆のイルクスの転移魔法で連れて行ったんだな?成程…解った。今はノインをそちらに預けておくが…毛ほどの傷を与えてみろ?すぐさま鍵を扉を破壊してやるからな!おい!聞いているんだろう!?」
「あぁん?お前一体なに「おや?バレていましたか?」…!?」
おっさんが、何の事を言っているのか分からず首を傾げながら言うと、その言葉の途中でおっさんの背中から別の声が聞こえて来た。
「カマかけて見たらやっぱり聞いていたな…」
「おや?引っ掛かってしまいましたね!お見事です!」
「戯言は良い…さっき言った事宰相達に伝えて置け、分かったな?」
「おお怖い!そんな恐ろしい声で言われたら従うしかありませんか!了解ですよ…必ずお伝えいたしましょう」
「ふん…」
「ああ、ちなみにそこの男には適当な事しか伝えていませんので、煮るなり刺し殺すなりご自由にどうぞ!」
「そんなイルクス様!」
「では、皆様!ごきげんよう」
トカゲのしっぽの様に切られ見捨てられたおっさんは、力なく項垂れていった。
「まさか私の捜索能力すら騙せるスキルがあるなんて驚きです…」
「魔法じゃなくてスキルなのか?」
「はい、特殊と言う言葉が付きますがこの男が使っていたのは確実にスキルですね」
「末恐ろしいスキルだな…」
「そ…ソウル殿…ノインは!?」
皇帝が確認する様にソウルに尋ねると、ソウルは落ち着いた声で質問に答えた。
「どうやらノインは今帝国にいるようです。ですが私が鍵を持っている限り無事なので安心してください」
「…むむ…ノインはその鍵と交換させるさせる為に攫われたのだな?」
「そのようです。いずれ俺の所に交渉役が来ると思うので、その時は皆様にご連絡いたしますよ」
「助かる。ありがとう」
ソウルの言葉に皇帝達の表情が曇ったが、アルベルトがノインが狙われた理由を口にすると、ソウルはその言葉に頷いた。
「では、一度解散しましょう。アークライト城でやるべき事が沢山ありますから」
「そうじゃな、アリア達にも事情を話さなければなるまいて…」
「お供します」
「この男はどうしますか?」
皇帝の護衛としてついて来た騎士が、おっさんを拘束して皇帝達に尋ねると、皇帝達はソウルの顔を見た。
「その男は王国の法で裁いてください。こちらにはもうその男には用は在りませんので」
「了解しました」
騎士達が挟むようにおっさんを持ち上げ、引きずって行く姿を見送り、ソウルは街へ向かおうとした。
「ソウル殿?どちらに?」
「錬金術ギルドに向かいます。そこで少し直したいものがありますので」
「分かりました。こちらで何かあった場合は連絡をしますね」
「了解です」
アルベルトがソウルの向かう先を尋ねると、ソウルは行先を伝えた。ソウルがその場を離れようとした時、ハピネスカラーが大きな声を上げた。
「ねぇ!私は何時までこうしていればいいのかしら?」
「あ、お疲れ様です!もう終わったので拠点に戻っても問題ないですよ!」
「分かったわ!そこに寝ている御者も仲間の一人だと思うから捕まえておいて!」
近くに居た騎士に御者の事を伝え、御者もおっさんと同じように連れて行かれると、ハピネスカラーは機工兵装の背中にあるジェットを吹かし、飛び上がる様に飛行し始めると、自分の飛行船へと帰って行った。
「さて…行くか…」
「マスター、錬金術ギルドに向かわれるのですか?」
「そうだか?」
「そうした場合アンジェラさんに怒られる可能性がありますね。異常種を討伐したら顔を見せてくれと言われていましたし討伐して結構時間が空いていますから」
「あ、あー!忘れてた!マギア急ぐぞ!」
「了解です!ジャバワークを展開するのでそれに乗ってください」
ソウルがマギアに頷き、急いで錬金術ギルドへと向かって行った。
アリア妃とモモニア皇女はノインと一緒にいる時間を巡って争い合っています。そして今日はどっちが一緒に寝るかと討論していました。
ハピネスカラーが乗っている機体はルインベヒーモス戦で見せた特殊な機体ではなく、普段使いようの量産機です。量産機と言っても中身と武装はかなり改造されています。そして対する襲撃者の機体は帝国製の量産機です。独自な技術が使われている為、捕獲できれば高額な値段で売ることが出来ます。
皇帝は昔、槍で武名を天下に轟かせていた過去があります。クーデター時に宰相に負けていたのは、部屋に槍は置いておらず、仲間だと思っていた相手に不意を突かれたからですね。槍はすごくても剣はからっきしですので…はいそこ!俺の槍を磨けとか言わない!思わない!
王国騎士団のセルゲイ団長!参戦!アンジェラさんの知り合いだけあって滅茶苦茶強いです。そこにアインが加われば…無双状態ですね!
ソウルに抱きかかえられたモモニア皇女は、小さな悲鳴を上げて顔を赤くしました。
ノイン君頑張った!だけどヤムチャしてしまった!
ソウルが何故侍女が殺されるのを止めたかと言うと、事情があるからですね。ノインに裁いてもらおうという事で、延命させたという訳です。きっとノインも悪い様にはしないでしょう。
ノインの偽物は臭い、調査不足、育ちの悪さでバレました。所詮捨て駒として利用する為、クオリティ低くても、転移魔法のクールタイムが終るまでの時間を稼げればいいので問題ないという事です。
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