ピンチを救え!
お待たせしました!どうそ!
「今日も張り切ってログインしますか」
総一郎は、FDVR機を頭につけログインを開始した。
「さて、冒険者ギルドにいって銃士ギルドの場所を聞くか…」
ソウルは、門の所にいる衛兵に身分証を見せた時に、冒険者ギルドに最初に行って顔を繋いでおいてくれと言われたので、ギルドの場所を聞いておいたのだった。
「黒く塗りつぶされてるけど…マーク付いてるし、行けばわかるだろう」
街の風景を楽しみながら冒険者ギルドにたどり着き、ギルドの中に入るとプレイヤーとNPCがいい具合で騒いでいた。
「かすかな酒の匂い…うち上げ中かな?」
騒いでいる人たちを横目に、受付にたどり着き呼びベルを鳴らした。
「はいはい、今日はどうなされました?」
「街の衛兵から最初にここに行って顔を繋いでおいてくれと言われたので、こちらに伺いました」
「あ、そうでしたか、では身分証をご提示ください」
「どうぞ」
「はい、しばらくお待ちください」
受付の女性が奥に行き、数分後、一つのスクロールとカードを持って戻ってきた。
「こちらがこの街の地図になります、身分証をお返しいたしますね」
【アナウンス:地図 を獲得しました。】
身分証を受け取ると、身分証がタブレット機器のように横にスライドする機能がついていた。
「そこに各街の紋章が付くので、新しい街に着いた際は必ず冒険者ギルドへ立ち寄りご提示をお願いいたしますね」
「なるほど、わかりました。では、失礼します」
「はい、御用の際は何なりとお申し付けください」
冒険者ギルドを出てウィンドウを開き、銃士ギルドの場所を調べると西の方にある事がわかった。
「銃士ギルド…いったい何ができるのか楽しみだ…」
銃士ギルドに着いてみると人通りが全くなく、建物自体も寂れていた。
「お邪魔しまー…す…」
ギルドの中に入ってみると女性が一人、モップで床を磨いていた。
「!? そんな!まだ立ち退きまで期間があるはずなのになんで!…すみませんすみません!もうすこし!もう少し待ってください!ギルドマスターが今、方々駆けまわって何とかしているので、どうかどうか!立ち退きはどうかもう少しお待ちください!」
ソウルに気が付いた女性は、モップを放り出し、その場で飛び上がり空中で三回回転した後、土下座をしながらソウルの足元まで滑ってきた。
「え?…いえ、俺銃士で…立ち退き?…なくなっってしまうのですか…そうか…仕方ない…」
「え!あなた銃士なの!って逃がすかぁ!ワー!待って!逃げないで!だずげでぇ!」
「(こいつ!どさくさに紛れて俺の尻を揉みしだいてやがる!)わ!解りましたから!ちょっと落ち着いて!放れて!」
土下座の体勢から、ソウルの腰に腕を回し号泣している女性をいったん引きはがし、女性をテーブルに着かせた。
「ずびっ…ズズー…いやその、すみません、取り乱しました…」
「で、どういうことです?立ち退き指示が出ているのですか?」
「はい…街から実益と実績のないギルドは金食い虫で役に立たないから、期限付きで立ち退くように言われてしまいもうすぐその期限なんです…」
「ちなみに…その残り期限は…」
「残り二週間です…」
「イヤーむりっしゅ!」
「わーまって!逃げないで!」
「(また尻を…!)あーわかったから放して!」
期限を聞いたソウルは何もできないと思い、その場を去ろうとしたが女性のしがみつきが強く、なかなか離れなかった。
「はぁ…それで…助けてと言いましたが、私は何をすればいいのです?」
「それは…どうにかしてギルドを立て直してほしいのです…」
「つまり、ここが立ち退き理由の実益と実績をこのギルドにもたらせと?」
「はい」
「この世界に来て数日しかたっていなくて最初の街を出るのにも難儀していた俺が?」
「はい」
「一人で、2週間の間に?」
「YES!」
「無ー理無理!なんもできないよ!」
「そこを!何とか!何とか!…ウェヒヒヒヒ…」
「おい!しがみつくな!どさくさに紛れて尻揉んでいるの解ってるからな! てい!」
「アィターー!」
女性の額にチョップを落とし拘束から逃れたソウルは、大きなため息を出し椅子に座りなおした。
「一応…考えてみますが…無理だったら諦めてください…」
「すみません…でも何とか出来たら、世界中にある銃士ギルドが万歳三唱して銅像が乱立するくらい感謝すると思いますよ!」
「おっとっとーい!話が急に世界規模になったぞ!あれぇ…おっかしいなぁ…」
「とりあえず、何かお願いしますね!あ、自己紹介がまだでしたね!私、ハリーベルと言います!今後ともよろしくお願いいたします」
「ソウルだ…期待はしないでくれ…」
銃士ギルドから出た後何かいい案がないか探す為、一旦ログアウトしてネットを検索してみることにした。
「2週間か…だめだ…何も思い浮かばないな…」
総一郎は、しばらく考えたが何も思い浮かばずネットを検索しても、いい閃きが来なかった。
「とりあえず何か飲み物持って来よう…」
一回に降りると有栖がリビングでテレビを見ていた。
「あ、総兄ぃ?今日はゲームしてないの?」
有栖がテレビから目を離さず兄の存在に気が付くと、総一郎は冷蔵庫に入っていたペットボトル飲料を適当に取り出しリビングのソファーに座った。
「ちょっと難問にぶち当たってな…ってなんぞこのアニメ?」
「ん?これ?今流行ってる「撃鉄槍プリティ♡ルージュ スプラッシュ」だよ」
「すごいな…今の魔法少女は魔法のステッキじゃなくてパイルバンカーを使うんだな…」
「最初は私も、どうかな?って思ったけどストーリーと作画が神過ぎて神回が多いから私もはまっちゃった」
「左様で…」
どうやら妹はオタク街道に足を踏み入れたらしいようで、普通の一般人は作画がどうとか言わないだろうと思いながら一緒にアニメをみていた。
「今回も神回だったなぁ…来週が楽しみ…」
「確かに、よく動いて、よく書き込まれているアニメだね」
「でしょー!すごいアニメなんだから!最もすごい話が5話の…」
有栖が長舌になり30分間アニメの話が止まらなかった。
「だからね!総兄ぃも最初から見た方がいいよ!」
「お…おう、いつかね」
「じゃあ私は部屋に戻るよ!じゃねー」
有栖の姿が見えなくなると総一郎はソファーにもたれかかり顔を両手で覆った。
「自分の好きなことが事があるのはいいけど兄ちゃん…ちょっと妹の将来が心配だよ…このままオタク化が進んだら…」
それ以上は何も言わず自分の部屋に戻った。
「うーん、ちょっと聞いてみるか…」
Wonderful Planetをプレイしているもう一人の友人 右近寺 享 に携帯で連絡を取ってみた。
件名:ちょっと聞きたいのだが…
「パイルバンカーって他のプレイヤーが作っていたり、どこかに売ってたりするか?」
メールを送ると数分後、返信されてきた。
件名 Re:ちょっと聞きたいのだが…
「あるぞ!コレジャナイ感がマキシマムだが…」
件名 Re:Re:ちょっと聞きたいのだが…
「それってどんなの?」
件名 Re:Re:Re:ちょっと聞きたいのだが…
[電気で動いて、形も不格好、威力もない奴だな…」
件名 Re:Re:Re:Reちょっと聞きたいのだが…
[火薬式でシンプルな物作ったら売れると思うか?」
件名 Re:Re:Re:Re:Reちょっと聞きたいのだが…
「売れると思うぞ!火薬が銃士関連の職業している奴が、錬金術修めないと作れないしな…それに今とあるアニメがすごくて人気あるから!」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Reちょっと聞きたいのだが…
「え?そうなのか?成り行きで取れたからみんなも取れるものとばかり… 貴様見ているな!…あのアニメを・・・」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re…ちょっと聞きたいのだが…
「まず、あのゲームは一人につき一つのメインキャラでやっていかなくちゃいけない、昔どこかの学者が負荷がどうのと騒いだのが原因らしい、次に、錬金術ギルドのババ…お姉さんに気に入れられないとレシピを売ってもらえない、街人の好感度上げても売ってもらえないから、何か別の条件があるのか未だにわかってないからな… いやーあのアニメ、主人公の友人がロリで可愛くて、敵役に出てくるショタの衣装がきわどくてな…俺のマグナムの回転弾倉が唸って上向きになるわー」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re…ちょっと聞きたいのだが…
「そうだったのか、俺は幸運だったんだな… ありがと参考になったよ。 とりあえずそのショートバレルはしまっておけよ!」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re…ちょっと聞きたいのだが…
「パイルバンカー作るのか?もし出来たら買うぞ!性能次第だけどな! もうすでに発砲したから何の問題もないな…」
件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re…ちょっと聞きたいのだが…
「できたらな… その後の情報はいらなかったよ…」
携帯を机に置いた後、適当な紙に必要な部品と思われる物を整理しながら書き、ちょっとした図にしていった。
「自分で書いててもひどい図だな…絵心、八意欲しい、欲しい」
ある程度まとまった所で鉛筆を置き、それらを覚えていく。
「スキャナーあると取り入れてゲーム内で表示できるんだけど使わないしな…いらんか」
大体覚えた後、FDVR機を着けてログインした。
次回はちょっと時間がかかるかもしれない…
モチベ維持のために評価お願いします!