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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第1章 能力者学校
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第1章 能力者学校 その5

第1章 能力者学校 その5


生徒会警備部隊、入隊試験。

1人目、中森晃。


「よっし、行くぜ、相棒!」


晃の武器は、見るからに重そうな大剣だった。

刀身だけで、晃の半分以上は優に超えていそうだった。


「なるほど、結構破壊力がありそうな武器だ。だが、当たればの話だがね」


鈴原先輩は、冷静に晃の武器を観察し、出方をうかがっていた。


「ずいぶん余裕みたいだな、流石は部隊長ってことか。じゃあ、さっそく行かせてもらうぜ!」


そう言うと、晃は地面を蹴った。そのまま大剣を振り上げ鈴原先輩の方へと突進していく。

と、同時に、晃は一気に加速した。


「おりゃあー!」


ドゴンッ!


加速してそのまま一気に間合いを詰め、大剣を振り下ろす。が、それに対応し、鈴原先輩はその一撃を横に避けた。

先ほどまで先輩のいた場所は、地面が大きくひび割れていた。


「なるほど、中森君、君は加速、『アクセレラシオン』の使い手か。能力で一気に加速し、大剣を振り下ろす。いい攻撃方法だが、今の攻撃では単調すぎるな。しっかり見ていれば避けることなど造作もない」


確かに鈴原先輩の言う通りだ。加速プラス破壊力は凄まじいが、戦闘に慣れた人であれば避けることも可能だろう。どうする晃?


「流石に避けられちまったか。まぁ部隊長なんだからそうだよな。だがまぁ、あんなひょいって避けられちゃあ、ちょっとショックだ。仕方ない、じゃあ、これならどうだ!」


「ん?」


晃は次の一手に出た。

鈴原先輩の周りを高速で移動しはじめ、更にスピードを上げる。最後にはたくさんの残像が現れはじめた。


「晃、速い! 昔より更に速くなってるよ!」


「なるほど、確かにこの方法なら単調ではなくなる。避けるのは容易くないか。」


「流石に部隊長でも焦ってきたか? じゃあこれで最後だ! くっらえー!」


全ての残像と晃本人が一斉に鈴原先輩を襲う。襲ったはずだったが。しかし、


ドゴーンッ!


「ガハッ!」


晃は、鈴原先輩の後方の壁へと激突して、倒れた。


「勝負あり! 勝者は鈴原くんよ。楽々浦さん、急いで中森くんの治療を!」


楽々浦先輩が急いで晃のもとへ向かった。


「晃!」


「待って、早瀬さん」


「でも!」


「大丈夫だ、楽々浦先輩の能力で完治できる」


俺は、慌てる早瀬を抑えて、落ち着かせながら、鈴原先輩の能力を考えていた。


(今、一瞬で鈴原先輩が晃の背後へ移動した気がした。もしかしたら鈴原先輩の能力は……)


「早瀬さん、ちょっといいか?」




2人目、早瀬朋。


「晃の敵は取るからね!」


早瀬は手にはめたグローブのひもをギュッと締めなおした。


「早瀬さんは格闘タイプか。なるほど、隙がない構えだ」


「ありがとうございます、先輩。手加減しませんから」


そう言いながら、早瀬は数分前の宇佐見とのやり取りを思い出していた。




「え? 鈴原先輩が瞬間移動した?」


「あぁ、はっきりとは言えないけどそんな感じがした。ただ、確信が持てない。早瀬さん、もし可能なら鈴原先輩に能力を使わせてほしいんだ。できそうか?」


「OK! まっかせて、宇佐見くん!」




(先輩に能力を使わせて、宇佐見くんにつなげる。絶対に!)


「いきますよ!」


早瀬が無駄のない動きで鈴原先輩との距離を詰め、そして、そのまま拳と足を打ち込んでいく。


「ハイハイハイ!」


上段、中段、下段。素早い動きで打ち込むも、全て鈴原先輩はガードする。


「うん、武闘家そのものの動きだ。だけど、一撃一撃は軽いな。」


「そうですか? じゃあこれなら!」


そうして繰り出した拳は、鈴原先輩の手前で止まった、と思われたが、早瀬の靴の裏あたりがボンッと爆発した。更にはそのまま勢いよく前進し、鈴原先輩に拳が迫る。


(くっ、これは)


当たるかと思われたその時、鈴原先輩は、後方へと瞬時に移動した。


「流石に今のは危なかったな。咄嗟に能力を使ってしまったよ。今の足の爆発、それが早瀬さんの能力か。爆発、『エクスプロジオン』か。そんな使い方があるなんてね。いい勉強になったよ。それじゃあ続きを…」


「やったよ宇佐見くん! 今のでOKだよね?」


「あぁ! ありがとう、早瀬さん」


「あ、先輩、ありがとうございました! わたしの負けでいいです。たぶんわたしじゃ勝てないし」


鈴原先輩は一瞬何を言ってるのか理解できないといった感じだったが、俺の方を見て、すぐ状況を把握したようだった。


「なるほど、中森君の戦闘で俺の能力に気づき、早瀬さんとの戦闘で俺に再度能力を使わせて、能力を確信したということか。だが、これで後がないぞ?」


「えぇ、大丈夫です。俺が勝つので」


俺がそう宣言すると、鈴原先輩は眉間にしわを寄せ、明らかに怒っていた。


「えっと、二人とも盛り上がってるとこ悪いけど、とりあえず戦闘を終了するわね? 勝者は鈴原くん!」


如月会長は、なにやら笑いを堪えた表情で、2試合目の終了を告げた。




3人目、宇佐見銀。


「鈴原先輩、最初から能力使った方がいいですよ?」


「ふん、使うかどうかは俺が決めることだ。」


「そうですか。それじゃあ!」


俺は一瞬で間合い詰め、鈴原先輩の目の前へ移動した。


「な!? くそっ!」


鈴原先輩は慌てて、後方へと瞬間移動した。


(なんだ今の速さは? 加速? いや、そんなものでは…)


「あぁ、加速じゃないです。ただ速く動いただけですよ。でもよかったです鈴原先輩。能力使いましたね? 先輩の能力、瞬間移動、『アンスタン』ですか?」


「残念ながら、アンスタンでは…」


「ない!」


「おっと、危ない危ない」


今度は鈴原先輩が、一瞬で俺の前に現れ、攻撃を繰り出してきた。が、俺はそれを目で捉え、後方へと避けた。


「す、すごい! 宇佐見くん、先輩の能力を見切ってる」


「銀のやつ、すげぇ!」


朋と晃が感心している。というか晃はもう元気だ。それだけ楽々浦先輩の能力がすごいのか。


「アンスタンじゃないか。じゃあ、座標移動『コードナー』ですね、先輩?」


「それがわかってなんになる! 確かに俺の能力は、座標移動、『コードナー』だ!」


「いえ、それだけわかれば勝てるので!」


そう言うと俺は、再度間合いを詰め、刀で間髪入れずに連続で斬りつける。


「はっ!」「たぁっ!」「そこっ!」


当然ながら鈴原先輩は後方へと移動し避け続ける。

今度は鈴原先輩が能力を使いながら近づき、連続で拳を繰り出す。


「ふっ!」「このっ!」「当たれ!」


俺ももちろん全て躱す。


(なぜだ、なぜ宇佐見に攻撃が当たらない? くそ、これでは)


先にしびれを切らしたのは鈴原先輩だった。


「宇佐見、おまえに座標移動の力を見せてやる!」


そう言うと、鈴原先輩は、縦横無尽に瞬間移動を繰り返しはじめた。

いや、それだけではない。同時に小型のナイフを投げつけてきた、ように見えた。

実際は投げたナイフは数本。それを座標移動の能力でキャッチし、その場で再度投げる。それを繰り返していた。


「そうです、ね! よっと。これ、じゃあ! こっちから! 攻撃、できない! ですね!」


「避け続けるなどほぼ不可能。座標移動は不規則に行っているからな!」


(ふぅ、確かに避けづけるのは面倒だな。それじゃあそろそろ)


カランカランカラン


乾いた金属音が辺りに響いた。ナイフ同士が当たった音だ。


「なに!? バカな、宇佐見はどこに?」


「俺はまだそこにはいない!」


俺は能力を使い、先ほどまで刀を振り続けた場所まで戻っていた。


「い、いつそこへ移動した?」


「移動? 違いますよ、戻っただけです。それと鈴原先輩、先輩の今いる場所の後ろ、この試合が始まって、最初に俺が移動した場所ですよ?」


「なに? 宇佐見、お前はいったい何を言って?」


「こういうことです!」


俺は一瞬で先輩の後ろへ“戻り”、刀で先輩を斬りつけた。


「く、そ……」


「鈴原先輩、俺の能力名は『メノス』、あらゆる事象を逆転する力です」


こうして、試合は俺が勝ち、俺たち3人は晴れて、生徒会警備部隊へと所属することとなった。

ちなみに刀で斬られたはずの鈴原先輩は、楽々浦先輩の能力で完治し、元の元気な姿に戻っていた。




「ふふ、まさか宇佐見くんがあれほどの力をもっていたなんて♪ 中森くんも早瀬さんも素晴らしい力を持っていましたし、うちとしてはかなりの戦力アップですね♪」



第1章 完


To Be Continued…



みなさんこんにちは!トウミです。

おかげさまで、第1章、終了しましたー♪わーい!

こほん、えー、楽しんで頂けましたでしょうか?

楽しんで頂けてれば幸いでございます。

わたしですか?わたしは書いていてすごく楽しかったです。たくさんの人が読んでくれているな~と。

次から新章が始まります。

まだまだ物語ははじまったばかり。これからもお付き合い頂ければと思います。

では、これにて。感想、ブクマお待ちしています♪みなさんの感想が励みです。

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