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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第1章 能力者学校
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第1章 能力者学校 その4

第1章 能力者学校 その4


翌日。如月会長と約束した生徒会試験当日。

今日も半日で授業が終わり、俺は生徒会棟へと来ていたのだが……。


「晃、朋、二人も受けるのか?」


そこには晃と朋も来ていた。


「おうよ! 俺も特に部活動するつもりないし、自分の鍛錬にもなりそうだからな!」


「わたしももちろん受けるわ! 誰かのためになることなんだから当然よ!」


二人ともやる気十分という感じだった。


「よし! それじゃあ3人で合格しようぜ!」


こうして俺たち3人は、生徒会棟へと入っていった。




「みなさんお待ちしていました。」


生徒会棟に入ると、さっそく如月会長が出迎えてくれた。


「“みなさん”ですか、最初から3人来るのがわかっていた口ぶりですね」


「ふふ、そんなことはありませんよ。なんとなくそんな感じがしただけです。それに、戦力が増えるのは我々としても嬉しいことですし♪」


全くこの人は。底が見えないというか、どこまで本気なのか読めない。


「では、さっそく会場へと向かいましょうか。こちらです」


そう言うと、如月会長は奥の部屋へと案内してくれた。


「ここは……やはり普通の部屋? ベッドもあるし仮眠室みたいなとこですよね?」


まさかこんな狭い部屋で試験を行うのかと思っていると、


「えぇ、普段はそうなんですが、ここをこうすると……」


如月会長が何やらベッドの下に手を伸ばすと、


ガゴンッ!


大きな音が鳴ったと思うと、部屋全体が大きく揺れ始めた。


「な、なにこれ?」


「なんだなんだ?」


「まさか、部屋全体がエレベーターになってるのか?」


「宇佐見さん正解です。ふふ、流石に驚きましたか? 自費で改造しまして、地下に訓練場を作ったんです。この部屋はその訓練場に行く時だけエレベーターの役割を果たします。」


まさかここまで規格外の人とは。自費で試験場と部屋全体をエレベーター化、どうやらかなりのお金持ちらしい。


ガタンッ!


そうこうしている間に、試験場へと到着したらしい。


「さぁ、着きました。扉の向こうはもう試験場です。」


俺たちは如月会長に続き、扉の外に出た。




扉の先には、かなり広い空間が広がっていた。ちょっとした体育館くらいの大きさがありそうだった。

そして、その真ん中には眼鏡をかけた細身の男子生徒と、金髪ツインテールで小柄な女子生徒が立っていた。

その中の男子生徒が声をかけてきた。


「会長、お疲れ様です。なるほど、その3人が今回の候補者ですか」


「鈴原くん、それから楽々浦(ささうら)さん、ご苦労様。今日はよろしくお願いしますね。」


鈴原と呼ばれた男子生徒は、メガネを中指でクイッと上げると、こちらを一瞥した。


「如月会長、こちらの方々は? どうやら校外の下級生もいるようですが?」


「あの子ちっちゃくて可愛い!会長の知り合いですか?」


「いや、銀、朋、よく見りゃ、なんか同じ制服着てるぞ?」


俺たちが各々感想を述べていると、会長はくすくす笑い始めた。

それを見てか、小さな金髪ツインテールの子が声をあげた。


「か、会長! 笑わないでくださいよ!」


ぷくーと頬を膨らませている。


「すみません、楽々浦さん。では、3人にご紹介しますね。向かって左手、眼鏡の男子生徒が、鈴原紅輝(すずはらこうき)さん、わたしと同じ3年生、今回の試験の相手を務めてもらいます。そして、あちらの女子生徒が、楽々浦麗(ささうらうらら)さん、治療担当、能力ランクA、完全治療『トレットマン』の使い手です。背は小さいですが、一応みなさんの1年先輩ですよ♪」


如月会長が二人を紹介してくれた。


「ふん、お前たちが候補生か。俺は鈴原、生徒会警備部隊の部隊長だ。試験は甘くないぞ、覚悟するんだな」


「小さいってバカにしたら怪我治さないんだからね! あと、先輩だから、もうちょっと敬いなさい!」


鈴原先輩は見た目通りの感じだ。楽々浦先輩は、えっへんと言わんばかりに腰に手を当てて無い胸を張っている。しかし、Aランク、完全治療『トレットマン』か。どんな怪我でも瞬時に治す人がいると聞いたことがあったが、この人のことだったか。


「こっちも自己紹介するわね。わたしは早瀬朋、1年生。元気が取り柄よ。よろしくね!」


「おっし! じゃあ俺も。俺は中森晃、1年、スポーツは得意だぜ!」


「やれやれ、二人とも既にやる気満々だな。俺は、宇佐見銀、二人と同じ1年だ。先輩方、今日はよろしく!」


流れで自己紹介に入ってしまったが、まぁ問題なさそうだ。


「では、3人とも準備はいいですか? これより試験のルールを発表します。ルールはいたってシンプルよ。3人それぞれ一人ずつ鈴原くんと実戦形式で戦ってもらい、3人のうち一人でも勝ったら合格よ。」


如月会長から今回の試験のルールが発表された。なるほど、確かにわかりやすい。

だが3人連続か、それだけ鈴原先輩が強いということか。部隊長、実力は相当なのだろう。


「順番はどうするよ?」


「晃、そんなのもわからないの? 宇佐見くんが受けるって最初言ったんだから、宇佐見くんが最後よ。わたしたちが最初と2番手。それでいいんじゃない?」


「なら俺が先に行って、倒してくるか!」


「そう、まぁ期待はしてないわ。じゃあわたしが2番手ね♪ 宇佐見くん、それでいい?」


「あぁ、それでいこう!」


俺たちは順番を決め、戦闘態勢に入った。

晃は自分の獲物、大剣を構える。

朋は、意外にも格闘タイプのようだ、グローブをはめている。

俺も自分の獲物、腰の刀を抜いた。

鈴原先輩もそんな俺たちの様子を見て、戦闘態勢に入っていた。

楽々浦先輩はというと、試験場の隅の方へと移動していた。


「ふふ、双方準備はいいみたいですね♪ それでは、試験スタート!」


こうして、俺たちの試験が始まった。




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