終章 それぞれのレゾンデートル その7
終章 それぞれのレゾンデートル その7
「ふっ! はっ! せいっ! 二の型、落葉斬! すみません、如月会長。そっちに1体行きます」
「任せて、宇佐見くん♪ ふふふ、消えなさい♪」
俺たちは、奥へと伸びる、どこへ続くとも分からない道を、ただひたすら前へと進んでいた。
途中、自動小銃を搭載したドローンや、小型のロボットなどが襲ってきたので、それを最前を任された俺が斬り、逃したのを、次に待っている如月会長が能力を使い、消す。
大体がこれでなんとかなっていた。
「なんていうか、あの二人が前にいるだけで、かなり安全だな。というか、暇だな」
「あはは、確かに」
晃と朋がなんだか残念そうにしていた。
「宇佐見、疲れたら言ってくれ、いつでも代われるからな」
「はい! ただ、今のところは大丈夫ですよ、鈴原先輩」
鈴原先輩も、なんだか物足りないといった感じで、俺に尋ねてきたが、俺はその申し出を断った。
「あはは、みんな頼もしいな〜。でも無理だけはしないでね? 怪我したらすぐに治すから言ってね?」
「ありがとうございます、麗先輩」
最後尾にいる麗先輩から声がかかったので、俺は少し大きい声でお礼を述べた。
(それにしても、この道はどこまで続くんだ? ん? あれは……)
「みんな、前方に少し大きい広場が見える、とりあえずそこまで行ってみよう!」
俺はみんなに声をかけ、その場所まで向うことにした。
「へぇ、結構広い場所だな」
「ふむ、最初のロボットの着陸地点に似ているか?」
周りを見るが、ロボットやドローンなどは見当たらない。
あるのは、奥に階段が一つだけだった。
(広い場所に出たから終点かと思ったけど、まだ先があったか。この空間は一体どこまで続くんだ?)
「みんな、とりあえず少し休憩したら、先の階段に、」
「へぇ、ずいぶんと余裕じゃないか? のんびりしてていいのかなぁ?」
俺がみんなに指示を出そうとした、その時だった。どこからともなく、声が聴こえた。
「この声は、“ゼロ”か!?」
「大正解! あはは! お兄さん、久しぶりだね! 僕、お兄さんに会いたかったんだ!」
ゼロはそう言うと、奥の階段前に姿を現した。
「なるほど、こいつが前に宇佐見から報告があった、ゼロというやつか」
鈴原先輩は一気に警戒態勢に移る。
「そっちのお兄さんは初めましてかな? こんにちは、鈴原紅輝♪」
ゼロは、初めましてと言いながらも、鈴原先輩の名前を呼ぶ。
「なるほど、こちらの情報は全て把握済ということか。ふざけたやつだ」
鈴原先輩は、気に入らないといった表情でゼロを睨んだ。
「それで、ゼロ。お前はここがなんなのか知ってるのか?」
「ん? もちろん知ってるけど、でも教えないよ? あー、でも、お兄さんたちが僕と遊んでくれたら教えてもいいけど?」
俺の問いにも、余裕といった態度で答えるゼロ。
「宇佐見、早くこいつを懲らしめよう」
「あら、わたしも鈴原くんと同じ意見だわ♪」
鈴原先輩と如月会長は、既に戦闘態勢になっていた。二人とも少し怒っているのが分かる。
「仕方ない。なら、俺たちが勝ったら、ここがなんなのか教えて貰うぞ!」
「あはは! 遊んでくれるんだね? 来なよ、第一能力者学校、生徒会!」
ゼロは、以前会った時とは比べ物にならないくらいの気迫を見せながら、戦闘態勢に移った。
「麗先輩、先輩は後ろに。晃と朋は、俺と鈴原先輩、それから如月会長で必ず隙を作る。そこを狙って欲しい」
「おう!」
「うん、任せて!」
こうして、俺たちとゼロの戦いが始まった。
「みんな、あまりゼロには近づくな! なんらかの力で、能力を消されるぞ!」
俺はみんなに指示を出す。
「近づかなきゃ問題ないって思ってる? でもさぁ、」
「こうやって、瞬時にこっちから近づけるんだけど?」
遠くにいたゼロが一気に如月会長の目の前へと移動してくる。
ゼロはそのまま手を伸ばし、如月に触れようとする。
しかし、
「如月会長には指一本触れさせん!」
鈴原先輩が能力を使い、ゼロに一気に近づき、一瞬ゼロに触れると、再び能力を発動。
ゼロを再び遠くへと離した。
「なるほど、鈴原紅輝、君の座標移動の能力か。そういう使い方もあるんだね?」
「お前のことを報告で聞いた時から考えていた対処方法だ。こうもうまくいくとは思わなかったがな」
座標移動で、自分自身ではなく、触れたものを遠くに座標移動させる。
確かにこれならゼロを遠くに離すことができるだろう。
「鈴原先輩!」
俺は鈴原先輩に声をかける。鈴原先輩は理解し、俺の横に来た。
と、同時に、俺をゼロの横に移動させた。
「悪いが、一気に畳み掛ける!」
「わっ! 今度はお兄さんが一気にこっちに来た♪ でも、忘れてない? 僕、刀も消せるよ?」
「覚えてるさ!」
俺は刀を振り上げ、一気にゼロへと振り下ろした。
「前みたいに刀を消しても、すぐ戻すんだろ? だけど、それよりも前にお兄さんを消しちゃえば、いいんだよ?」
そう言って、ゼロは刀に触れる。そして、俺の刀は、
「なっ!? 消えない!」
そう、俺の刀は消えなかった。
俺はそのまま、刀をゼロへと振り下ろす。
しかし、ゼロはすんでのところで、最初にいた階段前へと移動していた。
「いてて。鼻の先がちょっと切れちゃった。今の、一体何をしたのさ?」
ゼロはキズを無くしながら、少し怒りつつ俺に尋ねた。
「やっぱり、痛みは感じるみたいだな。それだけでも安心したよ。キズを消すのも、刀を消すのも、一緒。“ゼロ”の状態に戻したってわけだ。つまり、お前の能力は、ゼロだろ? 俺の能力は『メノス』、マイナスだ。悪いが、俺はゼロの先に逆行ことができるんだよ!」
「あはは! お兄さん、やっぱり面白いや♪ なるほどね、刀を常にマイナスの状態にしていた、そんなところか。うーん、これは僕も考えないとな〜」
鼻先のキズを完全に元に戻し、ゼロは再び戦闘態勢に移る。
俺たちも改めて、戦闘態勢に移ったのだった。




