第2章 反能力者主義 その9
第2章 反能力者主義 その9
校庭近く、銀・麗サイド。
「はっ! せいっ!」
「そこっ! 当たって!」
校庭へと、俺と楽々浦先輩は走りながら、大小様々なロボットを倒して進んでいく。
と、校庭の真ん中に誰かが立っているのが見えてきた。
「宇佐見くん、あそこに誰かいるよ!」
「えぇ、見えてます! 急ぎましょう、避難に遅れている人かもしれません」
段々とその人物へと近づいていき、そして、その人物が学校の関係者ではないことがわかった。
「あなたは! なぜこんなところに?」
「はは、まさか昨日の君が、ここに来るとはね」
校庭の真ん中にいたのは、昨日、ロボット製品店で会った、メガネで無精髭の店員だった。
「さて、私がなぜここにいるかだったね。それは、実に簡単だよ。私が今回の騒動を企てた反能力者主義のリーダーだからね」
「なんですって?」
「もっとも、君たちがいとも簡単に、私たちが用意したロボットを壊してくれたものだから、計画はズタボロだ。どうやら先程、わたしのロボットに乗って戦ってみたいと言っていた、少々狂った青年もやられてしまったようだしな」
そういうおっさんの目の先には、体育館があった。
なるほど、晃たちが勝ったようだ。
「あなたはなぜ、反能力者主義なんかになったんだ? 商店街で普通に暮らすこともできたはずだ」
「そんなこと決まっている! 不公平だからだよ! 能力者は特に努力もせず、生まれながらにして特別な力が使える。我々、無能力者は使えない。生まれた瞬間に、この不公平さを味わうことになるのだよ! だから我々は、能力者たちを追い出そうと活動しているんだ!」
「ふざけんな・・・・・・」
「なに?」
「ふざけんなって言ったんだ! 能力者が努力してない? 何も知らないんだな、あんた。うちの学校には部活がある。部活動では能力の使用は禁じられている。つまり、部活動は努力の塊だ。」
「部活だけじゃない。生徒会だってそうだ。如月会長は、ちゃんとした選挙で選ばれている。それは如月会長が努力したからだ。鈴原先輩はコミュニケーションだけで、警察とのパイプを作ってるし、晃は勉強が苦手だけど、毎日宿題は欠かさずやるし、朋は毎日早朝に起きてランニングしてるんだ。それに、ここにいる、中学生に見えなくもない楽々浦先輩だって、影で拳銃の練習をしてる」
「ちょ、ちょっと! 宇佐見くん! なんだかわたしだけ扱いひどくないかな?」
楽々浦先輩がなにやら言いたいことがありそうだったが、とりあえずこの場はスルーする。あとでお菓子をあげよう。話を続ける。
「能力者だって努力してるんだよ。自分達の努力不足を正当化させようと、勝手に能力者が努力しないって決めつけるんじゃねぇよ!」
俺がそう捲し立てると、おっさんはわなわなと震え始めた。どうやら相当お怒りらしい。
「クソガキがぁ! 言わせておけば! 我々が努力が足りないだと? いいだろう! そこまで言うのなら、我々が作り上げたロボット、残り全てで、おまえを潰してくれる!」
そう言うと、おっさんは何やら端末を取り出し、操作する。
すると、学校のいたるところから大量のロボットが校庭へと集まり、俺の前に立ちはだかった。
小さいドローンタイプも合わせると、軽く100体はいそうだ。
「ははははは! 驚いたか? 今残っていた全てのロボットをここに集めたんだ。これでおまえたちを殺してやる!」
「残りのロボット全部か。じゃあこれ倒したら任務完了だな。いいぜ、じゃあ俺も能力は一切使わずに、努力で身に付けた剣術で全部斬る!」
「だ、大丈夫、宇佐見くん? わたしも手伝うよ!」
「いえ、ちょっと本気出すので、楽々浦先輩は危ないので、俺の後ろにいてください。大丈夫ですよ、すぐ終わりますから」
「う、うん」
先輩が後ろに隠れたのを確認し、俺は一度呼吸を整える。
そして、刀を一度鞘へと納める。
「真の一太刀は天へと通じる道と成る。影を絶ち、その道開かん。くらえ!真天一刀流、四の型・・・・・・」
「絶影剣!」
居合いの構えから勢いよく刀を抜き、そのまま横へ振るう。
見えない斬撃が飛び、次々にロボットを襲う。気づくと辺りのロボットは全て、真っ二つになっていた。
その光景を見ていたメガネのおっさんも、気づいたら泡を吹いて気絶していた。
「す、すごい」
俺の後ろに隠れていた楽々浦先輩はその光景を目の当たりし、呆気にとられている。
「ふう。終わったな」
こうして、校庭での戦闘は、俺と楽々浦先輩の勝利で終わった。




