表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第2章 反能力者主義
11/64

第2章 反能力者主義 その3

第2章 反能力者主義 その3


5月2日日曜日。俺と晃と朋の3人は、昨日同様3人で行動していた。

今日は、午前中から学区内にある警察署へと来ていた。


「君たちが例の警備部隊の新入生かい? なるほど、いい顔をしてるな! はっはっはっは! おっと、申し遅れた! わたしはこの警察署に勤める、犬山だ!」


テーブルを挟んで、向かい合わせに座った俺たちに対して、犬というよりは、熊のような大きな体格の警察官が大きな声で挨拶してきた。


「どうも初めまして、犬山さん。第一能力者学校、生徒会、警備部隊所属の宇佐見です。こちらは中森、それから早瀬です」


「は、初めまして!」

「よろしくお願いします!」


晃と朋は少し緊張しているようだった。


「今日は、例の情報を見に来たのだろう? で、これがその資料だ」


一枚の紙がテーブルの上に置かれた。


「よく分かりましたね?」


「ん? あぁ、先日、君たちの先輩、鈴原くんから話を聞いていてね。いつ来てもいいように、予め用意していたんだよ」


なるほど、鈴原先輩らしい手際の良さだ。あとでお礼を言っておくか。


「では、説明をはじめよう。君たちは反能力者主義というのは知っているかい?」


「知ってるか? 朋」


「ううん詳しくは知らないわ」


晃と朋は首を横に振る。


「反能力者主義、確か、能力者を良しとしない考え、また、その考えをもとに行動する団体ですよね?」


以前、入学前にニュースで見たような気がした。


「宇佐見くんは物知りのようだな。そう、その団体なんだがね、最初は君たちの学校の創設に反対するデモを起こすなど、活発に活動していたんだが、どうも最近は、動きが変わってきてね。」


「過激化ですか?」


「いや、それなら警察も動きやすいんだが、違ってね。逆に、気味が悪いぐらい大人しくなったぐらいなんだ」


「あれ? でもそれだと……」


朋が何かに気付いたようだ。


「あぁ、鈴原くんに渡した資料のことだね? 一応注意喚起のために渡したんだが、警察が動くほどではなくてね」


「と言うと?」


「どうも最近は、能力者を毛嫌いしていた彼らが、逆に能力者の君たちに声をかけているようなんだ。事件性は低いんだが、何を考えているかわからない団体だからね。一応声かけ事案として、鈴原くんと情報共有したというわけだ」


手元の資料を見ると、確かに全て声掛けと書かれていた。時間帯もバラバラ、性別も学年も特に関係なさそうだった。


「なぁ、犬山さん、ちょっと気になったんだが、声掛けだけでどうして、その、反能力者主義ってわかったんだ?」


今度は晃が、犬山さんに尋ねる。確かに、そこが一番の謎かもしれない。


「あぁ、それなら簡単だ。声をかける時に、“反能力者主義のもの”と名乗っているんだからな。全く、何を考えてるのかわからん連中だよ。はっはっはっは!」


犬山さんは笑うしかないといった感じだ。それもそうか。わざわざ名乗ってから声をかけるなんて普通のことではない。


「すみません、最後に聞いてもいいですか? 現在の彼らの構成員の人数ってわかりますか?」


そう聞くと、犬山さんは首を横に振った。


「残念ながら掴めていないね。デモをやってた時は300人ほどいたようだけど」


「そうですか。ありがとうございます。二人は何かあるか?」


晃と朋は、大丈夫という表情を浮かべた。


「犬山さん、今日はありがとうございました」


「おや、もういいのかい?」


「はい、次の任務もありますので」


「そうか、気をつけてな! 新入生の3人さん! はっはっはっは!」


俺たちは大きな笑い声に見送られ、警察署を後にした。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ