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特別編 みんなのハロウィン

特別編です。

総PV数、10,000PV達成記念に書きました♪

本編とは関係ありませんが、これはこれで楽しんでもらえたらと思います♪

特別編 みんなのハロウィン


10月初旬。気温もすっかり下がり、季節は秋。

金木犀の香りが漂い、心地よい日が続く。


第一能力者学校、男子学生寮。

銀の部屋。


「如月会長が言うには、確か今日の夕方に迎えが来るまで自室で待機ということだったけど……まだか?」


時刻は18時。日没の時間も早くなった今、外は既にだいぶ暗くなっていた。

俺は、昨日の如月会長の言葉を思い出す。




「宇佐見くん、今日はお疲れ様」


「ありがとうございます。如月会長もお疲れ様です」


もうすぐ行われる文化祭の準備のため、いろいろと校内施設を周ってきた俺は、生徒会棟に戻ると、一人で出し物の申請用紙の処理をしていた如月会長に労いの言葉をもらう。俺も、そんな如月会長の様子をみて、労いの言葉をかける。


「そういえば、他のみんなは?」


俺は、周りの様子を確認し、如月会長一人しかいないのに気づき、質問する。


「中森くんと早瀬さんなら先程商店街から戻って、先に帰ったわ。鈴原くんも、文化祭当日の警備について、犬山さんの所に行ったのだけど、今さっき連絡があって、これから戻ると言ってたわね。明凛朱さんは繁華街に行ったきり戻ってこないけど、大丈夫だと思うわ」


「そうですか。まぁ、明凛朱は置いておくとして、問題なさそうですね。如月会長、俺もその書類整理、手伝いましょうか?」


俺は、如月会長の持つ書類を指差し、尋ねる。

しかし、如月会長は首を横に振った。


「いいえ、大丈夫よ。もうすぐ終わるもの。宇佐見くんも今日は寮に戻ってもらって大丈夫よ」


「わかりました。それじゃあお言葉に甘えて、戻りますね。それではお先に失礼します」


俺は如月会長の言葉に従い、生徒会棟から出ようとした。


「あ、そうだったわ。宇佐見くん、明日は何か用事があるかしら?」


如月会長に呼び止められ、振り返る。


「明日ですか? いえ、特には」


俺がそう答えると、如月会長はニコッと微笑んだ。


「それなら、悪いのだけど、夕方ごろに迎えを送るから、それまで自室で待機して貰えるかしら?」


「えっ、迎え? というか、なぜですか?」


「ふふふ♪ 内緒よ♪」


俺は、なにがあるのか分からないまま、生徒会棟をあとにした。




(秘密ってなんだろう? 如月会長が言うと不安しかないんだけどな)


改めて考えるが、やはり何かはわからない。

と、部屋の外から人の気配を感じる。どうやらやっと迎えが来たようだ。


トントントン


玄関のドアが叩かれた。俺はそちらに行き、ドアを開けた。


「はい、どちらさ……ま?」


「トリックオアトリート!」


「えっと……え?」


「あ、あれ? トリックオアトリートだ、にゃん♪」


「いや、えっと、何してるんですか、麗先輩?」


玄関の前には、知ってる顔が一人いた。

ただし、いつもと全く服装が違う。猫耳つきのフードを被り、よく見るとしっぽまでついている。


「な、何って、その、ハロウィンだよ、銀くん。化け猫だ、にゃん♪」


麗先輩は、恥ずかしそうに、だけど必死に猫になりきって猫のポーズまでしている。


「その、なんていうか、可愛いです♪ 化け猫っていうより、魔女の使い魔の黒猫みたいですけど」


「えへへ、ありがとうにゃん、銀くん♪」


麗先輩は、にこにこと喜んでくれた。


「ちょっと待っててくださいね」


俺はそう言うと、部屋の奥へと行き、すぐに玄関へと戻ってくる。


「麗先輩、どうぞ。お菓子ですよ♪ ハッピーハロウィン」


「わぁ! ありがとうにゃ、銀くん♪ ハッピーハロウィン」


麗先輩は笑顔で、おいしそうにお菓子を食べ始めた。

俺は、そんな幸せそうな顔をしばらく眺めていた。


「おいしかったにゃん♪ ごちそうさまにゃー、銀くん♪」


「いえいえ、喜んでもらえて良かったです。それで、麗先輩はどうしてここに? ハロウィンだから、だけじゃないですよね?」


俺が尋ねると、麗先輩はしまったという顔をした。


「そうだったにゃ! 銀くん、昨日、如月会長から聞いてるにゃ?」


「夕方に迎えがくるって話ですか?」


「うん、そうにゃ! 銀くん、今から生徒会棟に来てほしいにゃ! 行こうにゃ♪」


そう言うと、麗先輩は手を差し出してくる。

俺たちは、手を握って、生徒会棟へと向かった。


「麗先輩、ところで、その猫みたいな話し方はいつまで続けるんですか?」


「えっと、今日だけだ、にゃん♪」




俺たちは生徒会棟前に着く。


「さぁ、銀くん。どうぞ、先に入って、にゃん♪」


「えっ? はい、わかりました」


なぜか麗先輩に先に入るように急かされ、言われるまま先に生徒会棟の中に入った。


ガチャと扉を開く。


すると……、


パンッ! パパンッ!


「お誕生日、おめでとう! そして、ハッピーハロウィーン!」


中で待っていたみんなに、クラッカーを盛大に鳴らされ、そして誕生日のお祝いを言われた。


「あ、そうか。そういえば俺の誕生日でしたね。みんな、ありがとう!」


生徒会棟の中では、みんながハロウィンの仮装をして待っていた。


「ふふふ♪ びっくりしたかしら、宇佐見くん?」


「如月会長! ありがとうございます、さすがに驚きましたよ」


魔女の格好をした如月会長が、こちらにやってきて、席へと案内してくれた。


「銀、誕生日おめでとう!」


「ありがとう、晃。ははっ、晃はフランケンシュタインか? 似合ってるな」


「お、そうか? ならよかったぜ。このみんなの衣装、鈴原先輩が作ってくれたんだぜ」


晃が鈴原先輩の方を見ながら説明してくれる。


「ふっ。みんなに合う衣装を作れたはずだ。今から料理も持ってくる」


鈴原先輩は狼男のようだ。その姿のまま、奥の部屋と行き、たくさんの料理を持ってきて、テーブルへと並べた。


「どうだ? パンプキンケーキに、パンプキンスープと、ハロウィンらしいメニューに、ローストビーフやサラダをチョイスして、誕生日メニューも揃えたぞ!」


「ほんと、鈴原先輩の料理はいつも美味しそうですね。いや、実際美味しいですよね」


自信満々に語る鈴原先輩。ただ、狼男の姿なので、少し面白い。


「にひひ♪ どうどう、おにいちゃん? 明凛朱も似合ってるでしょ?」


後ろから声をかけられ、振り向く。


「明凛朱か? おっ! 少しびっくりしたよ。それはゾンビか? 目元のメイクが凝ってるな」


割とリアルなメイクの明凛朱に、俺は少し驚いた。


「すごい凝ってるよね、明凛朱ちゃんのメイク」


「あぁ、映画とかにも出てきそうな感じだな。朋のは、幽霊か?」


「幽霊というより、ゴーストって感じかな?」


白いシーツを上から被ったような姿の朋が声をかけてきた。

お互いに明凛朱の衣装の感想を言う。


「なんだか、みんなが仮装してるから俺だけ浮いてるな?」


俺がそう言うと、麗先輩が目をキラキラさせながらこちらにやってくる。


「銀くん! それじゃあこっちにまだ衣装があるから来て来て!」


そう言って俺の手を取り、奥の部屋へと引っ張っていく。




「ちょっと歩きづらいですね、これ」


仮装を終えて部屋から歩いてくるが、俺の仮装はみんなと違って歩きづらい。

それもそうだ、中世時代の騎士のような鎧を着てるからだ。鎧がここまで歩きづらいとは。

ただ、みんなの反応は上々のようだ。


「それじゃあ宇佐見くんも仮装が済んだことだし、そろそろパーティを始めるわよ♪ さぁみんな、グラスを持って!」


「「カンパーイ!!」」


俺たちは、俺の誕生日とハロウィンを祝して、みんなでパーティをして、一夜を過ごしたのだった。




特別編 みんなのハロウィン 完

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