第2話:異世界についての説明
けっこう複雑です。細かいルールが苦手な方にはきついかもしれません。
神から聞いた長い説明をまとめるとこのようになる。
1:2040年の時点における、10歳以上の約75億人がこの世界に来ている。真っ平らに広がるこの世界は、寸分違わず完璧な長方形をしている。この世界は、縦500メートル、横200メートルの長方形の形に区切られていて、その10000平方メートルの土地を“タウン”と呼ぶ。タウンは1ミリの誤差もなくこの世界に敷き詰められている。例えるなら、定規で縦横に線を引き、ぴったり同じサイズの長方形のマスを画用紙いっぱいに作ったような感じか。
2:一人一人に水晶が与えられている。基本的に一つのタウンには一つの黒い部屋が存在している。黒い部屋の壁は、基本的には通り抜け出来るが、水晶だけは持ち出すことが出来ない。また、水晶をはめ込んだ場所を中心として、半径2メートル以内の部分の壁は、どんなものも通り抜け出来ない。
3:水晶をはめ込んだ黒い部屋のことを“拠点”とよび、“拠点”のあるタウンを、“ホーム”と呼ぶ。
4:水晶を砕かれるとその持ち主は消滅してしまう。水晶は砕かれていないが肉体が死んだ場合、一度塵となって消え、“拠点”で復活できる。基本的に三回までは復活出来るが、復活可能回数を超えると水晶が勝手に壊れ、その人は消滅する。
5:水晶の壊し合いを行って、残りの人間の数が減り、生き残った1万人だけが地球に帰還する権利を得る。この一万人は、神の加護を受けて永遠の幸せを約束される。
6:この世界には、いわゆる“魔法”や、“スキル”と呼ばれるものが存在する。また、レベルという概念があり、全ての人間、魔物にステータスが存在する。魔力やスキルポイントを手に入れる方法は主に3つある。レベルを上げる、魔物を倒す、他人の水晶を砕く。手に入る量は、時と場合により異なる。
7、最初の約35日間は、準備期間となる。この期間のみ、ホームの周りに強力な結界が張られ、主人かその従魔しか通り抜けできなくなる。また、この準備期間中に一度だけ、“引っ越し”が可能である。“引っ越し”とは、誰も所有していないタウンに、ホームを移すことである。ホームは引っ越し先へ、引っ越し先のタウンは元々ホームがあった場所へ、入れ換えられる。
8:この準備期間の終了と同時に、ホームの周りの結界が解け、誰でも入ることが可能になる。ホームに攻撃を加えて60秒後、攻撃を加えた人と加えられた人との“試合”が強制的に始まる。基本的には、相手の水晶を砕けば勝ちとなる。
9:一週間に一度、“疑似水晶”が拠点に生成される。その個数は、自分が所有しているタウンの数と等しい。“疑似水晶”が出現する時のことを、“リセットタイム”と呼ぶ。“疑似水晶”は黒い部屋から持ち出しや持ち込みが可能である。
10:黒い部屋のくぼみに、“疑似水晶”をはめ込むことでそのタウンを所有でき、この方法で所有しているタウンを“ヴィラ”とよぶ。ただし、”疑似水晶”をはめ込むことが出来るのは準備期間の間だけである。水晶や疑似水晶は一度はめ込んだら取り外しは不可能である。
11:ヴィラには、その境界に沿うように結界が張られ、完全に取り囲まれる。この結界を“特殊結界”と呼ぶ。外からはいかなるものも進入できないが、中からは自由に出ることが出来るという結界である。一人が所有できるヴィラは9カ所まで。ホームやヴィラどうしは“ワープ”によって行き来できる。
12:“つなげる”ことの出来るヴィラの最大数は9個までである。“つなげる”の定義は、ヴィラに張られる”特殊結界”が途切れなく連続している状態、である。また、ホームを含むいくつかのタウンが、結界によって取り囲まれているとき、取り囲まれた部分全体を、“領地”と呼ぶ。
13:”リセットタイム”のたびに“審査”が行われる。その一週間で、一度も“領地”やヴィラから出ていない場合、ペナルティーが課せられる。