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第12話:適正レベル2の魔石ゲット

 話を戻そう。イブは、眠っているグリーンドラゴンの横で、拳に力をため、そして一気に頭めがけて振り下ろした。イブの華奢な体のどこにそんな力があるのだろうと疑ってしまうほどの威力をもったそれは、ドラゴンの頭の鱗を容赦なく砕いた。大ダメージと激痛によってドラゴンが叫び声をあげ、起き上がろうとする。しかしその前に容赦のない二発目の拳を同じ部分にくらい、あっけなく死んでしまった。同じレベル1なら、眠っていたとはいえ、ドラゴンでさえも瞬殺できるということがわかった。



 さて、本当なら、明日はイブのレベルを上げようと思っていたのだが、それはお預けになりそうだ。適正レベル2の魔石が手に入っていないからである。代わりに適正レベル3の魔石を使用したとしても、ほとんど変わらない効果が得られるだろう。しかし、最強を目指す上ではいっさいの妥協を惜しまない。‘ほとんど’で納得していてはならないのだ。必ず、適正レベル2の魔石を手に入れてやろう。

 


 今後の予定について三人で話した。

当面の間は、様々なタウンに出かけ、朝から晩まで狩りを行い、魔石を集める。

それと同時に、有用なタウンを探す。今すぐイブのレベル上げが出来ないのなら、次のリセットタイムにむけて、早めにヴィラを決めた方が効率がいいからである。


 魔力を20支払って、大きめの毛布を手に入れた。これで堅い床よりはましになるだろう。実は、150支払えばベッドも購入できたのだが、別に必須という訳ではないので毛布で我慢した。今まで、魔物を倒しても魔力が手に入ったことは一度もなかった。だから、魔力は結構貴重なのかもしれない。


 そういえば、服などの汚れはどうしようかという話になった。便利なスキルはないものかと一覧で検索してみると、【生活】というスキルがあった。イブを育てるために夢中になりすぎて、自分たちのことを忘れていた。実に俺と真奈らしいことだ。二人とも、何かに集中すると、他のものが見えなくなる傾向がある。そこは注意が必要だ。

【生活】を使用すると、体の汗などがとれてみるみるきれいになり、服の汚れも落ちてしまった。こんな便利なものがあったのかと驚いてしまった。


夜は三人で川の字のようになって眠った。俺は真ん中で寝たので、両手に花の状態であった。イブは寝顔もとても美しかった。



それから6日後。

ついに適正レベル2の魔石を手に入れた。手に入れたタウンは、拠点のタウンから数千㎞は離れていた。それこそ千単位の魔物を狩ってきたが、ここにきてやっと入手できたのだ。そのときは思わず三人で交互にハイタッチをしながら喜んだものだ。一緒に冒険をするうちに、ずいぶんイブとも仲良くなり、さらに狩りの効率が良くなった。


それにしても、なぜ適正レベル2の魔石がこれほどレアなのか疑問だ。例えば適正レベル3の魔石に至っては、100個以上持っているのに。

 だがまあ予想はつく。これも神のいたずらのひとつなのだろう。せっかく適正レベルについて気付くことが出来た人に、いきなり挫折を味合わせる。なんと性格のわるい神様なのか。

 

 それでも、手に入れることができたのでもう文句は言わない。



 その魔石をドロップしたタウンは、他の場所と異なっていた。普通は、ただの真っ白な地面が広がっている。珍しいものだと、グリーンドラゴンがいたような草原や、俺が最初に入手した鉱山などがある。

 今回もそのレアなケースの方で、このタウンには池がいくつもあるのだ。大きなものは湖といってもいいかもしれない。地面は二種類ほどの巨大な岩石が占めており、くぼみに水がたまってできたものだ。

 どこから水がきているのか、蒸発はしないのか、などいろいろな疑問はある。だがそれを言うなら、例えば、白い地面の上に立っているだけの山が鉱山の訳がない。下にマグマがあるわけでもないのだから。もうこれ以上、魔法が存在するような世界で野暮なことは言うまい。


 この水をきれいにして飲めるようにすれば、毎回の食事で飲料水を購入する必要がなくなる。水の地帯にしか生息しない魔物もいるだろうし、それはレアな魔物だ。実際、適正レベル2の魔石をドロップしたのは水中を泳いでいたサッカーナーという魔物だ。

という訳で、このタウンを所有してヴィラにすることにした。使用したのは真奈の“疑似水晶”だ。

 



 ちなみに、この6日間で15人ほど、他の人を見た。といっても、【探知】で遠くからわかっただけだが。万が一に備えて、【隠れ身】を獲得し、スキルレベルも5まであげておいた。周囲5メートル以内の生物の気配を下げるスキルだ。よほどのことがない限り、見つかりはしないだろう。【隠れ身】レベル5により、【探知】にさえ表示されなくなったのだから。

 

 

 新しく所有したヴィラから、ハムステアのヴィラにワープした。そして、【パーティー補助】を発動し、イブへの経験値制限の設定を解除する。いよいよイブのレベルを上げる時が来たのだ。


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