不穏の収拾
物語がどこへ向かっているのか分からなくなってきたorz
「その、ご迷惑をお掛けしました……」
そうバツが悪そうに、このコミュニティの幹部格である風間という男性が頭を下げる。
この場には、恭一のことを「人殺し」と罵ったり、侮蔑の目を向ける者は誰一人としていない。先ほどの一幕の原因が、単なるお門違いによる復讐であることが明らかだからだ。
それに、この世界は今や彼らにとって非日常、最早「別世界」と言ってももいい。良くも悪くも、そんな世界に順応しているということだろうか。
といっても、恭一が『人殺し』を行ったのも変えようのない事実。恭一を見る目に恐怖が浮かんでいたとしても仕方がないことだ。実際、数人が距離を取って警戒するように恭一を観察──いや、監視している。
俺は、曖昧に笑うと背負っていたリュックサックを降ろした。中にあるのは、金属バットばかりで結局使われることのなかった武器達と、今遠征の目的であったコンビニで確保した食料品が大量に。
入っていた食料の幾らかを取り出して配っていく。
「迷惑料というか。まぁ、それ系の物と思って受け取ってくれ。この人数じゃ、飯はどれだけあっても足りないだろ?」
「迷惑を掛けたのはこちらで……感謝します。水道や電気はまだ生きているので大丈夫ですが、食べ物は少々心許なかったもので」
先ほどまでこんな口調で話していたし、正直に言って取り繕うのが面倒になったのもあって、本来の言葉遣いに戻すことにした。
拒もうとするのを勢いで制し、無理やり受け取らせる。当然、ただの迷惑料で貴重な食料を渡す訳がない。
MMOタイプのオンラインゲームですら単独で攻略に挑もうとするほどソロ気質、一見合理的という仮面を被った自己中心性。俺は、そんな己の性質を認識・理解しているつもりだ。
今回も、自分に利があると思い行動した結果だった。これを落とし処にして円滑に離脱するためと、「なにも悪くないのに気を遣わせた」と恐怖や嫌悪から来る反感を抑えるため。結局のところ、印象を少しでも良くするため、という狙いに落ち着くのだが。
それが幾分か功を奏したようで、険悪な空気が少しは和らいだ気がした。
「じゃ、俺はこれで」
これで、もう要件はない。今度こそと、出口の扉に向かい歩き出す。
何人かが俺を引き留めようと動いたが、無視して建物を出た。
(……だいぶ濃い一日だったな)
その一言に尽きる。
いつの間にかブクマsがいた!?
今後ともよろしくデス!!