rainfall
最初に手に水がつき、そして、雨が降り出した。とてもしっとりとしていた。
私は立ち止まって、灰色の空を見上げた。
そして視線を前に移し、そこから落ちてくる無数の雨粒をながめ、それらを一粒一粒にに分割して、それぞれを一つづつ観察した。
それはまっすぐに一定に、ふんわりと下りていき、コンクリートの地面に染み込んだ。
私は、一粒一粒の雨粒をどんどんと自分の遠くの方の雨粒へと移していった。
しかし、ある地点より奥の雨粒はどうしても見ることができなかった。
いくら凝視しても、それらは空間だった。
いくら細かく分割しようとも、それはあくまで空間でしかなかった。
私はどうしてもその先にあるなにかを見たかった。
だが何もなかった。
私はまた歩き始めた。