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ここは普通の高校。
普通の校舎。普通の友達がいて、普通の授業を受けている。
普通の、普通のありふれた日常がある場所。
「おはよっ香奈!」
「おはっ亜由実!!」
私の名前は佐方香奈。木野下亜由実は私の親友の一人。
「よっ!香奈、亜由実!」
「おはっ奈津香!」
彼女はもう一人の親友、狩狩奈津香。
普通に友達と話して、ケタケタ笑って過ごす、普通の高校生活。
普通はあっという間に壊れてしまうものだった。あの、放送によって。
『今から17分後、地球は消滅します。もう一度繰り返します……』
窓の外にはたくさんの人がすごい形相で道路を行き来していた。教室中がパニックに陥る。
「本当なんだ……」「いやだ…死にたくないよぉ……」
そんな声が聞こえる。ついには泣き出す者、発狂しながら教室を出て行く者もいた。
「香奈、亜由実、私たちも逃げよう!」
奈津香が言う。
「うん!早く逃げよう!!!」
亜由実が言う。
「……香奈………?行くよ?」
奈津香が心配そうに話しかける。
「うん……待って………いや、先に行ってて!!」
そういって笑う。
「でも…「いいの。絶対追いつくから。」
「……わかった。絶対にくるんだよ!!」
そういって亜由実と奈津香は先に教室を出た。
外の叫びがよく聞こえる。
「……あった!!」
探してたものは、音楽プレーヤーとイヤホン。
(どうせ死ぬんだから、逃げる必要ないのに………)
私はイヤホン耳にはめ、音楽を流す。
音楽を流したつもりだった。
イヤホンから聞こえるのは………男性の声。
『すべてを知りたいか?知りたいなら、校門前に来い。』
なにが言いたいんだろう……?
そう、疑問を持ちながらも、どうせ最後だからと私は教室を去った。
校門に着いた。男の人がいる。
「あなたが、私を呼んだの?」
男は答える、微笑みながら。
「そうだよ。」
「なにを知ってるの?」
「それは、後でのお楽しみ。」
と、男は悪戯に笑う。
「えっと……はじめまして。紺藤蓮だよ。」
「えっ……」
「ま、どうせ死ぬんだから、自己紹介なんて意味ないか。」
この人は何がしたいの?
「じゃ、行こっか。あの丘の向こうに。」
「籾木丘の向こうに?」
「うん。あと、13分。走るよ。」
「えっ……」
「ほらほら。知りたいんだろ。」
「う……うん。」
私は蓮に置いて行かれないように必死に走った。
ついたのはある研究所。
「いまさ、ある生物の研究をしてるんだ。それらは予想を反した行動をするから厄介でね。」
蓮は笑いながら、ドアを開けながら言う。
中に入ると人の叫び声が聞こえる。たくさんの人の叫びが。
「父さん。帰ったよ。」
蓮はそういって、あるところまで進んで立ち止まり、私を手招きする。
体を震わせながら私は蓮のところへ行く。
蓮は四角いケースを私に見せた。ケースに入っていたのはついさっき私がいた街を上から見たようだった。ケースの中で、小さな生き物が活発に動いていた。
「もう20分たったな。」
「そうだね、父さん。」
「ならもう用済みだ。蓮、やれ。」
そういって、蓮はケースの中に小さな爆弾を入れた。
ケースはめちゃくちゃに壊れた。
人の叫び声はもう、聞こえなかった。
初めての投稿です!!少しでも楽しんでいただけたら幸いです!!
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