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誰のための力か

「他にはどのような魔法が使えますか?」

「まだやるんですか?」

「協力してくれれば、すぐに終わります。」


彼はこの状況の対して心底嫌気がさしていたため、嫌々ながらも協力の姿勢を見せる。


「もっと離れてて下さい。」


彼が既に離れていた場所で見ていた人間達に対してそんな事を言うと、呪文を唱え始める。


「水よ、深き渦よ、全てを呑み込みし力よ、今、解き放たれよ。」


言葉を唱えると同時に、彼の右手辺りから勢い良く水が出てきて、彼の周りに渦を巻いていく。


(この位にしておくか。やり過ぎると怪我人が出てしまうな。)


ヒュッ!ドオオオオオオン!!


彼が右手を振りかざすと、水が一気にその方向へ宙を舞いながら、飛んでいく!

大量の水は、勢いを殺す事無く壁に衝突する!


「____っ!」

「なんという威力だっ!」

「水も生成出来るのか・・・これは」


「はぁ。もういいですか?」

「水と風、それ以外には何が使えますか?」


黒崎が彼に問う。


「何でも。」

「・・・・・そうですか。今日はこれにて終了にしましょう。」


面倒くさくなった彼はそんな事を言う。


実験が終わったあと、彼は一言も話さないまま、別室に案内された。

そこで水を手渡されたが少し濁っており、彼は手をつけなかった。


(……これ、飲んで大丈夫なやつか?魔法で出すか。)


あの風の魔法を再現したことで、自分の“異例さ”は改めて証明された。

でも、それと同時に感じたのは、明確な距離感と恐れだった。


彼は、自分が今どういう立場に置かれているのか、だんだんと理解してきた。


(――俺、もしかしてこのまま帰れないんじゃないか?)



ーーーーーーーーーーーーーーーー


その背後では、官僚たちが別の会議を進めていた。


「エネルギー問題の根本的解決になり得る。火力発電の代替も、応用次第では可能だ。」


「戦略的価値も極めて高い。武力的抑止力にもなる。あれを見れば 、絶対に他国も欲しがるはずだ。」


「彼の存在を国家機密として管理下に置くべきだろう。他国に渡す訳にはいかない。我々で扱うべきだ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


コンコン。


「失礼します。」

「まだ俺に何か用ですか?今日はもう終わりのはずでは?」

「明日からはあなたが使える魔法を全て見させて頂きます。そして魔導書も。」

「嫌だ、と言えば?」

「これを見てください。」

「・・・?」


黒崎が後ろに控えていた部下に頷くと、スクリーンに移し出される先程の映像。


「これは、先程の協力(・・)の様子です。我々の施設の監視カメラが捉えたものですが、これを編集し、軍事的脅威(・・・・・)と報道すれば、世界は、民はどう思うでしょうか?」


「・・・脅してるのか?」


「いえ、事実を伝えるだけです。あなたの魔法が善である事を証明するには、我々と協力するのが一番だと思いませんか?協力してくれれば、あなたの安全は我々が保証しましょう。国民の不安を取り除く為にも、あなたが安全で、正義である事うぃ示す必要が有るのです。どうか懸命な判断を。」


そう言って黒崎は部下達を連れて部屋を出ていく。




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