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転生の革命家  作者: みおゆ
第四章・自由を願う姫君
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4-8 キズナの作戦、だよ! (2)

 ――数十分後。


 ツナグたちはキズナの持ってきた衣装に身を包み終えたのであった。


 そして開口一番、叫んだのはツナグだった。


「なんで俺だけミニスカートなんだよ!」


[798257556/1713958170.jpg]


 ツナグの言うとおり、ツナグの変装内容は、セーラー服という、なかなかに攻めたものだった。

 さらにいえば、服の丈が短いせいかヘソが見えてしまっていて、露出度が上がってしまっていた。


 そんなツナグに、キズナは首を傾げて、言う。


「えー。ミニスカートなのはツナグだけじゃない、だよ。ほら、わたしもパエルちゃんも、フリフリのかわいいミニスカート、だよ!」


 キズナはそう話すと同時にミニスカートを強調するようなポーズを取り、その横でパエルも便乗して得意げにポーズを決めた。


「……うん、俺の言葉足らずだったな。もう一度改めて言わせてもらうぞ。……なんで男組は俺だけミニスカートなんだよ! っていうか、女装状態なんだよ!」


 ツナグは言って、ウィルを指差した。


「ウィルと服の交換を申し出る! アイツのほうが俺より小さいんだ。このセーラー服のサイズがより合うのはウィルなはすだ!」


 甚平姿のウィルは「断る。誰がそんな変態じみだ格好なんぞするか」とそっぽを向いてしまった。


「ツナグ様……そんなに嫌であれば、ボクと格好変えますか?」


 そんなウィルとは対照的に、そう提案したシャルだったが。


「いや、それだとさらに難易度が上がるからやめておく……それを着こなせるのは、シャルだけだ」


 と、ツナグはやんわりと断りを入れた。


 というのも、シャルはセーラー服よりもさらに露出度の高い、網タイツにバニースーツ、頭には兎耳を模したカチューシャを付けた……所謂バニーガール姿だったからだ。


 シャルは今回の変装で、メイドからバニーガールへと転身を遂げていたのである。


「しっかし、シャルはバニーガールも着こなしちまうとはな……同じ男だと思えないぜ。……それはそうと、一応シャルも俺と同じ男として、その格好はどう思ってるんだ?」


 やっぱり、そんな格好シャルだって恥ずかしいだろ? と、ツナグはさりげなくそう聞くと、シャルは相変わらず感情を表に見せずに、答える。


「そうですね……少し動きにくいですが、上手く獣人に変装できたのではないかと思っています」

「言われてみれば、そんな解釈もできる!」


 シャルの予想斜め上の解答に驚いてから、ツナグは深くため息を吐き、改めてニューエゥラ軍の面々を見やった。


 今までに紹介したほかに、キズナとパエルはいつもとは雰囲気を変えたかわいらしい格好で、アムエはポニーテールにし、普段の清楚な格好ではなく、ジャケットにダメージジーンズとパンクな雰囲気に。そしてヒトリは麦わら帽子を被り、アロハシャツに短パンと陽気な格好をしている。


 そして、真に身を隠すべきドールはというと、黒の学生帽に学ラン姿と、凛々しい男子学生の姿に変装していた。


「……ドールお嬢様、俺と衣装交換しませんか?」


「ワタクシに対してドールお嬢様などと、そして敬語なんて使うものではありませんわ。会ったばかりのように、舐めた態度で接してきなさい」


「別に俺は会ったばかりも舐めた態度じゃなかったと思うが……。……で、交換してくれるのか?」


「もちろん、嫌ですわ! ワタクシ、この格好気に入りましたの! それに、ワタクシたちとわからないように変装するのが目的なんですから、あなたもセーラー服姿というだけで、ピーチクパーチクと鳴くのはお止めなさい」


「……」


 そこまで言われてしまっては、いよいよツナグは何も言い返せなくなり、黙り込んでしまった。


「……キズナめ。よくこんないろんな衣装を持っていたよな」

「えへへ。昔市場(いちば)で買ったんだよね〜。これ全部、転生者たちがツナグのいた世界から持ってきたっていう、超レアものなんだよ」


「なんてもんをこれまでの転生者たちは持ってきてくれたんだ……」と肩を落とすツナグ。


 ひととおりの茶番劇を見届けたヒトリは、「……さて」と口を開く。


「ツナグくんのワガママで少々時間を使ってしまったけれど、こうして変装もし終えたことだし、本格的に動こうとするかねぇ」


 続けて、ヒトリはニヤリと口角を上げ、こう言い直す。


「――心機一転新しい衣装に身を包み、新しいわたしたちとなった我らニューエゥラ軍……ならぬ、New(ニュー)エゥラ軍として、活動を始めるとするかねぇ」


 はっはっはっ〜と笑うヒトリ。


「ニューエゥラ軍の『ニュー』も、元々の意味は『新しい』という意味かと思いますので、ヒトリ様の発言は何も掛かってないように思います」


 シャルだけはマイペースにそんな指摘をしたが、ツナグたちは何も言えずに、呆然としたリアクションを見せていた。


「なんだかワタクシ、この方たちに身を預けたこと、急に不安になってまいりましたわ……」


 そんな中、唯一ドールだけは、そんなひと言を呟いたのだった。

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