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080:地下5階2

スパイダーのエリアが終わりを告げ、元の石組みのダンジョンに戻っていく。

たどり着いた扉の鍵を解錠して開けると、その先は通路になっていて、ゴブリンエリアと、もう1つ別のエリアにつながっている。

ゴブリンエリアへのつながりは確認しただけで終了、もう1つのエリアへ移動し、そこでは通路上の行き止まりにあった宝箱から宝飾品のシルバーネックレスを回収。そして扉の先を調べようと開けたところで初登場となる大型の人型の魔物が2体、姿を見せた。

オーク。

他の種族に対する強い憎しみ、たくましい体、下顎から突き出すイノシシに似た犬歯、これも有名な魔物だ。

盾を構えて部屋へ飛び込んだエディと数合打ち合い、多少はよろめかせることができたことはこの魔物の強さを証明してくれるだろう。単に相手が悪かった。

2体を正面から押さえている間にクリストが回り込みながら切り刻み、マジック・ミサイルが、ファイアー・ボルトが命中していく。

とにかく動きながら切りつけていくクリストがとてもうまい。相手が動く先に剣がある。攻撃しようと武器を振り上げればその空いた脇腹に剣が差し込まれる。踏み込もうとした足が切り払われる。

最後は振り上げた武器の重さに負けるようにしてオークの体が背後に折れるように崩れていった。


はー、お見事です。オーク2体でもこんなもの。うまいわ。

部屋の奥の壁際にはいつもの宝箱が静かに開けられるのを待っていて、待機していたフリアが大喜びで駆け込んで調べ、鍵も罠も回避して開ける。慣れてきていることが分かる手際の良さ。ちなみにこの宝箱から出たのはエレメンタル・ジェムという、アース・エレメンタルの召喚ができるもの


次に調べに向かった扉の先は通路になっていて、そして扉に行き着いて。

扉に張り付いて音を聞いている。これまでのパターンをなぞるのなら水音がするとなるとこの扉の先には。

ということで扉の向こうは部屋になっていて、そして右手前の奥に水場、さらにその向こう側に下り階段、さらに奥の壁にも扉がある。

はい、発見されてしまいました、6階への階段。

そしてすでに目の前にあるように、ここにはもう1つ扉があるのですよ。3階で見たことがあるでしょう、専用の板鍵が必要な扉。そして3階で使った板鍵では今回は入りもしないとなると、そう、ここでもまた別の鍵を探す必要があるのです。でも安心してください、今回はすぐ近くにありますので。


いやー、ついにここまで来ましたね。

6階へ下りるだけならここの階段を見つけた時点で終了なのです。

ですが彼らの目的はそれだけではない。まだ昇降機を見つけていないのです。

そこへこの専用の鍵を使ってしか入れないエリアの登場となれば、当然そこで考えるのはこの先に昇降機があるのではないかということ。

ようやくここまで来ましたね。

さあ、ここへ立ち入るための鍵を手に入れましょう。


階段室内に板鍵はなくて、別の場所にあるだろうと考えて引き返すように進むと、その先で扉を発見する。その扉は上部に格子窓があり、そこから光がもれている。見たことありますよね、これも。そう2階と同じように中を見て事前に知ってほしい場所。

扉に近づき中を確認すると、中は壁に取り付けられた照明によって明るく照らされた部屋で、そして数体の人型の魔物の姿がある。

ゴブリン、そしてホブゴブリン。

配置されているゴブリンはウォリアーが2体、アーチャーが1体、そして初登場のメイジが1体。そこに指揮官であるホブゴブリンが1体加わる。

部屋の奥の壁の中央に扉、そして左には宝箱、右の壁には4階で見たのと同じような形で板鍵が置かれている。こんな近くにあるのです。そして当然、必ず戦ってほしい場所なのですね。頑張ってください。


てっきりすぐに戦うかと思っていたら、何とその場は一度保留として地図を埋める作業に戻っていく。階段室を見つけてあって休憩が取れることが確定したというのも大きいようだ。

その後はオーク1体があっさり倒され、四方に扉を配した部屋2連発では扉を調べると背後の扉からライトニング・ボルトが飛んでくるという罠に引っかかっていただき、それ以外の罠は回避され、そして宝箱3つから宝石をごっそり回収された。うまくいったのは罠1つだけという惨状だけど、仕方がない、仕方がないと思いましょう。

結果的に地図埋めはうまくいき、下りてきたのと同じ4階へ上がる階段へとたどり着いた。これで4階から5階を通過して6階へ至る、最短ルートが開放された。


どうやらこのルートの開拓が目的でもあったらしく、この時点でホブゴブリンとの戦闘を決断。階段室へ戻って休憩しながらの打ち合わせ、特別なことはせず、いつも通りに味方の強化、魔物の弱体化を入れて1体ずつ確実に潰すという方針が決定される。


扉の格子窓越しに魔物と視線が交わされる。

前衛にブレスと、ホブゴブリンを引きつける役割を持ったエディに耐久力を上げるためのエンハンス・アビリティの魔法が使われる。

これで準備が完了、扉が大きく開かれた。

開幕はスローの魔法。

対抗するようにホブゴブリンの味方を強化すると言われるグォォォォ! という大きな叫びがとどろく。

駆け込んだクリストがまずはゴブリン・ウォリアーを引きつけ、そこを分け入るようにエディが進み、ホブゴブリンに迫る。

アーチャーが狙いもまともに付けずに強引にウォリアーを支援するために矢を放つが、それはクリストが鎧の肩当て部分で受け止める。

そのアーチャーにはライトニング・ボルトが命中し、動きが止まったところにフリアが駆け込んでナイフを首に振るい、これで1体目が脱落した。

ホブゴブリンの必死の攻撃は盾に防がれ、ウォリアーがそれを支援に行きたくとも目の前で振られる剣の攻撃がじゃまをする。

メイジが何か魔法を使おうとしたところにはカウンター・スペルが合わせられ、結局何もできないまま戦いが進んでいってしまう。

アーチャーが倒れたことで冒険者たちは次の標的をウォリアーに定め、マジック・ミサイルが剣のナイフの攻撃がまとめて入れられていく。エディがホブゴブリンを止めている間にこれを2回繰り返し、それでウォリアーも終了だった。残るゴブリンはメイジのみ。

そのメイジは目の前のカリーナにスタッフを振るい、打ち合ったところで事前に仕込んでいた魔法の効果か激しい光が発した。これで視力を奪われたカリーナがよろよろと後退する。自信を持ったのかメイジがギャーと叫んでスタッフを高く掲げた。せっかくの一撃だったが、これは良くなかった。

駆けつけたフリアがカリーナに回復薬を渡し、クリストが掲げられたスタッフごと腕を切り飛ばす。

そしてその間にもホブゴブリンにはライトニング・ボルトが命中し、視力を回復したカリーナがファイアー・ボルトを放ち、エディが盾で殴りつけ、さらにもう一度マジック・ミサイルが命中する。このダメージの積み上げにホブゴブリンが耐えられるわけがなかった。メイジ? とっくにクリストに切り倒されていましたよ。


休憩中の会話を聞いていると、ブレスとスローが効いている間にどれだけ削れるかが勝負だったそうなのだが、わたしからすれば余裕を持って対処されすぎているという感触しかない。結局ホブゴブリンもゴブリンもまともなダメージを稼げなかった。せっかくカリーナを盲目状態にすることに成功したのに、さすがゴブリン、その後がいけなかった。

ホブゴブリンたちも頑張ったとは思う。思うけれど、それ以上に相手がね、悪かったね。普通に押し切られてしまったということで。

ここは仕方がないけれど、下で使うのならホブゴブリンの数を増やすとか、メイジの数を増やすとか、せめて配置はばらけさせるとか、色々と考えないといけないわね。

でもこの思考部分も楽しい部分だものね、5階のこのレベルの魔物相手でもしっかり考えて戦ってくれた彼らがさすがだったということでいいでしょう。

高レベルのベテラン冒険者だからこうなったとも言えるので、ウォール系の魔法で魔物の動きを制限して各個撃破を狙うか、スリープでアーチャーを眠らせてメイジ速攻がいいかとかの別パターンの話は参考にさせてほしい。


この部屋では板鍵と宝箱、そして奥の壁にある扉の確認。この扉も階段室の扉と同じく専用の鍵で開く仕組みなことは見れば分かると思う。

当然そのことはすぐに察せられ、板鍵で扉は開けられる。その先の通路には照明があり、ずっと先まで明るい。そうしてそこに昇降機が発見された。


はい、お疲れさまでした。これで当初の目的は達成されたのではないでしょうか。

気になっていたそれの発見の報告に、どれどれといった様子で魔物の後始末も途中で止めて誰もが通路の先を見に来る。

遠くに昇降機、そして途中には右への分かれ道。

それを確かめた彼らはひとまず階段室に戻って休憩にすることを決め、引き返していく。

えへ、実はこの分かれ道の先にあるものこそが今回の本命なのです。

一休みしたら是非見に行ってみてくださいな。楽しめると思いますから。


ホブゴブリンたちのいた部屋の宝箱からはヘルス・エリクサーという特別なポーションが回収される。まあ瓶が違うのでお察しかとは思いますが、初回限定ボーナスで投入したエリクサーの一種。いいものですよ。


それから階段室に戻ってからは扉の前に荷物を置き、魔法が回復するまでの長時間の休憩を取る。

いつもどおりトイレも設置してその辺りに転がっているスライムを放り込み、折りたたみ式の簡易ベッドにマットを敷き、さらに折り畳みテーブルに調理器具も並べて食事に。今回はパンを焼いてスープを作るそうな。こうしてアウトドア用品の売り込みも順調に進んでいくのです。

ただ簡易ベッドがどうにも男性用としては小さいことが気になるらしく、使ってもらえないのが難点ですね。せめてマットはサイズバリエーションを用意したりとかしてみましょうか。

そして「ダンジョンですることじゃない気がする」と言われてもですね、ここの水場の水は飲めるという鑑定結果が出ているのだし、ランタンを使っているのだから火気厳禁というわけでもない。調理をしてはいけないという理由はないのだよ。

スープの香り、焼けるパンの香りが食欲を誘う。湯を沸かし、ジャーキーを火であぶってパンに乗せる。

食事や用具類が充実するということは、長くダンジョンで活動するのなら重要な要素だとわたしは思っているので、こうして快適に過ごしてもらえるのはうれしいところ。これが将来のセルバ家のアウトドア事業にもきっとつながっていくと思うので。

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