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079:地下5階1

冒険者さんたちが戻ってきてようやく探索が再開されることになりました。

ようやく、です。長かったですね。

今回はわたしたち運営側の魔物配置ミスから始まったことですから申し開きのしようもありません。今後はこのようなことのないようにしたいと思っています。


その間にこの土地の名称がノッテで確定。今までも通称としてノッテとは言っていたけれど、正式名称になったということね。森の別宅も冒険者ギルドの出張所も、みんなまとめてこの土地の住所はセラータ地区ノッテ、ということで。

ついでに申請していたノッテの旗も正式に決定。星に吠えるオオカミにしました。


さて、そんなこんなでついに5階です。区切りの階になりますね。

ここまでは完全に初心者向け、初心者脱却を目指してもらう想定にしているので、事故はあったけれどそれ以外に苦戦するような場面もなく、順調に進んできたのではないでしょうか。


『そうですね、概ね順調だったのではないでしょうか。戦い方を見ていてもこのまま5階6階は難なく突破できてしまいそうです』


そんなにかな? そんなにかも。

6階はまだまだテストの範囲だし、本番として考えるのはやっぱり7階からのままでいいかしら。


『6階も一部には難易度の高いエリアを設けていますが、やはり当初の予定通り7階8階で少し苦戦していただいて、9階という難所を目指す展開で良いでしょう。テストに関してはこれからも続きますし、今更です』


そうね。そして6階の反応が早く見たいわね。せっかく頑張って作ったものね、キャンペーンシナリオ。わたしも現地で見たいわね。


─────────────────────────


冒険者たちがメッセージの後を追って地下5階を目指す。

基本的に戦闘はなし。1階、2階はとにかく駆け抜ける。フリアが警戒しながら極力魔物には出会わないように進み、運悪く出会ってしまったとしても速攻で倒すか、あるいはそのまま放置して逃げるかになる。

3階のメフィットも位置を確認しながら逃げる方針には変わりはなく、水場や宝箱も無視してそのまま4階への階段へと駆け込んだ。


4階の階段下は長い直線の通路になっていて、その途中にアイス・メフィットがいたものの数は1体。前の2人で切って弾いて切って弾いてあっさり終了。うん、1体ではメフィットに何かできるということもなく。

道半ばには水場のある部屋が用意してあったのだけれど、そこもスルーしてその先へ。先には下り階段があり、それを下りたら5階。来ました、5階です。

とはいってもしょせんは5階、最初に遭遇するのはゴブリンたち。

まず最初に出会ったのは壁によりかかってぼけっとしていた1体で、それはもう駆け寄ったクリストにブスッと刺されておしまい。まるで通り魔のよう。

その後も道中の宝箱からダークネスのスクロールを回収され、通路上を歩いてきたゴブリン4体も駆け込む前衛とファイアー・ボルト2発の前にあえなく全滅といいところなし。

フリアが気配の察知に失敗したゴブリン2体による強襲も、逃げるフリアに追いつけず、待ち構えていた仲間にサクサク倒されるという情けなさ。うーん、ゴブリン。

さらに宝箱から矢+1という評価に困る武器を回収。や、ちゃんとした武器が出ないわけではないよアピールの為に入れたものだからね。そんな期待外れみたいな顔をされても。まあ弓持ちがいないパーティーが矢+1を見つけても仕方がないという気持ちも分かりますが。


そうして進んだ先にはようやくまともな、というとあれだけどゴブリン5体のグループがいる部屋に到達する。

部屋に近づき、魔法が届く、ゴブリンもこちらに気がつく、そういう距離になったところで開幕。

ただし開幕を告げたのはスリープの魔法。

これでゴブリンが眠りについていく。綺麗に決まって4体が眠ってしまったようで、その場に倒れるように横になっていく。

それに驚いたのかゴブリン・ウォリアーが剣を振り上げた姿勢で周囲を見渡しているところへエディが突撃、抵抗しようと剣を振るうものの、それも盾にさえぎられ、回り込んだクリストが空いていた右脇腹を切り裂き、とどめにファイアー・ボルトを食らって炎上、何事かを叫びながら膝から崩れるように倒れていった。

まあスリープのずるいこと。雑魚ゴブリンに加えてせっかく用意していたアーチャーも眠ってしまってウォリアーを支援できる体勢が消えてなくなってしまった。

こうなってしまってはゴブリンにできることなど何もない。寝ている間に急所を刺し貫かれ、眠りを永久のものに変えられていく。これがゴブリン、悲しい。


ゴブリンエリアの踏破が終わったところで次に進むのは直近の扉の先。そこは部屋になっていて、そして通路へつながっている。

進む方向は1つしかないのだがそこで変化がある。ランタンの明かりで通路の中を照らすと、壁に天井に床に細い糸がびっしりと張られていることに気がつく。そう、このエリアはジャイアント・スパイダーの巣になっている。

冒険者たちはたいまつに火をつけ、焼ける範囲は焼いて前進していく。

そうして通路を進むと、風景はいかにもダンジョンだった石組みから洞窟へと姿を変える。壁、床、天井とゴツゴツとした岩肌の天然の洞窟だ。このダンジョンの石組みから景色を変える手法は3階4階のアリさんエリアにもあったのだけれど、そこには行ってくれなかったので今回が初出。


そしてついにジャイアント・スパイダーと遭遇。通路の先から姿を現し、目の前のエディに飛びかかって壁際に押しつけてくる。

そこへマジック・ミサイルとチル・タッチの魔法が使われる。チル・タッチはダメージよりも骸骨の手がスパイダーの足を掴むことを目的にしているようだ。

まあね、スパイダーの最大の特徴は壁も天井も自由に移動することにあるのだから、それをさせないためなのだろうね。

あとは盾を押し返すように突き出したエディが剣を振り、さらに骸骨の手によって足が引っ張られたことで生まれた胴体の隙を逃さずにクリストが剣を振り落ろす。これでスパイダーは力尽きて崩れ落ちた。

ジャイアント・スパイダーはなかなかに強力な魔物なのだけれど、さすがに1体ではできることも少ないですね。


途中の宝箱からはイリュージョン・デックを回収。カードの絵柄に合った魔物の幻が現れるっていう、見世物用途に使えるカード。使い捨て型だからそこまで使い勝手の良いものではないけれどね、16枚入りのセットなので楽しめると思いますよ。


そこからはしばらくスパイダーも出ず、ひたすら洞窟をクモの巣を焼きながら進むという流れになる。ようやく広い部屋に到達したところで、当然のようにジャイアント・スパイダーがいます。今回は奇襲狙いで天井に待機していますよ。

でもあっさりとフリアにバレる。やばいのでは?

ギリギリまで進んで、いけそうならファイアボールがいいかもなとか言われている。

いやいやいや‥‥。

そして発見されてしまうジャイアント・スパイダー。

そして放たれるファイアボール。

魔法の炎にさらされたクモの巣が燃え上がり部屋全体に広がる。まもなく天井からジャイアント・スパイダーが地面へとたたきつけられるように落下してきた。

うきゃー! ですよ。せっかくの仕込みが! ですよ。天井からジャイアント・スパイダーが! ができなくなってしまった。悲しい‥‥。


ファイアボールの作り出した炎はすぐに消えたが、それによって燃え上がった巣にはまだ火が残り、その中でジャイアント・スパイダーがジタバタと暴れている。

ようやく火も治まってきたかというところでクリストが部屋に駆け入り、剣を真っ正面に突き出すように構えたまま飛び込んでいった。炎の中で弱っていたスパイダーにはそれをどうすることもできずに突き立てられ、倒れ伏した。何も出来ず、無念なり。


ジャイアント・スパイダーを燃やした炎の残り火が天井でも巣の残りを燃やしている。

この部屋では床には宝箱を設置せずに天井からつり下げていたのだけれど、それに火が燃え移ってつっていた糸が切れたのだろう、宝箱が落下してきた。

包んでいたクモの糸の残りを切り、宝箱を開けると中からは羽根飾りが出てくる。クアアルズ・フェザー・トークン。今回のものはファン、扇だね。振ると風が吹いて船を動かせるようになるっていうとても便利なもの。

気づきにくい場所に気づきにくい形で宝箱を用意したから少し豪華にしてあるよ。でもファイアーボールのせいで自動的に落ちてきたっていうね。もう少しなんていうか、さあ。


このエリアのラストは2つの部屋がつながった構造になっていて、今回は両方にジャイアント・スパイダー。どちら側から入ってきても連戦か、それとも増援が発生するような状況になっている。

部屋にジャイアント・スパイダーがいることは早々に察せられ、まずはマジック・ミサイルで先制することから。チル・ハンドで動きを押さえるようにしてそこにエディが飛び込むけれど、せめてもの抵抗にとスパイダーからは糸がバアッと吐き出され、それが構えていた盾に降りかかる。

それでも糸が絡まったままの盾を構えて突っ込み、続いたクリストも横へと回り込みながら切りつけ、足が1本切り飛ばされる。

ここへ増援の登場。

部屋の右の方にあった通路から、そちらに待機していたジャイアント・スパイダーが姿を見せようとしていた。

糸を吹きかけようとでもしているのか、そのまま頭を持ち上げる。のだけれど、もうね、高レベル魔法使いの使う攻撃魔法の恐ろしさよ。

ファイアー・ボルトが放たれ、スパイダーの顔面に命中して激しく炎を上げて糸もろともに燃やしていった。

その間に最初のスパイダーが前衛組によって撃破され、増援のスパイダーは炎を振り払うようにバタバタと足を動かしながら部屋の中へ移動して目の前のフリアに体当たりでもしようかと迫ったものの簡単に逃げられ、そしてこの時点でスパイダーはすでに瀕死の状態で、もう戦士の剣から逃れることはできず、あえなく撃破されることになった。

うーん、頑張った、たった2体なのによく頑張ったよスパイダーたち。もうね、魔法の威力が大きすぎるのよ。その上前衛のレベルも高いから当然一撃が重いしそれを連発してくる。もっとずるく動かないとだめね。手も足も出ないわ。

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