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006:

『マスター、聞こえますか? こちらはワールド・システム・コアです、聞こえますか?』


はい。

はいはいはい! 聞こえますよ!

来た、来たわ。対話機能、ヘルプ機能、管理機能なんでもいいわ。これを待っていたの。


『応答を確認しました。ひとまず私のことはコアとでもお呼びください』


はいはい。コアちゃんね、コアちゃん。了解。

なんか、コアちゃんを設置した? ときから結構時間かかったね。


『誕生から定着まで相応の時間が必要だったようです。現在は状態が安定していますし、マスターが望まれた機能が備わっています。私のことは人工知能との対話形式による管理機能とお考えください』


おおー。これはすごいわね。

ん、望まれた機能が備わっているということは対話以外の機能もあるのかしら。例えばウィンドウは表示できる?


『はい。思考、言語、動作による表示が可能です。ある程度の幅を持って認識しますので表現は適当でかまいません』


おっけーよ。

それじゃ、ウィンドウオープン。


視界の右下辺りからぽんと飛び出すようにしてウィンドウが来ましたよ。

目の前に急に茶色っぽい灰色っぽい半透明のウィンドウが現れたのでビクッとしてしまっった。

あまりにビクッとしたせいで近くにいたいつものメイドさんがどうしましたかっていう感じでわたしをのぞき込んで、ぽんぽんと布団をたたいていったんだけど、これ向こうからは見えていないわね。ウィンドウを突き抜けて腕が差し出されてきてそっちにもびっくりしてしまった。

ウィンドウは、長いな、窓は出て消えてとか表示非表示とか言葉は何でもよくて、意識するだけで目の前まで来てくれるみたい。便利。

それに他の人には見えないというのも良いわね。どう考えても変だもの。


さてそれでは改めて、窓には何が書かれているかな。


┌──────────────────────┐

│ ステラ・マノ・セルバ           │

│                      │

│     ワールド、ステラ・マノ・セルバ  │

│                      │

│                      │

│                [設定]   │

└──────────────────────┘


ほわー、これよこれ。

でも、ワールドはまあわかるけれど、あと何もないね。できることが設定しかない。

これって触らないと操作できないのかな、意識しただけでできる? できないな。あ、端っこつまむと窓自体が動くじゃない。何これ便利。

とりあえず触れることがわかったのでまずは設定を。

項目数が全然ないな、ん、操作設定に視線、動作、発音がある。あれ、これだけ? どうでもいいような細かいことまでいじらせてくれてこその設定だと思うのだけれど。

神様が言っていた必要だと思ったことが随時追加されるって、そういうことなの?

ということは今は考えてもしかたがないのかな。

それじゃとりあえず視線操作を選ぶ、と、オンとオフが交互に切り替わるのね。ひとまずこれはオフにして、動作だけオンね。

戻るボタンはどれだ、これか、あるね。手を上げてえい。


『表示についてはご確認いただけましたか』


した。したけれど、何にもないね。これに追加していかないといけないのかな。


『現状、説明しなければならないことがいくつかあります』


む、わかった。聞きましょう。


『まずは現在の状況です。マスターは普通の人間として生まれた、この世界に存在する生命体です。ですが生まれてまもなく、ご自身の内側に新しく世界を作られました。その境界線はマスターの体表にあるのですが、肉体そのものはこちらの世界に誕生したため、体表より内側はこちらの世界と、マスター自身の世界との両方に重なって存在します。そして体表が境界線ということで、着ている服はこちらの世界限定です。

『こちらの世界と、マスター自身の世界とは互いに干渉できません。本来であれば空気や食事なども取り込むことはできないはずなのですが、肉体が重なって存在しているためか、普通の成長を見せていますし、食事も普通に取り排せつも行われています。これはこちらの世界の設定を内側、マスター自身の世界に再現しているためです。

食事などで取り込んだ物をいっさい排出などせず、完全に分解してエネルギーに変えるなどの対応も可能です。その場合は排せつの必要性も無くなりますね。

『また毒物などを摂取した場合も内部に影響を与えることはありません。物理的な障害も境界線が体表ですので影響を及ぼすことはありません。ただし現在は衝撃を再現し打ち身程度の軽いケガを負う状態を作り出していますのでご注意ください。極端な話ではありますが、この世界に生まれたマスターの肉体が破壊されても、マスター自身の世界に存在する肉体が破壊されるわけではありませんので、絶対の安全を確保できていると考えます』


長い、長いよ。長すぎて理解できたかどうか怪しいよ。

でも今のわたしの状態はなんとなくわかった。排せつをなくせるっていうのは面白いけれど、それだと家族の手前だめだろうから再現状態を維持だね。風邪とか食中毒とかそういうのが関係なさそうなのはいいね。当然花粉症もないよね、ね。

前はさ、やっぱり病気がちだったから。風邪もよくひいていたし、そういうことの心配はもう無くなったということで良いのよね。

それになんだっけ、神様がいっていたけれど、魔力だっけ魔素だっけ、何かそういうのがないとどうこうって。


『マスターの体は世界と同一です。今後そのような要素を気にされる必要はありません』


お?

ないと体調が悪くなるどうこうって言っていたような。


『それはこの世界での話ですね。マスター自身の世界はマスターが設定をすればどうとでもなるものであり、こちらの世界とは相互非干渉です。今後魔素を気にする必要はありません』


あれー、どうしてこうなった。それが必要だったからの転生だったのでは。

まあとりあえずそれはいいや。いいのか? いいことにしよう。


『次に先ほどのウィンドウ。あれの表示内容や表示形式などは後から変更が可能ですのでそこはご心配なく。それよりも表示されている文字です。マスターはこの世界で生まれてからご自身の世界を作られました。そしてそれはこの世界の言語を習得する前のことです。そのために表示されている文字はすべて、日本語となっています。また、私自身もマスターの言語習得前の生成だったため、日本語を使用しています。お気付きだったでしょうか、先ほどからこの会話に使用されている言語は日本語なのです』


お気づきではありませんでした。

えー、日本語、あ、確かに日本語だわね。

あれ、ちょっと待って。今のわたしって日本人ではないのでは。


『ステラというマスターのお名前から、少なくともこの国はイタリア語かそれに近い言語を使用しているものと推測されます』


いたりあ。


『これはマスターの記憶からのあくまでも推測ですので確実ではありませんが、その可能性が高いでしょう。そしてイタリア語が使われていると仮定した場合、ほかにも英語やフランス語、ドイツ語、そして日本語などが存在する可能性があります。今後この世界での日本語の使用には厳重な注意が必要です』


理解した。すごく理解したよ。

わたしイタリア人。でも生まれたときから日本語自由自在! なにそれ!

はい。気をつけます。


『続きまして、お待たせしました。スキルについてです』


はーい、待っていました。どうなの、使えるの?

さっきはスキルのところが空白だったけれど。


『ダンジョンマスターのスキルを取得、あるいはその他のスキルを作成することが可能ですが作成は現状ではお薦めできません。これはこの世界とマスターの世界とが互いに干渉できないという問題のためです。新たにスキルを作ってもこの世界では使えません』


待って。待って待って。

使えない?

スキルの作成ができるけれど、使えない?


『はい。ダンジョンマスタースキルに限らず、あらゆるスキルが作成可能ですが、作ったところで使用可能なのはマスター自身の作成した世界に限ります。身体強化系ならば使えそうにも思えるのですが、肉体が外で生成された影響か、あるいは動作がこの世界への干渉と判定されるためか機能しません。試みとして望遠と鑑定を追加しました。取得と使用を意識してみてください』


おっと簡単に追加してきたわね。

よし取得。ウィンドウを表示してみて、と。あ、スキルの取得っていう項目が追加された。なるほどこうなるのね。理解。

じゃあ取得して、で、使ってみるね。望遠。‥‥んん? これって使えているの? いないの? なーんにも変化なし。使えたら見えているものが変わるはずよね。

よし、続いて鑑定。このベッドを鑑定してみましょう、鑑定鑑定~と‥‥。はい、使えません!


『ご覧の通り、新たに作成したスキルは機能しません。この2つのスキルは無意味ですので削除しておきます。そしてダンジョンマスタースキルの説明に移ります』


お?

ということは?


『お待たせいたしました。取得をどうぞ』


取得!

っ! はい来た! これでいいのね?


『はい。ではスキル画面の表示を意識してください』


おっけー!

ダンジョンマスタースキル! 起動!!

来た。来たよ-! 作成、運営、管理、設定! これよねっ!


『お楽しみのところ申し訳ありませんが少し説明をします』


‥‥おっけーよ。お願いします。

うーむ。楽しすぎて踊ってしまった。動きすぎて驚かせたみたい。今メイドさんと握手しているのよ、わたし。きゅっきゅっふりふりー。


『この状態には理由があります。マスターは神との対話で自身のスキルとして要望し、神はこの世界で他に例のないスキルとしてマスターと相談しながら設定していました。中断されてしまった設定ですが、スキルそのものは世界に対して登録され、そしてマスターにひも付けがされています。マスターが自身の世界を作成する前の話です。その結果、唯一の既存スキルとなり、新たに作成する必要もなかったのです。このことからダンジョンマスターのスキルに関しては、例外的にこの世界への干渉ができるのではないかと想定していました。そして恐らくその想定は間違っていなかった。さあ改めて、ダンジョンの作成へ進みましょう。まずはダンジョンの核となるダンジョンコアの作成をどうぞ』

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